相続税増税と節税対策、に気をつけること
*過去のブログでも「『節税』の内容」として、かいています。
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朝、新聞を開けると、雑誌の広告や新聞紙の広告欄そのものは、いよいよ実施される相続税の増税と、そのための対策に関するものがいくつも目に入ってきます。
具体的には、「土地活用!」といったものです。
住宅関係の会社が協賛している、研修の広告なども目に入ります。
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相続税対策とうては、要は、課税価額をいかに低くするかと言うことです。
「価格」。
現金、預金はその価格を変えることはできません。
しかし、その「価格」を変動させることが出来るもの。
「不動産」です。
1億円のキャッシュを有しいる場合、これで不動産を購入し、所有関係・占有関係をうまく構成すれば、「不動産」には「評価」がつきまとい、また、相続税の課税価格の算定に当たっては、「財産評価基本通達」というものに、ことこまかな「評価」の指針が記載されているので、どういう場合に定型的に低く評価されるのかが分かるので、これに合わせて所有関係・占有関係を調整すれば、1億円のキャッシュてあったものが、場合によっては5000万円以下に評価され、課税価格が下がり、大きな「節税」となりえます。
相続税増税に向けた対策セミナーは、だいたいこういった節税方法のセミナーが多いと思われます。
ずばり。「マンション経営」です。
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そういった流れを阻むつもりはないのですが。
実際、そのような節税策が華やかなりし頃がありました。
平成初期。
昭和60年頃から平成3年頃までの、いわゆるバブル期です。
土地の値段がどんどん上がる、このままでは現金が追いつかず、相続が発生したとき、現金足らずで相続税の納付に困る!
まさに今、ちまたで騒がれているのと同じです。
現金納付が困難になる!という原因が違うだけで。
この時も、多くの素人の方々が「マンション経営」に手を出しています。
「素人のマンション経営」ほど、無知故の地獄をみるものはないというのが、私の率直な感想です。
所有しいた本人は、まで数年、何事もないままにこの世を去っているかもしれません。
しかし、「マンション」を受け継いだ者は。。。
本当の資産家一族で、資産所有運営会社を子どもも一緒になって経営してきたような会社の役員などなら問題ありません。経営の素人ではないからです。
しかし、そうでないとなると。
賃貸マンションの経営も、立派な「経営」です。
不動産会社が一括借り上げをしていたとしても、「経営」者であくことには代わりありません。
自分の知識と経験、お金の使い方、蓄え方、備え方によって、「経営」をしていく必要があります。
さらには、建築資金を借り入れなどしていたら、その後の経済事情に関わらず、何十年と各日に月々の返済を行っていく責任を負っています。
そうです。
「負債」を相続しているのです。
ただ、この「負債」のお陰で、相続税は「節税」できました。
しかし、この「負債」と「経営」のために、マンション経営が思うようにいかず、具体的には、
1 空き家対策が進まない
2 修繕補修の資金不足
等により、負のサイクルに入り、
結局は、「負債」処理のために、親が遺してくれた「賃貸マンション」を手放さざるを得なくなるのです。
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「不動産」。
課税価格の減少に利用できる便利なもののようですが、「動産」とは異なるプロとしての運用知識と時間を要する、食わせ物であることも忘れないで下さい。
とくに、「土地」ではなく「建物」は要注意です。
大学受験業界における代ゼミの敗退が話題です。特に、東進ハイスクールとの対比で語られることが多いです。
東進ハイスクールの所有する自社物件、不動産は、わずか3つだそうです。
それに対する代ゼミは。。。ほんの数年前に、代ゼミタワーが新築されたところです。
企業の自社ビル売却が進んだはなぜか。
個人の相続税対策については、相続税は減ったけど、結局、手放さなくてもいい財産を手放す結果となった、ということのないようにだけ気をつけて下さい。
大企業の節税スキーム等でよくありがちな結末。
で、結局、儲かったのは誰なの?
スキーム屋さんだけ。
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