仕事とは~佐藤可士和さん~【松井】
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今朝の朝日新聞土曜版では、アートディレクターの佐藤可士和さんが取り上げられていました。
私の印象では、昨年あたりから、その仕事の結果だけでなく、ご本人がいろいろな媒体に取り上げられ、その職場や仕事のやり方、思いなどが露出するようになっていました。
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今日の記事を読むと、ますます興味を持つとういか、佐藤可士和さんに対する関心が高まりました。
正直なところ、一分の隙もなく何かにこだわるということはあまりない、むしろ好きではないのですが、矛盾かもしれないけど、些細なことに妙に心惹かれて愛着するということがあります。モノに対して。
写真は、愛用しているモノたちです。フランスのロディア社のノートパッドに、コンピュノート社のコンピューターの本物の基盤で創られたノートフォルダ、アマダナ社の計算機に、ゲンテン社の筆箱。
なぜ気に入っているかというと、もちろんブランド名などではなくデザインやそのモノから感じられるセンスに心惹かれるからです。
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心がウキウキさせられるのは、創った人の遊び心、軽やかな感じのなかに思い入れ、細心の心遣いを感じられるモノです。
写真にうつっているモノたちからは、私はそういった「弾み」を感じます。
逆にいえば、「考えなし」のモノたちからはマイナスの波長を感じて、嫌な気分になってしまいます。「考えなし」の対極が、私の心を弾ませる「考えあり」のデザインのモノたちになるのだと思います。
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佐藤可士和さんが創り出すモノたちからは当然ですが、「考えあり」のまさにとぎすまされた意識を感じます。そしてのその仕事に対する姿勢を語る、掲載されている佐藤さん自身の言葉にはいろいろと印象深いものがあります。
以下、3月31日付け朝日新聞「be」からの引用です。
「僕が『広告は、見てもらえないものだ』と思って、作っているからでしょう。」
「多くの広告は、見てもらえるという前提で作られている。だからどうしても、あれも言いたい、これも入れたいと欲が出る。でもそれ以前に、とにかく目や足を止めてもらわなきゃならないのに。それには広告に、価値を与えなきゃだめです。」「突破口は、とことん本質に向き合うことだと思う。そして本質をつかんだら、余計なものは徹底してそぎ落とす。難しいですけどね。」
「単なる提案にとどまらず、最後に具体的な形、モノまでつくるところは普通のコンサルタントとは違います。そしてそれは、デザイナーにしかできないと思いますから。」
「僕の仕事は、相手から答えを引き出すことだから。」
「だから僕は、たくさん質問をして『本当はあなた、こうしたいんじゃないの?』ということをズバッとつかんで、鮮やかに解決したいんです。」「僕はむしろ、いろんな人と仕事をすればするほど、どんどん自分の中に知恵が入ってくる。そしてそれが別の仕事で役立つんです。
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仕事とはこういうものかもしれないと思いました。
裁判官に読んでもらえると思って、本質に欠けたダラダラとした書面を作ってちゃダメだし、相談者、依頼者の方に分かってもらえる、聞いてもらえると思って、分かりににくい言葉で話したらダメだし。
「突破口は、とことん本質に向き合うこと」
(おわり)
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