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2016年2月

2016年2月26日 (金)

お金の使い方と、適材適所ーNHKの関連会社の2億円横領事件にみるNHKのお金の使い方ー

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1 子会社の横領事件

 昨年27年、NHKの子会社「NHKアイテック」社で、従業員2名が、工事の架空発注といった古典的な手法で、約2億円を横領していたという事件が報道されました。

 なぜ発覚したのか?

 国税局による税務調査で、だったようです。

2 お金の使い方

 その後。昨日平成28年2月、次のような報道を見かけました。毎日新聞です。good job です。

 衆院予算委員会での会長の話。

 平成26年実施した関連団体の2種類の不正調査に、計約1億0550万円を支出していたとのこと。

 「約5600万円を支払った外部の弁護士による調査委員会の報告書が、約4950万円をかけて監査法人に委託した調査結果を参考にまとめられたことを明らかにした。奥野総一郎委員(民主党)の質問に答えた。

 弁護士などによる調査、監査法人による調査では、子会社であったアイテック2億円にものぼる工事の架空発注は見抜けていないということです。

 「不正調査」。

3 不正調査

 もちろん、「不正」についてもいろいろな種類があります。調査の依頼を受ける方も、最初に、どこまでのことをするのかについて枠を決めます。

 たまたま、弁護士も、監査法人の場合も、その対象からアイテックの経費は外れていただけなのかもしれません。

 にしても。

 やはり、国税による税務調査は優秀なんだと思います。

 民間との決定的な違いは、情報量と権限です。国家権力として、税務調査を行います。金融機関や、仕入先等でも、問い合わせをすれば、回答、協力を拒まれるとはまずないかと思います。

 

 とはいえ。

 弁護士はともかく、「アドバイザリー業務」の名目で、約5000万円を受け取っていた監査法人。その監査法人による監査の「質」が問われるかと思います。

 また。

 弁護士については。そもそも、仕事が「監査」や「調査」といった仕事ではない業種かと思います。にもかかわらず、「監査」や「調査」の仕事を受任する時点で、本当にその能力があるのか、立ち止まって考えた方がいいのではないかと思います。万能ではありえないのだから。

4 そして,マンション

 何よりも。依頼する方のお金の使い方。

 所詮人のお金といった感覚と、どんどん現金を使っても潰れることはないといった他人ごと感覚がないと、このNHKのようなお金の使い方はできないと思います。

 

 こうしたことが起こりがちな身近な団体。

 そうです。マンション管理組合です。そして、理事会をそそのかす管理会社。

 国税局による税務調査のような、適切なお金の使われ方がしているかについてのチェック機関が必要です。

 

 現在、同じ思いを共有する他の弁護士らとともに、動き出しています。管理組合の「味方」、として、受け皿団体を作っています。

 ある程度、形が整ったら発表したいと思います。

 管理組合のお金の使い方、大丈夫でしょうか。

(以上)

マンション管理組合への「アドバイザリー業務」の夜明け前。経験と情報量が違います。

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2016年2月10日 (水)

消費税について、不正還付請求の逮捕事件の報を聞いて、思うこと。

Fullsizerender

*持っているのを忘れて、うっかり同じ本を買ってしまうミス。1年に2回くらいあります。

1 頑張れ、日本の消費税法

  消費税法。昭和63年にその法律の基本が制定された日本の消費税法。

  法律として、非常に興味深いです。

  勉強すればするほど、面白いです。

  何が面白いのか。

  法律、特に税法としての法律としては、やはり穴だらけ、というか、基本思想が政策のためになし崩しになっている印象をうけ、とても興味深く、技巧があちこちで悲鳴をあげている印象で、興味深いです。

  頑張れ、日本の消費税法!

2 付け足しの消費税?

