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2009年3月

2009年3月28日 (土)

裁判と執行〜一の矢、二の矢、三の矢〜【松井】

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*上海に行きました。嘘です。神戸三宮の中華街です。


 裁判制度を利用して訴えを提起する場合でも、提起された場合でも、判決が出てそれで終わりではありません。
 途中、和解で訴訟が終了ということもありますが、その合意内容として、当事者間でのお金のやりとりがあるときは、和解の席で現金のやり取りがされたりということがあります。また分割や、和解後の後日の支払であっても、第1回目の支払から履行されないということはめったにありません(たまにあるようですが・・・。それだと代理人弁護士の信用が傷つきます。曰く、あの代理人との間では和解をしても履行してもらえないかもしれない、信用できない、と。)。
 つまり和解だと、裁判所で和解調書を作成し、その後、その中身が履行される確率が一般的には高いのです。
 なぜか?
 和解って、合意です。双方が妥協しあってのうえでの紛争解決です。裁判所のテーブルは借りたけど、自分たちで合意点を見いだしてこんな紛争、とっとと解決しちゃいましょ、というものです。
 屈辱的な和解、全面勝訴的な和解といろいろな和解の位置づけがありますが、基本は「合意」です。当事者の「納得」です。
 だから。
 始めから約束を守る気がないままに合意するというのはまさに詐欺ですが、そうでなければたいていの一般的な良心的な人、会社は、約束を守り、履行してくれます。


 ところが、判決だとどうか。
 裁判官が決めたものです。
 さんざん、自身の言い分を主張したが裁判所が認めてくれなかった、あるいは認めてくれた、いずれにしろ、原告 VS. 被告の構造のなかで、くっきりと勝者と敗者が現れます。
 敗者はなっとくするのか。
 裁判所の判断だから仕方がない、戦って言い分を主張立証しつくしたけど認めてもらえなかった。
 結果、1000万円を原告に支払えとの判決が出された。
 原告の代理人に振込先を教えてもらって早速、1000万円を振り込んでしまおう、と行動する人は多いでしょうか、少ないでしょうか?
 
 そもそもそんなお金はないよ、裁判所が払えと言ってもないそでは振れません、と開き直られたらおしまいです。
 地獄の果てまで追いかけるのか否か。
 

 判決を得ても紛争は終わりではない。そんなときもある。
 だからこそ。
 訴訟を提起する、宣戦布告するという場合、判決後のことまで考える必要があります。
 今は財産ありそうだけど、訴訟をして確定までに2年かかってその間、相手の財産が散逸、費消され、とるものも取れないという状況に陥ったりはしないだろうか。
 あるいは、内容証明を送る、提訴をするにしても、相手に紛争状態を知らせた時点で相手が財産を隠すのではないか。
 勝訴判決をとっても文字通り、「絵に描いた餅」です。判決書きなんて紙っきれです。
 
 裁判にしても、内容証明の送りつけにしても、宣戦布告をする前に、相手の資産状況、相手の行動パターンなどをよく検討し、押さえておくものを押さえておく。
 それが、「仮差押え」「仮処分」といった保全手続です。
 訴え提起の前に、相手方のめぼしい財産に対し保全処分の申立てを行い、裁判所が理由あり、必要性ありと認めてくれれば、1週間もせずして裁判所の命令により、相手方の財産に対し、法律上、動かせないような措置がとれます。
 これで安心して、1年、2年と裁判できるってものです。
 ただ、これは相手方にも相当の不利益を与えかねないので、担保をつまねばなりません。
 
 とりっぱぐれてただの紙切れ判決を得ることを極力さけるためには、担保をつむ余裕がある限り、またこの手続きを別途弁護士費用を払って行う余裕がある限り、相手方にめぼしい資産があってそれが散逸するおそれがある場合は行うのがベターです。
 判決確定に1年、2年とかかろうが、これで安心して訴訟を行うことが出来ます。
 相手は、ないそでは振れないなどと開き直ることができなくなります。
 また、うまくいけば、保全処分を受けた相手は、その財産が痛いところをつかれたような場合、早期解放のため、合意での解決を求めてきて、裁判にいたらずに合意で解決することもあります。


