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2008年11月30日 (日)

テレビの世界/小説「神様のシナリオ」松居幸奈【松井】

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 来週の12月5日、講談社から新しい小説が出版されます。
 その名も、「神様のシナリオ」松居幸奈・著。

 過去、現役TV局ディレクターが小説を出版したといえば、フジテレビのドラマの女性プロデューサーの方が有名ではないかと思いますが、今回は、大阪を舞台にした、女性ディレクターの仕事っぷりを題材とした小説。ディレクター、というかAD(アシスタント・ディレクター)の仕事っぷりを描いた様子が圧巻の小説です。
 

 出版前に原稿を少しだけ読ませてもらう機会がありました。
 その後、さらに手を入れられているようなので完成版はさすがにこれからですが、圧巻はAD時代の働きぶり。

 ADとは、「アシスタント・奴隷」の略だと言われ、まさにそのとおり!?というように、24時間仕事漬けという働きぶりです。

 最近、アメリカのTVドラマ「アグリー・ベティ」を観たのですが、第1話、こき使われるベティの様子をそのまんま地でいく姿です。コロコロ変わる上司の指示に振り回されたり、大勢の前で笑い物にされたり、怒鳴られたり。
 読んでいると非常に切なくなってきます。どんな状況でも、めげることなく立ち向かいつつ、でも徐々にダメージを受けていく主人公の咲子の様子が切ないです。

 でも、ただ切ない、胸がぎゅっと痛くなるだけではなく、読み進むにつれ、咲子の変化の様子、気持ちの変化、行動の変化がテンポよく軽やかに描かれ、最後は元気になります。

 ああ、自分の不運や力不足を嘆いたりするけど、でも嘆いている場合じゃない、もっと辛い状況でも、嘆くだけでなく立ち向かっている人がいるんだと思うと、自分ももっと頑張ろう、頑張れるはずだという気持ちになります。



 読むと、自分なんてまだまだ大したことないな、と吹っ切れたような爽快感を感じます。 
 ぜひ!

 「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」という小説、映画がありました。60年代?、ロケットにたった一匹乗せられて、宇宙に飛ばされたライカ犬。自分がどんなに辛い状況であっても、あの宇宙に飛ばされたライカ犬よりは自分はまし、と呟いて、辛い現実を生き抜いていった少年の物語です。
 たとえていうなら、この「ライカ犬」よりはましといった気持ちで、自分とは別世界の話しとして、パラレルワールドに生きる主人公咲子を宇宙の彼方を見上げるかのように見るかもしれません。
 でも。
 本当は。
 宇宙に行ったライカ犬だけが見られる景色があり、地上にとどまった犬には見られない世界がそこに繰り広げられています。
 宇宙の彼方を見上げるとき、宇宙に行ったライカ犬を羨ましく思い、夜空を見上げているのかもしれません。
 宇宙に行った人だけが語れる世界が小説として描かれています。
 しょうもないバラエティ番組をみたとき、ちょっと見方が変わるかもしれません。馬鹿にしているけど、本当は、羨ましいのかも。自分のいない、自分の見たことのない世界に思いを馳せて。それが、テレビ。
(おわり)

 バレバレですね。そうです、著者は友人です。売らんがため、がんばってアマゾンのバナーまでしてしまいました。ほんまに面白いので、是非!がんばろうって思える小説です。
 
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