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2010年3月12日 (金)

分譲マンションと大規模修繕工事【松井】

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 知り合いのマンション管理会社の方や管理組合の理事長を経験した方々などからよく聞いていた話ではありますが、分譲マンションの10年に一度くらいは必須とされる「大規模修繕工事」に関わる話で、こんな新聞の見出しが目に飛び込んできました。
 

「マンション修繕費詐取容疑」「1100万円入居組員ら逮捕へ」「架空工事発注か」

 10年3月4日付けの朝日新聞の夕刊です。


 従前、何を聞いていたかというと、大規模修繕工事では億を超える工事代金額が動くので、その際、そのお金に群がる人々がよく現れるという話です。
 今回のこの事件の記事では、次のようなことのようです。
  

約400戸のマンションで、08年7月ころ、大規模修繕工事を約3億5000万円で建設会社に発注。
  下請けに入った会社が、架空工事発注の疑い。
  経緯としては、暴力団組員の家族がそのマンションの一室を所有しており、組員は、管理組合の理事会の役員と進行があった。
  修繕工事業者らが集まって受注金額を調整する会合などに組員が出席していた。
  「府警は、管理組合が修繕業者や受注額を決める際に、組員の関与があったとみている。」
  「09年夏、契約書のない約7千万円の追加工事の実施や、住民が把握していない下請け業者の存在が発覚。」

 ということのようです。


 この事件は氷山一角に過ぎないのではないかという気がします。
 住民が工事の素人である限り、建設業者にだけ任せるのは危険でしょう。
 工事に関しては、信頼出来る一級建築士事務所などに、別途費用が要りますが、設計施工監理を委ねるのが得策だと思います。
 住民の立場にたって、工事の内容、金額も含めて適否を判断し、工事中も施工の是非について監理してくれる第三者が必須ではないかと思います。
 この費用をケチってかえって、損することが多々あり得るのではないかと思います。
 この点、大規模修繕工事の実態ってどうなってるのか、興味津々です。
 たぶんきっと。
 管理会社の言いなり、任せっぱなしのマンションが多いのではないでしょうか。。。
 気になるのは、この事件のマンションを担当していた管理会社が何をしていたかということです。まさか今時、自主管理のマンションでもないと思いますので。
 場所は、「大阪市北区」とありますが。どこのマンションなんだろう、いったい。
 よく耳にしたのは、管理会社がキックバックを得ていることが多い、管理会社にとってはそれが大きな収入源となっているところもある、という話です。
 もちろん、いい弁護士と悪い弁護士がいるというのと同様に、いい管理会社と悪い管理会社があるというだけのことかもしれませんが。
以上
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2009年10月 9日 (金)

賃貸人の苦悩~家主になるのも大変~【松井】

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*うちの事務所が入っているビルです。9階建てですが、8階のワンフロアーがもう半年以上、空き室です。


 先日、自宅でたまたま某テレビ番組を観ていて、「モーゲージ プランナー」と称する仕事も特化したものとしてあるのかと興味深く思っていたところ、途中から、え!?と驚くような場面を目にしました。
 当初は、定年などの都合で、この先、このままの約定の支払い方法では早晩、住宅ローンの返済に行き詰まるという方のために、より金利の安い住宅ローンの商品を提案し、借金の返済方法を変更することを提案する様子が映されていました。
 それだけだったら、なるほど、確かに弁護士などに相談しても、新たな商品を提案するというかゆいところに手が届くようなサービス提供は出来ないから、ニーズはあるし、役に立つなと思っていました。
 ところが、ある場合には、現金2000万円を貯めている夫婦に対し、うち1000万円でマンションの購入をすすめていて、これに驚いたのです。
 何のためにマンションを購入するのか?
 「人に賃貸すれば月5万円程度の家賃が見込まれる」という大前提のもと、1000万円を銀行預金として眠らせておくよりは1000万円に高い金利がついて、この収入を住宅ローンの返済にまわせるでしょ、という提案でした。
 夫が悩んでいたところ、家賃保証会社を紹介し、それで納得した夫婦はマンションを買っていたようでした。


 いいんですか、それで!?というのが番組をみた限りの感想、というか、驚きでした。 果たして、このご夫婦は、家主になる、賃貸人になるということがどういうことなのか分かっているのかしらん?!、このプランナーと称する方は、それを業とするわけでもない、過去に賃貸人の経験があるわけでもない方に対し、家主となる場合のリスク~危険~をどこまで説明しているのかしらん!?という危惧です。
 危険を織り込み済みで購入しているのであれば問題ないのですが、そうでなかった場合、この夫婦にとっては1000万円の預金債権をもっている方がよっぽど利益だったということが十分に予想されるのです。
 どういうことか?


