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2014年10月22日 (水)

遺言〜特に、自筆証書遺言に関する2005年のメモ〜

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 過去のデータを整理していたら、2005年に出演した、日本テレビの「おもいっきりテレビ」出演にあたってのディレクターさんとの打ち合わせをした後の自分用のメモがでてきました。

 自分でも、なぜここまでまとめていたのかまったく思い出せないのですが、自分で読み返して、興味深い点もあったので、備忘録的にここに載せておきます。

 時は、相撲取りの若貴のお父さんが亡くなり、若貴の相続でもめるか?とワイドショーの話題が華やかなりし頃のことで、みのもんたさん司会の昼間の全国放送の番組「おもいっきりテレビ」の特集は、ずばり、相続紛争でした。

 当時の松井のブログをみたディレクターさんからお声をかけていただきました。

*なお、参照される場合は、個人の責任でお願いします。個別の相談等を目的としたメモではありません。当職は、一切の責任を負いません。

*自筆証書遺言でも、本当に確実に法的な問題が生じるのを回避しようとするなら、遺言・相続業務に本当に経験のある通じた弁護士にご相談ください。弁護士が関与し作成された遺言書でも、争いになっている事案は少なくありません。

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おもいっきりテレビ 遺言・遺産分割協議 メモ

 

弁護士 松

 

■7月6日水曜日午後2時~午後3時30分

 打合せをもとに

 

 

遺言・遺産分割協議について気をつけること   

~主に、遺言・しかも自筆証書遺言について~

 

★公正証書遺言なら、公証人に相談段階で法的チェックが入るので問題となることは少ない。

★自筆証書遺言の場合、死後、無効となるリスクが大きい。

真剣に遺言書を作成するならやはり一度、専門家に相談し、チェックしてもらうのがベスト。

・各弁護士会での法律相談 30分 5250円。

・死後、遺言が無効か否か争いとなったら、裁判となり弁護士費用がかかる。それに比べれば安い。

 

 

■ 遺言について、結論としていえること ~紛争予防策~

 作ればよいというものではない。作っても、子供達の間でもめるときはもめる。遺言無効確認の裁判などになる。脅迫されて書かされたものだと言われたりする。

一番よいのは、生前から、皆の前で方針・意向を伝えるなりしておくこと。あるいは、期待させ誤解を招くような言動はとらないこと。

子供達に対して、理由のない不平等な取扱いはしないこと。不平等に理由があるなら、その理由を明らかにしておくこと。例えば、前妻の子で、離れて暮らしていたからちょっと少なめとか、あるいは、生前、三男には他の子と比べ十分なことをして上げていないから、ちょっと多めなど。

また、孫の一人を養子に入れていたなら、そのことも他の子にいっておくこと。なぜその子だけを養子にしたのか。争いになると考え言わなかったとしても、後から分かれば結局、争いとなってしまうから。

ありがちなのは、年老いた親が、長男にはおまえに家をやると言い、長女にもお前に家をやるなどといい、子どもそれぞれに対して良い顔をして、矛盾することを言っている。相続がおこったとたん、兄弟間で疑心暗鬼となり、もめるもと。

 

 もっとも、生前からあまり財産のことを言うと、皆、さぐり合いのようになりかえって空々しい状態になることもある。最悪は、遺言書の書きあい(書かせあい)合戦のような状態に。

 

 

■ 遺言をのこす意味

 

 遺言がないと、法定相続人が法定相続分に応じた権利をもち、遺産をどうするかについて、全員で遺産分割協議を行わないといけない。誰が何を取得するのか。当事者だけで話しがまとまらないと、家庭裁判所に調停申立を行い、そこで話し合い。それでもまとまらないと、審判といって裁判所が分け方を決めてしまう。

 結局、争いが何年にもわたり、その間、不動産の管理が行き届かず、さらには不動産・株等の価値が下落してしまい、みんなが損をすることにもなりがち。

 

 そこで、遺言。主に、自分が亡くなる前に、自分の財産について、自分の死後の分け方、誰に何を取得させるのかを決めておく方法。

 また、法定相続人ではない者、特別にお世話になった恩人・愛人などに、自分の死後に財産を遺したいと思ったら、相続人ではないので遺言で遺贈するしかない(生前に贈与することも出来るが、贈与税の問題。)

