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2009年11月14日 (土)

権利の上に、眠らない!〜消滅時効など〜【松井】

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 民法では、3に記載のような規定があります。
 要は、いつまでも権利行使できるわけじゃないよ!ということです。
 「権利の上に眠るものは保護に値せず」という言い方で、せっかく発生していた権利を行使できないときが定められています。時効消滅と言われるものです。
 ただ、時効は、「時効の中断」というものが認められています(民法147条)。なかにはこの中断が認められないものもあり、それは消滅時効とは別の、除斥期間といわれています。

 なぜこんな規定があるのか?
 自分が請求される側だったらどうでしょうか?忘れたころに請求してこられる。もうそんな昔の書類などは捨てちゃったよ、覚えていないよ、といったことが考えられます。一方で、請求する方は、もっと早く請求しようと思えば請求できたでしょという事情があります。
 だったらこの間の利害を調整して、「権利の上に眠るものは保護に値せず」としても必要性/許容性 OKだろうと考えられます。
 そこで、消滅時効や除斥期間といったものが定められてます。


 最近、不景気だからか売掛金回収の相談を受けることが多いです。踏み倒されるという話。

 1000万円の売掛金だったら迷わずに裁判をするのでしょうが、30万円程度や100万円前後といったように、弁護士に依頼して裁判を起こしてまで回収するのか迷われるような金額のケースが多いです。
 裁判を起こして勝ったからといって、完全に回収するには和解で終わらない限り、強制執行まで要します。差し押さえ、換価手続きです。
 弁護士費用を払って、いったいいくら手元に残るのか。

 経営者の方の決断だと思います。
 ただそうして迷っているうちに、日にちがどんどんすぎて、結局、時効で回収できないということも考えられます。

 裁判を起こし回収作業に着手する、あるいは、税法上、損金で落とせないか検討し諦めてしまう。
 二つに一つの場合がほとんどです。

 どちらにしても、決断できないままに、うっかり「権利の上に」眠ることのないように気をつけて欲しいと思います。

 売掛金の回収に関わらず、中古の家を買ったけど雨漏りがするであったり、交通事故に遭ったけどまだ加害者から賠償金を支払ってもらっていないだとか。
 ぼんやりしているうちに1年、2年は大人になるとあっという間に経ってしまいます。

 皆様、どうぞ気をつけてください。そして。早めに弁護士なら弁護士に相談し、「決断」をされることをおすすめします。



 「権利の上に眠る」ものはメッ!のあんな規定、こんな規定

 

166条1項 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
 167条1項 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

 さらに、債権の種類等によって細かくわけ、5年、3年、2年、1年の時効期間を定めています。

 

169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。

 

170条 次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了したときから起算する。
   1号 (省略)
   2号 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権
 

 

173条 次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
   1号 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
   2号 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
   3号 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権

 

174条 次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
   1号 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
   2号 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給したものの代価に係る債権
   3号 運送賃に係る債権
   4号 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
   5号 動産の損料に係る債権

 また、契約上の債権ではなくって、事故など契約当事者間でなかったものについての不法行為責任については3年とされています。また、「権利を行使できる時から」という定め方ではなく、「損害及び加害者を知った時から」との文言になっています。

 

724条1項 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。


 その他にも、無過失責任といわれるものなどについては、次のような規定があります。基本、1年です。

 

570条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
 566条3項 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

 
 
637条1項 前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。
 638条1項 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。


 また、離婚の際の財産分与の請求権については、「離婚の時から」2年とされています。

 

768条1項 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  2項 前項の規定による財産の分与につちえ、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りではない。


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