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2010年1月

2010年1月26日 (火)

年賀状と離婚事件の元依頼者の方々~「代理人」制度~【松井】

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 先日、お年玉くじ付き年賀状の当選番号発表があったようです。昔は、いただいた年賀状からちょと期待しつつ番号チェックをしたものですが結局、記念切手しか当選したことはなく、そのうちに番号チェックもしなくなってしまいました。
 この年賀状、知り合いの方々の中では、いろいろと思うところあられて葉書ではださずにメールやウェブで新年の挨拶をされるかたも少なくはありません。
 私も、年末の大慌ての事態を迎えると今年でもう止めようかなという気持ちにもなったりします。


 ただ、宛名書きや図柄などは印刷するのですが、一人一人送り先を確認するとき、さらにはひと言添えるとき、その時間が非常に大事だなと思います。
 名簿を確認しているときもそうですが、印刷された葉書を手にとり、宛名を確認するとき、その人のことを考えます。そして、その人と自分との間柄、過去の出来事を振り返ります。
 年末、twitter上で年賀状のことが話題となったとき、「年賀状」は「感謝状」だと表現されている方がいらっしゃいました。
 その人のことを思い、ありがとうという気持ちになる大事な時間が年賀状をしたためるときだと。
 そのとおりだと思います。
 
 そして年明け、私にとっていただいた年賀状で毎年、なによりも安心するのは、過去、担当させていただいた離婚事件の当事者の方々からの年賀状です。
 元気なお子さんの写真付きのものだったりすると、ああ、あの当時、あれほど小さかった子が小学校に入学し、こんなに大きくなっている、添えて頂いている言葉からも落ち着いた様子がうかがえて、ほっとした笑顔が自然ともれます。
 また、ご自身の近況も添えていただいた年賀状をいただいたりすると、これも、「ああ、お元気で働いておられるんだな。」と安心します。

3 
 会社の依頼者の方でも担当者や社長さんから近況をいただいたり、その他多くの終わった事件の依頼者の方々から、ひと言近況が添えられていると、当時の事件や依頼者の方との会話を懐かしく思い出したりします。そして、現在の落ち着いた様子に安心します。

 ただ、依頼者の方の中でも、ひときわ安心するのがやはり離婚事件の依頼者の方々です。なぜなら、依頼を受けた事柄として、その方のもっとも重要な人生の岐路に関わらせて頂いたことになるからだろうと思います。
 まだ結婚されて1年ほどであったり、30年以上経ってからの離婚の決断であられたり。お子さんはまだ赤ん坊だったり、4歳だったり。
 弁護士としてお手伝いさせていただく状況だったということは、やはりご本人だけでは対処しがたい困難な状況に置かれていた方々です。
 そこで無事に、調停離婚が成立したり、あるいは裁判となって離婚判決を得たり、和解で終わったり。法定の手続を経て、解決に至っています。
 そこにおいては、どうしても「あのときこうだった、このときこうだった」というやりとりが主になります。それは、自身でも後悔する言動であったり、怒りが再燃するような言動も出てきます。
 そういった事柄と向き合い、自分の人生は自分で決断して自分で道を拓いていくしかないときりひらいていかれた方々です。

 相手は、夫であろうが妻であろうが、そのときいったんは自身で選ばれた道です。その道を否定するかのような選択をするのは、無意識の中においても辛いものがあるだろうとは思います。
 そこに「代理人」として関わらせていただき、依頼者の方の荷物を運ぶのを手伝わせていただき、ちょっとでも楽な気持ちになっていただき、対外的な代理人活動をして、ご一緒に新たな道を模索していきます。
 
