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弁護士

2015年12月10日 (木)

視点移動、視点自由

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 東京は六本木の森美術館で開催されている、村上隆の五百羅漢展に行ってきました。

 森美術館は初めてです。

 村上隆さんの作品を初めて見たのは、確か2002年頃、大阪のサントリーミュージアムで開催されていた「ドラえもん展」です。その中で、村上隆さんのトレードマークのようなものの一つとなったお花の絵がありました。

 その後、美術特集の雑誌で、フィギアの作品もしり、その後、「芸術起業論」を読み、また、「芸術闘争論」も読んでいました。

 また、Ustreamだったか何かで語る現代美術の学び方のようなトークも聞きました。

 なぜか、目が離せません。

 そんなところに、この五百羅漢展の開催です。

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 中は写真撮り放題でした。

 コンビニ書店の雑誌の紐とじは絶対に売上を落としていると考えているのですが、それと同じで、美術館なども写真を自由に撮らせないことによってかえって、集客のチャンスを逃していると思っていたところ、さすが村上隆展、撮影自由でした。

 現代アートが好きなんだという自覚が生まれたのは、30代の頃です。

 新聞評や広告などで、これはと思う美術展には足を運ぶようにしています。

 行くと楽しいから。ちょっとした小旅行をしたような感覚を得られます。

 

 なぜかと考えるに。

 

 既存の、日常の視点を外せるからだと思います。

 自分の日常、考え方、行動パターンに揺さぶりをかけ、異なる視点を得る刺激。

 こうした刺激は、好きな人と嫌いな人に分かれるかと思います。

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 今いる場所の延長線から離れられない人。

 モノの見方、考え方。自分以外の人のモノの見方を試みられない人、「自分」から離れられず、視点移動ができずに、視点の自由がない人。

 こうした人は、現代アートや、村上隆さんのような作品は生理的に受け付けないのではないかと思います。

 しかし、「離れる」こと、「不安定」さを楽しめる人には、きっとじんわりとバワーをもつ村上隆さんの作品の数々。

 脳内トリップができる現代美術が好きです。

 

 一枚欲しい。。。家か事務所に飾りたい。

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 お仕事と結びつけて考えるに。

 弁護士業。

 訴訟、調停、手続外の交渉といろいろとあります。

 依頼者の方にはっきりとお伝えしているのは、訴訟は博打ですよ、ということです。

 訴訟になっても、和解ができるなら和解を勧めます。なぜなら。ある程度、結果をコントロールできるからです。当事者が譲り合って、紛争に解決をつける。

 誰にとってももっとも得な、ベストな選択になります。

 

 交渉、調停もある意味、裁判上の和解と同じで。

 決裂した時にどうなるのか。それぞれのコントロールが及ばない領域に踏み込んでいくこととなります。

 こうしたことの怖さを理解できる人は、第三者である裁判官の手に事態を委ねることなく、自ら解決する力を持ちます。


 自分で解決する力。

 そのためには、自分のものの見方、自分の考え、執着から一旦離れることが必要です。

 これができる人とできない人がいるのは世の中、やむをえません。

 だから、裁判所かあるわけですし。また、弁護士という他者の専門家もいるわけですし。


 裁判になったらどうなるのかという知識と想像力、恐怖心、そして視点移動、視点の自由さがものごとを解決し、その人を窮地から救うことになると思います。

 

 裁判所の廊下には、ぜひ村上隆さんのような、現実を吹っ飛ばすようなパワーのある美術作品を展示すべきだと思います。

 ちっぽけな世界で争っているにすぎないことに気づけるかも。


                           (おわり) 

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2015年9月15日 (火)

どこにも辿り着けない ー専門家ショッピングー

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 残念な○○という言い方は、もうその時点で評価をして決め付けているようであまり好きではないのですが、仕事がらかやはりつくづく残念な思いに囚われる方々を見かけるかとがあります。

 陥った状況に対して本当にひどい状態だと思い、なんとかお役に立てればとこちらも必死で手を伸ばして引き上げ助けようとしているのに、その手を振り払い、さらにひどい状態に自ら陥ってしまう人たちです。

 他の仕事もあり、他のより多くの方々に迷惑をかけるので、その方と心中するわけにもいかず、2度手を伸ばしてダメなら、3回目は手を伸ばさないようにしています。

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 国際的な事件では、管轄をどこの国にするのかが実際は重要であるため、管轄についてショピングする、といった言い方があります。

