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2009年11月24日 (火)

ガイド〜道先案内人の大切な役割〜【松井】

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1 
 人のふりみてわがふり直せ、ではありませんが、「ガイド」の意味合いについて弁護士業務と重ね合わせて考える機会がありました。

 自分なりによく比較するのがお医者さんや病院だったのですが、先日、弁護士同士のとある親睦旅行に参加し、西表島に行ってきて、また違うものと比較してしまいました。

 8年ほど前にも、一人旅行で石垣島、西表島、沖縄本島をふらふらと旅行したことがあり、二度目の西表島探訪でした。
 前回は、突然思い立ち、行き当たりばったりで、西表島の川をカヌーでさかのぼり、途中下車して、トレッキングをして、滝つぼで泳ぐといったもので、他に女性客、家族客といっしょだったためか、ガイドさんに対して、私が疑問を思うということも特にありませんでした。向こうが私をどう思っていたかというと、30歳の女が一人旅で何でこんなツアーに参加を?!と気持ち悪かったかもしれません。

 しかし、今回。
 今回も、トレッキング&カヌーができるツアーに参加申し込みをしたのですが、前回と同様のプランだろうと勝手に思い込んでいたところまったく違い、そのためかかなり戸惑いを覚える体験をしました。


 何に戸惑いを覚えたのか?
 全体像を説明しない、こちらの理解を確認しない、具体的に説明しない、ということです。
 
 朝の集合だったのですが、その日一日、どういうプランでどういったところを歩くのかの説明がほとんどありませんでした。
 あったのは、こちらの軽装の格好を見て、「思っているよりも大変な道だと思いますよ。」ということだけでした。

 客は私たちのグループの二人だけだったのですが、まったく丁寧な、親切な説明がなし。
 どんなルートでどんな道を進むのかの説明がないままに出発してしまいました。
 どこかで説明があるのかと待っていたら、結局、ないままでした。

 ここでちょっと気の利いたガイドなら、地図を示し、ルートを示したはずです。また、途中の道についても、川を突っ切りますよだとか、細い崖っぷちのような道を通りますよだとかの説明があったろうにと思います。
 そんな説明はなく、出発。

 雨上がり、滑落しそうな細い崖の道を歩いたり、結構流れが早く、足場も石だらけで悪い川を突っ切ったりと、非常に心細くなりながら、しかしガイドはガンガン先を歩くので、不安がる暇もなくついていくのが必死でした。
 ここではぐれたら、遭難だなあ、そんな場合は川のところでじっとして救助がくるのを待つのがいいのかなあといったことをふーっと考えながら、ガシガシ歩きました。
 川を渡るときも、ここで足をすべらせたら、石のところで頭を売って、この川の勢いで下流にどんどん流されて行くんだろうなあと夢想しながら、必死で石に足を吸い付けるように川を渡りました。

 カヌーをどこでいつ乗るのかも聞いていなかったので、この先からカヌーに乗るのだろうかなどと考えていたら、結局、ゴールは小さな滝のある場所でした。
 結局、また来た道を戻って、事務所に戻るとそこで一服して昼食をとり、そこから川に出て、カヌーで近場をうろうろというのがこの日のツアーのすべてでした。
 

 西表島のジャングルを満喫し、久しぶりにカヌーを漕いで気分もよかったのですが、このガイドの方はかなり損をしているなと思いました。
 島のしきたりや島で暮らすということ、祭りの話などいろいろと面白い話しも聞けて、楽しかったのですが、「ガイド」としてはまだまだ足りない、もっと上の「ガイド」があるのではないかと思わせられました。
 それは、人に伝える、そのために聞き出すということです。
 一方的ではない、双方向のやりとりによって、要求にあった情報のやりとりをし、その結果、安心を得たり、より楽しく過ごすということです。
 それは、質問をして、「全体像を示す」ということだと思います。

 島のトレッキングやカヌーをするのであるなら、ゲストの理解を確認し、不足を補う情報を与える、それは、島の地図を示して、これから行くルートを示す、カヌーで漕ぐ川筋を示す、そういったことです。
 これがあるのとないのとのでは、ゲストの楽しむ余裕、楽しみの深さが違ってくると思います。
 
 私がこのツアーのガイドなら、絶対に島の地図を用意して、これから行く場所を確認して示します。

 で、振り返って考えるに、弁護士による代理人活動も同じなんだろうなとつくづく思います。

 毎日の仕事でもあるので、ついつい各依頼者も分かっているものと思い込んで振る舞ってしまいます。
 しかし、実際には、弁護士に代理人活動を依頼するなんてことは個人の方なら初めてのことがほとんどです。そもそも、弁護士って、何をどこまでしてくれるのか、依頼した相手との交渉はどうなっているのか、これからどうなっているのか。
 西表島のジャングルの中のトレッキングよりも不安なことだらだけだと思います。
 交渉が決裂したらどうなるのか、費用はいくらかかるのか、分からないことだらけ。
 しかし、ガイドである代理人は先へ先へとどんどん進んでいってしまい、聞きたいこともなかなか聞ける雰囲気ではありません。
 申し込みをしてしまい、進み出したが最後、この弁護士の後ろ姿を見失うまいと後にすがって進むしかないのか。休憩したいんだけど、いいだせない。
 
 弁護士も、今回のガイドさんと同じようなものかもしれないなといろいろと考えさせられました。


 結局、何事も気配りで、それが出来るかどうかはその人の想像力によるものかと思います。
 ちょっと想像力を働かせる。そして、自分が出来る心配りをする。
 これの繰り返しだと思います。
 完璧なサービス。
 
 ただ、もちろん、いくらサービスがよくても、そもそもの根本的な知識と技量がなければ、ガイドもゲストを楽しませながらも、誤った場所へ連れて行ってしまったり、下手をすればゲストに大けがをさせたりしてしまいます。
 知識と技量、そして想像力。
 ガイドに必要な要素だし、弁護士にも必要なものです。
 
 と、またなんだか意地悪な客の目線の気付きを書いてはいますが、案内してくれたガイドさんはとっても素朴ないい人で、自然を堪能できました。
 ときどき、木を切るのこぎりを持つ手を止めて、のこぎりの刃を磨く休息が必要ですね。ボロボロの刃ではいくらひいても木は切れない。一度休んだほうがリフレッシュされてかえって効率的という話。
 ときどき日常を飛び出て、非日常に行くことによって、かえって日常がよく見えます。

(おわり)
*帰りは、石垣牛のステーキを食しました。ご馳走様でした。 
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