 正直なところ、わたしは代理人活動をするにしても一番しんどいのが離婚事件の代理人です。
 依頼者の方のずっしりと重い思いにまず共感させていただかないと仕事としては進まないものだと思っているからです。
 離婚事件については、弁護士のところに相談に来る前に「弁護士以外」の方にお金を払って相談されている方も意外と多いようです。
 ただ、そういった「弁護士以外」の方と「弁護士」の一番の違いは、「代理人」として活動できるかどうかです。「代理人」にならない場合は、いわば横からの助言人に過ぎないのではないかと思います。「代理人」になるということは、対外的にその方を代理することであって、いわば一部を引き受けたような重みが生じます。
 またそれが、相談者にとっては、「弁護士への依頼」のいいところではないかと思います。
 弁護士に依頼することによって、重い荷物を一人で抱えるのではなく、いっしょに下から支えてくれる人が加わったような気持ちなるのではないかと思います。
 自分が直接に相手と話をしなくてもいい、これが大きな救いになると思います。それが「代理人制度」。
 弁護士法によって、対価をもらって代理人として法的な事柄に関われるのは弁護士だけだとされています。
 その制度趣旨の是非はともかくとして、「代理人制度」は素晴らしい制度だと思います。プロ野球選手の契約更改においても、なぜ野球一筋で来た人が自ら、複雑な自身の権利関係に関する交渉に当たらないといけないのか。この点だけでも、別のプロに任せられたら自身は野球に専念に出来るのに、というものだと思います。
 
 自身の事柄は自分一人で解決しないといけない、というものではありません。もちろん、最後の決断をするのは自分しかありませんが、その過程においては一緒に荷物運びを手伝ってくれる人にお金を支払い、助力を依頼してもなんの問題もありません。荷物運びのプロ、その道のプロというものがいます。
 利用できるなら利用された方が結局、ご自身にとってプラスだろうと思います。

4 
 今年の年明け一月、大阪弁護士会への登録によって年間で割り振りをされている某市役所への無料相談会の担当者として2回ほど相談担当をしました。
 気軽に弁護士に相談に行けるよい制度だと思います。
 そこでは一人25分で、7名の方の相談を3時間で受けることになっています。
 やはり多いのは、離婚のご相談です。以前は、多重債務の相談が多かったのですが、さすがに最近は減ってきたことを実感しています。
 ただ、絶えずあるのが離婚のご相談です。
 そこでまず問いかけるのは、「あなたはどうしたいのですか。」ということです。
 その上で、助力が必要なら弁護士に依頼すべきです、と。助力が必要というのは、法的な対応の仕方によって結論が異なりそうなときです。もし弁護士に依頼する費用が用意できないというのなら、通常「法テラス」によって立替制度もあることを伝えます。また、大阪弁護士会では弁護士紹介というサービスをしているので、知り合いに弁護士がいなければそのサービスを利用したらよい旨も伝えます。

 25分だけの相談です。その中で先の見通しがたってほっとされる表情を見せる方もいらっしゃいますが、その後、その方が弁護士のもとに行っているのか、依頼されているのかは分かりません。
 弁護士に相談し、依頼するのかどうか、法律・交渉の専門家である弁護士に代理人活動を依頼し、助力を要請するのかどうか。
 それもその人自身の大きな判断・決断の一つです。
 そして弁護士に依頼するときに、どういう弁護士に依頼するのか。
 すべては自身の選択と決断です。

 年末、年賀状を作成したり、年明け、いただいた年賀状を手にとっていると、ああ、この仕事は本当に人ととの出会いだな、いい方々と出会えて幸せだったなと実感します。
 
 相談される方々が、そう思える弁護士に出会われることを祈っております。
 
 また、自分がそう思われる弁護士の一人であるように精進したいと思います。
 「あの弁護士、最悪やったわ。」と言われているようなことがあるかと思うとそこはやはり涙が出ます!「ふん、あんな相談者、二度とごめんやわっ。」と思えるくらいならきっと楽なのでしょうが。
 
(おわり)

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2010年1月23日 (土)

「節税」の内容【松井】

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*年末、ビールと大橋弁護士。


 奥村佳史さんの「法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる」(光文社新書)を読みました。
 
 

 非常に面白い本で、楽しく読めました。
 身近な事案から説き起こして、法人税法の趣旨について触れています。
 くだけた文章でありながら、次のようなことに触れられた骨太な本です。
  