 医師・病院などでも、セカンド・オピニオンという言い方が普通になり、主治医以外にも、他の医師の意見を聞きに行き、場合によっては主治医を変えるということがあります。

 弁護士を利用する場合にも、これはよくあります。

 私自身、10数年前から実感しているのは、既に、友人・知人から紹介してもらい、事件を依頼した弁護士がいるけど、進んでいく中で、その弁護士を信頼できなくなり、ネットで他の弁護士を探し、その中で私を見つけていただき、改めて意見を聞きたい、そしてそのまま弁護士を乗り換える、依頼をしたいという方が少なくはありませんでした。

 相続の分野に関してです

 相続は、実はかなり法解釈も詰められていない分野でもあり、税務知識、不動産知識等の知識が必要になります。

 また、調停のみならず裁判においても和解といった中で交渉力がかなり必要になります。硬直的な戦闘モードだけでは、治るものも治りません。

 そうした中で、当初依頼した弁護士に不審を抱き、セカンドオピニオンとして、私のもとを訪れる方が何人もいました。

 相続に関する経験に基づいたことをつらつらと書き綴っていたブログ を見てのことです。

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 お聞きして、担当の弁護士との単なるコミュニケーション不全ではないかと思われる場合は、みずから積極的に弁護士に働きかけることを勧めています。

 またそうでなくても、相談を受けた一弁護士としてのアドバイスはしますが、既に頼まれている弁護士の仕事ぶりの評価を求められても、その点は基本的にはノーコメントとしています。なぜなら、一当事者側からの話ししか聞いていないため、どこかに誤解がある可能性を否定できないからです。

 こういう時に、他の弁護士の活動について悪評価を相談者の方にする弁護士は、逆に私は信用しません。多面的にものの検討ができない仕事ぶりと伺えます。

 

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 セカンド・オピニオンとして相談をお受けし、結果、既に依頼していた弁護士との契約を解約されたうえで、そのうえで改めて依頼をというときは、引き継いで代理人業務をお受けすることもあります。

 ただ、驚く現象が出現してきています。

 代理人を依頼していなながら、継続的に他の弁護士等の専門家に相談をし続け、依頼した代理人とコミュニケーションをとらないパターンです。

 二重に専門家の費用を払い続けていることになります。

 そうした場合、結局は、どのような専門家ともコミュニケーションがうまくとれず、事態はそのため、専門家に相談しているにもかかわらずどんどん悪化していくことになります。

 いわゆるどっちつかず、という状態です。

 専門家である代理人にコミュニケーション能力がないのか、たまたまその方がいく先々で、自分では信頼できない専門家にあたり、運が悪いだけなのか。

 いずれにしても。きっと、ずっと、どこにも落ち着けず、どんどん流されて、もう誰も助けることはできないところまでいってしまうのではないでしょうか。

 非常に残念な現象です。

 そういう場合、中途半端に相談に応じ続けることは、その方の利益にはならないと判断し、わかった時点で相談業務もお断りさせていただいています。

 やはり、助かって欲しいから。

 そのためには、専門家ショピングは有害無益です。全てが中途半端になりますし、依頼を受けいる代理人も、そのことを知ったらやる気がなくなるのは人間ですから当然といえます。

 利用する方も、専門家の上手な使い方、相談・依頼の仕方を学ぶ必要があると思います。

 どこにも辿りつけない迷える子羊から脱出するためには。


 手を差し伸べてくれる専門家はたくさんいるはずです。

 差し伸ばされた手をまずは一度は信じて、しっかりと事態改善のためにエネルギーを使えば救われるのではないかと思います。

 ショピングばかりしていてはどこにも辿りつけません。

 時間は雲のように流れていきます。

                               以上

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*代理人制度の利点。専門家に頼み、自身は日常に集中できることです。

 ゆっくりと青い空を見上げる時間を確保して欲しいものです。

 

 

2015年8月18日 (火)

弁護士と相続と税務

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1 2人の元国税審判官によるクロストーク

 

 国税不服審判所において、同じく平成22年7月に任期付国税審判官として採用された佐藤善恵税理士のもと、中央経済社発刊の「税務弘報」という税理士向けの月刊誌にて連載記事を掲載していただいています。

 その名も「視点スイッチで裁決研究ー2人の元国税審判官によるクロストーク」というものです。

 9月号にて連載第6回となりました。

2 小規模宅地の特例

 弁護士が遺言作成や、遺産分割協議に関わる場合、相続税法上、納税者に有利な制度として、小規模宅地の特例があるといったことは比較的よく知られています。不動産の評価に関する特例です。