 家賃収入をあてにして、というのも、「とっても素敵な賃借人さん」が「途切れなく契約」してくれての話しです。
 私が過去、家主さん側の相談にあたったりする限り、そういい話しばかりではありません。
 相続事件を多くしていることもあり、家主さんの事情を聞くことも多いのです。相続でもめるほどの財産を遺されている方がどのようにして資産を築かれたかというと、相続した代々の不動産がある場合や、昭和40年代ころ、先んじて不動産売買を行い、その後、賃貸物件を建設するなどして賃料収入で財を築かれたということが多く、それを引き継いだ方などから、「不動産管理の苦悩」をよく聞くのです。
 
 例えば、あるのは、修繕をしっかりしていなかったばっかりに建物が古ぼけてしまい、賃借人がつかない、というものです。
 賃借人が入らなければ、ただの巨大な粗大ゴミのようになってしまいます。更地に戻すのに数千万円をかえって要するということもあります。
 また、賃借人がついたはいいが、家賃を払ってくれないというものです。追い出すのにも、実は費用と労力を要します。建物の賃貸借契約は借地借家法が適用され、特に住居として使用している場合、プライバシー等の問題もあって家賃を滞納しているからといって大家が勝手に出入りして、鍵を変えて追い出すと、違法です。実力行使は禁止されています。そこで、契約解除、建物から出て行けという訴訟に強制執行をせざるをえません。ただ、これも家賃滞納をしたからといってすぐに認められるわけではなく、契約にもよりますが数ヶ月もの間、滞納していて初めて解除が出来るとされています。
 さらには、家賃が高いので賃料を減額しろといった申し出を家主からされたり、あそこが壊れている、ここが壊れているから修理しろという修繕の要求があったり。
 不動産のオーナー、家主、賃貸人は、たぶんやったことがない人がちょっと想像する以上に、大変だと思います。
 大変だと思い、管理については全部、管理会社に任せようとしたら、やはりそれなりの管理費用を支払う必要があります。
 さらには、処分しようと思ったら、1000万円で買ったものが600万円くらいでしか処分できなかったり。あるいは、誰も買ってくれないような物件になっていたりと・・・。
 そううまくはことは進みません。
 

 ということは、それなりの覚悟、自身が勉強して労力をさくという覚悟が必要だと思います。
 あのテレビ番組のご夫婦は、覚悟があったのでしょうか。
 それが心配です。
 また、あのプランナーと称するかたが万が一、業者の方からキックバックをもらったりしているようなら、しかも夫婦に「リスク」を説明していなかったとしたら、まったく罪作りだと思います。
 そうでないことを祈るばかりです。

 また、思うのは、専門家にアドバイスをもとめて、アドバイスをもらったとしても、その「アドバイス」の内容を自分で吟味することなく、その「専門家」を丸ごと信用して、そのことから「アドバイス」の内容について吟味しないというのは、それはやはり不勉強なのではないかということです。
 専門家を利用しながらも、最後は、自分で情報収集して、自分で判断するということが大事だと思います。そうすれば、たとえば自分が思い描いていたような状況でなかったとしても、自分が判断したのだからと諦めがつきます。そこの準備と覚悟ができていないと、ことが思うようでなかったとき、「あそこがこんなものをすすめたからだと」と他者にだけ責任を押し付ける思考法になってしまいがちということになります。

(おわり)

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2009年9月 2日 (水)

マンション住人、管理組合の理事の憂鬱〜誰を信用したらいいのかしら〜【松井】

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 大阪市内に拠点をもつ、「一般社団法人 マンション問題解決・管理支援センター」という団体が設立されました。
 通称、Agoras(アゴラス)といいます。 
 http://www.agoras.or.jp/