法人税の納税義務者
  法人税の課税標準
  法人税の税額計算
  繰越欠損金制度 
  受取配当の益金不算入
  棚卸資産と売上原価 
  減価償却 
  役員給与
  交際費、寄附金、使途秘匿金
  貸倒損失と貸倒引当金
  資産の評価損
  圧縮記帳などの節税対策
  申告と納付

 こんな内容について、「たくあんで法人税を納めることができたなら」「赤字でも法人税」「みずほ銀行はなぜ法人税を払わないのか?」「投資会社社員は電話が怖い?」「決算日、肺が凍りそうです」「リゾート施設を買ったなら」「名ばかり管理職の次は、名ばかり役員」といった章のタイトルで、各章を書き出されています。


 そのため、読み物としても非常に読ませる内容で面白いのですが、著者の骨太の意見、視点も随所に見受けられ、ほれぼれとします。
 私が、やはりそうだよねと腑に落ちたのは、節税の点に対する著者の言葉でした。
 
 217頁
 

「本当に有効な節税対策はあるのか」
という箇所です。
 
「私が節税対策に求める効果は次のとおりです。
  (1) 課税の繰り延べではなく、永久に税負担が減少するものであること。
  (2) 会社が余計な支出をしなくてもいいもの
  (3) 会社の損益計算書に損失が計上されないもの 」

 

「皆さんがよくご存じの節税対策は右の条件を満たしますか?
  例えば、慰安旅行に出かけるという節税対策は、(1)を満たしますが、(2)と(3)を満たしません。
  乗用車を購入する方法も同様です。」

  そうしたうえで、一つだけこれらの要件に当てはまるものが一つだけある、と紹介しています。
  そして。
 

「実はこの方法、上場企業ではほとんどの会社がご存知です。けれど中小企業にはあまり知られていません。その理由は簡単です。」

 
「このような節税プランを紹介したとしたとしても、ビジネスとしてうまみのある業者が存在しないためです。」
 「つまり、節税対策というのは色々とあるけれど、これを商材として販売した場合に儲かるというものだけが世の中に広まるのです。そうでない節税対策はいくら有効なものであっても、宣伝してまわる人がいないため、世の中に広まっていかないのです。」

 
  そして次にこのように述べています。
 
「税理士事務所の中にも、生命保険の代理店を営んでいるところがあります。生命保険は節税プランとして薦めるけれど、自己株式買取は薦めない。こういった税理士さんがどういった思考で動いていらっしゃるのかはわかりません。」

 
3 
 弁護士業においても、本当に弁護士一人で出来る仕事というのは限られています。
 依頼者の方に、建築士さん、税理士さん、会計士さん、不動産業者さんなどを紹介し、これらの別の専門業種の方々と共同しつつ仕事を進めることもあります。このようなとき、キックバックのような類の金銭を他の業者から受け取る弁護士はまずいないと思います。
 依頼者の正当な利益のために働くという大前提からすれば、第三者に対して依頼者にお金を使わせることによって、その第三者からお金が入り自分の懐が潤うような構造は、依頼者の利益のためにといいながら、実際には自分が儲けを手にいれたいがためにという構造にならないといはいえないからです。
 それでも、いや、客観的に依頼者の利益になっていれば何も問題ないんだといったことを述べられていた某業種の方の意見を目にしたことがあります。
 正直なところ、驚きました。
 客観的に「公正」であるかどうかなんて、判断は困難です。
 そこでまず大事なのが、「公正らしさ」、「らしさ」という構造、仕組みを守ることです。
 こういった考えから定められている法律もいくつかあります。
 
 奥村佳史さんも、節税プランと生命保険を例にとってこのことを述べているのだろうと思います。
 これはたぶん、専門家としてのプライドの問題なんだろうと思います。
 とにかく常に、依頼者の利益を最優先させ、依頼者の利益だけを考える、自分の利益は結果論として出てくるもの。それが弁護士の姿だと思います。
 ある先輩弁護士が仰っていた、事件処理の際に気をつけているということ。
 「依頼者に出来るだけお金を使わせないこと。」
 
