尋問手続き【松井】
*南森町、イル・チプレッソの鴨肉です!ガッツリ!
1
先日、大橋ほか3名、総勢5名の弁護士で担当している事件の尋問手続きでした。
朝10時から午後5時まで、途中、昼の休憩と2回ほど、5分程度の休憩をはさみ、びっちりと総勢4人の証人と被告当事者の法廷での尋問手続きでした。
その日の晩は、大橋と二人、がっつりと鴨肉を食べました。
2
尋問手続きが行われるのは、一審訴訟の手続きの最後の最後の場面です。この時点で当事者の主張と立証(出すべき書面等の証拠は出している)は全て尽くされていて、残るは「人証」だけという段階です。人間が証拠となります。
で。
だいたいこの時点で、判決に対する裁判官の心証は形成されています。原告の請求に理由があると認められるのか、認められないのか。請求認容か、請求棄却か。
人証の取調べ手続きである尋問手続きは、いわば最後の確認作業のようなものです。
で。
なぜこんなことが分かるかというと、12年前の司法修習手続きではまだちゃんと、刑事裁判4か月、民事裁判4か月、検察庁4か月、といったように、各部署に配属されての修習手続きがあったからです。
裁判所の立場でじっくりと事件を、弁護士の代理人活動をみる機会があったからです。
で。
なので尋問手続きが終わると、たいていはもう裁判所は、手続きを終結させて、判決言い渡し期日を指定するというわけです。
だいたい2か月後です。
3
今回の尋問で感じたこと。
尋問。やはり声の力が大きいということです。
声音。トーン。張り。リズム。
もちろん、何を、どう質問するかということが第一です。
でも。それ以外にも。他の大事な要素がある。
刑事事件の方では、いよいよ裁判員裁判が始まります。
その際、弁護人となる弁護士は、裁判員に対して活動することとなります。
このときもちろん裁判員となる人は、多くが初めての裁判、しかも刑事裁判です。
いかに分かりやすく説明、アピールするかが重要となります。
このとき。
何を、どう質問するかということがもちろん大切ですし、声音やリズムももちろんより重要な意義を有することに成るかとは思います。
でも、尋問で何よりも大事なことは。
独り善がりにならないということだと思います。
これの検証が、弁護士になってしまうと非常に難しい。
だって。
検証しようと思ったら、裁判官に「今日の尋問はどうでしたか?」と訊くしかない。
でも、そんなことを訊いても裁判官は教えてはくれないし、判決書きに書いてもくれない。
裁判所修習中、裁判所の立場で事件をみたら、まったく検討違いともいえる質問を熱心にしているのに、終わってから廊下で依頼者に対して、得意気に、今日の尋問はかなりうまく言ったと語っている様子を見て、気をつけないといけないと思ったことを思い出します。
でも、これから。
裁判員裁判になったら、弁護士の独り善がりの尋問はなくなっていくのでしょうか。
今は、あちこちで模擬裁判が開かれています。
その講評によって、フィードバックがされています。
4
大阪弁護士会の月報から。
12月の模擬裁判で裁判員役をした新聞記者の方の評。
「一方、弁護側は事前に資料を配らずプレゼンテーション一本勝負。『弁護士をみてほしい』という狙いなのだろう。だが裁判員席の私は、思いがけない感覚に直面した。資料なしで説明が始まると『聞き漏らしてはいけない』と不安に陥るのだ。
メモ取りに必死で、視線は手元に集中する。弁護側の狙いは逆効果に終わり、退屈な印象ばかりが残った。評議では、検察側の懲役八年の求刑に対し懲役三年の実刑判決になったが、裁判員の印象は概して弁護側に厳しかった。もっと効果的な弁護なら、執行猶予の可能性もあった。」(月刊大阪弁護士会1月号 植松正史)
先日の私たちの尋問はどうだったのだろうか。
退屈?
少なくとも、裁判員裁判でない限り、通常の裁判では、アピールすべきは裁判官。裁判官の心に響いただろうか。
万が一響いていなかったら。押し掛けてガンガンとドアをノックして、響かせねば!!それが仕事。
(おわり)
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