 また、自分の財産をこの相続人には相続させたくない、というときも。虐待を受けたりということであれば、遺言で相続人から「排除」ということも出来る。

 

 

■ 遺言作成の好適日

 

・ 民法961条 満15歳に達した者は、遺言することが出来る。

 

・ 大前提は、まず、遺言を作成する能力のある、精神的にも・肉体的にも、

 元気なときに。

  例えば、認知症の症状が出てからでは、後日、遺言作成能力がなかった、わけがわからずに書いているとして、遺言の効力が認められないこともある(遺言無効確認の裁判というので、相続人間で争いになる。)。

 

・ ただ実際に多いのは、自分が入院したときや、健康が弱ったときに、改めて自分の死後を考え、遺言を書く人が多い。

 そのまま健康を回復できないと、弱っていくなかで遺言書の作成の段取りをすることは困難なこともある。例えば、公正証書遺言では、出張サービスもあるが、公証人役場に行かねばならないのでままならない等々。

 

・ 儀式のように、毎年、年始に書くという人もいるようである。

 

★ 認知障害から成年後見を付されているとき

ときどき正常な判断を示すことが出来る時機があるが、認知障害により成年後見に付されている。遺言をしたいがどうしたらよいか。

医師二人の立ち会いが必要(民法973条)。

 

 

■ 遺言作成の準備

 

・ まず、自分のこれまでの人生を振り返る。

・ 財産については、不動産・預貯金・株式・自動車など、目録を作ってみる(遺産目録)。

・ また、自分の法定相続人は誰か、相続分はいくらかを確認する(遺留分の問題も出てくるので)(相続人目録)。実は、妻はじめ子どもも知らない、若いときに認知した子がいるといった場合は、その子も相続人として登場してくる。

・ 相続人に限らず、自分の財産を、誰に、何を取得させたいかを考える。

・ また遺言では、自分を虐待した相続人を相続人から排除したりすることもできる。

  中身の注意点は、後述。

 

 

■ 遺言の方式

 

 紙に書けばよいというものではない。民法で、きっちりと方式が決まっている。この定められた要件をはずすと、無効とされてしまう。遺言者の真意を確保するため。ただ、紙やペンなどはなんでもよく、横書きでも縦書きでもよい。

 

決められた要件とは、基本的に次の3つのどれかであること。

普通方式

 ・自筆証書遺言

 ・公正証書遺言

 ・秘密証書遺言

 

 その他、特別方式4種類がある。死亡応急者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言。

 

 よく利用されているであろうものは、自筆証書遺言と公正証書遺言。

 もっとも、自筆証書遺言よりは、公正証書遺言の方が5倍以上多い。

 

★ 公正証書遺言(法務省民事局HP) 

  遺言公正証書    平成元年 約4万件 

平成11年 約5万8000件

            (約41%増)

 

★ 信託銀行の遺言保管件数 (信託協会HP 遺言関連業務取扱状況)

   平成6年 約1万7000件

   平成11年 約2万7000件

   平成16年 約4万8000件

 

★ ちなみに、家庭裁判所での自筆証書遺言の検認件数(法務省HP

   平成6年    7349件

   平成15年 1万1364件 

 

 

★録音テープや録画テープでは駄目なのか?

 

 外国ではOKなところもあるが、現在の日本の民法では認められない。

 録音テープは本人が吹き込んだものか否かを判定することが困難であり、また偽造や変造の危険が高いから。ビデオについても、同様の理由。

 

 仮に、遺言が有効か無効かの裁判で証拠として提出されたとしても、逆に、撮影者・録音者に言わされているのではないか、という疑いをもたれるだけのこともある。良し悪し。

 

 

■ 公正証書遺言

 

公正証書は公証人が基本的に公証人役場で作成してくれるもの。

二人以上の証人の立会いを得て遺言者が公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自署名押印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印する方式(民法969条)。

原本は公証人役場に付属する倉庫等に保管される(公証則26条)。原本について、紛失、偽造、変造のおそれはないので、検認手続きは必要とされていない(民法1004条2項)。

 公証人という信頼性の高い第三者が、遺言者の意思に間違いないと公証してくれるので、後日、無効といった問題が生じにくい。

 ただ、公証人手数料が必要。

 これは、遺産の総額に応じて。

 ちなみに、1億円までは10万円以下。

 

★ 公証人はどこにいる?