 しかし、実際に、これを適用するためにはどのような手続きが必要なのかといったことまで考えて、プランを立てる弁護士はまずいないのではないでしょうか。

 

 先日、連載の原稿の打ち合わせをしている中で佐藤税理士から教わった、まさかの手続きがあります。

 小規模宅地の特例の適用対象となる土地が複数あった場合に特例適用に必要な手続きです。

 

 相続税額の計算方法は、いったん遺産総額での税額を計算したうえで、各取得者の取得に応じて、相続税額を割り付けるといったたてつけになります。

 相続人は、相続税法上、相続税の申告は一人一人で当然できますが、たいていは共同での申告です(相続税法27条5項)。

 なぜか。

 申告の書類で、遺産の内容や評価がバラバラとなっていたら、調査の対象となりやすく、誰かか修正申告、あるいは減額更正をせねばならないといったことになりやすいといえるからです。

 相続人の利害が一般的に共通するのが、共同申告です。

 では、小規模宅地の特例適用できる土地が複数あった場合、どれを適用して相続税の申告をするのか

 このときもやはり、原則、各人で申告できるわけですから、各人がバラバラの選択をして申告する可能性が出てくるわけです。

 

 しかし、それではやはり適正な相続税額の計算を税務署の方ではできない状態となってしまいます。そうです、遺産総額でまず税額計算をする必要があるからです。

 そこで、このような場合は、相続人ら全員がこの土地を選んで適用をするといった書類が申告時に必要とされています。

 つまり、この同意がなければ、適用要件を満たさないということです。

3 適用要件を意識した分割協議、遺言書作成

 では、遺言の効力をめぐり争っている相続人間や、あるいは遺産分割協議で争っている相続人間の場合はどうなるか。

 小規模宅地の特例の適用のための手続上、必要なこの同意に協力してくれない可能性が高まります。

 小規模宅地の特例が適用できるか否か、不動産評価額が倍以上も違ってきます。

 このような税法上の特例措置に気をつけるのは当然として、それが本当に適用されるための手続についてまで、相続人らの置かれた心情を想像して、協力を得るためにはどうしておくべきかまで考えて、分割協議、あるいは遺言書作成に関わる弁護士、専門家はプランを練り上げるべきなのでしょう。

 

 相続が専門です、遺言作成をします、遺産分割協議の代理人をしますといったサイトは弁護士のものでも増えてきていますが、本当に相続に関するプランニング、アドバイス、代理人活動をしようと思ったら、弁護士においても手続規定を含めた税法の理解があってこそ、専門家として価値があるのではないかと思います。

 弁護士として税理士の先生方とは、信託税制についての研究会もご一緒させていただいており、相続に関して、民法だけではない、所得税法、相続税法、さらには法人税法といった実務のお話が聞けることが非常に勉強になります。

 こうした知識と経験は、いつも依頼者・相談者の方への利益としてフィードバックし、発展させていただいています。

 相続は深い、突き詰めようと思っても尽きない、だから私は弁護士1年目の時から相続事件にはまり、相続事件が大好きなままなのだと思います。

 税務とともにこれを専門の一つとできていて、本当に幸せだとつくづく思います。

 数々の出会い、神様に日々感謝しています。

                          (おわり)

*阿波座のトマトラーメン信濃路。

 真似できそうで真似できない唯一無二の味。

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2015年8月 4日 (火)

控訴審での訴訟活動

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*先日、阪神ヤクルト戦をバックネット裏、最前列で観戦する機会がありました。ありがたいことです。トラッキーの動きのキレの良さに驚きました。

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 一審、地方裁判所での裁判は別の弁護士に依頼していたけど、判決が出て、敗訴し、控訴審から別の弁護士を探すというとこで、控訴審からの訴訟代理人の依頼を受けることが稀にあります。

 一審の訴訟代理人の活動の様子は、提出した主張書面、証拠から推し量るしかありません。ただ、そもそもの攻撃防御の事実の対象を間違えていると、せっかく熱心に活動しているのに、ボケた活動となっているといったことがないわけではありません。

 まずは、法令・裁判例の調査が第一ということだと思います。

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 先日は、近畿弁護士連合会、日本弁護士連合会主催の夏季研修があり、その一つである「控訴審の審理と主張立証のあり方」という、研修講師が現大阪高等裁判所の山田知司判事の研修を受けてきました。

 実感としては。

 訴訟代理人には、証拠に対する粘り強さが必要だと改めて思いました。

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 研修は2時間だったのですが、ご自身の経験や周りの高裁の裁判官らが話しているという具体例を豊富に、代理人向けに示唆に富む話をしていただきました。