 そのとおりです。なので、実は、不動産鑑定士さん、一級建築士さん、税理士さん、公認会計士さん、不動産仲介業者さんなどを紹介し、それらの方々の協力を得ざるをえないときは非常に心苦しいというのが本当のところです。
 私が兼ねることが出来ればいいのですが、そんな能力もなく。
 また、裁判において裁判所は、第三の専門家の意見は一応、尊重するということが多々あるのも事実であり。なんともまあ、難しいです。
 紛争解決において、他者の力を借りる限りはお金がかかります。
 お金を節約しようと思えば、正直なところ、他社の力を借りずに自分一人でことに当たるということになります。

(おわり)
*昨年。西表島を旅行中の松井の姿。こんなもんです。。。基本、ジーンズ。
 
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2010年1月18日 (月)

相続事件の数字【松井】

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*三重県四日市市の諏訪神社の境内。幼いころ、ここが遊び場でした。屋根に登ったり。。。


 先日、大阪弁護士会主催の「遺言・相続センター研修」の一環での「相続関連事件の手続選択などについて」という研修を受けてきました。講師は、元家庭裁判所の書記官だったという弁護士の方です。実は、以前、途中から代理人となった遺産分割審判事件での相手方代理人をされていた弁護士でもあるので、その方の緻密な仕事ぶりはよく存じ上げている方でした。
 その研修もやはり、非常に緻密なレジュメが配られ、書記官として、また弁護士としても、相続事件全般に経験豊富な弁護士として実務上の事柄が語られていました。
 

 ただ、例えば、私が研修を担当するとしたらどういったことをまず注意するように話をするだろうかと考えたとき、細かいことはさておき、まずこの数字には気をつけて下さいということを言うかと思います。
 □5000万円
 □10か月
 □1年
 □3年
 
 この「5000万円」、「10か月」、そして「3年」というのは要するに、相続税等の税法に関する手続きに気をつけて下さいということです。
 5000万円というのは、遺産総額が、この5000万円に相続人×1000万円を足した金額を超えるようであれば、相続税の申告が必要ですよということです。もっとも気をつけないといけないのは、この「遺産総額」については、相続税法に基づいた「遺産」の範囲に遺産の「評価」があるということです。民法上の考えとは違う点があります。

 そして、「10か月」というのは、相続税の申告が必要な場合、被相続人の死亡を知った後翌日から10か月後が原則的な相続税の申告、納税期限ですよ、ということです。申告だけではなく、納税もしなければならないので、納税原資をどのように調達するのかが問題となります。
 普段から懇意にしている税理士さん、それも相続税に詳しい、あるいは詳しい税理士を紹介できる税理士さんを相続人の方がご存知ならよいのですが、そうでない場合もあります。
 そんなとき、相談を受けた弁護士としては、すぐに相続税法に詳しい税理士を紹介し、相続に関する処理方針を決める必要があります。
 法定の申告納税期限までに遺産分割協議、あるいは遺留分減殺請求に関する処理が合意できていればいいのですが、そうでない場合であっても、税法上は、未分割として法定相続分で相続したものとして申告納税する必要があります。この申告納税をしない場合、10数パーセントの延滞税がかかってきます。依頼者の不要な損害を回避するためには要注意です。

 そしてもう一つ。3年。
 これは、不動産譲渡所得税がらみです。遺産たる不動産を相続し、その売却となった場合、売却が3年以内であれば納税した相続税額が経費たる取得費として控除でき、利益を圧縮できて、結果、納税額を少なくすることに役立ちます。しかし、これが3年を超えているとこの適用は原則的には認められないとされています。
 こういった税法による圧迫があれば、相続人は皆、対税法と言う点ではおおよそ利害を共通にしているので、長期化しそうな紛争も折り合いが付けられて、迅速解決することがなくはありません。
 相談を受けた弁護士としては、こういった情報を依頼者に提供できる、出来ないは事件処理としても大きく違うのではないかと思われます。
 (*上記記述は一般論です。実際の事件における処理の適否、詳細については、必ず税理士にご相談ください。)
 (*国税庁のタックスアンサーは、概要を抑えるのに便利です。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4202.htm