 

 全国各地にある公証人役場にいる。元裁判官や元検事だった人が主に、公証人を務めている。法務省民事局HPによれば、平成12年9月1日現在、公証人役場全国に299箇所、公証人は543名。

 

*なお、公正証書遺言でも、裁判上、無効とされることはある。

遺言能力が認められない等。

 

 

 

■ 自筆証書遺言

 

 費用があまりかからず、誰にも知られずに作成できるのは、自筆証書遺言。

 遺言の内容を全部自分で書いて、日付を入れて、署名押印するだけ。

 

★ デメリット

自筆証書遺言は、後日、有効性が争いになりやすいというデメリットが大。民法の約束事、まず形式をしっかりと守っておかないと無効とされる。なぜなら、どのような形式でもよいとなると、それが本当に本人の真意だったのかどうか争いのもとになるから。

法律上、効力があるとするために民法は厳格な要件を付している。

 これが一つでも欠けると、無効となる。また、明らかに無効とまではいえないが、書き方が曖昧、作成経緯について怪しい点などがあると、結局、遺言無効確認の裁判などが起こってしまい、相続人間にかえって紛争を残すおそれがある。

 その他、遺言書が発見されない危険、偽造・変造される危険。紛失、破棄・隠匿の危険。家庭裁判所での検認手続きが必要、視覚障害者にとって利用しづらい。

 

基本 ①全文自書、②日付自書、③氏名自書、④押印。

 

 

事例

・日付: 

 「昭和四拾壱年七月 吉日」は有効か?

 日付の記載を欠くものとして、無効。いつ書いたのか、特定できない。

 ただ、「平成8年遺言者の誕生日」はOK。特定できるから。

 

 平成17年4月5日に作成したのに、平成18年1月1日と記載した場合

 わざと遺言作成日と異なる日付を記載した場合は、無効。

 もっとも、実際に遺言を書いた日と遺言書に記載した日付が違っていても、特段の事情がない限り、日付が記載された日に成立した遺言として有効。日付は、遺言の成立時期を明確にするために要求されているものだから。

 

・自書: 

 ワープロは、駄目。

 手が震えて字が書きづらく、他人の添え手による補助を受けた場合は自書といえるか?

 他人の意思が介入した形跡がなければ自書といえる。

 財産目録がタイプうちの場合、目録と照合しなければ遺贈物件の特定が出来ない場合、自書の要件を欠き、全部無効(東京高判昭和59年3月22日。判タ527.103)

 

・氏名:

 特定できれば、ペンネームでもOK。

 

・押印:

 実印じゃないと駄目なのか。指印ではどうなのか。

 実印でなくてもよい。指印もOK。但し、遺言者の同一性、真意の確保、文書の完成を担保する意味があるので、実印がベター。

 

*「一通の遺言書と確認されれば、その一部に日付・署名・押印が適法になされてい」ればよい(最判昭和36.6.22、民集15.6.1622)。

 一通の遺言書と確認されるために、契印があればベター。

 

■ 訂正方法も法律で決められている(民法968条2項)

自筆証書の加除、訂正

遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して、特にこれに署名し、かつ、変更の場所に印を押さないと、効力がない。

例えば、500万円の「五」を「九」と訂正して、900万円とした場合、①訂正した「五」の所に押印し、②その遺言書の欄外に「この行一字加入一字削除」と付記して、その次に署名、あるいは、遺言書の末尾に、「この遺言書の第○行中『五』とあるのを『九』と訂正した」旨付記して、署名しなければならない。

 

★ 方式違反の訂正

訂正変更が無効となり、訂正変更はなかったものとして、訂正変更前の記載が遺言として扱われる。

しかし、訂正変更前の文字が塗抹等によって判読し得ないとき、当初から記載されていなかったものとして、結果、遺言全部が無効となることもある。

 

■ 遺言の内容 

 

★ 遺産処分の遺言(民法964条)

「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。但し、遺留分に関する規定に違反することができない。」

ベターなのは、特定の相続人に特定の遺産を帰属させる旨の遺言。

「相続人XA土地を相続させる。」

その他、相続分の指定(902条)、遺産分割方法の指定(908条)、現物分割、代償分割、金銭分割もあるが、遺産分割協議が行われることが前提とされているので、紛争予防としてはあまり意味がないともいえる。

