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2009年3月12日 (木)

「天国へ行くのに最も有効な方法」【松井】

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 塩野七生さんの「マキャベリ語録」(新潮文庫、平成4年)を読みました。
 16世紀を生きたマキャベリの語録です。
 
 最後の一文。

 「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」
 ー『手紙』ー


 紛争状態ってたぶんきっとある意味「地獄」です。
 紛争状態の進化系の裁判なんて、ある意味「ギャンブル」です。0か100か。100であっても場合によっては絵に描いた餅。2億円払えという判決が確定しても、ただの紙切れ以上の価値がなかったり。
 1審で勝って、2審で勝って、最高裁でひっくりかえったり。尋問後の和解勧試において敗訴の心証を裁判官から語られ、依頼者を説得したけど依頼者は敗訴覚悟で和解を蹴り、弁護士は横でうなだれていたら、結果、勝訴判決だったり。
 裁判手続きなんて「激流」に身を任せるに等しいという思いが頭を駆け巡ります。訴訟代理人は、激流下りの船頭さんです。
 
 そういう意味で、弁護士は、「地獄」の案内人ではないかと。地獄の住人ともいえるのではないかと。
 仕事場は「地獄」。地獄の中で弁護士ものたうちまわって、依頼者を安全な場所へと連れ出す役目。地獄の閻魔様、裁判官との駆け引き、勝負。
 弁護士はきっと、地獄を知っています。
 地獄へ行く道を熟知しています。
 
 だから。
 相談者、依頼者の方が、目の前でみすみす地獄に足を踏み入れることがないよう、なんとかくいとめようと、ことが起こるまえの事前のアドバイスをしたいと思うし、紛争状態となってからなら訴訟にいかずにすむようにと、交渉、調停での解決をと思います。
 交渉のときに大事なこと。
 想像力。大成しようが、しまいが。

 「軍の指揮官にとって、最も重要な資質はなにかと問われれば、想像力である、と答えよう。
  この資質の重要性は、なにも軍の指揮官にかぎらない。
  いかなる職業でも、想像力なしにその道で大成することは不可能だからである。」
 ー『戦略論』ー



 「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」
 ー『手紙』ー

 天国へ行くのに最も有効な方法は、早めに弁護士に相談することである、と言い換えられるのではないかと思います。
 
 話し合いが決裂してからではなく、訴訟で訴えられてからではなく、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
 大阪弁護士会では、30分5250円での有料ですが、毎日、相談受付をしています(予約電話あり)。
 また弁護士も、「行列のできる法律相談所」がそうであるように、4人よったら二通り、三通りの回答があって、回答が皆一緒ではない場合もあります。人間なので、合う合わないの相性もあるかと思います。安くはないお金を払うわけですから、この人ならと思える弁護士にお金を払い、道案内を頼まれることがかえって安くつくということもありえます。
 
 弁護士がもっと上手に世の中で活躍すれば、世の中から裁判なんてもっと減るはずだと思います。弁護士は地獄への道を知っているので、地獄に行かずに済む道も知っているから。
 だけど裁判、増えている気がする。
 え?!これで裁判?! 話し合いで解決しえたことなんじゃないの!?なんてね。
 
 下手な遺言書や、遺産分割協議書って紛争のタネです。
 ため息が出ます。
 どこでもいいので、一度、弁護士に相談を。その弁護士をいまいち信用できなかったら、また別の弁護士に相談を。
 それでも、まったく弁護士に相談しなかった場合よりは、きっと益があるはずです。

(おわり)

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