3 
 そしてもう一つは「1年」。これは普通、相続の相談にあたる弁護士なら皆、確実に知っているものです。遺留分減殺請求権の行使期間です。
 遺留分侵害になるかもしれない「遺言」の存在が分かったら、その遺言の無効を主張する場合でも念のため、ひとまず遺留分減殺請求権を行使しておくのが望ましい処理です。その請求の有無事態が争点となることを避けるためにも、請求は内容証明郵便で行うのが確実です。まだまだ時間があると思って後回しにしているうちに、うっかり1年が経過してしまうということにもなりかねませんので、早め早めに。
 

 さらに私なら、と思ったことは、この遺留分減殺請求に関してです。
 何件か遺留分減殺請求事件を担当してきましたが、私の経験からすれば、これはまず法定外での話し合いを試みて、主張の乖離がひどく合意は難しいということであれば、家庭裁判所への調停申立てはすっとばして、遺留分減殺請求に基づく訴訟を地方裁判所に行った方が解決は早いということです。厳密な調停前置主義はとられていません。
 調停手続きで協議を行っても、このような関係の場合、まず話がまとまるということはありません。
 むしろ、訴訟手続きにおいて、厳密な主張立証手続きを行う中で、しかるべき金額を払うべき側も観念せざるを得ず、私の経験からすれば、和解で終わります。一審判決が出たとしても、控訴審で和解になったこともあります。
 こういった点は、処理方法として何が正しいというものではもなく、各弁護士の経験による実感なのかなと思います。

 いずれにしても、改めて相続事件はまだまだ奥が深いなと思わせられた研修でした。それだけに、今後おそらく、相続、特に遺言作成、執行等に関わった弁護士に対する弁護過誤訴訟が増えるのではないだろうかとの思いを抱いています。気をつけねば。
(おわり) 

*下にいたら見えないことも、上に登って下をみるとその大きなポイントがよく分かることがあります。
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2010年1月15日 (金)

雑誌・新聞/刺激・出会い/まあ、結局、人が面白い【松井】

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 今年、なんとか週に一度はブログをアップするようにしようと思いながら、やはり昨年から始めたツイッターの影響か、貯めて貯めてブログの記事とする前にちょこちょこと思考をツイッターで吐き出してしまい、なかなかブログ記事を書こうというだけのマグマが貯まりません。
 たわいのないブログですがほそぼそと書き続けていると、結構、人との出会いや接点が出来て、会わなかったであろう人とお会いしてお話できる機会ももたらしてくれたブログなので、やはりこのままほそぼそと続けていきたいとは思っています。
 弁護士としては、もっと法律や判例のことなどを語るべきなのかもしれませんが。。。


 日常の中でちょっと感動するようなことがあるのは、何か新しい話、出来事に触れたときです。
 それがどのようにもたらされるのかは、実際、限られていると思います。
 まず、人の口からか、それ以外。
 それ以外になると、ネット、あるいは新聞・雑誌といった紙媒体しかないかと思います。あ、ラジオもありますが。
 この紙媒体でいうと、私は小学生のころから新聞、雑誌好きでした。活字があると読まずにはいられないという感じです。ただ、回りの法律家の友人では本当の活字中毒者というのが多くいます。
 今は、新聞は朝日新聞と日経新聞を購読し、雑誌は数誌を定期購読すると共に、新聞などの広告欄や本屋さんでざざっとどんな雑誌があるのかを流し読みしています。
 そういった中、この1週間で久しぶりに、感動する雑誌記事や新聞記事を目にすることができました。


 一つは、「ヴォーグニッポン」2月号。

 宿泊先のホテルの部屋に「GQ」と共に置いてあったものを何気なく手にとりパラパラと頁を繰りました。
 すると、格好よくお洒落した上野千鶴子さんの写真と共に、上野千鶴子さんへのインタビュー記事が載っていました。
 またさらには、青森の森のイスキアの建物を背にした佐藤初女さんの綺麗な写真とそのインタビュー記事も!
 驚きました。ファッション雑誌ってファッションばかりだと思っていたからです。今年の流行はコレ!だとか、この小物が素敵!とか。人物に焦点を当てているとは思いませんでした。