 ちなみに、大阪高裁では、平成25年の既済件数は3717件、全国では1万7072件とのことです。

 

 具体例としては、一審判決がカルテの既済を元に原告、患者側を敗訴としていても、控訴審において、そのカルテの記載の意味内容につき、書いた医師に対して真意を問い、一審判決の解釈とは異なる解釈が真意であったことが明らかにされ、逆転勝訴につながったといった話です。

 結局は、一審で行われるべき代理人活動が行われていなかった、ということではあるのですが。

 医師としては、「聞かれなかったから、言わなかった。」とのことで、弁護士の「質問力」が問われます。

 また、裁判官としては、業界の事情については、一方当事者が話しいるというだけではなく、その裏づけとなる資料があると乗りやすいといった話しもありました。

 それは私自身、審判官を4年間やっていた経験からもそう実感します。業界ではこういうものなんです、書類なんてつくりません、数百万円の契約がまったくの口約束なんですと言われてもにわかには信用できません。

 また、訴訟代理人としても、とある業界の経理の流れや、企業内の横領被害の実態について主張するとき、裏づけとなる統計に基づいた出版物を見つけ、それを書証として提出した瞬間、裁判官の態度か変わったといったことがありました。

 書面、おそるべしです。

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 また、「立証責任を負っている場合は、自分のストーリーの可能性をいうだけではダメ、相手のストーリーを潰さなければ、立証責任を尽くしたことにならない。といった、控訴審に限らない当たり前といえば当たり前の話しもありました。

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 こうした感覚、経験、技術。

 やはり弁護士ならではのものだと思います。

 ふと考えるに、行政不服審査手続き、税務での異議決定や審査請求についても、やはり法律家の舞台だと思います。

 ただ、行政に関しては、審理する方が法律家ではありません国税不服審判所であるなら、国税職員の方々が審理します。事実認定も、法律家ではない方が、証拠を評価し事実認定します。

 そこは、司法、裁判ではない以上、厳密な世界ではなく、曖昧な世界であって、曖昧であるがゆえの良さってなんだろうか、とふと考えました。曖昧であるからこそ、そこは利用者有利でなければ意味がないのではないかと。

 そのための、「違法」のみならず「不当」も取り消す権限が与えられたところであるのかと。

 司法の世界と比べて精緻さが足りないという批判はまとはずれで、曖昧であるがゆえの良さを築いていくのが存在意義かと。

 当事者主義についても、利用者有利、親切にしなと存在価値がなくなるかと思います。

 技巧的なテクニックの世界、司法の世界から、ふと行政の審査手続きを考え、ぼんやりとそんなことを考えました。

 違いを出していかないと。

                            (おわり)

*大阪の京橋界隈です。

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2015年7月31日 (金)

信託と弁護士と税務

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 近畿弁護士連合会の夏季研修がこの3日間、大阪弁護士会館で実施されていました。

 私は泊まりでの出張のため、残念ながら出席できなかったのですが、「新しい民事信託の実践」というテーマで、東京弁護士会所属の伊庭潔弁護士が研修講師となった研修が実施されていました。

 レジュメだけみると。

 やはり、との記述がありました。

 

 「信託税制 原則として、信託を利用した節税はできないと考えるべき。

  信託の設定方法を誤ると過大な相続税、贈与税が課せられることがあるため、信託税制に詳しい税理士に相談することが必要。」

 昨年7月に弁護士業に復帰しててから、いろいろなご縁があって、税理士の先生方がメインの信託税制の勉強会に参加させていただいてきました。

 関西の税理士の先生方ですが、皆様、信託税制が関わる税務を扱ったことがないということで、皆で、この半年以上の間、民事信託、具体的には、株式や収益不動産などの資産の活用・承継にどう使えて、使えないのかを勉強してきました。

 

 その結果、ちょうど先日、まさにほぼ意見が一致していたのは、上記に記述の点でした。

 信託税制を勉強すればするほど。

 節税にはまず使えないし、下手をするとかえって余計な税額負担が生じるリスクが生じて怖い、予見可能性がまだまだ未知数な点があるといったことでした。

 私の場合、今年の27年1月に税理士登録しているとはいえ、申告業務などは扱っていません。

 ですが、税理士の先生方との勉強会を通じて、今の信託税制がどういう立て付けかといった点はおぼろげながら理解しました。

 そうすると、弁護士として民事信託を扱うとしても、「信託に詳しい税理士に相談すること」は必須要件であって、でも、さらに弁護士自身がやはり、基本的な信託税制の仕組みを理解していないと、適切な民事信託のスキームの提案は無理、弁護過誤になりかねないとの思いを抱くに至っています。

