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2015年7月

2015年7月31日 (金)

信託と弁護士と税務

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 近畿弁護士連合会の夏季研修がこの3日間、大阪弁護士会館で実施されていました。

 私は泊まりでの出張のため、残念ながら出席できなかったのですが、「新しい民事信託の実践」というテーマで、東京弁護士会所属の伊庭潔弁護士が研修講師となった研修が実施されていました。

 レジュメだけみると。

 やはり、との記述がありました。

 

 「信託税制 原則として、信託を利用した節税はできないと考えるべき。

  信託の設定方法を誤ると過大な相続税、贈与税が課せられることがあるため、信託税制に詳しい税理士に相談することが必要。」

 昨年7月に弁護士業に復帰しててから、いろいろなご縁があって、税理士の先生方がメインの信託税制の勉強会に参加させていただいてきました。

 関西の税理士の先生方ですが、皆様、信託税制が関わる税務を扱ったことがないということで、皆で、この半年以上の間、民事信託、具体的には、株式や収益不動産などの資産の活用・承継にどう使えて、使えないのかを勉強してきました。

 

 その結果、ちょうど先日、まさにほぼ意見が一致していたのは、上記に記述の点でした。

 信託税制を勉強すればするほど。

 節税にはまず使えないし、下手をするとかえって余計な税額負担が生じるリスクが生じて怖い、予見可能性がまだまだ未知数な点があるといったことでした。

 私の場合、今年の27年1月に税理士登録しているとはいえ、申告業務などは扱っていません。

 ですが、税理士の先生方との勉強会を通じて、今の信託税制がどういう立て付けかといった点はおぼろげながら理解しました。

 そうすると、弁護士として民事信託を扱うとしても、「信託に詳しい税理士に相談すること」は必須要件であって、でも、さらに弁護士自身がやはり、基本的な信託税制の仕組みを理解していないと、適切な民事信託のスキームの提案は無理、弁護過誤になりかねないとの思いを抱くに至っています。

 信託税制を理解するには、相続税法の相続や贈与のみならず、不動産や株式が登場するでしょうから、譲渡所得の基本概念や、資産評価についても知っている必要があると思います。

 となると。

 本当に弁護士が信託を扱っていいのか、リスクをコントロールしたスキームを提案できるのか。微妙だと思います。

 

 平成18年の信託法改正によって、民事信託がより使える制度になると言われながら、現状、少なくとも東京以外はまだ普及しきっていないと思われます。

 その原因は、やはり信託税制がネックになっているのではないかと思います。

 わかっている税理士さんがそもそも多くはないですし、またわかっている弁護士も多くはない。

 

 専門家の責任もありますが、やはりなによりも信託税制そのものに問題があるのではないかとも思います。

 この点、いろいろなところですでに問題提起されているところです。

 こうした点、専門家である税理士、弁護士がもっと声を上げる、上げ続ける必要があるところに思えます。

 まずは、確実に税務上、問題のないケースから、相談者の理解を得て実践していくか。税務署からの「お尋ね」や、調査対象となったときの理論武装を整えて。

 変えていかないと、何も変わらないですね。

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 成年後見制度については、弁護士などの成年後見人の不祥事が相次いだこともあり、家庭裁判所の監督も厳しくなり、資産の活用といった視点はほとんど期待できず、とにかくただただ不正から守る、といった視点しかなくなっています。

 こうしたところで、本当に、残される子、被成年後見人などの生計を考えたら、より柔軟に資産活用ができる民事信託の利用は不可欠ではないかと思われます。

 必要な人に必要な法的サービスが届くように、専門家の責任だと考えています。

                           (おわり)

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 一泊での出張というのは、沖縄出張でした。その日の仕事の段取りが終わった後、海を見る機会がありました。久しぶりに、透明な海、水平線を見て、心が洗われました。沖縄に暮らす人々を羨ましく思いました。暮らしたら暮らしたで、報道もされているように種々の問題が山積かとは思いますが。