 上野さんのインタビューは、やはりとても深く、心に染み入るものでした。人の人生というのは、10代、20代、30代、40代、50代とそれぞれの時があって、本当に川の流れのようだなと実感していたところ、まさにそういったことに触れた記事でした。人の一生の起伏について思いを馳せました。

 そして80歳を過ぎた佐藤初女さん。相変わらずお元気そうで、凛とした姿でした。数年前に大阪に講演に来られたときにお目にかかり、その後、思うところがあって少しだけやりとりをさせていただきました。ただ、優しいというだけではない、物事のすべてを飲み込むような強さを感じさせられた佐藤初女さん。

 自分が身につけるものについて全くこだわりがないわけではないけど、ことさらにお洒落に気を遣うということもなく、好きなものを好きなように着ていました。
 ただ、「ファッション」というのは、まさに生き方そのものが「ファッション」であってその人の内面が表面に出るものであって、「ファッション」雑誌というものに対して誤解があった自分が分かりました。「ファッション雑誌」は「生き様雑誌」ですね。結局、「人」です。ファッションが面白いというのは人間が面白いということのなのだと改めて分かりました。
 ヴォーグニッポンは、結構素敵な雑誌だということも分かりました。大阪に戻ってから、早速、この2月号を買ってみました。ついでに、これも普段なら買わない、「日経ウーマン」に「婦人公論」も。勢いって大切です。

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 そしてもう一つは今朝の日経新聞の文化欄です。
 日経新聞は、朝刊も夕刊も文化欄が朝日新聞よりずっと中身があって、個性的で、充実しているなと思いながらいつもチェックしていたのですが、今日も驚きの出会いを味わえました。
  
 「たったひとりの映画賞」ということで、映画ジャーナリストの大高宏雄さんの記事です。
 衝動に突き上げられて、一人で映画賞を作った方です。
 素敵な文章。
 「人生にはしばしば、行き着く先も考えず発作的に行動する瞬間がある。」
 
 そのとおりだと思います。
 そしてそれがあるからこそ、生きていて自分でも面白いなと思えます。思い当たることが私にも4つ、5つあります。
 
 「誰かが自分を見ていてくれる、という希望は人に勇気を与える。」
 そういう根底の気持ちから、一人、映画賞を作った大高さん。

 朝、この一文を読み、自分の中の血が熱を帯びるのを感じました。
 こうでなくっちゃ、と。


 ヴォーグニッポンの編集長も、この日経の文化欄の担当者の方もそれぞれ、大きな流れからはちょっと外れているかもしれないけど、でもしっかりとそこに存在するものに光を当て、取り上げる。その姿勢、そういうった紙媒体があり、そのお陰で自身も素敵な出会いに刺激が得られること、そのことに改めて幸せを感じることができました。
 少し弱っているのでしょうか、私。。。
 お風呂のお湯の暖かさに感動できるという「ホームレス中学生」の麒麟・田村さん。
 
 こういう雑誌や新聞記事を目にすることが出来ることにありがたいと思いました。

 それもこれもたぶん。塩野七生さんの「ローマから日本が見える」を正月、読んでいたからだろうとは思います。ローマ時代、生きるのも大変な時代。100年単位で歴史が塗り替えられていった時代。
 ああ、この時代に生まれていて、今、なんとかここまで生きていて幸せだとふと思うことが出来ます。
 まあ、それもいつまで続くかですが。。。
 明日死ぬかもしれないと思って、自分が出来ることをやっていきます。がんばります。

(おわり)

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2010年1月 5日 (火)

会社の経営~タリーズコーヒージャパンに何があったのか~【松井】

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 新年あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願い致します。

 昨年年末は、年末の挨拶をブログでアップできませんでした。
 が、無事に年も明け、気持ちも新たにいこうと思います。
 よろしくお願いします。
 前にも書いたかもしれませんが、今年はもっと気軽に気づいたことなどを考え途中であってもとりあえず文章化してアップしていこうと思います。


 この年末年始は、平成17年に買ってずっと読んでいなかった、松田公太さんの「すべては一杯のコーヒーから」(新潮文庫)を読みました。で、その後、何かずっとひっかかるものが残っています。この点、まだうまくまとめられていませんが、メモがてら記しておきます。
 新年なので、今年の心意気とかもっと新年らしいことを書けないのかと自分でも思うのですが。。。