 信託税制を理解するには、相続税法の相続や贈与のみならず、不動産や株式が登場するでしょうから、譲渡所得の基本概念や、資産評価についても知っている必要があると思います。

 となると。

 本当に弁護士が信託を扱っていいのか、リスクをコントロールしたスキームを提案できるのか。微妙だと思います。

 

 平成18年の信託法改正によって、民事信託がより使える制度になると言われながら、現状、少なくとも東京以外はまだ普及しきっていないと思われます。

 その原因は、やはり信託税制がネックになっているのではないかと思います。

 わかっている税理士さんがそもそも多くはないですし、またわかっている弁護士も多くはない。

 

 専門家の責任もありますが、やはりなによりも信託税制そのものに問題があるのではないかとも思います。

 この点、いろいろなところですでに問題提起されているところです。

 こうした点、専門家である税理士、弁護士がもっと声を上げる、上げ続ける必要があるところに思えます。

 まずは、確実に税務上、問題のないケースから、相談者の理解を得て実践していくか。税務署からの「お尋ね」や、調査対象となったときの理論武装を整えて。

 変えていかないと、何も変わらないですね。

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 成年後見制度については、弁護士などの成年後見人の不祥事が相次いだこともあり、家庭裁判所の監督も厳しくなり、資産の活用といった視点はほとんど期待できず、とにかくただただ不正から守る、といった視点しかなくなっています。

 こうしたところで、本当に、残される子、被成年後見人などの生計を考えたら、より柔軟に資産活用ができる民事信託の利用は不可欠ではないかと思われます。

 必要な人に必要な法的サービスが届くように、専門家の責任だと考えています。

                           (おわり)

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 一泊での出張というのは、沖縄出張でした。その日の仕事の段取りが終わった後、海を見る機会がありました。久しぶりに、透明な海、水平線を見て、心が洗われました。沖縄に暮らす人々を羨ましく思いました。暮らしたら暮らしたで、報道もされているように種々の問題が山積かとは思いますが。

 暮らしていなくっても、沖縄の問題は日本で暮らす人々の問題ですね。沖縄の人々だけの問題ではない。平和記念館に立ち寄りたかったのですが行けませんでした。

 もうすぐ終戦記念日。

 東方神起のユノさんが韓国の制度のもと、2年間の予定で韓国の軍に入りました。2年後、無事に東方神起として活動できる世の中であって欲しい。

 沖縄の海も人も守っていかないといけないですね。

 「守る」というのは戦うことだと思いますが、それは暴力以外の方法で。だとすると、言葉でしかないですね。あとは、日本国憲法。言葉を守る法。

2015年7月24日 (金)

専門家が世の中に価値を生み出す 

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 最近、人の行いをみて、我が身を振り返り、はっと我に返ったことがあります。

 プロのトライアスリートの西内洋行さんのブログからの情報発信です。

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 今年になって、OWSオープンウォータースイミングでのトライアスロン大会、あるいは、アクアスロンなどの大会で例年以上に水泳中の死者の報道が多いような気がしていました。

 しかも初心者などではなさそうな方々です。

 それも、うつ伏せで海面上に浮いているところをレスキュー員に発見され、救助されるも息を吹き返さずといった報道が多かったように思います。

 