 月2回、建築としてのマンションに詳しい建築士さんたちが無料相談会を開催されています。
 
 私が別のところで10年以上にわたりお世話になっている一級建築士の先生が理事長を務められております。
 私がこのまえTwitterでつぶやいた、「ボル、ボラレル」ということのない、安心して相談出来る機関だと思いますので、マンションで暮らす人、特に、一番悩ましいのが管理組合の理事をしている方々などが、気楽にまずは相談に行かれることをおすすめいたします。
 
2 
 管理組合の理事をしていると、いろいろと自分の知識ではどうしようもない分からないことがいっぱい出てきます。
 例えば、典型は、建築工事、設備工事に関することです。マンションというのは各戸で人が暮らし、その空間を所有する、一方で集団的な機関として管理組合というものが存在し、共用部分等については管理組合が責任を持たねばならない。
 通常の建築、工事問題とはまた異なった視点、知識が必要とされます。
 そしてよく出てくるのが、大規模修繕工事の適否の問題です。端的には、工事代金の適正です。また修繕積立金の過不足の問題です。
 工事業者、管理会社が事実上、組んでいて管理会社は工事業者からキックバックをもらう、工事業者は過大な請求をする、そうして数千万円と積み立てられた修繕積立金からお金を受け取って行くということがなくはないようです。
 これは管理会社、工事業者の企業倫理の問題というのが本当だとは思いますが、それが住人には見えない、分からない、分からない奴ならボッっちゃえ(過大請求)、という構造です。
 依頼している管理会社でさえ、信用できるのか、出来ないのか、疑わしく思えてくることもあるのです。
 
 そこで必要とされるのが、中立的な第三者の相談機関です。
 倫理、良心に従って、利用者、住人、管理組合の立場にたったアドバイスをしてくれる機関です。

 大規模修繕だけでなくても、マンションの理事を務めたら分かるのですが、日常的にも細々とした修繕、点検工事の費用がかかるといわれ、請求されることがあります。
 果たしてその費用が妥当なのかどうか。
 電気設備系統の点検費用として、点検だけで10万円かかります、といわれたとき、果たしてそれは妥当なのかどうか。
 
 弁護士の私には分かりません。
 電気工事に詳しい人にしか分かりません。

 そこで今回、私としては満を持して登場したと思われるのが、マンション問題解決・管理支援センター、Agorasです(http://www.agoras.or.jp/ )。


 管理会社を信用できるのか、管理会社なんて充てにならない、工事が分かる専門家に相談したいけど、適当な人や事務所、機関が見当たらないという理事者の方は、大阪、京都、神戸においては相当数、いらっしゃると思います。
 
 月2回、無料法律相談が実施されているようですので、ぜひAgorasに一度、相談されることをおすすめいたします。
 契約してからでは、遅いですから。


 ちなみに、さらに法律的な事柄、交渉の仕方などのアドバイスもという方は、ぜひこちらもご利用ください(笑)。
 NPO建築問題研究会
 http://npo-asj.com/

 月1回、3000円ですが、上本町のところで、一級建築士さんのみならず、弁護士もついて、ペアで相談にあたっております(宣伝)。マンション管理組合、現役理事のわたくしも参加しております。任期あと2か月ですが。
 本音のところ、つくづく思うのは、たぶんマンションは買うものではないかと。。。何かと大変です。。。一戸建ても大変なことはあるとは思うけど。

(おわり)

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2009年8月19日 (水)

入口を考えるなら、出口も考える  〜マンション電気高圧受電契約と友情婚〜【松井】

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 ある契約をしようかどうしようかというとき、通常、やはりその「効果」に目を奪われがちです。

 婚姻なら、婚姻したことによりどのような効果が生じるのか。
 法律上互いに「配偶者」という立場になり、法定の権利義務が生じます。
 そのことを望み、当事者は、一つの法律行為として「婚姻」届を提出し、婚姻します。

 また、マンション管理組合であるなら、この「契約」をしたら電気代がこれまで関電に支払っていたよりも毎月数パーセント安くなる、というのであればその「効果」を望み、「契約」します。
 