 相手に、最初の「一の矢」を放つときは、次の「二の矢」、「三の矢」を考え、依頼者に説明・提案するのが弁護士の仕事だと思います。
 担保をつむ金銭的余裕がないというようなときは、判決が紙っきれになるリスクを十分理解してもらうことになります。
 また、相手が財産の名義を親族名義にしていたり、法人名義と代表者名義と異なることはありますが、そこで形式論でへこたれていては弁護士の名がすたります。
 「どうしたら認められるか」「なんとかできないか」とひねり出すのが人間弁護士の腕の見せ所だと思います。
 形式的に法律の要件にあてはめて、「出来ません」というだけならわたしが司法試験受験生のときでも弁護士業は出来ると思う。

 そうそう。「勝訴率100%の弁護士」になるのは簡単。負ける可能性がある事件は全て断って、受任しなければいいだけです。
 依頼者の方が戦いたいというのなら、やるだけやってみたいというのなら、「駄目かもしれないけど、認められる可能性が皆無ではないなら、こちらに正義があると思えるのであれば、力の限りやれるだけ一緒にやってみよう。」。
 自分が相談者だったらこういう弁護士に事件を依頼したいです。
 こちらの話を聞かず、はなっから駄目、無理といった言葉を簡単に使うような弁護士には頼みたくない。
 自分が相談者なら、「逃げたな。」と思います。
 だから。
 いつも、いつまでたっても、弁護士業をやればやるほど常に怖いけど、逃げないようにしたいと思います。

(おわり)
*事務所スタッフ川上さんのお誕生日でした。いつもありがとうございます!川上さん、美濃さんといったスタッフの支えなしでは事務所はまわりません!
淀屋橋ティカールのチョコケーキです。美味しい!幸せでした。
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 つぶやき。
 ケーキ職人は美味しいケーキを作る事で人に幸せを感じてもらう事が出来て、たぶんそれがきっと自分の喜びにもなるんだろうけど、弁護士ってどうなんだろう。うまくいったときは依頼者の方と一緒に喜べるけど、うまくいかなかったときが辛すぎる。力及ばず申し訳ありませんでしたと言うことしか出来ない。そして、傷口がそれ以上大きくなることがないよう、ダメージを最小限にできる方策を一緒に考えるだけ。例えば、支払方法の交渉など。辛い。所詮「代理人」であって、無力といえば無力。というか、無能。

2009年3月24日 (火)

取材記者の人【松井】

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 まわりには取材記者、取材を仕事とした友人、知人が何人かいます。
 皆、わたしにはないものを持っており、そばにいるといつもいろいろと刺激を受けます。


 先日は、宇都宮に出張に行った際、A新聞で取材記者をしていた同期の弁護士に宇都宮で遊んでもらいました。
 話しかける、話しかける。
 餃子屋のおばちゃん、バーのお兄ちゃん。
 気さくに、気軽に話しかけます。
 さすがです。尊敬します。
 
 また翌日は、超有名新聞記者・黒田清さんのもとで記者生活を始め、現在は四国の新聞社で取材記者をしている友人と某イベントに出かける機会があり、数か月ぶりにいっしょにご飯を食べました。
 話しかける、話しかける。
 道行くおばちゃんが片手に、インコを入れた鳥かごを持って割烹着姿で歩いているのを見かけると、「おもしろい!」と思ったようで、「鳥のお散歩ですか?」と見ず知らずの人に突然、話しかける。
 さすがです。尊敬します。取材モードです。

 そういえば。テレビ局の制作部で働く友人も、常に取材モードです。


 仕事モードで必要があれば、知らないお店に飛びこんで聞き込みのようなことでも何でもしますが、普段、仕事モードじゃないときは、基本、私は自分から知らない人に話しかけるということもなくじっと静物として過ごしています。
 しかし、取材記者の血が流れている人は、いつでも、どこでも、取材モード。
 端でみているとなんてエネルギッシュなんだと尊敬します。
 