 原因はいったいなんなのだろうかとずっと気になっていました。

 お酒を飲んで海に入っているわけでなし、また、練習不足、経験不足といったことでもなさそう。

 今年の気温、水温の何か悪影響なのかなどど一人、考えていました。

 なぜなら。

 オープンウォータースイムでの華麗なる泳ぎをいつか宮古島でやってみたいと、西内プロが運営されているスイミングスクールに通いだしたところだったからです。

 このように大会中での海での水死事故が多いのはなぜなのか、水死の事実は報道されても原因までは報道されません

 そのような中、西内プロが、ご自身のブログで、経験豊富なプロならではの分析と見解を公表してくれました。

 海面にうつ伏せいということから、溺れた原因としては心臓の負担が考えられるわけですが、ではいったい何が心臓の負担となっていまのか。

 体に合っていないウエットスーツが原因ではないかとの分析、なるほど!と納得しました。

 しかし、それよりも何よりも。

 こうしたプロの専門家ならではの、世の中の事象、事実に対する見解を披露する姿勢、情報提供をしようという姿勢に我ながらおどろきました。

 情報に飢えていたところ、こうして適宜にプロの方が、情報提供が義務ではないのに、自ら世の中に情報発信をする姿勢、その姿勢に胸打たれました。

 自分はどうなのか。自身の経験、資格、職業上の知見。

 これらを、ご相談にきた相談者、依頼者に提供するのは当たり前です。仕事ですので、もちろん対価として費用をいただき有償です。

 しかし、それだけでよいのか。


 自分が考える「仕事」の中身はそれに限られるのか。

 自分が考える「仕事」の枠組みはそれに限られないということに改めて気付きました。

 例えば、個別のメール相談に無料で応じる、それは違います。そんな「仕事」は「仕事」ではありません。自身、たまにこちらの「仕事」を尊重しない方(合意した費用の値下げを求める方、さらには支払わない方。)と出会ってしまうことがないわけではないですが、そういう方とは距離を保ちます。

 

 世の中の役に立つこと、世の中に価値を創造すること。

 ありふれた言い方ですが、この「価値」を生み出すこと、「価値」を付け加えることが「仕事」ではないかと思います。

 

 西内プロのブログでの見解表明は、見事に、この世の中、OWSに関心のあるごく狭い世界かもしれませんが、価値を付け加えられた仕事だと思います。

 これぞ、プロフェッショナルだと思いました

 プロフェッショナルとしての仕事を自身もしていきたい、していくのが仕事をしていく意味ではないかと改めて思いました。大げさかもしれませんが。

 

 プロフェッショナルとしての仕事。

 そのためには、日々、謙虚に自己研鑽を重ね続けるしかありません。

 がんばります。

 ブログでの情報発信も。

 税務関係、相続関係、マンション関係、ブログでなく、体系的にまとめていきたいといったことを考えています。

 新たに弁護士松井淑子のホームページを作ろうかと。情報のさらなる集積と、集積だけでない整理です。

 

 前を見続けて歩み続ける、刺激を得られ続ける、このような環境にいることができて自分は本当に恵まれている、ラッキーだと思います。

 感謝の日々です。

                           (おわり)

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*先日、生まれて初めてフットサルをしました。新大阪のキャプテン翼スタジアム。マラソン、水泳といった持久系のスポーツとは全く違い、これはされで楽しかったです。

2015年7月22日 (水)

遺産隠しに対する武器 ー依頼者の利益を守る武器ー

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* 大阪、大川を行く水陸両用車でのダックツアーのバスです。これは沈みませんが。
沈みゆく船には乗らないことが大事。気づいたら、脱出。自分の利益を守る行為を誰も責めることはできません。



 弁護士法23条の2というものがあります。

(報告の請求)

第23条の2  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2  弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 弁護士会長名で、「公務所又は公私の団体に照会し」、「必要な事項の報告を求めること」ができるのです。

 私の場合、これまで一番多く利用したのは、被相続人名義の資産の有無と履歴等に関する金融機関への調査です。

 相続人となる依頼者から遺産分割協議、あるいは遺留分減殺請求の依頼を受けて、その事件に関するものとして、そもそも遺産が少なすぎるのではないか、他の相続人によって遺産隠しが行われているのではないかといった場合です。

 これは、23条の2による弁護士照会でなくても、相続人ということであれば、被相続人名義のものは調査をその相続人自身でもちろんできます。

 しかし、そもそも弁護士に依頼されている時点で、ご自身でそのような煩雑な手続きをやり遂げるのは時間的にも労力的にも困難という方がほとんどです。

 また、弁護士の方で、一相続人の代理人として照会するくらいなら、弁護士会への手数料が一件当たり5000数百円を要しますが、一斉に同じ書式で照会でき、また迅速な回答を得られますので、23条照会を利用しています。

