理念と数字 〜経営・組織運営に必要なもの〜
*京都の湯葉料理のお店「こ豆や」
ロースクールに入って弁護士を目指すと宣言し、無事に司法修習生になられた方との食事会でした。目指すと宣言されたときに、その方の文章等を知っていたので、絶対に合格すると確信していました。そして無事に合格。不思議な気持ちです。法律の世界に向いている人とそうで無い人は、すぐにわかります。言葉に対する感性。
そして。16年ほど前。修習生のときに、当時、森総合法律事務所にいらっしゃった久保井弁護士が修習生に向けた言葉。「君たちはただ司法試験に合格したにすぎない。営業の試験に受かったわけではない。」。
つまり。試験に合格した、ただそれだけのこと。1999年、弁護士1年目から噛みしめている言葉です。
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先日、ある組織運営に携わる上の地位の方とお話しをしていて、ふと実感として頭に浮かんだことを文字にしておきます。
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経営もまさにそうですし、会社経営に限らず、2名以上の人間が集まってなにかをしようというとき、一番大事なのは、「理念」と「数字」だということです。
この二つがあって初めて、目的とするところへと前へと動きだせます。
「理念」だけでは、具体的な行動が見えてきません。また、見えて実行できても、前へ前へと進みません。
しかし、「理念」がないと、すぐに皆、てんでばらばらの方向へ向かいはじめ、いったいなぜその者達がそこに集まっているのかわからなくなり、空中分解します。
だから「理念」は不可欠。
そして、もう一つは「数字」。
皆が、今、どこにいるのか、これからどれだけどのように進めばいいのかの進路を指し示す距離計です。
これがないと、気力が持ちません。これがあれば、マラソンと同じで、今20キロ地点、あと20キロちょっと、今40キロ地点、よし、あと2キロ、走りぬくぞ!と気力が維持できます。
今、自分がいったどこを走っているのか、まずの目的地まであとどれくらいか、それがわからないと、気力が萎えてリタイア、コースアウトします。
この距離感、「数字」を皆で共有できれば、皆で励ましあい、あと4キロ、あと2キロと踏ん張りがきいて、頑張りぬくことができます。
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この「理念」と「数字」の共有ができていない組織、会社は、その場その場での風まかせの判断、運営となります。
いったい皆で何を目指しているのか。文字どおり、場当たり的な運営になります。
誰の責任か。
トップでしょう。
組織の皆に対して、なぜそこに皆がつどっているのか。
「理念」と「数字」を提示する。
そうしさえすれば、皆、一致団結して、その場その場での行動指針を得て、より合理的かつ適切な組織運営となると思います。
約500人の組織でしたが、5万人の国税庁の組織運営の一環としての組織運営も垣間見ました。
「理念」と「数字」の組織運営でした。
もちろん、それによる弊害、あるいは限界のようなものも見ました。巨大組織であるが故に、個々人の力のばらつき、そこまでの意識の共有には限界があるのだろうとは思います。
しかし、かなり有効な組織運営手法だというのを肌身で感じました。
組織文化の形成です。
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自身を振り返り。
周りに対して、自身の「理念」と「数字」を提示し共有できる力があるのか否か。
それが、リーダーシップであり、人を巻き込む力であり、経営者の責任なのだと思います。
非常に抽象的な話しで恐縮です。
(おわり)
*大阪市北区の天満にある「ライオン飯店」。友人に教えてもらい、行きました。丁寧に作られた中華料理。どれも美味しかった。しかも、圧倒的な安さ。店員の方も感じよく。久々にとてもいいお店でした。
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