 なんのオチもない記事ですみません。
 たまにはこんな私生活、友人・知人の話もいいかと思って。


 弁護士が弁護士の仕事モードで普段の日常を生活を過ごしたとしたら、たぶんきっと、「悪しき隣人」です。
 無理も理屈で押し通そうとしてしまいます。で、はっと我に返ってそんな自分がイヤになったり。
 例えば。
 アフォガードがメニューになくっても。エスプレッソとバニラアイスがメニューに載っていたら、出来るはず!と勝手に考え、店員さんに、暗に「出来るはずでしょ。」と有無を言わさず話しかけ、押し通そうとします。
 以前、そうやって何度かお店でメニューにないものを頼んだことがあり、これではいけないとその場その場の掟に従うように心がけています。ついつい理屈で、こうあるべきだ、こうあるはずだ、と考え、現実を変えてしまおうとしてしまいます。日常生活でこれをやると「悪しき隣人」。わたしだけ?反省。
 もっと単純に、明るく好奇心旺盛に!
(おわり)

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2009年3月19日 (木)

理事会の苦悩〜マンション住人〜【松井】

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 暮らしているマンションの理事長になって早2年目。
 持ち回り当番で理事になり、あみだくじで理事長になってしまいました。
 
2 
 毎月1回、理事会を開いています。
 マンション管理会社のフロントの方もきて、依頼している業務の月々のお金の入りと出の報告などをしてもらっています。
 で、思うこと。
 毎月、定期的に管理組合のお金から出て行くお金があります。
 それが、1万円程度だったり、6万円だったり。もちろん管理会社へのお金も毎月数十万円。
 で、思うこと。
 これって、果たして適正価格なんだろうか?!ということ。

3 
 マンションがらみの問題でよくあるのは、大規模修繕のときのお金です。
 マンション管理会社ってそもそもの建設販売業者の子会社のことが多いです。
 そこで大規模修繕を担当する会社も当初の建設会社になることも多く、ただその場合の修繕工事費用!、これが、マンション管理組合の修繕積立金の残高とほぼ同じ金額だったりすることがあるとか、ないとか。
 つまり、財布の中を覗き込まれ、じゃあ、その有金(ありがね)全部で工事しましょう、というのと同じ状態になったり。
 工事の適正価格が基準ではなくて、管理組合の有金が工事代金とされたり。
 もっとひどいのだと、足りないから、各戸、30万円宛臨時に負担しないと足りないという話が管理会社から出されたり。


 これほどまでにマンション管理組合のお金って、食い物にされがちなんだと思います。
 食い物にされていても分からないのはなぜか。
 皆、自分たちのお金という意識が薄いことが原因だと思います。
 
 無駄なお金は一切はらわない、ぼったくりの目に遭わない。
 マンション管理組合の理事会って、苦悩しています。
 苦悩しながらも、それでも。
 私が理事をしながらなんですが、やはり仕事ではないので、どこか他人事的な感じがあってなかなかきっちりと金額の適正を根気強く確認する、業者をふるいにかけるということまで出来ません。
 一戸あたりで割ってしまうと大した金額じゃないということも大きいのだと思います。
 でも、「管理組合」から出て行くお金は小さくはありません。ここがミソかと思います。


 実際のところ、やはり何事も徹底的に「相見積」をとるのが一番なんだと思います。
 業者数者にプレゼンをしてもらったり。
 比較で決めるしかありません。
 
 ただ、これも。
 比較の対象があればいいんだけど、独占業者、他に代わる業者がいないとその業者のいいなりの値段になってしまいます。これってどうよ?と思いながら。たとえば、宅配用のボックスの保守管理費用。年間10万円以上を支払い、いったい何をしてもらっているのか。故障時の保険代というのには高すぎないか!?

