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2008年12月 5日 (金)

時代背景【松井】

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 相続関係の事件を多く担当させていただいていると、昭和40年代、50年代、60年代、平成のバブル時、バブル破綻後が、時代としてどういう時代だったのかということが重要なポイントになることがよくあります。
 たとえば、昭和40年代、47年に田中角栄が「日本列島改造論」をぶちあげ、7月、総理大臣になった、つまりは土地、不動産取引でいえばどういう時代なのか。
 またバブル時、金融機関はいったいどのような業務をどのように行っていたのか。そしてバブルがはじけたとされてからどうだったのか。平成7年1月、阪神淡路大震災が起こり、平成9年、アジアの通過危機がおこり、11月、山一證券が自主廃業した年。
 そういった当時の時代の背景を知っているかどうかで、証拠の見方、事情聴取の結果の位置づけが見えてきたりします。だからある意味、興味が尽きず、相続事件が好きなのです。


 わたしは1971年、昭和46年生まれです。50年代は、小学生、中学生、60年代は高校生。そして平成は、ベルリンの壁崩壊、そして平成5年の大学卒業時はバブル崩壊と共に迎える就職氷河期といった記憶くらいしかありません。
 就職氷河期の時代も、4年生のときに勢いで司法試験の択一式試験に合格していたので、翌年すぐに合格するだろうとたかをくくり就職活動もいっさいしていませんでした。
 その後、平成8年に司法試験に合格するまでの間は、出口の見えない真っ暗闇のトンネルの中を勇気を振り絞って前に進む、出口があることを信じて進むしかないといった感じで、ある種浮世離れした生活を送っていました。
 活字中毒者なので一応、毎朝新聞は目はとおし、好きな小説やノンフィクションの本などは読んでいたのですが、テレビニュースなどは見ておらず、映像での記憶や当時の社会人の人の言葉の記憶というのがあまりありません。要は、世間の風に触れていませんでした。
 でも、それは小学生、中学生のころも同じなはず。小学生。テレビは、たのきんトリオの全盛期、四日市に営業に来ていた羽賀研二のショーを見に行き、サイン入りシングルレコードを入手した記憶があります。芸能に生き、社会情勢がどうだったのかなんて知りません。
 じゃあ、どうやって当時の息づかいを知るのか。当時の人の行動心理、社会情勢を知るのか。
 本しかありません。


 もちろん相談者の方から、聞いたりはします。しかしそれではあまりに断片的な情報。
 そこで役に立つのが、本です。特に、小説です。
 読みあさっていると、いろいろとリンクしたりします。そしてそのリンクに事件の時代背景がさらにリンクする。
 昭和50年代当時、いったいどういう時代だったのか。銀行の本人確認は今のようなものではなく、もっといいかげん、不動産登記も子どもや知人の第三者名義での名義借りがあたりまえ、銀行の本人確認等が厳しくなったのはいつころなのか。
 無記名の割引債といったものが使われて脱税されたが、無記名はいつころまでOKだったのか。
 今の時代の基準で振り返ると信じられないことが過去、まかりとっていたということがよくあります。
 金融機関による無茶な貸付け、杜撰な審査に連帯保証。これも、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合とで会社内の事情がどう違ったのか。信金の統廃合はどのようにすすんだのか。
 
 最近では、黒木亮さんの「巨大投資銀行」という小説を読み、それをきっかけに当事者が描いた山一證券自主廃業の顛末「決断なき経営」を読みました。そして、ソニー銀行設立までを描いた「僕たちは銀行を作った ソニー銀行インサイドストーリー」を読み返しました。これに続けて、以前読んだ「銀行収益革命〜なぜ日本の銀行は儲からないのか」を読みかえしてみようかと思います。そして黒木亮さんの「貸し込み」も。

 その国のことを知るにはその国の小説を読むのが一番よい方法だといったことをインタビューで口にしていたノーベル賞受賞の作家だったか、フランス人の作家だったかがいました。
 その当時の時代背景を知るには、その当時を描いた小説を読むのが一番いいように思います。
 昭和の時代はともかく、江戸時代、鎌倉時代の様子を知ろうと思ったら、まさしく!
 確か今年、源氏物語が世に出て1000年記念ということですが、1000年前の日本の時代の様子をしろうと思ったら源氏物語にまさるものはないんだと思います。
 それと同じことかと。
 多少の間違い、事実と異なることがあったとしても、小説には何らかの真実が宿っていると思います。それを掴むのが一番。

(おわり)

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