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契約・取引

2015年2月 1日 (日)

「取引」のリスクを洗い出す責任

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 15年1月31日の日経新聞の朝刊の記事から。

 「資産運用で損失 駒沢大が敗訴」との記事が目につきました。

 BNPパリバ証券に対する約84億円の損害賠償請求だったようです。2007年、勧誘を受け、「通貨スワップ」と呼ばれるデリバティブ取引を始めたところ、運用に失敗、約76億円の解約清算金を支払ったと。そこで大学は、「リスクの大きい取引に」「違法に勧誘した」として勧誘した方を提訴していたようです。

 これに対して東京地裁は、「取引内容について必要な説明」はなされていて、大学側も十分に理解していた」との判断だったようです。

 新聞記事からのみで、判決文を読んでみないとわかりませんが、思った事をメモしておきます。


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 証券会社側をみると。76億円近い損失が発生するかもというほどの規模の取引に関与していたことになります。

 後から提訴されるリスクの管理としてはどのようなことをしていたのか。当初は金額も小さな取引だったのか、なるいは最初から金額の大きな取引だったのか。いずれにしても、ある程度の規模である時点で、提訴リスクをコントロールする必要があるのは間違いないかと思います。

 過去にこのような提訴をされたことがあるのかどうかはわかりませんが、頻発しているとしてら、会社としても対策不十分だったということになるかと思います。この点、対株主に対する責任としてはコンプライアンス上、どうなのかいうことが気になります。

 手数料だけで年間180億円ほどを稼いでいるよう。

 親会社はBNPパリバSA100%子会社のよう。

 http://cdn-pays.bnpparibas.com/wp-content/blogs.dir/130/files/2013/06/BNPPSKK_2014Mar%E6%B1%BA%E7%AE%97%E5%85%AC%E5%91%8A_FINAL.pdf

 第4期の決算公告をみると。

 関係会社への債務として、約3兆907億円があがっています。どこに、なんの目的で形成された債務なのか。ちょっと気になります。


3

 そしてこのような証券会社の勧誘をうけ、金融派生商品の取引で大損をしてしまった大学。

 いったいどのような情報で、なにをどのようにして判断して、取引が利にかなうものとしてGOサインがでたのか。

 鵜呑みにしていたとういだけなら、その意思決定機関の責任は問われなくてもよいのかが検証されることになるのかと思います。

 単に、意思決定責任者が自己の責任を回避するための提訴だとしたら、提訴のための印紙代に弁護士費用とさらなる無駄な損害を大学に負わせたことになります。

 駒沢大学。同じ頃の取引で、ドイツ証券とも取引をし,やはり損失を被り、提訴して敗訴していたんですね。平成25年4月16日の判決のよう。解約の際、証券会社は免責されるとの合意があったと。まだ判決書を読んでおらずネット情報です。

 大阪市が土地信託だったかなんかの損失で、信託会社から訴えられてて敗訴し、結局、和解でなん億円だったかを支払うこととなった契約を彷彿とさせます。損失が生じたら大阪市が負担、とういう条項があったという話だったと思います。


 もうかったのは誰なのか。

 損をしただけなのは誰なのか。


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 判決書でわかる事実は、証拠により認定された事実と認定されなかった事実だけです。

 なので、実際のところはわかりませんが。印象論としても、大学側が本当に甘かったということが実態なのかなという印象です。

 顧問弁護士に、取引内容についてチェックしてもらう体制になっていなかったのは間違いないのかなと。あるいは、注意を受けたけど、GOサインを出したのか。

 

 これはどういう企業にも、それこそマンション管理組合NPO法人といった団体にもあてはまります。

 契約主体となりうる者。その団体の資産規模からして、大きな金額の契約をするというときは、契約内容、契約書のチェックを専門家に依頼するべきですね。リスク管理の問題です。


 ちなみに。自身が関係する某団体が、なんの契約条項のチェックもなく無条件に追加工事の費用を負担するといった内容の契約をしかけていたことがわかり、総会で指摘し、可決した議決については、もう弁護士であることを名乗り、弁護士としてチェックしますからと申し出たけど、なしのつぶてで、知らぬ間にその団体は第三者との契約をしてしまいました。

 もちろん一関係者としてだったので、無償での法的サービスの提供の申し入れだったのに。


 関係している人の中に、「契約書を弁護士にチェック」されると困る人が居たのかとも考えざるを得ず。居たとすると、契約仲介手数料ももらうことになっていた者でしょうか。


 大学に限らず、中小企業はもちろん、NPO団体、マンション管理組合にしても、その資産規模からしてそれなりの金額の「契約」を第三者とする際は、念のためでも、リスク管理の責任として、専門家の弁護士に契約書の問題点・リスクの指摘を受けるよにすることを強くおすすめします

 だいたい、契約書を作って用意する側は、相手のリスクについてはそれほど強調して説明をしないでしょう。

 後でもめた時には、まぎれこませていた条項を指差し、「ここに書いてあります。説明しました。」というだけでしょう。

(おわり)


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