 もちろん、法律行為をするからには、法律効果を狙うものであり、こういった「効果意思」というものが必須とされています。
 
 この「効果」に対して、どういう「対価」が必要なのか、ということも一般には検討します。

 「婚姻」したことにってどのような「対価」が必要なのか。法律上、配偶者に対していろいろな義務が生じます。
 マンション管理組合でいうなら、各住戸が支払う毎月の電気代が安くなることに対して、いくらその会社に支払うことになるのか。結局、その会社は、高圧電力契約によって関西電力に支払う単価が安くなる電気代と住人からの支払いを受ける「電気代」の差額で儲けになって、それが管理組合がその会社に支払う「対価」となります。

 自分が得られる「効果」と自分が支払うその「効果」に対する「対価」「義務」については、検討します。


 しかし、契約を締結するかどうかというときに、もう一つ、さらに大事なことがあります。
 契約を解消するときに、どのような負担が、手続きが必要となるかの確認です。

 これの検討が本当は一番大事なのではないかと思います。
 なぜって、皆、忘れがちだから。

 しかし、業者は考えています。がっちりと一度その手を握ったら離さない、契約を解消されても自分の方だけは損しないようにうまく契約書に条項をもぐりこませています。
 
 また、「婚姻」についていえば、「婚姻」をするときに二人が別れる日がくるなんてことを想定してその際にどうするかというシミュレーションをする人は、ことの性質上、まず多くはいません。
 なので、「解消」するとき、「離婚」するときのこと、そのときにどういうことが問題となるか、手続きはどのようなものなのかということまで考えて「婚姻」することは少ないと思います。

 でも、入口を見て、入ろうかどうしようか悩むときは、出口も考えておいてください。
 出口からの脱出が困難なことが分かれば、それでもあなたはその「効果」「対価」だけを考えて、契約しますか?ということです。


 マンション管理組合において、他の「電力」会社と契約して、関電との電気供給契約を変更して各住戸の低圧受電の契約から管理組合として一括で高圧受電の契約とし、各住戸への供給の管理をその「電力」会社に委託することによって、結果、各住戸が支払う電気代を安くするかどうかということが検討されていました。
 同種企業が4社ほどあり、各社の担当者からの説明を受けたり、質問状、要請書を出すなどして、「入口」、契約をするかどうかということを検討してきました。
 結果、見送ることとしました。

 なぜか。
 各社一様に、契約期間が10年間だったからです。
 理由は、高圧受電をするには、現在使われている関電の設備を入れ替えて、その業者が用意した受電設備に入れ替える、その設備費用の消却期間が10年だから10年は契約し続けてくれないと困る、というものでした。
 「知るか、そんなこと」、というのが消費者の声でしょう。
 たとえば、業者の対応が思いのほか悪かったとき、あるいは他に安い電気の契約形態が関電から提供されたとき、「出口」、「解除」「解約」を考えます。 
 このとき、スムースにいくのだろうか。解除、解約したら、その業者は、入れた受電設備を撤去します。その費用負担はどうなるのか。業者に責めのある解除を主張しても、スムースに業者がそれを受入れるのか。
 そんなことを考えたら、初めて取引する相手方の業者と、始めからいきなり、10年の長期契約なんてできません。
 せいぜい2年契約で、更新するかどうかです。
 マンション管理会社との契約でも、2年契約で、自動更新条項はアウトとされています。

 にもかかわらず、各社一様に10年間の契約を主張し、結局、一歩も譲られませんでした。
 消費者がする契約で、10年以上の契約なんて住宅ローンくらいです。それも、最初にお金を借りたら、あとは返すだけという単純な内容。
 それをライフラインに関する電気に関して、どのようなトラブルが発生するか分からない未知の要素が多い中で、いきなり10年。
 
 契約は、無事に見送られました。


 「婚姻」でも、同じです。
 婚姻なんかは、期間の定めがありません。
 そんな契約を、会ってからまだ数か月でよく分からない相手と普通は、しません。
 それを「効果」だけに目を奪われ、「出口」を考えずに「入口」から入ってしまうと、あとで後悔することにもなりかねません。
 こちらが別れたいと思っても、相手が嫌だといったときにどうなるのか、どのような手続きが必要なのか。
 また、お互い、別れようということになっても、相手から法外な財産的要求をされた場合、どのように対応せざるをえないのか、どのような手続きが必要なのか。
 