 

★ 条件付き、負担付きもOK。

 例えば、

 「遺産中の土地甲を長男Aに与える。そのかわり、長男Aは三男Cが大学を出るまで経済的な面倒をみること」(負担付遺贈)。

 「自分の死亡時に長男Aに子どもが出来ていれば、長男Aに土地甲を与える」(条件付遺贈)。

 

* 負担した義務を履行しないとき。

 相続人は、相当の期間を定めて履行を催告し、期間内に履行がなければ、遺言の取消を家庭裁判所に請求できる(民法1027条。取消請求権)

 

 

★ 表現方法 ~解釈、真意が争いになる~

 何を、誰に取得させるのかの特定をしっかりと。

遺言書の記載内容が不明確であると、真意が分からないとしてかえって争いに。

 

*遺言が有効か無効か、遺言の効力として当然に権利移転を生ずるか(遺贈、相続させる遺言)、あるいは、遺産分割手続きを要するか(分割方法の指定、相続分の指定)など、遺言の解釈は、遺産分割の前提問題として大きな影響。

 

 

★事例

 

・「自宅を長男にまかせます」

与えるという意味を含まず、遺贈とは認められないとされた(東京高裁昭和61年6月18日判タ621.141)。

・「遺産相続については、一切妻にまかせる」

争いになった。包括遺贈という解釈の余地もある。一見明白に無効とは言い難い(東京高裁平成9年8月6日判タ1005.170)。

 

*いずれにしても、「取得させる」「遺贈する」「相続させる」などと明記すべき。

 

 

・「青桐の木より南方の地所」をAに取得させる。

 争いとなり、裁判にまでなった。

 裁判所は、作成当時の事情、遺言者の置かれたい状況などを考慮して、遺言者の真意を探求し、遺言が出来るだけ有効となるように解釈して、特定ありとした(東京地判平成3年9月13日)。

 

・「住居表示」により特定された遺贈

遺贈の目的物として「不動産である東京都○区○丁目○番○号をXに遺贈する」と記載。

不動産は、法律上、土地と建物を区別している。法律上、住居表示は建物の表示である。建物のみを遺贈する真意なのか、建物ののみならずその敷地たる土地も贈与する意思なのかが判然としないとして、裁判に(最判第三平成13年3月13日)。なお、決着するまでに3年以上要している。

 

*不動産については、特定をしっかりとするべき。

不動産登記簿謄本の表記にしたがって。これは「住居表示」とは異なるもの。

不動産登記簿謄本を取得、確認しないといけない。

*また、実務的には、不動産の共有取得は避けた方がよい。売却、使い方等について合意が必要であり、紛争の種。

*その他、預貯金、株式についても、金融機関名、口座番号等の特定をしっかりとする。

*遺産目録を作っておくのがベター。

 

判例の態度

・遺言の解釈にあたっては、遺言書の文言を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探求すべきものであり、遺言書が多数の条項からなる場合にそのうちの特定の条項を解釈するにあたっても、単に遺言書の中から当該条項のみを他から切り離して抽出しその文言を形式的に解釈するだけでは十分ではなく、遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者のおかれていた状況などを考慮して遺言者の真意を探求し当該条項の趣旨を確定すべきもの(最判昭和58年3月18日)。

・遺言書に表明されている遺言者の意思を表明して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが、可能な限りこれを有効となるように解釈することが右趣旨に沿うゆえんであり、そのためには、遺言書の文言を前提にしながらも、遺言者が遺言書作成に至った経緯及びその置かれた状況等を考慮することも許される(最判平成5年1月19日)

 

 

■ 公序良俗に反して、無効。

愛人に全財産を遺贈する、遺言。

判例:無効となるときと、有効となるとき。ケース・バイ・ケース。

   遺言者と愛人との親密度と遺贈との関係、遺言者と妻及び愛人の関係の態様、夫婦としての実態の産む、破綻の原因、両当事者の資力、遺贈の内容

   ⇒遺贈が不倫関係の維持継続を目的としたものか否か、

    遺贈が相続人(特に、妻)の生活を脅かすものであるかどうか。

 

 

■ 法定相続人の遺留分。

 遺留分権利者は、配偶者、子、親。兄弟にはない。

 相続人が親だけ場合は、全財産の3分の1の遺留分がある。

 その他の場合は、2分の1の遺留分が定められている。

 

 例えば、父が愛人に6億の全財産を取得させると遺言しても、妻と子供は、2分の1、3億円は取り戻せる。

また、場合によっては、遺言そのものが無効となる。

 

 

■ 相続税

 

★ 遺言で遺産をもらったら税金はどうなるの?

