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2014年8月12日 (火)

「税理士業務開始通知受領書」

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 「税理士業務開始通知受領書」なるものが、先日、大阪国税局と名古屋国税局から送られてきました。

 弁護士の資格があれば、法律上、税理士登録の資格も有することとなっています。私でしたら、近畿税理士会に税理士登録の手続をすることになるのですが、これが結構、いろいろな書類を提出する必要があり、また、登録した以上、税理士として、毎年2月、3月の個人の所得税の確定申告の時期などは、申告のための税務相談を担当する義務が生じてくるようで、でも、所詮、弁護士であって税理士ではなく、つまり、申告業務はノータッチなので、そのような申告のための税務相談に個々にのれるわけもなく。

 ということで、税理士登録はためらっていたのですが、税理士法第2条に規定される「税理士業務」にあたる行為を依頼者の代理人弁護士として行おうとすると、例えば、税務調査の立会や納付協議を行おうとすると、国税職員からは、権限がないものとして、その立会いを拒まれるのが実状です(参考:大阪高裁平成24年3月8日確定判決)。

 弁護士が行う税理士業務については、各国税局長宛に、弁護士が税理士業務を行う旨の届出を必要とするという規定が出来ています。

 税理士法51条1項

 (税理士業務を行う弁護士等)

第51条  弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。

 

 この通知を行っていない弁護士については、国税職員は、その弁護士の立会いを認めないのが実状です。

 ですので、税務調査や納付協議等に関して、依頼者の代理人として対応できるようにするために、取り敢えずですが、大阪国税局と名古屋国税局の各長に対して、税理士法51条に規定する「通知」を出しました。

 ただ、税務調査の立会いといっても、弁護士だけでは無理なのがこれもまた実態だと思います。

 ですので、私の場合、当該企業・個人の方の顧問をされている税理士さんとの恊働を旨としています。

 だったら、弁護士なんていらないのではないかとも思われますが、弁護士の場合、より法的な観点からの課税要件事実の解釈、あるいは証拠から事実を評価する際の裁判の場での思考法、実務に通じています。また、このように裁判になったらどのように判断されるかという視点から、現場の国税職員とのやりとりが可能です。国税職員の方も、法的な観点から、証拠評価の訓練を受けていたり、法曹として訴訟代理人をしたことがあったりするわけではありません。異なる観点から、出るところに出たら、どういうリスクがどちらにあるのかという協議、指摘をすることとなります。

 そのため、「税理士業務」についても、弁護士として代理人活動が出来るよう、税理士法51条に規定する「通知」をまずは行った次第です。

 シビアな税務調査の際に、納税者が気をつけたらいいのではないかということについては、拙著「税理士・弁護士のための税務調査の後の不服申立手続ガイド」にも記していますので、ご参考までに。

 ただ、実際の税務調査においては、費用対効果を考えて、納得いかないけど言われたとおり修正申告して追加で税金を納付した方が納税者の益になることの方が多いのでしょうね。

 何を「益」と考えるかは人それぞれということで。

 人それぞれといえば、先日受講した大阪弁護士会主催の研修「税務訴訟入門」の講師の弁護士は、通知弁護士でもなく、税理士登録もされていないということで、少し驚きました。税務調査の立会業務はされていないということなのか。その心としては、通知弁護士となると、弁護士なのに「税理士業務」に関することについては国税局長の監督を受けることとなり、それは承服しかねるということのようです。気持ちとしてはすごくよく理解できます。

 ただ、必要とする人に弁護士としての法的サービスを届けるということとの思いの兼ね合いなのかと思います。

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*弁護士1年目の時に担当させて頂いた依頼者の方々から頂きました。いろいろと思い出される、弁護士15年目の8月です。

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コメント

初めまして。
法律事務所で事務員をしておる者です。

通知税理士についておしえて頂きたいのですが、当事務所の弁護士が先生と同じ「税理士業務開始通知受領書」を持っております。

この『通知税理士の番号』というのは、弁護士登録番号と同じという事でしょうか?
それとも別に番号があるのでしょうか?

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