 便宜上の「婚姻」として、「友情婚」と言われるものがあるようですが、よく「出口」を見据えたうえで、理解して納得して、それでも「入口」をくぐるのか、よくよく考える必要があると思います。

(おわり)
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2009年3月19日 (木)

理事会の苦悩〜マンション住人〜【松井】

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 暮らしているマンションの理事長になって早2年目。
 持ち回り当番で理事になり、あみだくじで理事長になってしまいました。
 
2 
 毎月1回、理事会を開いています。
 マンション管理会社のフロントの方もきて、依頼している業務の月々のお金の入りと出の報告などをしてもらっています。
 で、思うこと。
 毎月、定期的に管理組合のお金から出て行くお金があります。
 それが、1万円程度だったり、6万円だったり。もちろん管理会社へのお金も毎月数十万円。
 で、思うこと。
 これって、果たして適正価格なんだろうか?!ということ。

3 
 マンションがらみの問題でよくあるのは、大規模修繕のときのお金です。
 マンション管理会社ってそもそもの建設販売業者の子会社のことが多いです。
 そこで大規模修繕を担当する会社も当初の建設会社になることも多く、ただその場合の修繕工事費用!、これが、マンション管理組合の修繕積立金の残高とほぼ同じ金額だったりすることがあるとか、ないとか。
 つまり、財布の中を覗き込まれ、じゃあ、その有金(ありがね)全部で工事しましょう、というのと同じ状態になったり。
 工事の適正価格が基準ではなくて、管理組合の有金が工事代金とされたり。
 もっとひどいのだと、足りないから、各戸、30万円宛臨時に負担しないと足りないという話が管理会社から出されたり。


 これほどまでにマンション管理組合のお金って、食い物にされがちなんだと思います。
 食い物にされていても分からないのはなぜか。
 皆、自分たちのお金という意識が薄いことが原因だと思います。
 
 無駄なお金は一切はらわない、ぼったくりの目に遭わない。
 マンション管理組合の理事会って、苦悩しています。
 苦悩しながらも、それでも。
 私が理事をしながらなんですが、やはり仕事ではないので、どこか他人事的な感じがあってなかなかきっちりと金額の適正を根気強く確認する、業者をふるいにかけるということまで出来ません。
 一戸あたりで割ってしまうと大した金額じゃないということも大きいのだと思います。
 でも、「管理組合」から出て行くお金は小さくはありません。ここがミソかと思います。


 実際のところ、やはり何事も徹底的に「相見積」をとるのが一番なんだと思います。
 業者数者にプレゼンをしてもらったり。
 比較で決めるしかありません。
 
 ただ、これも。
 比較の対象があればいいんだけど、独占業者、他に代わる業者がいないとその業者のいいなりの値段になってしまいます。これってどうよ?と思いながら。たとえば、宅配用のボックスの保守管理費用。年間10万円以上を支払い、いったい何をしてもらっているのか。故障時の保険代というのには高すぎないか!?

 それに。
 日々の仕事をしながら、マンションのことのために業者に連絡したり、相見積をとるのというはなかなか時間的にも労力的にもしんどいものがあります。
 そのためにマンション管理会社があり、フロント担当者がいるんですけど、過去、マンションがらみの紛争を何件か経験するなかで、マンション管理会社も、いい会社もあれば、ゲっ!思いっきり食い物にしてるやん!というところもあるのを知っているので、いまひとつ信を置ききれていません。


 ただ、この考えでいったら、当然、弁護士に依頼、相談する人々も同じですよね。
 弁護士を比較検討。
 人柄、着手金・報酬金の金額、能力などなどなどなど。不快感を感じるか、好意をもてるか。
 相性ってものも当然あります。

 業者のプレゼンを経験したとき、中身もさることながら、担当者の方が与える個人的印象というものもやはり大きかったです。あ、ここはイヤだなと、しゃべる担当者を見て思ったり。なんなんでしょ。傲岸不遜な態度という印象を受けてしまったりすることもあります。本当は違うかもれいないのに。
 担当者が爽やかさんだからといって、仕事が出来るとは限らないことはもちろんなことも知っているけど。
 善だからといって、信はおけない。
 やはりどうしても、その人の顔、姿、服、声、話す内容、身振り手振り、すべてがその人を表すんでしょうね。
 それで、人はその人を判断する。