 23条照会を利用するとして、どこに照会をかけるのか

 必須なのが、被相続人が利用していたであろう郵便局管轄のゆうちょ銀行です。

 ゆうちょ銀行の場合、他の金融機関とは異なり、各支店ごとの管理ではないため、照会先も、○○支店などではなく、センターになります。

 そのため、口座がある場合、一番ひっかかりやすいといえるものです。

 また、たいていの人はゆうちょ銀行を利用しているともいえます。

 弁護士が、遺産調査の業務を行う際、ゆうちょ銀行への照会なしで調査をしたということはあり得ない金融機関となります。

 相続事案に不慣れな弁護士の場合、こうした観点がないこともあり得るので注意する必要があります。

 そして次に検討すべきなのは、住居、それも過去も含めての住居、あるいは職場、通勤経路周辺の金融機関です。

 人が金融機関に口座をもつ場合、こうした自身が立ち寄りがちな場所に口座を設けていることが多いからです。

 ただ住所・職場については、転々としいてる人は要注意です。現住所近辺とは限らないからです。

 さらにポイントなのが、口座の存在、さらには取引履歴を取り寄せたとして、次の問題として明るみになるのが、被相続人が亡くなる直前、あるいは直後の解約です。

 いったい誰が解約したのか。

 またその現金はどこへ消えたのか。

 こうした金融機関の解約手続きに関しては、痕跡が残ります。

 そこで、金融機関に提出された資料、また金融機関が確認した資料を収集することも可能です。

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 こうした業務を経て、遺産分割協議、あるいは遺留分減殺請求事件においては、ザクザクと、当初ないといわれていた遺産が見つかることが多々あります。

 

 その場合、次にどのように対応するのか。

 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求権といったことが問題となります。あるいは、特別受益として計算上、取り込んでしまうのか。

 このあたりについても、相続関連については、不慣れな弁護士とそうでない弁護士の差がつくところとなります。

 既に10数年前から、裁判所の裁判官が研修の際に言っていましたが、自分である程度、Excelの使える弁護士に依頼すべきでしょう。

 要は、本当に、依頼者に有利となる法律上の計算式を知っているか否かということが試されています。

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 23条照会の適切、効果的な利用法を知っていることは、依頼者の利益を守るために必要不可欠な知識と経験です。

 弁護士会でも、多くの研修が実施されており、多数の書籍が出版されています。常に、勉強をし続け、情報知識をアップトゥーデイトしている代理人に依頼するのが重要です。そしてExcelの使える弁護士

 武器のない人には、守ってもらえませんから。

 功を奏しなかった場合、裁判官のせいにする代理人は最悪です。自分の能力不足を顧みずにやってき人である可能性が高いからです。

 裁判官にあたり外れはあって当たり前、その中で事案に応じてどう活動するかが弁護士として問われていると思います。失敗した時、そこから何を学びとってどう対応するか、生き様が問われていると思います。

 23条照会を使い、その人の権限なき解約を確認し、主張したら、「プライバシー侵害だ!」と言われ、弁護士会に懲戒請求する、と言われていたといったことがありました。法律上根拠のない懲戒請求、提訴行為、場合によっては、違法行為として損害賠償の対象となります。

                            (おわり)

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*B&Dに直面し、げんなりする時でも。
  夏の木漏れ日。爽やかな気持ちになります。

2015年7月19日 (日)

企業内の犯罪 ー従業員による横領・窃盗ー

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 企業内での不正、特に、法人化していても実際にはオーナー経営者一人で従業員を何人も抱えているといった企業からの従業員による横領・窃盗の相談がなぜか増えています。

 

 例えば、法律事務所もそうですが、医療機関です。

 トップは、弁護士あるいは医師といった資格者であってプロフェッショナルです。

 何人か従業員を抱えていて、組織的には経営のトップにあったとしても、経営そのものが仕事なわけではないプロフェッショナルですので、経理的な経営上の実務は、担当者に任せがちです。

 まさに医療機関に多いのが家族経営だと思います。

 

 医療機関に限らず、企業がある程度の大きさとなり、家族経営からの脱却を図るとなると、事務局長・経理部長を外部からの職員に任せることになります。

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 外部の人に会社の経理を委ねる時、不正を防止する「システム」を必ず構築しておく必要があります。

 自分が逆の立場のとき、自分は職務を全うするだけであって、間違っても人のお金、会社のお金を盗むようなことはしないと自分は考えていたとしても、他の人が、しかも、信頼して任せていた、まさかこの人がという人が、なんらかの事情で会社のお金に手をつけてしまうのです。

 

 税理士がみているから大丈夫というのは大きな間違いです。税理士は通常は、記帳指導と申告業務しか依頼を受けていない立場です。

 「監査」の仕事は、通常の税理士業務とは異なります

 このことを分かっていない弁護士や裁判官が少なくはないのも事実です。

 

 また、監査法人の監査が必須の上場企業であっても、本年の東芝をめぐる報道のように、内部職員が偽の会計書類を作っていたら、それを見抜くのはやはり大会計監査法人によるナン億円もかけた監査業務であっても困難であったということが明らかになってしまいました。