  相続税を払う必要が出てくるかも。

 

  【4.5%】 (国税庁HP 発表資料)

  もっとも、平成14年1月から平成14年12月、死者約98万人に対して、相続税の申告対象となった被相続人は約4万4000人。課税割合は、4.5%という少数。

  ほとんどの人は、相続税を払うことはなく無縁で相続する。

 

★ 相続税

  基礎控除の制度

 

  5000万円×(1000万円×法定相続人の人数)

 

   例えば、遺産は自宅の土地建物と預貯金で合計5000万円、相続人は妻と子ども二人なら、財産が8000万円(5000万円×(1000万円×3名)未満の5000万円であるから、5000万円をどうわけようが、相続税を納める必要はない。  

 

   但し、注意点。 生命保険金は民法上は、原則的には遺産には入らないが、相続税法上は「みなし相続財産」として計上される。その他にもみなし相続財産があるので注意。

 

★ 配偶者控除といった制度

  その他、配偶者は、相続で財産を取得しても、すべての財産の2分の1か、1億6000万円のうち、どちらか多い金額に達するまでは、相続税が課税されない。

 

 

■ 生前に贈与しておいたら

 

★ 贈与税

 基礎控除額110万円。

 

 もっとも、住居について

 ・配偶者に贈与。20年以上婚姻。済んでいる家。2000万円の特別控除。

 ・親から子へ。住宅取得資金を贈与。550万円まで控除(110万円×5年分を先にという発想。)。

 

 

★ 相続時精算課税制度/生前贈与の際

 65歳以上の親が、20歳以上の子に生前贈与。

 特別控除2500万円。限度を超えた金額に20%の税率。贈与を受けた分につき、相続のときに、精算して納税することを選択。相続税、贈与税が免除されるわけではない。

 メリット 相続税が基礎控除の範囲内のとき、相続税もかからないのでメリット。

 

 

■ その他

 

★ 夫婦が子供達のためにと一緒に同じ書面で遺言をすることは出来るか。

NO。

民法上、一人一人の意思確認をするべきとされている(民法975条 共同遺言の禁止)。

 

 

■ 遺言執行者の指定

 

執行を必要とする遺言内容、すなわち、遺贈の実現、認知や相続人の廃除のときなど、執行人が執行。親族を指定したり、弁護士を指定したり、あるいは信託銀行を指定したり。

遺言書に指定しておいてもよいが、指定していなくて執行者が必要な場合は死後、家庭裁判所が選任してくれる(民法1010条)。 

 

  

■ 遺言の撤回

 遺言の撤回はいつでもできる。但し、遺言の方式によらないといけない(民法1022条)。

撤回しても、その前の日付の遺言は原則、復活はしない(民法1025条)。

 

例えば、次男に2000万円を取得させる遺言を作成したが、入院中、次男が一度も見舞いに来ないなどといったことから、取得させたくないとき撤回の書面作成。あるいは、異なる内容の遺言書を作成すればOK。

 

前の遺言と後の遺言の内容が矛盾するとき、後の遺言が有効。

民法1023条「前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす。」

 

 

■ その他 ~封入、契印~

封筒に入れる必要はない。しかし、入れて封緘したほうがよい。封筒には「これを発見したものは家庭裁判所で検認の手続きを取るように」と書いておく。

遺言書が数枚にわたるとき、契印は要らないが、一体のものと分かるようにしておいた方がよい。

 

 

■ 保管方法

 

 遺言を作ったはいいけど、死後、見つけてもらえなかったら無意味。

 そこで。

まず、封筒に入れ、「遺言書」と記載し、「この遺言書を相続開始後家庭裁判所に提出して検認を受けること」と付記。

 

 自宅の金庫。

 銀行の貸金庫。*預けている貸金庫名を相続人や受遺者などに知らせておく。

 弁護士に預ける。弁護士会の遺言センター。

 

★ 自宅保管

発見者が一人で見て、都合が悪いとき、破り捨てるなどの恐れ。

 

★ 遺言書を破り捨てるとどんな問題が起こるのか。

 遺言者自身が、破り捨てたら、遺言はなかったことになる。破棄による撤回。(民法1024)

 では、遺言者以外の人が死後、発見してから破ったら?