 でも。お金の話はシビアですから。
 理事会の苦悩は続きます。
 これを仕事とする本当に信頼できる人に委ねたいというのが本音です。そのための適正なお金なら払った方が、結局はかえって安いんじゃないかと。
 でも。独立系で管理組合の顧問なんかをやって食べているマンション管理士さんっているんだろうか。
 わたしはまだ過去、仕事上、いくつか管理組合や管理会社と関わっているので、そのときの経験で自分のマンションがどうかというのは比較できるけど、普通は、他の理事の方々は自分のマンションのことしか知らないだろうから、今の管理会社がどうなのか、種々の支払金額がどうなのかって比較できないだろう。
 そんなことからも、独立系で複数の管理組合の顧問、アドバイザーなどを努めるマンション管理士さんなどがいたら、非常に強みなんじゃないかと思うんだけど。

 あ、自分がやればいいのか。

 でも。アドバイスにお金を払うという考えがない人々がたぶん多数派なんだろうと思う。
 だから、マンション管理士の資格って、マンション管理会社の担当者の資格のようになってしまっているんだろう。それだけでは食べていけないんだろうから。
 でも。ああ、代理人に委ねたい、マンションの理事の仕事。
(おわり)
 
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2009年2月19日 (木)

分譲マンションと電気〜新しいビジネスモデルと誠実さ〜【松井】

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「kaisekizu.pdf」をダウンロード
 マインドマップで分析してみました。こんな感じか?


 分譲マンションに暮らしています。
 そんな中。

 以前にもこのブログに書いた、分譲マンションと電気の問題が起こりました。
 関電との電気供給契約は、一戸建ての場合と同様、各戸が契約し、低圧契約です。
 ところが、分譲マンションは一個建てと異なり、管理組合が関電と高圧の契約をすることが可能です。
 そこで、分譲マンションとして関電と高圧の契約をするか否かという問題が突きつけられています。

 なんのため?
 各戸が負担する電気代、あるいは管理組合が負担する共用部の電気代を安くすることができるのではないか?という考えからです。
 ただ、何も検討事項なくそうできるのであれば、どのマンションもそうしているはずです。

 何が躊躇させるのか?
 賃貸住宅のオーナーと同様の責任が管理組合にかかってくるからです。
 つまり、電気供給そのものの管理の責任と各戸の検針と請求などです。

 これを管理組合ができるのか?
 また、賃貸住宅のオーナーと違うのは、高圧を低圧にする変電設備については、契約内容を変更すると、関電は、従来、マンションの「電気室」においていた自社の設備を引上げます。そのかわりの設備を入れないといけない、これをどうするのか?です。


 そこで登場するのが、いわゆる新しい電力会社です。
 電力会社といっても、電気を売っているわけではない、というのがポイントです。
 今回、わたしが暮らすマンションでは数社に集会でプレゼンテーションをしてもらいました。
 
 各社は当然、メリットを強調します。曰く、電気代が安くなる、デメリットはありません、万が一我が社が潰れても、電気供給が止まることはありません、事業承継会社が現れます。

 電気供給が止まらないのは当たり前です。
 法律で定められているので、何かがあったら関電が対応します。

 問題なのは、管理組合、区分所有者として、「余計な出費」があるのかどうかです。
 電気代が安くなるといっても、各戸の場合、従前の最大10%です。月1万円だったら、1000円です。
 その1000円は、10年たっても、12万円です。
 12万円のために、たとえば、余計な出費として、また関電に切り替えるための負担費用として、工事費を管理組合に対し、200万円請求されたら?50戸のマンションだったら一戸あたり4万円です。しかも。それが、契約後、3年以内だったら、何のために、新会社との契約を管理組合としてしたのか?ということになります。
 事業承継会社といっても、じゃあ、そこと貴社との契約書はどうなってる?管理組合に新たな負担なしでOKになってるの?
 登場して、まだ数年の新しいビジネスモデルです。
 