 それに。
 日々の仕事をしながら、マンションのことのために業者に連絡したり、相見積をとるのというはなかなか時間的にも労力的にもしんどいものがあります。
 そのためにマンション管理会社があり、フロント担当者がいるんですけど、過去、マンションがらみの紛争を何件か経験するなかで、マンション管理会社も、いい会社もあれば、ゲっ!思いっきり食い物にしてるやん!というところもあるのを知っているので、いまひとつ信を置ききれていません。


 ただ、この考えでいったら、当然、弁護士に依頼、相談する人々も同じですよね。
 弁護士を比較検討。
 人柄、着手金・報酬金の金額、能力などなどなどなど。不快感を感じるか、好意をもてるか。
 相性ってものも当然あります。

 業者のプレゼンを経験したとき、中身もさることながら、担当者の方が与える個人的印象というものもやはり大きかったです。あ、ここはイヤだなと、しゃべる担当者を見て思ったり。なんなんでしょ。傲岸不遜な態度という印象を受けてしまったりすることもあります。本当は違うかもれいないのに。
 担当者が爽やかさんだからといって、仕事が出来るとは限らないことはもちろんなことも知っているけど。
 善だからといって、信はおけない。
 やはりどうしても、その人の顔、姿、服、声、話す内容、身振り手振り、すべてがその人を表すんでしょうね。
 それで、人はその人を判断する。

 でも。お金の話はシビアですから。
 理事会の苦悩は続きます。
 これを仕事とする本当に信頼できる人に委ねたいというのが本音です。そのための適正なお金なら払った方が、結局はかえって安いんじゃないかと。
 でも。独立系で管理組合の顧問なんかをやって食べているマンション管理士さんっているんだろうか。
 わたしはまだ過去、仕事上、いくつか管理組合や管理会社と関わっているので、そのときの経験で自分のマンションがどうかというのは比較できるけど、普通は、他の理事の方々は自分のマンションのことしか知らないだろうから、今の管理会社がどうなのか、種々の支払金額がどうなのかって比較できないだろう。
 そんなことからも、独立系で複数の管理組合の顧問、アドバイザーなどを努めるマンション管理士さんなどがいたら、非常に強みなんじゃないかと思うんだけど。

 あ、自分がやればいいのか。

 でも。アドバイスにお金を払うという考えがない人々がたぶん多数派なんだろうと思う。
 だから、マンション管理士の資格って、マンション管理会社の担当者の資格のようになってしまっているんだろう。それだけでは食べていけないんだろうから。
 でも。ああ、代理人に委ねたい、マンションの理事の仕事。
(おわり)
 
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2009年3月18日 (水)

気持ちのいい日【松井】

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 今日、大阪はとても暖かいです。
 午後、入院中の方に会いに行く必要がありました。いつもなら移動手段は電車か、タクシーなのですが、行こうと思えば行けない距離でもなく、また気候が「春!」といった空気だったこともあり、自転車で向かいました。


 自転車こぎながら、「ああ、幸せ♪」と思ってしまいました。
 自由です。

 行きたいときに、行きたい場所に行き、会いたい人に会いに、自分で自由に移動できます。
 「裁判官」や「検事」だったらこうはいきません。
 現場の場所を確認したり、関係者のこの人からちょっと話を聞きたいと思っても、そうはいきません。だいたい日々のほとんどは、庁舎内の建物の中です。検察官も。木村拓哉主演のテレビドラマ「ヒーロー」では、木村拓哉は事務官の松たか子を引き連れて、刑事コロンボのように現場に行き、関係者に会いに行っていましたが、実際はあれほど検事自らが捜査に出向く事はないかと思います。だからこそ、ドラマの中でも木村拓哉演じるくりゅう検事は周りから最初、浮いていたんです。

 弁護士って、自由です。
 司法修習中、もともと弁護士志望でしたが、検察修習、裁判修習をすればするほど、「絶対、弁護士」との思いを強くしていました。でもだからこそ、今しか見れないものがいっぱいあるからなんでも見て、刻み付けておこうと意識を強くしていました。裁判官の考え方、仕事の仕方、検察官の考え方、仕事の仕方。