 暮らしていなくっても、沖縄の問題は日本で暮らす人々の問題ですね。沖縄の人々だけの問題ではない。平和記念館に立ち寄りたかったのですが行けませんでした。

 もうすぐ終戦記念日。

 東方神起のユノさんが韓国の制度のもと、2年間の予定で韓国の軍に入りました。2年後、無事に東方神起として活動できる世の中であって欲しい。

 沖縄の海も人も守っていかないといけないですね。

 「守る」というのは戦うことだと思いますが、それは暴力以外の方法で。だとすると、言葉でしかないですね。あとは、日本国憲法。言葉を守る法。

2015年7月24日 (金)

専門家が世の中に価値を生み出す 

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 最近、人の行いをみて、我が身を振り返り、はっと我に返ったことがあります。

 プロのトライアスリートの西内洋行さんのブログからの情報発信です。

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 今年になって、OWSオープンウォータースイミングでのトライアスロン大会、あるいは、アクアスロンなどの大会で例年以上に水泳中の死者の報道が多いような気がしていました。

 しかも初心者などではなさそうな方々です。

 それも、うつ伏せで海面上に浮いているところをレスキュー員に発見され、救助されるも息を吹き返さずといった報道が多かったように思います。

 

 原因はいったいなんなのだろうかとずっと気になっていました。

 お酒を飲んで海に入っているわけでなし、また、練習不足、経験不足といったことでもなさそう。

 今年の気温、水温の何か悪影響なのかなどど一人、考えていました。

 なぜなら。

 オープンウォータースイムでの華麗なる泳ぎをいつか宮古島でやってみたいと、西内プロが運営されているスイミングスクールに通いだしたところだったからです。

 このように大会中での海での水死事故が多いのはなぜなのか、水死の事実は報道されても原因までは報道されません

 そのような中、西内プロが、ご自身のブログで、経験豊富なプロならではの分析と見解を公表してくれました。

 海面にうつ伏せいということから、溺れた原因としては心臓の負担が考えられるわけですが、ではいったい何が心臓の負担となっていまのか。

 体に合っていないウエットスーツが原因ではないかとの分析、なるほど!と納得しました。

 しかし、それよりも何よりも。

 こうしたプロの専門家ならではの、世の中の事象、事実に対する見解を披露する姿勢、情報提供をしようという姿勢に我ながらおどろきました。

 情報に飢えていたところ、こうして適宜にプロの方が、情報提供が義務ではないのに、自ら世の中に情報発信をする姿勢、その姿勢に胸打たれました。

 自分はどうなのか。自身の経験、資格、職業上の知見。

 これらを、ご相談にきた相談者、依頼者に提供するのは当たり前です。仕事ですので、もちろん対価として費用をいただき有償です。

 しかし、それだけでよいのか。


 自分が考える「仕事」の中身はそれに限られるのか。

 自分が考える「仕事」の枠組みはそれに限られないということに改めて気付きました。

 例えば、個別のメール相談に無料で応じる、それは違います。そんな「仕事」は「仕事」ではありません。自身、たまにこちらの「仕事」を尊重しない方(合意した費用の値下げを求める方、さらには支払わない方。)と出会ってしまうことがないわけではないですが、そういう方とは距離を保ちます。

 

 世の中の役に立つこと、世の中に価値を創造すること。

 ありふれた言い方ですが、この「価値」を生み出すこと、「価値」を付け加えることが「仕事」ではないかと思います。

 

 西内プロのブログでの見解表明は、見事に、この世の中、OWSに関心のあるごく狭い世界かもしれませんが、価値を付け加えられた仕事だと思います。

 これぞ、プロフェッショナルだと思いました

 プロフェッショナルとしての仕事を自身もしていきたい、していくのが仕事をしていく意味ではないかと改めて思いました。大げさかもしれませんが。

 

