国税職員による、税務調査情報の漏洩事件
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大阪国税局の職員による、税務調査の情報の漏洩事件です。
認否は不明です。
昨年来、元国税職員のOB税理士を中心とした情報漏洩事件が散発的に報道されていたところ、そのあたりから芋づる式のようです。
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法的に守秘義務がある事柄についての漏洩ということで、刑事罰を伴う違法行為ではあるのでしょうが、現金をもらって、納税者の脱税を見逃した、であれば、文句なしでしょうが、「何時ころ実地の税務調査に入る」あるいは「現在、税務調査の対象となっている」といった情報に、納税者として実際、どれほどの価値があるのでしょうか。
税務調査に入られるとなったら、帳簿を隠したり、売上除外、経費水増し等の行為をしているとして、それらの証拠を隠すのでしょうか。
そういった証拠類は、売上除外等の脱税行為をする際に、すでに証拠偽造していたり、隠匿していたりするのではないのでしょうか。
不正な行為をするような人は、いつ税務調査に入られてもごまかせるようにしているのではないのかと思うのですが。
そんな小細工もせずに、漠然と、売上除外として、帳簿外の口座に売上金を振り込んでいるとかだったら、ただの馬鹿ですし、何も工作していなければ、事前に、1ヶ月後に税務調査が入るという税務署内部の情報を得たとしても、ごまかしきれないでしょう。
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税務調査の時期等の内部情報の価値。
思うに。
自分は税務署職員とこういう内部コネクションがあるんだ、といった売りにならないことを売りにする人にとっての価値しかないと思います。
まったく見せかけの価値。
今回、情報漏洩の相手は税理士さんではないようですが、そういった事柄を得意げに語る人物には注意したほうがいいと思います。
見せかけだけの人で、ありとあらゆるものを食い物にするタイプかもしれません。
恐ろしいことに、そういう人は存在するので。
しかもそういう人に価値を見出す人もいる。
現職税務職員とのコネクションを吹聴する人には気をつけろ。
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そういう意味では、税務署の職員も単にいいように使われただけともいえ、憐れにすら思います。40代。組織としてあってはならないことですが、国税庁自体が5万6000人を擁する組織であり、行政組織として「監察官」を擁する巨大組織です。
一定数の不祥事が起こるのは必然ともいえるなか、よくぞ年間これだけの数字で収まっているなというのが、統計的な数字の評価ではないのでしょうか。
擁護するようですが。
そういった別のミカタがあってもいいのにとは、不祥事報道に接するたびにいつも思います。
まあ、昔は本当にもっといろいろいあったのかもしれませんが。
私が知る限りでは…などと書き出すと、それこそたかだか4年間の国税不服審判所での経験をさも、大きなことのように語りだす、怪しい人種になるんでしょうね。中身空っぽの任期付国家公務員ビジネスでしょうか。
(おわり)
*2年9ヶ月ほどお世話になった名古屋国税不服審判所の建物です。
裁判官ー検察官ー弁護士と、先輩後輩、教官、友達といった関係があるのはよくあることです。事件がかかった時は、裁判所外で会いません。事件の話も一切しません。終わってからも、守秘義務の範囲では一切、事件に関する話はしません。でも、一切、関係を絶つということはありません。仕事は仕事、私的関係は私的関係。
これが法曹のスタンダードだと思います。守秘義務を破っている人は見たことはありません。破ったり、破るようそそのかしたりしたら、その時点で軽蔑の対象です。良き村社会なのでしょうか。
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