 動くという事に関しては弁護士は自由です(勤務弁護士だと、いろいろと制約はあるかもしれないけど。)。
 この自由を生かすためにも。
 体が動く限り、フットワーク軽く動きたいと思います
 確かに、電話があったときにいつも事務所にいないというのは問題だけど、でも、弁護士だからこそ。
 自由に動けるからこそ。
 不動産の事件であれば現地に行って不動産を実際に見るし、刑事事件や交通事故の事件では事件・事故があった現場に出向きます。
 そして、関係者のいる事件であれば、関係者に連絡をとって話を聞かせていただきたいとお願いして会いに出向くし、専門家の方のアドバイスをえる必要があれば出向いて話をお伺いしにいきます。
 
 そして。
 今日のように気持ちのいい日は、自転車で移動。電車やタクシーでの移動とは違う景色と匂いがあります。

4 
 明日は宇都宮出張で、宇都宮の裁判所に出向きます。
 たまに地方の裁判所に出向くと時間感覚が違うことに驚いたりします。裁判官と地元の相手方弁護士が、裁判の次回の期日を平気で2か月後に指定しようとしたり。大阪では「通常」というので1か月後です(それでも普通の方にしたら裁判は遅い!のかもしれませんが。)。
 地元の弁護士の方は、その日、3件、4件も裁判期日があったりして、やはり地方へ行くと(って、大阪も東京を中心とすれば地方ですけど。)、まだまだ弁護士や裁判官の人数が足りないのでしょうか、皆、忙しそうです(大阪が暇というわけでもないでしょうけど。弁護士で、裁判期日が日に3つ重なるという日はめったにないと思います。)。
 宇都宮の裁判所、初訪問です。
 楽しみです。

 実は以前、別件で東京に行ったついでに、1時間、宇都宮まで足を伸ばし、夜中、タクシーでその事件に関する不動産巡りをしました。タクシーの運転手さんからは「不動産屋さんですか?」と言われ、「ええ、まあ。」と適当に濁し、物件の前につくと、タクシーを降りてぐるぐると歩きまわり、カシャカシャと写真を撮ってました。
 「これからまた東京に戻るんですか?」と訊かれ、「はい。」などと答え、宇都宮の経済事情を教えてもらい宇都宮滞在約1時間で東京に戻り、そのまま最終の新幹線で大阪に戻りました。
 今度こそ、タクシーの運転手の方に教えてもらった宇都宮の美味い餃子の店に行きたいと思います。
(おわり)
 
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2009年3月12日 (木)

「天国へ行くのに最も有効な方法」【松井】

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1 
 塩野七生さんの「マキャベリ語録」(新潮文庫、平成4年)を読みました。
 16世紀を生きたマキャベリの語録です。
 
 最後の一文。

 「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」
 ー『手紙』ー


 紛争状態ってたぶんきっとある意味「地獄」です。
 紛争状態の進化系の裁判なんて、ある意味「ギャンブル」です。0か100か。100であっても場合によっては絵に描いた餅。2億円払えという判決が確定しても、ただの紙切れ以上の価値がなかったり。
 1審で勝って、2審で勝って、最高裁でひっくりかえったり。尋問後の和解勧試において敗訴の心証を裁判官から語られ、依頼者を説得したけど依頼者は敗訴覚悟で和解を蹴り、弁護士は横でうなだれていたら、結果、勝訴判決だったり。
 裁判手続きなんて「激流」に身を任せるに等しいという思いが頭を駆け巡ります。訴訟代理人は、激流下りの船頭さんです。
 
 そういう意味で、弁護士は、「地獄」の案内人ではないかと。地獄の住人ともいえるのではないかと。
 仕事場は「地獄」。地獄の中で弁護士ものたうちまわって、依頼者を安全な場所へと連れ出す役目。地獄の閻魔様、裁判官との駆け引き、勝負。
 弁護士はきっと、地獄を知っています。
 地獄へ行く道を熟知しています。
 