 プロフェッショナルとしての仕事。

 そのためには、日々、謙虚に自己研鑽を重ね続けるしかありません。

 がんばります。

 ブログでの情報発信も。

 税務関係、相続関係、マンション関係、ブログでなく、体系的にまとめていきたいといったことを考えています。

 新たに弁護士松井淑子のホームページを作ろうかと。情報のさらなる集積と、集積だけでない整理です。

 

 前を見続けて歩み続ける、刺激を得られ続ける、このような環境にいることができて自分は本当に恵まれている、ラッキーだと思います。

 感謝の日々です。

                           (おわり)

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*先日、生まれて初めてフットサルをしました。新大阪のキャプテン翼スタジアム。マラソン、水泳といった持久系のスポーツとは全く違い、これはされで楽しかったです。

2015年7月22日 (水)

遺産隠しに対する武器 ー依頼者の利益を守る武器ー

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* 大阪、大川を行く水陸両用車でのダックツアーのバスです。これは沈みませんが。
沈みゆく船には乗らないことが大事。気づいたら、脱出。自分の利益を守る行為を誰も責めることはできません。



 弁護士法23条の2というものがあります。

(報告の請求)

第23条の2  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2  弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 弁護士会長名で、「公務所又は公私の団体に照会し」、「必要な事項の報告を求めること」ができるのです。

 私の場合、これまで一番多く利用したのは、被相続人名義の資産の有無と履歴等に関する金融機関への調査です。

 相続人となる依頼者から遺産分割協議、あるいは遺留分減殺請求の依頼を受けて、その事件に関するものとして、そもそも遺産が少なすぎるのではないか、他の相続人によって遺産隠しが行われているのではないかといった場合です。

 これは、23条の2による弁護士照会でなくても、相続人ということであれば、被相続人名義のものは調査をその相続人自身でもちろんできます。

 しかし、そもそも弁護士に依頼されている時点で、ご自身でそのような煩雑な手続きをやり遂げるのは時間的にも労力的にも困難という方がほとんどです。

 また、弁護士の方で、一相続人の代理人として照会するくらいなら、弁護士会への手数料が一件当たり5000数百円を要しますが、一斉に同じ書式で照会でき、また迅速な回答を得られますので、23条照会を利用しています。

 23条照会を利用するとして、どこに照会をかけるのか

 必須なのが、被相続人が利用していたであろう郵便局管轄のゆうちょ銀行です。

 ゆうちょ銀行の場合、他の金融機関とは異なり、各支店ごとの管理ではないため、照会先も、○○支店などではなく、センターになります。

 そのため、口座がある場合、一番ひっかかりやすいといえるものです。

 また、たいていの人はゆうちょ銀行を利用しているともいえます。

 弁護士が、遺産調査の業務を行う際、ゆうちょ銀行への照会なしで調査をしたということはあり得ない金融機関となります。

 相続事案に不慣れな弁護士の場合、こうした観点がないこともあり得るので注意する必要があります。

 そして次に検討すべきなのは、住居、それも過去も含めての住居、あるいは職場、通勤経路周辺の金融機関です。

 人が金融機関に口座をもつ場合、こうした自身が立ち寄りがちな場所に口座を設けていることが多いからです。

 ただ住所・職場については、転々としいてる人は要注意です。現住所近辺とは限らないからです。

 さらにポイントなのが、口座の存在、さらには取引履歴を取り寄せたとして、次の問題として明るみになるのが、被相続人が亡くなる直前、あるいは直後の解約です。

 いったい誰が解約したのか。

 またその現金はどこへ消えたのか。

 こうした金融機関の解約手続きに関しては、痕跡が残ります。

 そこで、金融機関に提出された資料、また金融機関が確認した資料を収集することも可能です。

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 こうした業務を経て、遺産分割協議、あるいは遺留分減殺請求事件においては、ザクザクと、当初ないといわれていた遺産が見つかることが多々あります。

 