 東芝の場合はトップからして不正に関与していた疑いが濃厚なようですが、そのような場合は別にしても、従業員による犯罪、不正に関しては、これを未然に防ぐ体制・システムを作るのがもっとも効果的であり、唯一の被害防止策ではないかと思います。

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 ではどのようなシステムを作るのか。

 それは、医療機関の場合が典型ですが、各企業の業務における独特の金銭の流れがあります。それを熟知した者によるシステム設計をする必要があります。

 監視・管理システムを作ったつもりが、実は、その当該担当者に大きな権限を与えた結果、かえってその責任者による不正・犯罪を誘発してしまったというケースも稀ではありません。

 

 再発防止策がまさに重要になります。世界的大手監査法人のKPMGが出している、企業内不正に関する書籍でも、統計データから、不正対応に対する初期の対応ミスによってさらなる不正を誘発してしまったという例が少ないことが示されています。

 
    この本は、データに基づいた実例豊富な実践的書籍であって、従業員横領等の問題を検討する際には今、一番使える本だと思います。

 

 企業内で一度、不正が発覚した場合は、当該問題を熟知した専門家への相談をお勧めします。

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 時々読みかえす本に、稲盛和夫さんの「稲盛和夫の実学 経営と会計」(日経ビジネス文庫)があります。

 読みかえす度に新たな発見を得る本ですが、今回、目にとまった記述を紹介しておきます。

 103頁

 「『ダブルチェック』とは、経理のみならず、あらゆる分野で、人と組織の健全性を守る『保護メカニズム』である。

 仕事が、公明正大にガラス張りの中で進められているということは、その仕事に従事する人を、不測の事態から守ることになる。それは同時に、業務そのものの信頼性と、会社の組織の健全性を守ることになるのである。」

 「ダブルチェックとは、人に罪を作らせないための原則である」

 

 そうした上で、次の項目について具体例を挙げて論じています。

 □ 入出金の取り扱い

 □ 現金の取扱い

 □ 会社印鑑の取扱い

 □ 金庫の管理

 □ 購入手続

 □ 売掛金、買掛金の管理

 □ 作業屑の処分

 □ 自動販売機、公衆電話の現金回収

 そしてこう述べています。

 「トップ自らが、本当に守られているのかを現場に出向き、時々チェックしなくてはならないのである。」

 「その根底には、社員に決して罪をつくらせないという思いやりが、経営者の心の中になくてはならないのである。」

 

 これはプロの経営者、経営が仕事である社長にとっては当然のことです。

 

 しかし、本当に難しいのは、大きなお金を扱う機関でありながら、トップの仕事が他のプロフェッショナルであって、経営そのものがプロフェッショナルとは限らない医療機関が一般的に抱える問題ではないかと思います。

 信頼できるその道のプロフェッショナルをどうやってみつけるのか。

 医療機関相手のコンサルティング業者が多い理由もこのあたりにあるかと思います。

 二次被害に遭うことのないようにだけ気をつけて欲しいと思います。もちろん他利の姿勢で有益な助言をするプロフェッショナル コンサルティングというものが存在するという前提です。

(おわり)

 

2014年11月21日 (金)

もしかして、ハイ状態?

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*名古屋の庄内緑地公園です。名古屋国税不服審判所で勤務していた時、たまにここでくるくるとジョギングしていました。いいところでした。

 先日のエントリーで書いたように、マンション管理会社に対する怒りからブログを他に3つ立ち上げました。
 その時の勢いが今もつづいていて、日々、ニュースを目にしても、新聞、雑誌、本をみても、いろいろと言葉、思考が頭に浮かび、自分でもおどろくほどに、時間を見つけて書き綴っています。
 
 興味のある方は、こちら、Google+をフォローなり、チェックなりされると、更新状況がわかるかと思います。
 そして、なんと。Facebookでもメモ代わりに、綴り、続いています。
 
 情報のアンテナが立っているとき、感度がよいときって、本当にいろいろな情報が飛び込み、思考が生まれて自分でも面白いです。
 
 全部バラバラのようで、ある日ある時、突然、1本の線でつながったりします。
 このようなキラキラした状態をなんというか。
 
 好奇心、です。
 これがある限り、50歳になっても、60歳になっても、目は死にません。
 私の周りは、本当に今、キラキラした人ばかりです。
 負けじと、よい刺激をいつももらっています。

 成長し続ける、ってそういうことですね。
 動き続けるから、楽しい。

 この心境をもっと格好よく言ったのが、スティーブ=ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチ。
 知らない方は、ググってみてください。
                             (おわり)
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