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2009年6月 6日 (土)

準備書面 【松井】

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石屋川にある「高麗」。ネギ塩タン!!

1 
 訴訟になったら、原告にしても、被告にしても、「準備書面」という書面を書いて、主張のやりとりをします。
 これって、訴訟代理人をつとめる弁護士にしたら、これが「勝負球」というもの。この文章がどういうものかで、弁護士の能力、品格?がわかるというものです。
 
 そこで、今回は、準備書面の位置づけをちょっと説明してみたいと思います。
 弁護士にしたら日常茶飯事で空気のような言葉「準備書面」であっても、訴訟の当事者の方にしてみたら、弁護士から一応、説明は聞いていても、今ひとつピンとこないこともあるかもしれないので。



 訴訟手続については、きっちりと民事訴訟法という法律や規則で定められています。

 ちなみに刑事手続きに関する刑事訴訟法、規則はもっと厳しいです。「法廷における裁判官の行動はすべて、なんらかの規定に基づいているから、どの規定に基づくか考えて毎日の法廷を傍聴したらいいよ。」と司法修習時代、知り合いの裁判官の方に言われ、そういう視点で刑事裁判官を見ていたら、確かにそのとおりでした。
 またちなみに、検察修習でいうなら、検察官がどういう点に配慮して、あるいはテクニックを凝らして、調書をとっているか、裁判で使える調書にしているかを注意して見てみると、弁護士になってから非常に役立つと思います。これが検察官の調書の任意性、信用性のとりかただ!というテクニックがありました。弁護士になってから、当時の指導検察官に、「こんなテクニック使ってましたよね。」と言ったら、「そんなこと教えたか!?」とちょっと慌てていました。修習生に対しても秘密だったのでしょうか・・・。


 で、話し戻って、民事訴訟法。


 87条1項 

当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。

 ちなみに、憲法82条1項では、

「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」
とあります。
 裁判の公開です。もしこの条項がなかったら・・・。暗黒裁判!?


 民事訴訟法、民訴法に戻って。

 148条 

口頭弁論は、裁判長が指揮する。

 
 そして、161条。
 
1項 口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
 2項 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
   一 攻撃又は防御の方法
   二 相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
 3項 相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面に記載した事実でなければ、主張することができない。

 
 ここで、「準備書面」が出てきますね。

 
 口頭主義という原則がありますが、実際の日本の裁判では、書面主義です。いくらその場でいろいろと言ってやりこめることがあっても、書面に書いてあってなんぼの世界です。
 口で言ったことは残りません。その場に複数のものがいたら、その記憶は人それぞれ。まさに藪の中。
 それに対して、書面はそのまま残ります。そのまま、複数のものの間でそのものが情報として残ります。変容しません。
 書いたことは、残ります。
 それが、準備書面です。



 訴訟当事者の依頼者の方にしてみれば、弁論準備手続など、あるいは口頭弁論などにおいて、公開の法廷であるからこそ、主張を口頭ではっきりと主張し、相手方にぶつけ、「ぎゃふん」と言わせて欲しいと思ったりするのでしょうが、訴訟代理人である弁護士にしたら、「勝訴判決」「勝訴的和解」という最終目標を達成するための手段としては、あまり意味のないことと考えることもないわけではなく、ここで訴訟代理人と当事者依頼者との間に、余計な「溝」が生まれてしまったりするんでしょうね。
 ただサービス精神旺盛な弁護士だと、依頼者サービスとして「ぎゃふん」と言わせる姿を演じたりすることもあるようですが。
 でも、和解を狙っているときだったら、感情的なしこりを新たに有無だけで、和解が遠ざかりかねない、百害あって一利なしの行為のこともないわけではなく。


 と、まあ、依頼者の方に訴訟手続を説明をしようと思ったら、理解を共通にしようと思ったら、民事訴訟法から説明して理解してもらわないといけません。
 難しいことを簡単に分かりやすく説明する能力が、弁護士のコミュニケーション能力として必要です。



 うちの事務所では、大橋も私も、「ホワイトボード大好き」です。

 民事訴訟法に基づく「訴訟」ってどんなもんなのか、ホワイトボードに図を描いて説明しています。
 皆さん、そうか、訴訟ってそんなに大変な、めんどいものなのかと分かって頂いているように思うのですが、もしかしたら本当は分かっていないのに分かったふりをされている方もいらっしゃるかもしれません。
 そのあたりも確認しつつ、ことを進めないと後で大きな溝となって依頼者の方を悩ませることになります。
 密なやりとりを心がけたいと思います。
 
 うちの「ホワイトボード」は描いたものをコピー機のようにプリントアウトして紙になって出してくれます。
 これを依頼者の方におみやげメモとしてお渡ししています。
 ときには、「おお!紙になるんですか!?」と驚いてくれる依頼者もいらっしゃいます。ちょっと、嬉しい瞬間。手品でしてやったりといった気分を味わえる一瞬です。
 喜んでもらえるのは、エンターテイナーとしたら、嬉しい瞬間です。

(おわり)

*話題のOisixの牛乳。確かに、「感動食品スーパー」。美味しい! 
*裁判官、依頼者、相手方が感動するような「準備書面」を書いてみたいものです。
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