 その場合、次にどのように対応するのか。

 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求権といったことが問題となります。あるいは、特別受益として計算上、取り込んでしまうのか。

 このあたりについても、相続関連については、不慣れな弁護士とそうでない弁護士の差がつくところとなります。

 既に10数年前から、裁判所の裁判官が研修の際に言っていましたが、自分である程度、Excelの使える弁護士に依頼すべきでしょう。

 要は、本当に、依頼者に有利となる法律上の計算式を知っているか否かということが試されています。

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 23条照会の適切、効果的な利用法を知っていることは、依頼者の利益を守るために必要不可欠な知識と経験です。

 弁護士会でも、多くの研修が実施されており、多数の書籍が出版されています。常に、勉強をし続け、情報知識をアップトゥーデイトしている代理人に依頼するのが重要です。そしてExcelの使える弁護士

 武器のない人には、守ってもらえませんから。

 功を奏しなかった場合、裁判官のせいにする代理人は最悪です。自分の能力不足を顧みずにやってき人である可能性が高いからです。

 裁判官にあたり外れはあって当たり前、その中で事案に応じてどう活動するかが弁護士として問われていると思います。失敗した時、そこから何を学びとってどう対応するか、生き様が問われていると思います。

 23条照会を使い、その人の権限なき解約を確認し、主張したら、「プライバシー侵害だ!」と言われ、弁護士会に懲戒請求する、と言われていたといったことがありました。法律上根拠のない懲戒請求、提訴行為、場合によっては、違法行為として損害賠償の対象となります。

                            (おわり)

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*B&Dに直面し、げんなりする時でも。
  夏の木漏れ日。爽やかな気持ちになります。

2015年7月19日 (日)

企業内の犯罪 ー従業員による横領・窃盗ー

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 企業内での不正、特に、法人化していても実際にはオーナー経営者一人で従業員を何人も抱えているといった企業からの従業員による横領・窃盗の相談がなぜか増えています。

 

 例えば、法律事務所もそうですが、医療機関です。

 トップは、弁護士あるいは医師といった資格者であってプロフェッショナルです。

 何人か従業員を抱えていて、組織的には経営のトップにあったとしても、経営そのものが仕事なわけではないプロフェッショナルですので、経理的な経営上の実務は、担当者に任せがちです。

 まさに医療機関に多いのが家族経営だと思います。

 

 医療機関に限らず、企業がある程度の大きさとなり、家族経営からの脱却を図るとなると、事務局長・経理部長を外部からの職員に任せることになります。

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 外部の人に会社の経理を委ねる時、不正を防止する「システム」を必ず構築しておく必要があります。

 自分が逆の立場のとき、自分は職務を全うするだけであって、間違っても人のお金、会社のお金を盗むようなことはしないと自分は考えていたとしても、他の人が、しかも、信頼して任せていた、まさかこの人がという人が、なんらかの事情で会社のお金に手をつけてしまうのです。

 

 税理士がみているから大丈夫というのは大きな間違いです。税理士は通常は、記帳指導と申告業務しか依頼を受けていない立場です。

 「監査」の仕事は、通常の税理士業務とは異なります

 このことを分かっていない弁護士や裁判官が少なくはないのも事実です。

 

 また、監査法人の監査が必須の上場企業であっても、本年の東芝をめぐる報道のように、内部職員が偽の会計書類を作っていたら、それを見抜くのはやはり大会計監査法人によるナン億円もかけた監査業務であっても困難であったということが明らかになってしまいました。

 東芝の場合はトップからして不正に関与していた疑いが濃厚なようですが、そのような場合は別にしても、従業員による犯罪、不正に関しては、これを未然に防ぐ体制・システムを作るのがもっとも効果的であり、唯一の被害防止策ではないかと思います。

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 ではどのようなシステムを作るのか。

 それは、医療機関の場合が典型ですが、各企業の業務における独特の金銭の流れがあります。それを熟知した者によるシステム設計をする必要があります。

 監視・管理システムを作ったつもりが、実は、その当該担当者に大きな権限を与えた結果、かえってその責任者による不正・犯罪を誘発してしまったというケースも稀ではありません。

