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2014年8月14日 (木)

「消費者」としての「納税者」

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*指原莉乃さんの著書。土俵を変える、しっかりと目を見て挨拶をする、プレゼンは2回する等など、21歳の言葉とは思えない人生指南書です。

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 私の、まだたった4年のマラソン人生における師匠である川村哲二弁護士が、拙著をブログで紹介してくださっています。ありがとうございます。

 http://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-460e.html

 川村弁護士の一文で、我が意を得たりの文章がありました。

 この本は、税務調査から税務訴訟に至るまでの、不服申立手続(異議申立、審査請求)を中心に記載されており、弁護士、税理士が手続的には苦手なところに注目して平易に解説されています。

 実際に、税務当局と争うかどうかは別として、このような基本的な手続は、我々としては理解しておかないといけないのは当然ですので、大変有益な書籍だと思います。

 納税者というのはタックスペイヤーですので、国や自治体を介した消費者でもあります。住民訴訟もそうですが、税金の払い方、使われ方は広い意味で消費者問題ですね。

 大阪弁護士会に登録した弁護士1年目の1999年、よく分からないままに「消費者保護委員会」なる委員会に入り、その年、モニター商法事件と後に呼ばれる、1組40万円以上もの値段のついた布団の販売店「ダンシング」と数社のクレジット会社の絡んだ消費者被害事件「ダンシング事件」というものが発生し、訳も分からないままに弁護団に入ることとなりました。

 その後、本当にほそぼそとですか、大阪市の消費者センターでの弁護士会派遣弁護士を勤めたりと、何かといわゆる消費者問題系のところに居ました。

 ただ、一方で、弁護士1年目のときから、審判が出てる遺産分割事件の即時抗告をいきなり担当し、理由書を起案、高等裁判所からは相手にされないのではないかと思っていたところ、「審尋」なる尋問手続のようなものが開催されたりして、その即時抗告の理由書を手探りで作成していく過程で、相続法、相続事件の面白さに目覚め、ひいては、不動産、税法、同族会社経営にも目覚めていったという過程を経て、2007年には、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究課会計専門職専攻に入学、翌年かろうじて単位取得し卒業という経過を経て、国税審判官として4年間、税法にどっぷりと思う存分浸かるという弁護士人生を歩んできました。

 消費者問題とこれらはかぶることはないのではないかと自分でも思っていました。

 消費者問題と税務。相容れるところは全くないと思われる二つの分野。

 しかし、いざ、税務の実状を垣間みると、消費者被害事件を見た時と同じ思いを抱くことが多々ありました。

 それは。

 情報の非対称性、格差故の、消費者側の無知故の、消費者の思いがけない損害です。この損害の他方で、消費者に対する業者だけが利益を手にしている構造。

 業者から稚拙なタックスプランニングを売られ、思わぬ課税を受ける納税者、あるいは、現場の国税職員の言葉を信じたところ結局は、申告納税制度という税法の大原則から、それは単にあなたが間違った責任であるとされる納税者などなど。

 一般の納税者は、業者や国税職員、税理士など、情報と経験のある者に比べたら、当たり前ですがなんて弱いのだろうかと思うことが少なくもなく。

 そういう意味では、「消費者問題に関心のある弁護士」としても、もっと税務分野に出て行ってもいいのではないかという思いもありました。

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 しかし、納税者側の立場の弁護士というと国と、国税組織と戦う弁護士というイメージがほとんどだったのではないかと思います。

 が、自分が国税審判官として国の行政の中で働いていたからか、その弁護士像にもまた正直なところ違和感を覚えていました。

 国と、政府・行政と戦っていれば、それが正義なのか?

 国のサービスは、確かに、まだまだのところもあるけど、賄賂収賄がまかりとおっているわけでもなく、おおむね法治主義が機能しているのではないか。それを国・行政=悪のようにとらえるスタンスは違うのではないか。

 自分の違和感はなんだろうかと思っていたところ、中里実教授の著作の一文に出会いました。

 「タックス・シェルター」

10年以上前の2002年の本です。

302頁(強調;松井)。

「日本においても、最近の課税逃れ商品は,精緻さを追求する余り、複雑でわかりにくいものが多い。また、外国組織・契約を取り込んだストラクチャーが増加している。したがって、一般の人間が、それを理解することはほぼ不可能であるといっても過言ではない。」

 

「今後は、アメリカにおいてもそうであるように、プロモーター(商品の開発者や販売者)に対する損害賠償請求が増加するものと思われる。特に、タックスシェルターの開発・販売に熱心な一部の企業が、そのような損害賠償請求のターゲットとされるようになるかもしれない。従来、日本においては、通常人の理解力をはるかにこえた複雑な商品が一般納税者に対してきわめて安易に販売される傾向があったといえよう。このような場合に、商品の開発者や販売者が慎重に行動することにより、消費者保護が図られることは重要なことであり、その意味で、本章で紹介したような訴訟の意味は大きいといわなければならない。のみならず、このような訴訟が増加することにより、日本の租税に関与する専門家の水準も飛躍的に向上するのではないかと思われる。」

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 中里実教授の視点の言語化に救われたような思いがしました。これだ!と。

 そして、川村哲二弁護士の先の一文。納税者という言葉と消費者という言葉の親和性。

 きっと皆、同じ視点を指摘しているのではないかと思います。

 税務に法律家の視点をというのはこういうことではないかと思います。

 つまり。登場人物らのそれぞれの利益等のバランスを実質的に図ろうとするということではないかと。

 そういったバランス感覚を現状に反映させていくことが法律家の役割の一つではないかと考えています。

 税務というと、「国」対「納税者」という対立構造だけという印象がほとんどだったのではないかと思いますが、納税者の後ろには、実際には、「節税商品」を考案し、これを売った「業者」がいるはずです。

 「業者」対「消費者」としての「納税者」という構造にはあまり注目されていなかったように思います。

 納税者側の弁護士、法律家としては、消費者保護の視点が加われば、この納税者は、「カモ」に過ぎないこともあるのではないかと思われます。対「国」以前に、プロのくせしてプライドなく稚拙な商品を納税者に売りつけたのは誰なのか。

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 来年平成27年1月1日から、改正された相続税法が施行されます。

 これにあわせて、相続税の「節税商品」「節税スキーム」もいろいろと開発、販売されている事とと思います。

 最後には、業者が笑って消費者である納税者だけが国の前で泣く、といったことのないよう、どのような商品が出回っているか注意してみていきたいと思います。

                             (おわり)

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*360度、今の位置とは違う場所に立って物事を眺めると、見えなかったものが見えることもあり、単純に面白いです。

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