以下は、もっぱら「すべては一杯のコーヒーから」の抜き書きです。

松田公太さん
昭和42年生まれ 
筑波大学国際関係学類入学
平成2年 三和銀行入行
平成8年 同銀行退行

平成9年8月 タリーズコーヒー1号店 銀座オープン
平成10年5月 タリーズコーヒージャパン株式会社設立
 資本金2700万円
  ジョイントコーポレーション方式
  松田氏780万円(29%)、
  アメリカのタリーズ(29%)、
  内装担当した会社515万円(19%)、
  ダン215万円(8%)、
  MVC410万円(15%)。

平成11年4月 ベンチャーキャピタル数社を中心に1億2000万円

平成12年4月 会社、大企業の経営者から5億2500万円を調達。

平成13年3月期 売上高約10億8000万円、経常利益9500万円、店舗数23。
平成13年7月 ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)上場。

平成16年1月 フードエックス・グローブ 上場廃止。
「ACキャピタル」というファンド運用会社と共同で新会社を設立。

平成16年8月 200店舗。

平成17年2月 233店舗。(直営店86、FC店147)
平成17年4月 「すべては一杯のコーヒーから」新潮文庫版、出版。

平成18年10月 伊藤園、株式取得、伊藤園グループ下に。
平成19年 松田公太氏、タリーズコーヒージャパン株式会社代表取締役退任。



平成21年8月 「松田公太オフィシャル ウェブサイト」オープン
        http://koutamatsuda.com/?page=column
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E7%94%B0%E5%85%AC%E5%A4%AA


タリーズコーヒージャパン株式会社
http://www.tullys.co.jp/company/outline.html

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3


フードエックス・グローブ株式会社
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96



 興味深いのは、平成13年7月、現ヘラクレスに上場前に、第三者からの出資をガンガン受け入れていることです。
 上場前の2年間で約6億円もの出資を「第三者割当増資」で受け入れています。
 
 この点、「すべては一杯のコーヒーから」では次のように述べられています。
 上場とは、ということで。
 「会社の成長を期待する投資家に株を買ってもらい、経営者は期待に応えられるように事業を大きくする。そうすれば、株価も上昇して投資家にも喜んでもらえることになる。」(249頁)。

 タリーズコーヒージャパン、その後のフードエックス・グローブ社に一体何があったのか本当のところはよく知りません。知っている人はよく知っているのだろうとは思いますが。ウィキペディアや、ネット上の個人の方のブログでうかがい知るのみです。

 会社を立ち上げ、売上げ、経常利益を大きくしていき、さらに事業拡大を狙えば、上場というのは一つの選択肢になります。
 松田さんも著書では次のように述べています。
 「株式公開の具体的なメリットとしては、知名度、信用力、資金、人材、という四つがあった。」(252頁)。
  
 ただ、公開のデメリットもあるわけですし、公開ではなくても増資の際、誰に株式を割り当てるのかというのも大きな問題になりうるところです。
 伊藤園への株式の売却の意思決定は、やむを得ずにそうしたのか、それとも何か別にやりたいことがあって株と自身の地位を手放したのか。
 実際のところがどうなのか興味があります。

 こういった話は決して珍しいことではないと思います。お金を生み出すシステムを血がにじむような思いで作り出し、無事に離陸して、なんとか水平飛行に移ったと思った途端、その飛行機には操縦桿を奪いとろうとする人が実は乗り込んでいたり、あるいは、給油量が足りなくなってしまっていったん飛行を止めざるを得なかったり、そこで操縦席を第三者に明け渡さざるを得なかったり。
 
 会社経営というのは、離陸時、水平飛行時、そして着陸時と各時点時点でのいろいろな難しさがありそうです。
 タリーズコーヒージャパン、フードエックス・グローブ社、松田公太氏がどういう意思決定をしたのか、興味津々です。

(おわり)
*今年は、自分も含めて、人を撮ってアップしていきたいと思います。

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