 だから。
 相談者、依頼者の方が、目の前でみすみす地獄に足を踏み入れることがないよう、なんとかくいとめようと、ことが起こるまえの事前のアドバイスをしたいと思うし、紛争状態となってからなら訴訟にいかずにすむようにと、交渉、調停での解決をと思います。
 交渉のときに大事なこと。
 想像力。大成しようが、しまいが。

 「軍の指揮官にとって、最も重要な資質はなにかと問われれば、想像力である、と答えよう。
  この資質の重要性は、なにも軍の指揮官にかぎらない。
  いかなる職業でも、想像力なしにその道で大成することは不可能だからである。」
 ー『戦略論』ー



 「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」
 ー『手紙』ー

 天国へ行くのに最も有効な方法は、早めに弁護士に相談することである、と言い換えられるのではないかと思います。
 
 話し合いが決裂してからではなく、訴訟で訴えられてからではなく、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
 大阪弁護士会では、30分5250円での有料ですが、毎日、相談受付をしています(予約電話あり)。
 また弁護士も、「行列のできる法律相談所」がそうであるように、4人よったら二通り、三通りの回答があって、回答が皆一緒ではない場合もあります。人間なので、合う合わないの相性もあるかと思います。安くはないお金を払うわけですから、この人ならと思える弁護士にお金を払い、道案内を頼まれることがかえって安くつくということもありえます。
 
 弁護士がもっと上手に世の中で活躍すれば、世の中から裁判なんてもっと減るはずだと思います。弁護士は地獄への道を知っているので、地獄に行かずに済む道も知っているから。
 だけど裁判、増えている気がする。
 え?!これで裁判?! 話し合いで解決しえたことなんじゃないの!?なんてね。
 
 下手な遺言書や、遺産分割協議書って紛争のタネです。
 ため息が出ます。
 どこでもいいので、一度、弁護士に相談を。その弁護士をいまいち信用できなかったら、また別の弁護士に相談を。
 それでも、まったく弁護士に相談しなかった場合よりは、きっと益があるはずです。

(おわり)

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2009年3月 7日 (土)

選択と決断【松井】

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 人の人生、会社の運命。
 全て選択、決断の連続だと思います。
 今日のランチ。うどんにするか、スパゲッティーにするか。
 京都への行き道。阪急にするか、京阪にするか、JRにするか。
 自分で選んだことだから、迷ったすえに京阪にしたら途中、人身事故があって40分遅れで、相手方のところに遅刻し、いきなり頭を下げなければならなかったとしても、自分で納得がいきます。
 自分で選ぶしかありません。
 自分の身に降り掛かったことは自分で受け止めるしかない。電車の中にとじこめられて、誰かが代わりに時間どおりに相手方のところに行ってやるべき仕事をやってくれるわけではない。頭を下げるのは自分しかいない。


 交渉合意か、訴訟か。
 判決か、和解か。
 控訴か、確定か。
 
 今の選択と決断が、未来において絶対的にOKなんて保証はまったくありません。
 訴訟にしたらもっといい条件がでるのか、もっといい判決が出るのか。
 弁護士は、答えられません。
 弁護士が判決を出すなら答えられます。
 しかし。法廷で判決を出すのは裁判官です。

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 こいうことを考えていると、いつも、ビル=クリントン大統領時代の財務長官、ロバート=ルービンの本のタイトルの原題を思い出します。

 「In an Uncertain World 」 確実なものはなにもない

 

 確実なものは何もない。
 その中で常に選択と決断を迫られます。

 依頼者の方に伝えられることは。
 あとで後悔しない選択を、ということだけです。
 ただ、そのためには、ありとあらゆる場面を想定し予測することが不可欠です。その場合の一番のポイントは。常に最悪の事態を想定するということです。
 その時、自分が後悔しないかどうかということです。
 