  平成22年に、任期付公務員として国税審判官になり、初めの2年数ヶ月は名古屋支部で働きました。

  その際、名古屋にいた間に、所得税法はもとより、国税徴収法、法人税法、そしてこの消費税法に関する事件を何件か担当することとなり、その時初めて、法律としての消費税法と向き合いました。

  ちまたで聞いた話では、消費税法に関して税務調査をする国税職員として、消費税専門となする人はいない、通常は、法人税の調査をし、法人専門の人が、調査の付け足し的に消費税を調査するといった話でした。

3 孤高の消費税法

  しかし。

  法律としては。消費税法と法人税法、さらには所得税法とでは、その基本思想がまったく異なります。

  現場の税務調査官の中では、この点が意識されておらず、また、そうしたことを知らないことも知らないまま、シビアなケースについても、法人税法の調査と同じような調査を消費税法の調査でも行い、法律の課税要件となる事実の立証のための税務調査としては的外れな調査をしていることが少なくはないといった話も耳にしたことがあります。

4 法律としての消費税法は、発展途上、かも

  名古屋支部時代においては。当時の所長から消費税法に関するレクチャーを受ける機会がありました。それで、初めて目から鱗が落ちた思いで、消費税法の条文を見ることができました。

 それでも、所詮はやはり弁護士です。

 消費税法の申告書を作成して、提出しろ、と言われたら、絶対にできません。記帳、申告に関する税務実務はやはり餅は餅屋で、その道のプロの税理士の方しか無理だと思います。

 しかし。

 法律としての日本の消費税法。

 昭和63年の法律の制定前、当時の大蔵省において、導入のための海外の法制度の調査等が行われており、その際、その業務に従事していたという人が語っていたという言葉を聞いたことがあります。

 ドタバタの中で作られた法案。

 昨年の施行された番号法の制定ではありませんが、まさに小さく産んで、大きく育てる、といった発想で、まずは法律として制定する。

 法律として制定するためには、反対派をおさえる必要がある。

 そこで取り入れられたのが、様々な非課税措置、簡易課税制度、その他もろもろだったのだと思います。

 中小企業には影響はありませんよ、消費者の暮らしには大きな影響はありませんよ。

5 今の消費税法の限界?

  誰がこんな姿にしたのか。誰がリスクを負うのか。 そして、誰がただすのか。

 消費税基本通達はもちろんあります。

 しかし。

 法律としての基本思想の理念と妥協の産物となる様々な特例措置、技巧的な種々の制度。そうした点の理解なくして、法律を法律として理解し、用いることはできないかと思います。

 

 消費税に関する節税策が利用されるのは、こうした制度の歪み、間隙を利用しているだけにすぎません。

 2月9日、日経夕刊では、輸出免税制度を利用した、消費税の不正還付請求で、大阪地検特捜部によって逮捕された高級腕時計販売店等の記事が掲載されていました。 

 架空の輸出だったようなので、これはまさに消費税法違反であって、論外です。

 しかし。

 そもそもが法律として、ガタガタのまま、そして軽減税率導入によってさらにガタガタになろうとしている日本の消費税。

 その仕組みをよく研究し、用いただけの消費税還付請求について、国税職員が、これは許せないといった思いを持つのはすごく理解できるのですが、そもそもの法律の思想と歪み、限界を意識した、法の適用、執行がなされないことには、消費税法の本当の意味での改善はますます遠のくばかりという気がします。

 いわゆる、裁判で敗訴したのを契機として、法律改正を促そうという深遠な意図のもと行われる「チャレンジングな課税」ならまだしも。

 とはいえ、チャレンジングな課税も、まずは最初の一人の生贄、見せしめが必要なわけで。これは、最終的に裁判で勝てばいいとう問題でもなく。

 あまりにひどいときは、提訴でも不当提訴という類型があるように、不当課税として国家賠償請求をしてもいいのではないかと思っています。

 国家権力の役割と行きすぎとのバランスの問題として。

 警察権力による、逮捕、勾留、裁判、無罪の場合に補償されるのと同じようなシステムが国税分野でも必要かも。あまりに「お粗末」と言わざるをえないような処分の場合。

 警察分野は、警察ー検察ー裁判官ー弁護人のシステムの中で切磋琢磨、批判される機会、システムがあります。

 国税に関しても、もっとこのようなシステムがあれば、日本の国税庁は賄賂等の問題、不祥事の問題も少なく、世界的には最高レベルだとは思いますが、納税者の視点からみると、まだまだよくなる余地があるのではないかと思います。

 日本の消費税法も含めて。 

(おわり)

