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2016年2月10日 (水)

消費税について、不正還付請求の逮捕事件の報を聞いて、思うこと。

Fullsizerender

*持っているのを忘れて、うっかり同じ本を買ってしまうミス。1年に2回くらいあります。

1 頑張れ、日本の消費税法

  消費税法。昭和63年にその法律の基本が制定された日本の消費税法。

  法律として、非常に興味深いです。

  勉強すればするほど、面白いです。

  何が面白いのか。

  法律、特に税法としての法律としては、やはり穴だらけ、というか、基本思想が政策のためになし崩しになっている印象をうけ、とても興味深く、技巧があちこちで悲鳴をあげている印象で、興味深いです。

  頑張れ、日本の消費税法!

2 付け足しの消費税?

  平成22年に、任期付公務員として国税審判官になり、初めの2年数ヶ月は名古屋支部で働きました。

  その際、名古屋にいた間に、所得税法はもとより、国税徴収法、法人税法、そしてこの消費税法に関する事件を何件か担当することとなり、その時初めて、法律としての消費税法と向き合いました。

  ちまたで聞いた話では、消費税法に関して税務調査をする国税職員として、消費税専門となする人はいない、通常は、法人税の調査をし、法人専門の人が、調査の付け足し的に消費税を調査するといった話でした。

3 孤高の消費税法

  しかし。

  法律としては。消費税法と法人税法、さらには所得税法とでは、その基本思想がまったく異なります。

  現場の税務調査官の中では、この点が意識されておらず、また、そうしたことを知らないことも知らないまま、シビアなケースについても、法人税法の調査と同じような調査を消費税法の調査でも行い、法律の課税要件となる事実の立証のための税務調査としては的外れな調査をしていることが少なくはないといった話も耳にしたことがあります。

4 法律としての消費税法は、発展途上、かも

  名古屋支部時代においては。当時の所長から消費税法に関するレクチャーを受ける機会がありました。それで、初めて目から鱗が落ちた思いで、消費税法の条文を見ることができました。

 それでも、所詮はやはり弁護士です。

 消費税法の申告書を作成して、提出しろ、と言われたら、絶対にできません。記帳、申告に関する税務実務はやはり餅は餅屋で、その道のプロの税理士の方しか無理だと思います。

 しかし。

 法律としての日本の消費税法。

 昭和63年の法律の制定前、当時の大蔵省において、導入のための海外の法制度の調査等が行われており、その際、その業務に従事していたという人が語っていたという言葉を聞いたことがあります。

 ドタバタの中で作られた法案。

 昨年の施行された番号法の制定ではありませんが、まさに小さく産んで、大きく育てる、といった発想で、まずは法律として制定する。

 法律として制定するためには、反対派をおさえる必要がある。

 そこで取り入れられたのが、様々な非課税措置、簡易課税制度、その他もろもろだったのだと思います。

 中小企業には影響はありませんよ、消費者の暮らしには大きな影響はありませんよ。

5 今の消費税法の限界?

  誰がこんな姿にしたのか。誰がリスクを負うのか。 そして、誰がただすのか。

 消費税基本通達はもちろんあります。

 しかし。

 法律としての基本思想の理念と妥協の産物となる様々な特例措置、技巧的な種々の制度。そうした点の理解なくして、法律を法律として理解し、用いることはできないかと思います。

 

 消費税に関する節税策が利用されるのは、こうした制度の歪み、間隙を利用しているだけにすぎません。

 2月9日、日経夕刊では、輸出免税制度を利用した、消費税の不正還付請求で、大阪地検特捜部によって逮捕された高級腕時計販売店等の記事が掲載されていました。 

 架空の輸出だったようなので、これはまさに消費税法違反であって、論外です。

 しかし。

 そもそもが法律として、ガタガタのまま、そして軽減税率導入によってさらにガタガタになろうとしている日本の消費税。

 その仕組みをよく研究し、用いただけの消費税還付請求について、国税職員が、これは許せないといった思いを持つのはすごく理解できるのですが、そもそもの法律の思想と歪み、限界を意識した、法の適用、執行がなされないことには、消費税法の本当の意味での改善はますます遠のくばかりという気がします。

 いわゆる、裁判で敗訴したのを契機として、法律改正を促そうという深遠な意図のもと行われる「チャレンジングな課税」ならまだしも。

 とはいえ、チャレンジングな課税も、まずは最初の一人の生贄、見せしめが必要なわけで。これは、最終的に裁判で勝てばいいとう問題でもなく。

 あまりにひどいときは、提訴でも不当提訴という類型があるように、不当課税として国家賠償請求をしてもいいのではないかと思っています。

 国家権力の役割と行きすぎとのバランスの問題として。

 警察権力による、逮捕、勾留、裁判、無罪の場合に補償されるのと同じようなシステムが国税分野でも必要かも。あまりに「お粗末」と言わざるをえないような処分の場合。

 警察分野は、警察ー検察ー裁判官ー弁護人のシステムの中で切磋琢磨、批判される機会、システムがあります。

 国税に関しても、もっとこのようなシステムがあれば、日本の国税庁は賄賂等の問題、不祥事の問題も少なく、世界的には最高レベルだとは思いますが、納税者の視点からみると、まだまだよくなる余地があるのではないかと思います。

 日本の消費税法も含めて。 

(おわり)

* 関西大学法学部の先輩弁護士。伊藤たかえ弁護士。夏の参院選に立候補予定。NPO建築問題研究会でも理事長を務められて、素晴らしいリーダーシップを発揮していただきました。

 すみません、消費税の軽減税率には反対ですが。

 国会で活躍され、素晴らしい法律を作っていって欲しいです。


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