 ルービンさんもメモをいじくって書いて考えていたそうです。
 頭の中でもやもや考えて悩みつづけるより、紙に書き出すことをいつもおすすめしています。そうすれば多少は見えなかったものが見えてきます。
 
 私も、自分の人生、右に進むか左に進むかの大きな分かれ道だったとき、右に行ったらそのあとどうか、左に行ったらそのあとどうかと紙に書き出したものを眺めて決断しました。企業内弁護士になるかどうか。断りました(ご迷惑をおかけした皆様、申し訳ありません。)。
 そして。今があります。
 ときどき、1年に1回ほど、企業内弁護士として東京に行っていたらどうなっていただろうかと想像することがないわけではないけど、大橋と一緒に自分らの事務所を開いている今で良かったと思っています。本当にやりたいことしかやっていないので。
 
(おわり)
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2009年3月 6日 (金)

独占禁止法と公正取引委員会【松井】

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 先日、大阪弁護士会の方で「公正取引委員会と大阪弁護士会との協議会」というものが開催され、出席する機会がありました。
 ここ数年、平成17年の独占禁止法の改正もあり、公正取引委員会の活躍が新聞の紙面を賑わすことが多いように思います。
 

 平成18年1月、「競争政策のグランド・デザイン」というものが発表されています。公取委の「今後の競争政策の運営方針」。
 その中では、「新規参入訴外行為への厳正な対処」というものが項目として上げられています。
 「IT・公益事業分野の競争制限行為及び知的財産権の濫用行為に迅速かつ厳正に対応し、市場機能の十全な発揮を図る」とあります。
 最近でいうと、あのJASRACに対する排除措置命令が頭に浮かびます。
 (JASRACといえば・・・⇒ブログ記事


 著作権の目的の話で、以前、当ブログでも触れた塩澤一洋教授の考えと、独占禁止法の考えって、どこかでリンクしているような、パラレルなような、頭の中がむず痒い(中島らも)思いがします。
 場の提供、ルールの提供。フェア。公正。そういったものの存在、価値を信頼するということ。
 うーむ。
 考え中です。
 にしても。独占禁止法が定める、優越的地位の濫用ってもっと使えそうです。
 何が嫌って、やっぱりフェアじゃないのが嫌な感じがする。


 弁護士業として個人的にやりにくいのは、相手に弁護士が就いていないときです。
 私は相手の弁護士ではないので相手の利益に注意する義務ってないんだけど、自分が赤子の手をひねっているような思い(弱いものイジメ)をするのは嫌なので、相手の人には弁護士に相談し、出来れば依頼するようにおすすめしています。
 仕事としても、多くの場合は弁護士同士の方がはなしが早いです。共通言語ではなしをすることができます(そうじゃないときもあるけど(怒))。

 こちらと対立しながら、でも敢えて弁護士に相談しない、依頼しない相手の方っています。費用の事情なんだとは思いますが、会社でも、個人でも。そんなときは、必要以上に注意します。やりすぎることがないようにと。あとで恨みをかっては紛争解決のもともこもありません。
 でも、そんな人に限って、うちは●●弁護士が顧問だとか、△△弁護士に相談しているなどと無意味に弁護士名を口にされたりします。でも、依頼していません。なんでなんだろ。
 そんなことで弁護士がビビると思っているんだろうか。かえって可哀想な気すらします。日本弁護士連合会の会長の名前を出されたとしても、「それが何か?」というのが「弁護士」です。相手方の代理人が元最高裁判事や大阪弁護士会の会長だったとしても、別にだからどうということはありません。刑事法廷に行ったら、相手方の検事や裁判官が修習時代の教官ということもあるし、民事事件でも相手方の代理人が修習時代お世話になった弁護士ということももちろんあります。でも、弁護士・検察官・裁判官は、たぶん皆、「それはそれ、これはこれ」として自分が果たすべき役割を果たそうとします。弁護士は依頼者の利益擁護のために活動します。
 じゃないとこんな仕事、そもそも出来ません。でも、世の中、そんな価値観がない人っているからこそ、上記のようなことを口にする人がいるんだろうと思います。へ?という感じです。

