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2015年2月

2015年2月23日 (月)

相続と相続税と名義預金/「裁判官基準」

Img_6036得意気です。第1回姫路城マラソン、5時間8分ほどで完走できました。

歩いてしまいそうなとき、沿道の皆さんの応援が励みになって走り続けることができました。

ありがとうございます‼︎ 応援は本当に人を動かす力になるのを実感できるのがマラソンの良さです。走り始めて2キロのところで、「あと40キロや!」という声援には苦笑しましたが(^_^;) 
1  
 今年27年1月1日からの相続税の改正、増税を機に、ますます相続と相続税との関連について関心が高まっているようです。  
 弁護士と税理士とのコラボの書籍などもよく見かけるようになりました。  逆にいうと、なぜ今まで見過ごされがちだったのかということの方が不思議です。

 
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 平成11年に大阪弁護士会で弁護士登録してから、たまたまだったのですが、弁護士1年目から、複雑な相続事件を多く担当させていただきました。  その中で、あ、これは相続税を知っていないといけない、とすぐに痛感するようになりました。
 さらには、相続税だけではなく、そもそも相続税の納税義務が発生するような事案では、どのように資産が形成されているのかというと、大抵は、なんらかの事業をされている方なので、その事業に関して、所得税、具体的には、不動産所得、譲渡所得といったものを知っている必要がありますし、資産管理会社を作られたり、法人として事業に成功されている方の場合がおおいので、法人税の核くらいは知っておく必要があります。  
 さらには、当然、ある程度、決算書の数字も読める必要があります。
 そうでないと、依頼者に対して、本当に依頼者の利益に適った解決方策を示すことができないからです。


3  
 そこで、この時機を逃したらもう体系的に学ぶ事はないかもしれないと、2007年、平日夜間と土曜日授業が主ということで、関西学院大学専門職大学院の経営戦略研究科の会計専門職専攻に入学しました。  
 また、さらに実務を深める機会として、縁あって、2010年からは国税不服審判所で審判官としてはらたくこととなりました。  
 そこで、また数多くの「相続と相続税」の事案を担当することとなりました。    
 国税不服審判所では、基本的に事件は非公開ですが、先例的な意義があるとされたものは、ホームページで要旨等が公表されています。  
 この分類をみるだけでも、相続税にからんで、相続上、どのような問題が多いのか伺い知ることができます。  
 興味のある方は、一度、ざっとでも目を通されることをお勧めします。
 
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 例えば、相続税の課税財産の範囲、という分類があり、その中に、「預貯金」という分類があります。  
 これが、よくいう「借名預金」という問題のところです。  
 被相続人名義の預貯金ではないけど、実質的には被相続人の財産だとして、課税財産に含んでいなかった場合に課税対象とされるものです。  
 相続税の申告を税理士の先生に依頼した場合でも、被相続人名義でないものは、遺産ではないから、税理士の先生に伝えなくてもいいだろうとして伝えない方もいらっしゃるかと思います。  
 これに対して、気の利いた税理士の先生でしたら、故人の所得の割に遺産が少ないというときは、名義の預金等がないかを遺族に確認します。
 そこで、遺族名義等の預金を見つけたときにどのように判断するか。    「国税調査官ならどう判断するか」
 「税務署からはなんといわれるか」
 これを基準としていたら間違います。
 なぜなら。国税調査官、あるいは、税務署長、あるいは国税局の審理部の担当者、これらの人でも間違っていることがあるからです。
 なにを間違うのか。  
 証拠の評価、事実認定、事実認定のための経験則をです。    
 これらの要素は何を基準にすべきなのか。  
 裁判所での裁判官です。  
 「裁判官ならどう判断するか」
を基準として、国税の税務調査のときでも判断すべきです。
 
 そうでないと、実は、法的には明らかに間違った判断、ありえない判断がされていたといった場合、それに気づかずに言われるがままに修正申告をしていたというようなとき、悔やんでも悔やみきれません。
 

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 相続税に限らずですが、調査が入ったときには、「裁判官基準」で調査官の指摘が合理的かどうかを判断して対応すれば、納税者の方も悔いはないかと思います。  
 名義預金の場合、裁判官基準とは何か?  
 裁判官は何を基準に判断するのか?  
 
 基準については、最高裁判例があるものは最高裁判例です。  
 名義預金の場合、どうか。  
 いくつかの最高裁判例があります。  
 てっとり早いのは、裁判官の福井章代さんが、最高裁判決の読み方を整理された、判例タイムズでの研究でしょう。  
 
 平成18年9月1日号 「預金債権の帰属について」ー最二小判15.2.21民集 57巻2号95頁及び最一小判平15.6.12民集57巻6号563号を踏まえてー  
 相続税で名義預金の問題に直面した場合、この小論は必読だと思います。  裁判官の頭の中が垣間見えます。
 
 調査に来た調査官、あるいは国税局の審理部の担当者の頭の中と裁判官の頭の中が同じという保証はどこにもありません。  
 なぜならば。
 試験も違うし、資格も違うし、仕事も違うし、経験も違うからです。
 
 警察官の捜査が、刑事訴訟法のもと、裁判官基準で動かされるのと同様に、税務調査に関しても、民事訴訟法・行政訴訟法のもと、裁判官基準で動くようになっていって欲しいというのが願いです。
 ただ、警察官の捜査に関しては、起訴の前に、法律家である検察官のチェックが入ります。常に、検察官からのフィードバックがあります。
 しかし、国税の調査と処分に関しては、そのような裁判を知っている本当の法律家によるチェックは構造上、入っているとはいえません。強制捜査となる査察はもちろん別です。
 国税庁の本部や、局の国際関係には、検察官や弁護士が数名は入っています。また、局には、一応、リーガルチェックの機関としの部門があるようです。しかし、憲法から、訴訟法から法律を学び、使ってきた人材ではないので、本当の法律家と比較したときの限界があるかとは思います。もちろん、司法試験に合格しながら、行政官を務めている人は別でしょうけど。
 
