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2009年6月17日 (水)

企業倒産【松井】

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 私が司法試験受験生のとき、受験科目は、憲法、民法、刑法、商法が必須で、あとは民事訴訟法選択か、刑事訴訟法選択、そしてもう1科目は、破産法、労働法、刑事政策、国際私法、国際公法などから1科目選択するというものでした。
 私は、民事訴訟法選択の破産法選択でした。
 王道でした。
 しかし、最終合格するまでの過去2年間は、破産法のG評価(AからGで、最低評価。)で足を引っぱり、泣いていました。G評価が一つでもあると絶対に合格はできませんでした。このGのために2年間、最終合格が遅くなりました。

 なぜ破産法が2年連続、G評価だったのか。模試では破産法は得点源でした。しかし、本番では通用していませんでした。いわゆる論点主義だったからです。論点主義で模試では点がとれるけど、本試験では論点主義では足下すくわれていました。それに気づいて、最後の1年は破産法の勉強法を他の科目と同じように、条文から考えられるように訓練しました。破産法だけ、模試で点が取れていただけになめていたのです。


 そんな私の中では、苦い思い出とともにある「破産法」。
 弁護士として働きだしたら、必須の法律でした。破産法を勉強していてよかったと心から思いました。

 借金を返せない、取引先への支払いが出来ない、手形の不渡りをだしてしまう、そういった中小企業の経営者の方からの相談。
 あるいは、取引先からの支払をあてにしていたのに、破産しますすという弁護士からの通知が来た、あそこがもうすぐ不渡りを出すという噂があるけど、なんとか回収できないのか、といった相談。
 平成11年に弁護士登録して以降、今に至るまで、企業倒産に関する相談は常にあります。

 そして経営者の方からの相談はそれぞれ悲痛なものがあります。
 
 ただ、もう会社として金が回らない、事業を継続できる見込みがないというようなときは、倒産する企業側はもちろん、そこを取引先とする企業においても、破産法上は、基本的にはもう何の手出しもできません。ロックがかかっています。

 倒産する方は、粛々と倒産に向けての、裁判所に破産申立をするための資産整理を出来る限りしていくだけで
す。そうして集まったお金は、弁護士への費用や裁判所への予納金として使い、残りは破産管財人に引き継ぎます。管財人において、後日、配当という形で債権の数パーセント程度の金額を全破産債権者に平等に支払います。

 また、取り立てる側においても、相手方の資産の仮差押えだ、訴訟だとしても、破産手続き開始決定が出れば、基本は破産手続きが優先します。
 また、債権回収に熱心なものはそうでないものよりも保護されるのは当然だとしても、いわゆる危機時期に至っては、「債権者平等の原則」というものが威力を発揮し、抜け駆け的な取立てをしても、後日、破産管財人からは「弁済の否認」を受けて取り戻されることもあります。
 なので、多くは、なす術がありません。

 債権回収をというのなら、早め早めに担保をとっておくというのが最も効果的だと思います。抵当権者は、破産手続きにおいても別扱いをされますので。本当に倒産かもとなってから担保をとっても、これもまた管財人から否認されることがあります。


 企業倒産に関しては、申立人代理人をすることもあれば、裁判所に選任されて破産管財人をすることもあります。
 どちらにしても、正直なところ、せつない気持ちになります。
 企業経営者の方、経営と法律の知識をもって、足下をすくわれることなく事業を継続して行って欲しいと思います。そこには、顧客はもちろん従業員の方々の生活がかかっています。
 そして。
 経営に失敗して、多くの方々に迷惑をかけたとしても、個人については経済的再起更正が破産法の「免責」の趣旨です。
 倒産したからといって人生が終わりになるわけではありません。
 たくましい経営者の方は、破産手続き中であるにも関わらず、また新たな事業を始めようとしたりしています。
 やる事業、やる事業、ことごとく失敗しつづけて、それでも挑戦しつづけて、50代になってから始めた事業が大当たり。
 確か、マクドナルドの創業者だったか、ケンタッキーの創業者だったかの話です。
 気持ちを鼓舞して、また前を見て次へと向って歩んでいって欲しいと思います。
 こんな私がいうのも何ですが。
 
 ただ、まあ、私も、依頼事件が無事に成功して終了し依頼者の経済的利益が確保され、成功報酬を請求したら、依頼者の方から踏み倒された、あるいは値切られたというようなことがあったらと想像すると、怒り心頭にはなります。
 それでも、破産しますと言われたら手も足もでませんので。諦めるしか仕方ありません・・・。ただ、そのときでも確かに、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」という一言があるかないかは大事なんでしょうね。

(おわり) 
  
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