* 関西大学法学部の先輩弁護士。伊藤たかえ弁護士。夏の参院選に立候補予定。NPO建築問題研究会でも理事長を務められて、素晴らしいリーダーシップを発揮していただきました。

 すみません、消費税の軽減税率には反対ですが。

 国会で活躍され、素晴らしい法律を作っていって欲しいです。


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2016年2月 9日 (火)

作品を生み出す人・澤田知子さん



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 先日の1月、大阪は梅田の蔦屋書店でのトークイベントといった
ものに初めて行ってみました。2003年、木村伊兵衛写真賞を受賞
したことでその存在を知り、なんとなく気になり続けていた
写真家・澤田知子さんのトークイベントでした。
 そのFacebookの存在は見つけていてフォローしていたところ、
告知があり、チケットを手に入れるために、即、最新写真集
「Facial Signature」も購入しました。

 行ってみて。
 非常に刺激的な1時間でした。トークの相手であった
椿昇さんは、残念ながら何者かも全く知らなかったのですが、
澤田さんの高校時代の美術教師で、恩師でもあるとのこと
だったのですが、それだけの人ではなく、美術業界に
、今は大学の教授をされていて、業界に対しても突き放し
た考えをお持ちの方で、椿さんの話がまた面白く、行って
よかったと思えるトークイベントでした。
 何が面白かったのか。
 「食べていけないと、作品は作れない。」その言葉
を聞けたこと。
 そして。日本のアート市場と、ニューヨーク、ロン
ドンの市場や、購入者、愛好家との違い。
 「ハーブ&ドロシー」という映画の存在は知って
いました。見ていませんが。
 海外(といっても、もっばらそのニューヨーク
とロンドン)での購入者は、大金持ちであろうが、
作者や作品のことを本当に根ほり葉ほり聞いてくる、
私よりも私のことを知っているのではないかと思う
くらいだと。
 本当に好きで気に入って作品を買ってくれると。


 作品であっても、発表して終わりではない。
 売る行為と買う行為があって、そこにきちんとしたや
りとり、納得、評価が加わる。そこで、また新しい作品
が生み出されていく。
 この素敵な過程、市場がきちんと機能しているのが、
成熟したニューヨークや、ロンドンの市場であると
いった話でした。
 結局、他方で、日本のマーケット、美術界は未成熟
である、お金持ちが美術品を買う際、まだまだ百貨店
の外商任せが多い、日本から新人を見つけ出し、
日本以外の国に発信しようという業界人が少ないと
いった話でした。
 澤田さん自身も、今は、力、コネクションのある
海外のギャラリーがついていて、経済的には困窮は
していないといった状況のよう。
 単に、いい仕事、いい作品を生み出せば、あとから
お金はついてくるといった話ではなく、やはり
自己プロデュース能力、経済感覚かないと、生き残り
続けるのは厳しいようです。
 そうした話は、もう10年近くまえ、村上隆さんの
「芸術起業論」で読んではいました。
 

 澤田さん自身、5年ほどスランプの時期があったと。
このまま、作品を生み出せないなら、カツラを床に
置いて、業界を去ろうかと思ったと。
 その時、共同プロジェクトの話があり、ハインツ
トマトケチャップの写真をもとに作品を作ったところ、
「これは知子の作品だね。」と言われて、自身の
タイポグラフィが自分自身であることに気づいたと。

 木村伊兵衛写真賞を受賞した「コスチューム」は、
危ないところであった、逸れるところであったと。
 
 このことを、椿さんは、10年はそのスタイルを続けろ
と、10年経てば、それが澤田知子だと認識される、と考え、
見守っていたと。


 生み出し続けることは、しんどいかと思います。
 フランスの三つ星レストランの有名シェフが自殺
したとの報がながれていました。
 最近のところでは、カート=コバーンを思い出して
しまいました。
 食べて、生きて、世の中に、一つでも多く作品を
残していってほしいです。
 作品。 
 もしかして、amazonで買えないのかとチェックして
みたら、篠山紀信さんの作品は買えるようでしたが、
さすがに澤田知子さんの作品は売られていませんでした。
 
 どこで売るのか。
 美術業界。この辺りに革新の要素があるのではないか
と思います。
(おわり)
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