 

★ 長女が父の遺言書を死後、仏壇のところから発見したが封をあけて中身を見たところ、妻に3分の2、次女に3分の1を相続させる内容だったため、破り捨てた。ところが、次女がゴミ袋の中から破り捨てられたこの自筆遺言を見つけ、テープでつぎはぎし、皆に見せた。

・遺言を破り捨てた長女:自己が利益を得ようとして、遺言書を破棄したもの。相続欠格。(民法891条5号)。

・遺言書の効力は?:無効なら、相続人は配偶者妻と子であって、2分の1宛になる。

 内容を判読でき、自筆証書遺言としての形式(全文自書、日付、署名、押印)があれば、一体のものとして、有効。

 

 

★ 複数の遺言書が出てきた

  日付が3日しか異ならない二つの自筆証書遺言が出てきたが、内容が全く正反対だった。例えば、長女に全てを相続させるとあった(A遺言)のが、長女を相続人として廃除をもとめる内容(B遺言)だった。

 

 複数の遺言がある場合、日付の新しいものが有効。ただ、本件では2通とも、遺言者の真意に基づいて作成されたものか否か、争いとなる可能性が大きい。書かされた可能性が高い、遺言能力に欠けていたとみられる。裁判になったら、2通とも無効とされてしまう可能性が高い。

 しかし、この2通の前に、甲遺言として、A遺言と同じ内容の遺言があったら、

B遺言について他の相続人から、書くように強制されて書かされた可能性が高いと判断。

 

 

■ 遺言の保管者、発見者

家庭裁判所で、遺言書の検認の手続きをしないといけない。

封印のある遺言書も、家庭裁判所でないと開封できない。

 違反者は、5万円以下の過料(行政罰)に処せられる(民法1005条)

 

 

■ 検認手続き

「遺言には、常に偽造・変造の危険がつきまとう。そこで、民法は、遺言制度を公正に運用するために、後日の紛争に備えて、遺言書の現状を保全する手続きを用意した。それが、家庭裁判所による遺言書の検認である(1004条以下)」

 どのような用紙何枚に、どのような筆記具で、どのようなことが書かれ、日付・署名・印はどのようになっているか等々を記録して検認調書に記載。

 

★検認を受けたか否かは、遺言の効力とは無関係。検認を受けたからといって、遺言の有効性が確認されるわけではない。また、真正に成立したと推定されるわけでもない。

 現状の確認手続き。

 

 

■ 891条5号 相続欠格事由

相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者は、相続人となることができない。

 遺言に関し著しく不当な干渉行為をした相続人に対して相続人となる資格を失わせるという民事上の制裁を課そうとするもの。もっとも、遺言書の破棄隠匿が相続に関し不当な利益を目的とするものでなかったときは、不当な干渉行為ということはできない。自己に有利に遺産を貴族させようとする意思が必要。

 

 

★ 遺産分割協議後に発見された遺言

 

父の遺言書が発見されず、相続人(母と子3名)らで遺産分割協議が成立した。内容は、全てを妻Aが相続するというもの。しかし、その後、土地を子ども3名にという内容の父の遺言が発見された。

自分たちに土地を取得させるという内容であり、その遺言書の存在が分かっていれば、全てAにという遺産分割協議の意思表示をしなかった蓋然性が極めて高いので、遺産分割協議は錯誤により無効(参考判例最判第1平成5・12・16)

 

 

★ 日付が欠けて無効な自筆証書遺言に日付を書き加えた相続人

 

遺言書の偽造又は変造に当たる。しかし、遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎないものであるときは、偽造・変造した相続人は、相続欠格者に当たらない(最判昭和56年4月3日 民集35.3.431)。

 

 

■ 自筆証書遺言書作成を弁護士に頼んだら費用はいかに。

 

弁護士 自筆証書遺言あるいは公正証書遺言作成の援助アドバイス料

    だいたい10万円以上。

 

 

以上

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