 新しいビジネスモデル、スタイルというのは、結局のところ、その債務は何かという観点で分析して、その債務を遂行する能力があるのか、もし債務不履行状態が起こったときにどういう対応がとれるのか、といったことを想定するしかありません。
 破産するんじゃないかという倒産リスクについては、その会社の財務内容はそもそもどの社も上場企業ではないので、監査もなく、粉飾されていたらわかりようがありません。

 双方がいかなる債務を負うのかという点で契約を分析すると、これらの新会社は、マンション管理についての、従前の管理会社と同様、管理組合が自ら出来ない業務を委託するにすぎないということがよく分かります。

 だったらそのように説明して欲しいと思う。
 業務を委託する契約なのに、どの社も定額の料金制ではありません。
 自社がいったいいくらの代金を受領するのかを明確にせずに、住人が、従来のパターンよりも8%得する、管理組合が10%得するといった説明の仕方をしていました。
 我が社は仕事として、これこれこれだけの仕事をする、そのお代は、仕事内容に見合ったこれこれの代金になりますよ、といった形をきちんと示せばいいのに。
 やっぱり信用できない・・・。
 分譲マンションって、いい餌食なんだと思う。
 
 もうすぐ大規模修繕工事の時期。このとき。各社が群がってくる。場合によっては、管理会社もこのときのために手ぐすねひいているとか。
 
 疑心暗鬼、考えすぎ?


 で、わたしはというと。各社が用意している契約書を見せて欲しいと言いました。契約書を見たらその会社の姿勢が分かります。いい加減が、文字通りありとあらゆる手当がされているか。
 営業トークで口だけで、契約書には一切書かれていなくって、あとでトラブルというのがよくあるパターンなので。「大丈夫です!」「迷惑はかけません!」という言葉ほど信用できないものはないので。でも、この言葉だけを信じて、契約してしまう人がなんと多いことか。餌食です。
 でも。
 餌食にされる方が悪いのではなく。餌食にする方が絶対に悪だと思います。
 そういうせこい人間性が大嫌い。恥ずかしくないの?と思います。それが根底。
 だからずっと。大阪弁護士会の消費者保護委員会に入っています。
 儲け話にだまされる消費者が悪いのではなく、騙す業者が悪い、という価値観です。

(おわり) 
 
*美しいものを見て、心を洗わねば。浄化が必要か。
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2008年5月21日 (水)

電気室、再び〜分譲マンションの電気代〜【松井】

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 いわゆる電力自由化によって、電気供給契約において、関西電力、東京電力といった既存の電力会社以外の会社が関与できるようになっているようです。
 このような状況の中、新しい会社がどういった契約システムで営業をしているのか知る機会がありました。


 例えば、私が知っているのは次のような事例。

 分譲マンションの管理組合に対して営業をかける。
 セールスポイントはというと、今、各戸が関西電力に支払っている電力が最大10%お得になりますよ。
 そのシステムはというと。
 分譲マンションには、6000Vの電気を一般家庭でつかえる100Vに変換する変電設備が必ずどこかにあります。
 いわゆる「電力会社の借室問題」というのは、この変電設備が関電の所有する設備であるにも関わらず、消費者であるマンション所有者らがその敷地、空間を関電に提供して、電気の供給を受けている、しかも提供は無償であるという点です。
 何がおかしいのか。
 一戸建て住宅と比較した場合、マンション所有者らが同じ一般消費者であり低圧電力での契約をしているという点で同じである。一戸建て住宅の場合は、この高圧を低圧にする関電の変電設備は電柱にとりつけてあって、一戸建て所有者である消費者は電気の供給を受けるにあたって特別な負担はありません。ところが、マンション所有者らの場合は、上記のように無償で敷地、空間を関電の設備のために提供させられているという点で、余計な負担を負わせられているということです。
 新築の分譲マンションにおいては、工事段階で、デベロッパーと関電とで、変電設備のための空間を無償で提供するという合意書が取り交わされていたりするようです。
  
 このような状況において、新しい会社は分譲マンションの管理組合に営業をかけるわけです。
 つまり、各戸は、低圧電力での契約をしているところ、事業者用の高圧電力での契約に変更させるわけです。
 事業者向けの高圧電力で関電と契約すれば、単価が安くなるので、マンション各戸あたりの電気代も当然に安くなるのです。
 ただ、この場合、管理責任者を用意したりしないといけないという、一般家庭の低圧電力での契約とは異なる負担が生じます。
 この点を、新しい会社が、関電に代わって、管理組合、各住戸に代わって提供しようというのです。
 電気料金の差額のところで、利益を得るわけです。