 

 再発防止策がまさに重要になります。世界的大手監査法人のKPMGが出している、企業内不正に関する書籍でも、統計データから、不正対応に対する初期の対応ミスによってさらなる不正を誘発してしまったという例が少ないことが示されています。

 
    この本は、データに基づいた実例豊富な実践的書籍であって、従業員横領等の問題を検討する際には今、一番使える本だと思います。

 

 企業内で一度、不正が発覚した場合は、当該問題を熟知した専門家への相談をお勧めします。

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 時々読みかえす本に、稲盛和夫さんの「稲盛和夫の実学 経営と会計」(日経ビジネス文庫)があります。

 読みかえす度に新たな発見を得る本ですが、今回、目にとまった記述を紹介しておきます。

 103頁

 「『ダブルチェック』とは、経理のみならず、あらゆる分野で、人と組織の健全性を守る『保護メカニズム』である。

 仕事が、公明正大にガラス張りの中で進められているということは、その仕事に従事する人を、不測の事態から守ることになる。それは同時に、業務そのものの信頼性と、会社の組織の健全性を守ることになるのである。」

 「ダブルチェックとは、人に罪を作らせないための原則である」

 

 そうした上で、次の項目について具体例を挙げて論じています。

 □ 入出金の取り扱い

 □ 現金の取扱い

 □ 会社印鑑の取扱い

 □ 金庫の管理

 □ 購入手続

 □ 売掛金、買掛金の管理

 □ 作業屑の処分

 □ 自動販売機、公衆電話の現金回収

 そしてこう述べています。

 「トップ自らが、本当に守られているのかを現場に出向き、時々チェックしなくてはならないのである。」

 「その根底には、社員に決して罪をつくらせないという思いやりが、経営者の心の中になくてはならないのである。」

 

 これはプロの経営者、経営が仕事である社長にとっては当然のことです。

 

 しかし、本当に難しいのは、大きなお金を扱う機関でありながら、トップの仕事が他のプロフェッショナルであって、経営そのものがプロフェッショナルとは限らない医療機関が一般的に抱える問題ではないかと思います。

 信頼できるその道のプロフェッショナルをどうやってみつけるのか。

 医療機関相手のコンサルティング業者が多い理由もこのあたりにあるかと思います。

 二次被害に遭うことのないようにだけ気をつけて欲しいと思います。もちろん他利の姿勢で有益な助言をするプロフェッショナル コンサルティングというものが存在するという前提です。

(おわり)

 

2015年7月15日 (水)

弁護士資格で、税理士登録をしました。

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 本年1月、弁護士資格によって、税理士登録をしています。
 つまり、税理士試験に合格して税理士登録しているわけではないということです。
 それが何を意味するのか。
 税理士登録をしたけど、通常の税理士の先生方のような申告業務は、能力としてできませんということです。

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 だとしたら、なんのために税理士登録をしたのか?
 税務調査立会いや、その後の調査結果の説明の際の納税者の代理人業務をするためです。
 
 弁護士資格があれば、基本、税理士業務開始の通知弁護士になる必要もないし、ましてやそもそも税務署職員と折衝することが「税理士」にだけ限られた業務であって、弁護士は排除されているとは考えていません。
 最高裁がそのような判断を示したことがあるわけでもありません。
 しかしながら、そこで今、税務署、国税局とぶつかっても納税者の利益にはなりません。
 そこで、とりあえず通知弁護士の手続きはとっていました。

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 しかし、通知弁護士ですと、各国税局管内の業務となります。
 
 税務署の調査の流れを知り、かつ、税法・課税徴収処分に詳しい弁護士の数は、やはりまだまだ日本全国でも限られているようです。
 大阪国税局管内に限らず、関東や四国等からの地方からの相談を受けることも増えてきました。
 そこで、昨年、税理士登録の手続きをし、本年1月、無事に登録を済ませた次第です。
 
