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2008年11月22日 (土)

「弁護士を『輸出』せよ」【松井】

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 先日11月17日付の朝日新聞に折り込み広告のように異質な紙質で記事が入っていた。
 刺激的なタイトルが目に飛び込む。
 「弁護士を『輸出』せよ」。
 なんだ、この記事はと思い、一応全てに目を通した。
 新聞見開き4ページの分量。


 結局、海外との取引等で活躍する弁護士の紹介記事のようなものであった。誰向けの記事なのかがよくわからない、これらの日本の弁護士の紹介記事か何かか。趣旨のよくわからない印刷物だったけど、「そうだよね」と思うところもなきにしもあらずだったので、自分用にちょっとここにメモ。


 □「われわれのネットワークがあっという間に仕事をした」

 そう、弁護士には、弁護士でも、ネットワークが大切です。それは海外のビジネスに限らず。
 一人では不十分と思った時、その分野に強い、あるいは一緒に力強くことをすすめていける他の弁護士、紹介できる弁護士は誰か?、あるいは会計士、税理士、司法書士さんといった専門家、あるいは学者の方は?と瞬時に頭を巡らし、電話して依頼できるだけのネットワークが必要です。
 弁護士一人だけで出来ることって非常に限られています。
 逆に、自分もまた、他の弁護士から相談を受けるだけの特異性がないと駄目だといことでもあります。

 □「スピードこそ命、世界に時差はなくなった」

 そう、それもそのとおり。弁護士に頼んだけど、なかなか進まないという話は実はよく耳にします。電話をかけても、折り返しの電話がない等など。
 確かに弁護士は皆、忙しい、でも忙しいからこそスピードアップしないとますます忙しくなって身動きできなくなる。

 □「企業に必要なのは参謀であり、サムライだ。」

 一緒に戦ってくれる弁護士が必要です。でももちろん、負け戦を負け戦であることを秘して押し付けてくるようなのは論外。これからはそういう弁護士も出現してくるかもしれません。
 勝つには、目標を達成するにはどうすればいいのか、どうアプローチすればいいのか、ひたすら考えて、戦略をたて、実行できる能力があること。

 □「日本の法律事務所はもっと国際社会に目を向けないと、欧米に牛耳られます」

 生温いかもしれない。狩猟民として、サムライとして、仕事すべき。

 □「困ったときの駆け込み先ではなく、彼は知恵袋」

 そう評価され、位置づけられる弁護士は素晴らしい。
 質問され、質問されたことに、可/不可を回答するだけの弁護士ではなく、相談者が見えない問題を見て、質問し、提案し、解決する力があること。

 □「企業間の争いは、いまやリアルタイムに、同じ土俵の上で、同じルールの下で展開される」

 日本の基準だけで、自分の基準だけで考えていると大やけどをする。

 □「ここでは、弁護士が企業訪問するのは当たり前です」

 大阪の法律事務所が東京に支店をもった。大阪と同じ感覚で、アポの時間に来た依頼者を待たせた。依頼者は怒り狂った。という話を聞いたことがあります。
 中国では、弁護士が、日本の税理士さんのように顧問先をまわるのが当たり前という話は、日本にいる中国人の弁護士さんから聞いたことがあります。
 弁護士間、法律事務所間でも、競争が激しいということなんだと思います。

 □「保険業法ができた過程をさかのぼり、衆参の委員会などの議事録を調べ、金融庁から『免許は不要』という回答を引き出した。ただの問合せなら誰でもできる。しっかりと理論武装をして、行政から顧客のための判断を勝ち取る。そんな弁護士が求められている。」

 え?!当たり前じゃないの?それが弁護士の仕事だし、存在価値なのでは?!
 理論武装が出来てなんぼのものでは、弁護士って。
 常に、裁判になったら裁判所はどう判断するかというのを頭において、理論武装し、交渉での解決を試みる。
 それが出来るのが弁護士なのではないのか!?
 交渉の相手が、行政だろうが、私人だろうが同じ。

 □「顧客のニーズが増すのに伴い、法律事務所も弁護士も、国境を越えた問題に、素早く、的確に対処できる力がますます厳しく問われる。」
 「重要なのは『ルールや政策を形成していく役割を担う』という領域だ。」
 「ビジネスの広がりや社会の変化が新たなルールを求め、古いルールを壊していく。これからの弁護士に求められるのは、その担い手としての広い視野とタフな交渉力だ。」
 
 え!?これも当たり前じゃないの?何を今更という気がする。
 ニーズに応えられるように常に勉強できる仕事というのが弁護士の仕事の魅力の一つでもあると思う。常に、奮闘せざるをえないから、飽きない。9時ー5時じゃなく、しようと思えば何時まででもやっていられる。いやいややる仕事じゃない。ただ、時には朝方、ハッと目を覚ましてしまうこともあるけど。
 ルールや政策を形成していくというは、今までの多くの弁護士がそれをやってきてるやん!と思う。
 消費者金融の金利がなぜ、ここにきてほとんどが18%になったのか。その前は平気で28%だった。
 消費者金融に戦いを挑んだ弁護士がいたらから。
 割賦販売法や特定商取引法が改正されるのもしかり。英会話のNOVAが破産に至ったのも、中途解約者に対する対応で、NOVAのやり方に憤慨し、40万円の訴訟のために一人、最高裁まで「理論武装」して戦っていった一人の弁護士さんの戦いが一つの引き金になった。というか、もともと会計処理が不適切だったんだと思うけど。だから?監査法人も訴えられた。
 既存の法律にとらわれない「広い視野」と「タフな交渉力」で、「古いルール」はいっぱい壊されている。
 
 うーん、何を今更という記事だった。
 でも、確認という意味では、いい記事だったと思う。
 一応、保管。


 まがりなりにも弁護士である、弁護士として働いているというからには、だいたいそれなりに、皆、戦うこと、挑むことが好きで、しかも自分は負けないと思っているに決まってると思うのだけど。じゃないとやってられない。奮闘している自分が好き、結果を出した瞬間がカタルシスというのがないと。たぶん。
 じゃないと、もうすぐに転職してる。

 仕事が性格をつくるのか、性格が仕事を求めるのか。
 血液型占いというのはまったく科学的根拠がないことは百も承知の上で。まわりの法曹には、B型が多いです。
 冒頭の写真、最近なんだか貫禄がついてきた大橋もB型です。
 
 やはり「弁護士は、悪しき隣人」?
 「よい隣人」では、「弁護士」なんて仕事はやってられないといことだろうか・・・。

 にしても。英語の読み書きが仕事レベルじゃないというのは確かに、痛い。非常に痛い。今から必死に、文献を読める程度にはしないと。
 それに。たぶん、落ちようと思えばどこまでも落ちていける仕事。なんの仕事も同じだと思うけど。まずは、昨日の自分に今日、勝てたかどうか。その積み重ねでしかない。足を踏み外さないように。まだまだ反省し、改善すべきところは多い、当たり前かもしれないけど。依頼者の方に対しても、事件の相手方に対しても、裁判所に対しても。
 この10年、いったい何をやってきたのかとも思ったり。  
 
(おわり) 

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