税理士監理官
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弁護士業に復帰してから、「週刊税務通信」を定期購読しました。
特定任期付公務員として国税審判官をつとめる前は、同じ週刊の「国税速報」を購入していたことがあったのですが消化不足のままで、だんだん読まないまま積み上がっていく状態となっていました。
だけど、国税審判官の間は、こういった専門の週刊誌や月刊誌には、職場で購読されていたこともあり、基本的には毎号、全て目を通していました。
まだまだ消化不足ですが、量をこなせば質がおいつくではありませんが、なんとなく以前よりは中身を見ることが出来るようになりました。
そこで、国税審判官を退官した後においても、この感覚を維持し、向上し続けようと、「週刊税務通信」の方の定期購読を開始しました。
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先日、25年度のものですが、大阪国税局管内の「税務職員録」が出版社から定期購読の特典として送られてきました。
パラパラとページを繰ってみて、思い出しました。
初めて、国税職員の職員録をじっくりみてみて、「こんな役職があるのか!」と文字を発見したときの驚きを。
「税理士監理官」
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そこに配属されてその役職の間は、ただただ「税理士」の「管理」をする仕事なのでしょうか。
「管理」って、いったい何をするの?
それだけのために、これだけの人が要るの?
実態は未だによく分かりません。ただ、人件費を計算しても、大阪国税局管内の税理士の管理のために、年間3000万円は使われていると思われます。
何と比較して驚いているかというと、弁護士、弁護士会とです。
弁護士の場合、「弁護士自治」ということで監督官庁は存在しません。ただ、弁護士業をするには弁護士会への登録が必須とされていて、弁護士会が、この登録を判断する権限を持つことにより、除名処分などの権限をもち、弁護士による不祥事に対しては、ある意味、弁護士を「管理」しているといえます。
これを税理士の場合は国税庁が有するということを国税職員録の役職で「税理士監理官」という役職名をみて、実感しました。
国税職員の判断に対して異議を唱える時、この「管理」権限の所在が心理的影響を与えることはあるのでしょうか。
与える場合もあれば、与えない場合もあるのでしょうし、影響したとしても、それは制度の責任ではなく、個人差のある問題なのかもしれません。
弁護士ではなく、税理士として税務署長等に相対したこともないので分かりません。
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ただ、思ったのは、日本の弁護士らの環境、「弁護士自治」というものは、弁護士としての職務を果たすにあたり、かなりの力をもっているのではないかということです。
相対する者が、自分の懲戒権限をもつということの心理的影響。
それがないことの意味。
会社における社外通報制度の存在を思い浮かべたら、人ってそんなものかも、また実際もそうなのかもと思います。
まあ、もちろん、誰が上に立とうが、自分に理不尽なことをされたら戦うぜ!という人もいるでしょうし。
つらつらと書きながら考えると、手続保障的な制度設計の問題なのかな。
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税務署長等による処分の件数、それに対する異議申立て、審査請求の件数は、実際の実地の「税務調査」の件数からしたら、本当にごくわずかといえる数字のようです(確認すればいいのだけど、してません。感覚的な話しです。)。
だいだいは、税務調査を受けて指摘を受けると修正申告をしているので、処分に至らないということが多いようです。
国税職員が優秀なのか、納税者や代理人税理士さんが国税職員に譲っているのか。。。何が真実かは分かりません。
「税理士監理官」。どういうお仕事なのでしょうか。
(おわり)
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コメント
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国税局の総務部税理士監理官~たいした知識もないくせに"偉そうに適当な税務相談"しかしない"バカ丸出し税理士
認定者か国税専門官あがりか~ 懲戒したいと思いますと"税理士監理"にいかなくちゃ
投稿: | 2014年10月30日 (木) 21時43分
懲戒。弁護士だとこういう制度です。税理士さんの懲戒制度、知らないです。
http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/autonomy/chokai.html
ただ、懲戒制度は濫用すると、逆に、損害賠償請求されることもあるようです。
投稿: 松井 | 2014年10月31日 (金) 10時12分