 税理士登録をしておけば、東京局管内でも、高松国税局管内でも、税務調査の立会い、あるいは、調査後の折衝において、その会社の顧問税理士の方と共に、納税者の代理人として立会い、税務調査職員と協議ができます。

 税務調査に関するご相談については、なるべくお早めにされることをおすすめします。
  調査結果の説明があり、折衝を重ねるも、いよいよ最終回答を納税者として局に伝えないといけない、修正申告をするのか、あるいは処分を受けて、取消しを求めて戦うのか。
  間際となってご相談に来られるよりも、調査段階でご相談頂いた方がより適切な、その時点で取れる方策、方針立案等のアドバイスができます。
 事実認定が争点になりそうな場合、何を提出して、提出しないのが納税者の利益に適うのか、です。弁護士が得意とするところです。
  時間の有効利用のため、遠方からのご相談の場合、事前に資料等を電子メール、FAX等でお送りいただいた上で、面談ご相談をさせていただくようにしています。
  煮え湯を飲まされた思いをするような、悔しい思いのする納税者が減ることを祈っています。
                                                                                      (おわり)


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2015年7月 7日 (火)

質問力 ー人と言葉とー

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*ジョギング中、公園で見かけた蓮の花。
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 仕事のスピード4倍速といいながら、ブログ更新の速度が0.25倍となっていました。
 それはともかく。
 自分の軌跡にもなり、成長の痕跡にもなるので、やはりこまめに文章で表し、写真をアップしていこうと改めて決意しました。

 最近、グッときたこと。
 「性犯罪・児童虐待捜査ハンドブック」を著した田中嘉寿子検事を講師に、大阪弁護士会で「なぜ?ときかない質問ー性犯罪被害者に対する事情聴取の留意点」と題した研修が実施されました。
 参加できなかったのですが、研修を紹介した記事が会報誌に紹介されており、改めて言葉選びの巧拙について考えさせられたので紹介します。


 税務調査や不服審査においても、国税職員等の質問それに対する答えが職員によって調書化(証拠化)されることがあります。

 これには、
  1 問いを発し、
  2 文章化する、
の2段階があると思います。
 税務調査の場面においては、2 文章化の訓練だけでなく、そもそもの1 問いを発する場面で、いかに問いを発するのかといった技術としての「質問」の訓練は、組織的には行われていないかと思います(査察の職員くらいでしょうか。)。
 似て非なる行政作用ですが、こうした面については、刑事の分野のほうが税務よりも、やはり世に連れで進んでいるのだろうなと改めて思いました。
 税務行政の過程で調書を取るのは稀だから仕方ないとは思いますが



 以下、「月刊大阪弁護士会2015.6」21頁抜粋。

 「なぜ、『なぜ抵抗できなかったのか』と尋ねられると、非難されているように聞こえるのか。
 それは、この
質問が、抵抗が可能だったことを前提とする質問となっているからである。

 『なぜ抵抗できなかったのか』と尋ねると、被害者にとっては、質問者がそのように意図していなくとも、あなたは『抵抗できた』のに、 『なぜ』抵抗しないという選択をしたのかと非難しているように聞こえるのである。
 『抵抗できた』というのは『抵抗不能』という被害者の前提とは全く逆であるため、被害者は回答不能に陥り、責められているように感じるのである。」

 「『なぜ逃げなかったのですか』ではなく、『逃げようとしたら、どうなると思いましたか』と尋ねれば、『犯人のほうが足も速いし、逃げきれない。捕まれば、逃げたことで犯人を怒らせてもっとひどいことをされると思った。』等との回答が返ってくる。」

 「心のにある逃げられない気持ちではなく、心のにある逃げられない原因を尋ねるべきなのである。これにより、建設的な解決思考の話ができるようになる。」
 
                            (おわり)

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