 ただ、このようにシステムを変更するには、関電の設備である既存の変電設備を撤去して、新たに変電設備を設置しないといけないようです。関電の設備をそのまま譲り受けるといったことは出来ないようです。
 すると、この新たな変電設備は誰のものなのか。
 管理組合が購入するのか?
 それでは新たな設備投資を管理組合が負担することとなり、参入障壁は高いものとなります。

 この新たな変電設備は、新しい会社が投入するわけです。それが、自社所有なのか、リースなのかはともかくとして(たぶん、リース)。
  
 このような状況から、新しい会社と管理組合との間の契約スタイルが導かれます。
 すなわち、 
   契約期間は、10年!
 長っ。

 新しい会社は、この長期にわたる契約期間でもって管理組合を拘束することにより、設備投資の費用を回収するシステムです。
 変電設備がいくらのものかまでは、まだ分かりませんが、10年をもって回収せざるを得ないような金額ということでしょうか。
 あるいは、ただ単に、長期拘束して儲けを確保しようとしているだけなのか。だとしたら、欲がすぎるかと。

 すると、管理組合が検討しないといけないことは明らかです。

 この新しい会社は、10年間、潰れないのかどうか。
 仮にもし、契約期間中に事業廃止、倒産等に至った場合、管理組合には最悪、どれだけの出費が発生せざるを得ないのか。
  
 新しい会社が破産した場合、その会社所有の変電設備であれば、マンション管理組合に買い取るように打診があるでしょう。価値があるにもかかわらず、管理組合が買い取らないのであれば撤去して売却します。あるいはリースであっても、同じです。
 撤去される可能性があります。

 電力の供給自体は関西電力に法的な義務が有る以上、マンションの各戸は新たに元通りに関西電力と契約すればいいだけでしょう。
 ただ、変電設備について、新たに関西電力が無料で設置してくれるのでしょうか。そんなわけはないかと思います。
 だとすれば、いずれにしても最悪、管理組合、マンション住人らは、新たに変電設備を設置しないといけない、その費用負担のリスクが発生するのです。
 これがいくらなのかというのがリスク計算の大事なところだとは思います。

 常に最悪の事態に備える。

 新しい会社が、例えば、自社が倒産あるいは事業撤退した場合、承継企業がこの費用負担をしますといっていても、そんな言葉に承継企業が拘束される法的根拠は、当然、ありません。
 パンフレットの謳い文句を無防備に信じる人々がほとんどかと思いますが、常に疑ってかかってください。
  
 常に疑ってかかることが、消費者被害を防ぐ術、自身を守る術となります。

 この会社は10年の長期契約を求めてきているけど、10年経づして潰れたらどうなるのか。
 まず、潰れる可能性はどうなのかの確認。
 潰れる可能性としては、信用できないものである可能性も高いけど、まずは財務状況を確認する必要があります。
  
 営業をかけてきた会社に対して、過去数年の財務諸表の提出を要求してください。
 そしてのその財務諸表を信頼できる人、財務諸表を読み解く能力のある専門家に見せて、意見を聞いてみてください。
  
 そもそも財務諸表を出せないという会社は、その時点で、見せられない会社の資産状況なんだと判断すべきでしょう。 
 つまり、10年の契約を結んでも、10年もたない可能性が高いといえる。低いとする根拠は何もない、ということです。

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 分譲マンションにお住まいの方々。
 疑い深く、最悪の状態を考えてください。

 例えば、連帯保証債務を請求された方は皆さん、こういいます。
 「絶対、迷惑はかけないといわれたから、契約書にサインしたのに。」
 
 人の言葉ではなく、法律と数字をチェックしてください。ウラをとってください。
 利益に比して、それはハイ・リスクなのか、ロー・リスクなのか。
 日常のベースとなる住居に関する事柄については、ハイ・リスク、ハイ・リターンの商品を買う必要はないとわたしは思います。

 
(おわり)