 えっ、この程度の調査、理屈なら、いっそのこと更正処分を受けて、争ってみても良かったのではないの?というケースで、調査官から言われるがままに期限後申告や修正申告書を出し、あとから悔いている納税者の方を見かけるたびに、ただ単純に、純粋に胸が痛みます。
(おわり)    
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川の流れ。大きな流れにただ流されるだけでは、どこにも辿りつけません。目指さないと。
大阪の大川です。もしかしたら、ここて泳ぐかも。

2015年2月 1日 (日)

「取引」のリスクを洗い出す責任

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1

 15年1月31日の日経新聞の朝刊の記事から。

 「資産運用で損失 駒沢大が敗訴」との記事が目につきました。

 BNPパリバ証券に対する約84億円の損害賠償請求だったようです。2007年、勧誘を受け、「通貨スワップ」と呼ばれるデリバティブ取引を始めたところ、運用に失敗、約76億円の解約清算金を支払ったと。そこで大学は、「リスクの大きい取引に」「違法に勧誘した」として勧誘した方を提訴していたようです。

 これに対して東京地裁は、「取引内容について必要な説明」はなされていて、大学側も十分に理解していた」との判断だったようです。

 新聞記事からのみで、判決文を読んでみないとわかりませんが、思った事をメモしておきます。


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 証券会社側をみると。76億円近い損失が発生するかもというほどの規模の取引に関与していたことになります。

 後から提訴されるリスクの管理としてはどのようなことをしていたのか。当初は金額も小さな取引だったのか、なるいは最初から金額の大きな取引だったのか。いずれにしても、ある程度の規模である時点で、提訴リスクをコントロールする必要があるのは間違いないかと思います。

 過去にこのような提訴をされたことがあるのかどうかはわかりませんが、頻発しているとしてら、会社としても対策不十分だったということになるかと思います。この点、対株主に対する責任としてはコンプライアンス上、どうなのかいうことが気になります。

 手数料だけで年間180億円ほどを稼いでいるよう。

 親会社はBNPパリバSA100%子会社のよう。

 http://cdn-pays.bnpparibas.com/wp-content/blogs.dir/130/files/2013/06/BNPPSKK_2014Mar%E6%B1%BA%E7%AE%97%E5%85%AC%E5%91%8A_FINAL.pdf

 第4期の決算公告をみると。

 関係会社への債務として、約3兆907億円があがっています。どこに、なんの目的で形成された債務なのか。ちょっと気になります。


3

 そしてこのような証券会社の勧誘をうけ、金融派生商品の取引で大損をしてしまった大学。

 いったいどのような情報で、なにをどのようにして判断して、取引が利にかなうものとしてGOサインがでたのか。

 鵜呑みにしていたとういだけなら、その意思決定機関の責任は問われなくてもよいのかが検証されることになるのかと思います。

 単に、意思決定責任者が自己の責任を回避するための提訴だとしたら、提訴のための印紙代に弁護士費用とさらなる無駄な損害を大学に負わせたことになります。

 駒沢大学。同じ頃の取引で、ドイツ証券とも取引をし,やはり損失を被り、提訴して敗訴していたんですね。平成25年4月16日の判決のよう。解約の際、証券会社は免責されるとの合意があったと。まだ判決書を読んでおらずネット情報です。

 大阪市が土地信託だったかなんかの損失で、信託会社から訴えられてて敗訴し、結局、和解でなん億円だったかを支払うこととなった契約を彷彿とさせます。損失が生じたら大阪市が負担、とういう条項があったという話だったと思います。


 もうかったのは誰なのか。

 損をしただけなのは誰なのか。


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 判決書でわかる事実は、証拠により認定された事実と認定されなかった事実だけです。

 なので、実際のところはわかりませんが。印象論としても、大学側が本当に甘かったということが実態なのかなという印象です。

 顧問弁護士に、取引内容についてチェックしてもらう体制になっていなかったのは間違いないのかなと。あるいは、注意を受けたけど、GOサインを出したのか。

 

 これはどういう企業にも、それこそマンション管理組合NPO法人といった団体にもあてはまります。

 契約主体となりうる者。その団体の資産規模からして、大きな金額の契約をするというときは、契約内容、契約書のチェックを専門家に依頼するべきですね。リスク管理の問題です。


 ちなみに。自身が関係する某団体が、なんの契約条項のチェックもなく無条件に追加工事の費用を負担するといった内容の契約をしかけていたことがわかり、総会で指摘し、可決した議決については、もう弁護士であることを名乗り、弁護士としてチェックしますからと申し出たけど、なしのつぶてで、知らぬ間にその団体は第三者との契約をしてしまいました。

 もちろん一関係者としてだったので、無償での法的サービスの提供の申し入れだったのに。


 関係している人の中に、「契約書を弁護士にチェック」されると困る人が居たのかとも考えざるを得ず。居たとすると、契約仲介手数料ももらうことになっていた者でしょうか。


 大学に限らず、中小企業はもちろん、NPO団体、マンション管理組合にしても、その資産規模からしてそれなりの金額の「契約」を第三者とする際は、念のためでも、リスク管理の責任として、専門家の弁護士に契約書の問題点・リスクの指摘を受けるよにすることを強くおすすめします

 だいたい、契約書を作って用意する側は、相手のリスクについてはそれほど強調して説明をしないでしょう。

 後でもめた時には、まぎれこませていた条項を指差し、「ここに書いてあります。説明しました。」というだけでしょう。

(おわり)


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