民事再生手続の現状と課題【松井】
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ひさびさのブログです。やはりtwitterを始めてしまうと、そっちで気づきなどをそのまま吐露して、溜めが減るような気がします。
この間、「遺言と遺留分」について一度、自分でもまとめておきたいなあということを考えつつも、今日は、近畿弁護士連合会の夏期研修として「民事再生手続の現状と課題〜大阪地方裁判所における実務運用を踏まえて〜」というお題で、今の大阪地方裁判所の破産部、民事6部の部総括判事小久保孝雄さんが講師の研修を受講したので、学んだことをメモっておこうと思います。
ちなみにこの小久保裁判官は、最高裁判所司法研修所の元民事裁判教官をされていました。ということで、基本、教え好き、話し好き、研究熱心という推定が働きます。以前は、大阪地裁では第10民事部、建築専門部にいらっしゃいました。
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時間は2時間だったのですが、みっちりと中身の濃い研修でした。立って話し始められたのですが「私は喋って話が出来ないのです。教官時代も、修習生の座席の間をうろうろ歩いて話していたくらいなので。」と言って、結局2時間、立ちっぱなしで講師を務められました。
民事再生手続きの現状ですが、大阪では昨年度は90件の申立てだったようです。ちなみに、東京は322件。そういった統計資料も豊富につけてくれています。
以下、気になったことを自分用にメモしておきます。
いずれにしても、破産申立もそうですが、民事再生も、債権者がいるなかでの力仕事、まさに申立代理人弁護士の力量が問われるものになると思います。
□ 1条をよく依頼者に理解してもらうこと。
□ 申立て段階から、出来るなら公認会計士と協同すること。
□ 監督委員は、法の趣旨としては消極的なものかもしれないが、実務では、事案によっては監督委員の積極的な姿勢が求められる、再生手続きの成功をもたらすことになることも多々ある。
□ 再生債務者の第三者性の議論については、まだ最高裁判決は出ていない。
□ 事案によっては、監督委員が、事業譲渡、入札に立ち会うことが効果的なこともある。
□ とにかく、再生債務者代理人、もっとガンバレ。
□ 申立て段階では、手続きとして、6か月先まで資金繰りを詰めておくこと。
□ 法85条後段は、明文上、「少額」というのがやはり大前提だろう。
□ ファイナンス・リースについては、最判三小平20.12.16判決。しかも、肝は、田原睦夫裁判官の補足意見の2以下のところ。「しかし」以下のところだろう。
□ 担保権消滅請求はあまり使われていない。数件。
□ 事業譲渡の場合は。
透明性に注意。
スポンサーについては、必要性、選定手続き、適格性、契約内容の相当性。
□ 計画案提出の伸長については、具体的な説明を。別除権協定に時間を要するなど。
□ 64条、管理型の運用状況。
東京地裁はほとんどないが、大阪地裁は必要と判断するなら躊躇なく発令する。
100件中6件くらいの割合。
抜かない伝家の宝刀は、伝家の宝刀ではない。
□ 決議は、集会型が9割。続行期日の指定が可能であり、柔軟性あり。
□ 書記官とコミュニケーションを。書記官から申立代理人弁護士に対する不満。
勉強不足。指摘に不対応。
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裁判官が講師の研修は、結局は、裁判所として弁護士に苦言を呈するということになります。
それはそれで、ああ、裁判所はそのように見ているのかということが分かり、非常に勉強になります。弁護士が皆、裁判官を「お上」的に崇め奉っているわけではなく、「司法制度」という一つの制度の役割を担う各当事者からのそれぞれの視点を知るといった感じではないかと思います。
協議会というのが行われたりして、弁護士の方から、裁判所に対し、運営をもっとこのようにして欲しい、こうするべきだといった苦言が呈されることもあります。
弁護士、検察庁、裁判所と三者三様ながらも、一つの司法制度というものに携わる者として、それぞれがよりよい仕事をしよう、したいと、協同し、そうであっても馴れ合いにならずに適度な緊張感をもって、刺激し合っているというイメージで理解しています。
裁判所側から弁護士がどう見えているのか。勉強になります。
とはいえ、たぶんきっと、「バカっ」、「あほっ」と見えているのだと思うし、弁護士も裁判所を「バカっ」、「あほっ」と見ていることもあります。
適度な緊張感、といったところでしょうか。
(おわり)
*坂東英二さん、69歳。天神橋筋商店街、120歳。
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