 弁護士が就いていなくっても、やるべきことをしない、法律上とおらない話をしてくるときは、やむを得ずですが徹底的にやらざるをえません。自分の適正な利益を守るために早く良い弁護士に依頼したらいいのにと思いながら。
 自分で崖から飛び降り濁流に流される人を助けてあげることは出来ません。一緒に飛び降りても、こっちは濁流下りを仕事にしているので平気です。
 あなたはプロじゃないんだから崖から飛び降りず、強がりはやめてそこから引き返したほうがいいですよと一応アドバイスしているのに、自分で走って飛び降りちゃう人は止められません。
 仕方ないなあと、紛争解決は相手があることなので一緒に崖から飛び降ります。
 で、濁流の中で助かるのはどっちか。それが、訴訟です。こっちは濁流下りを仕事にしているんです。
 濁流に飲み込まれたら、さすがに弁護士に依頼せざるをえない。

 もちろん、交渉段階で自分や担当者レベルできちんと交渉をされて、妥当な解決策をみつけ、合意し、紛争解決にいたることもあります。濁流に飛び込むことなく、自ら、崖の上から帰る道を見つけられる方です。こちらもほっと安堵のため息をつきます。お互いに良かった、と。濁流=訴訟って、弁護士は仕事だから平気だけど、依頼者の方もいっしょに濁流の波に巻き込まれるので余計な時間も労力も使うから。避けられるなら避けるに越したことはないと考えています。依頼者の方の利益のために。

(おわり)

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2009年3月 4日 (水)

研修の講師〜消費者契約法ってマイナーかしら〜【松井】

1

 先日、所属する大阪弁護士会消費者保護委員会の関係で、登録1年目の弁護士向けの研修の講師を担当しました。
 2時間で消費者契約法について説明するという趣旨のものだったのですが、まったく冷や汗ものになってしまいました。雨の中、わざわざ参加していただいた皆様、もっとよいものが提供できればよかったのですが、ごめんなさい。


 Apple社のプレゼンソフト、Keynote’09を初めて使いました。これがかなり楽しく、紙芝居を作成するかのようでした。これで当日、余裕のある解説ができると思いきや。
 会場でのデュアルディスプレイの設定が思うようにいかず、開始10分前の出来事で目の前が一瞬まっくらになりました。念のためにと用意していた、発表者ノートのプリントアウトシート。これで何とかことなきを得ました。
 一般の方向けに、分かりやすく講演や発表をするという機会は何度かあるのですが、同業者が聴衆というのは初めてで、しかも場所は弁護士会館。さすがにかなり緊張しました。
 無味乾燥に、要件、効果、裁判例の紹介、解説だけではなく、「おおっ!そうだったのか!」と思えるような事柄を二つや三つはお土産にもって帰ってもらえるように、また興味深く経験に即した事柄を散りばめようと思っていたのですが、いかんせん緊張。話そうと思いながら端折った事柄も多く。笑いをとるなんてことは夢のまた夢。


 ただ、いろいろな意味で良い勉強にはなりました。万が一にもここで自己満足に陥ると今後の発展がないので、全く駄目だったと考え、次に生かしたいと思います。ああすればよかった、こうすればよかったということが後からいろいろと出てきます。
 事前にいろいろとアドバイスをいただきました、S樣、K様、リハーサルにつきあっていただいたA様、ありがとうございました。

 「消費者契約法」。
 皆様、ご存知ですか?


2

 一般向けに改訂したKeynoteのスライドを引っさげて、90分ほどで「0から分かる消費者契約法」というタイトルで講演します。ぜひお声を(笑)。
 尋問と同じで、やはり何事も場数を踏まないと!
 研修義務化の単位取得の関係で、この年度末、知り合いのベテランの弁護士が単位取得のために出席されていて、終わったとき、ニコニコと「分かりやすかったよ」と声をかけていただいたのが救いでした。ありがとうございました、K先生。
(おわり)

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