鳥飼重和弁護士の講演と「弁護士」【松井】
↑京都 糺の森。
1
今や税務訴訟で超有名な東京の鳥飼重和弁護士が講師の日本弁護士連合会主催の研修を受けました。
お題は、「弁護士に役立つ税務訴訟の知識」。
しかし内容はというと、鳥飼弁護士もたった2時間で細々とした話をする気は毛頭なかったようで、もっぱら弁護士に発破をかけるような、威勢のいい経験談といった感じでした。
私はなかなか面白く聞くことができました。
備忘録代わりにここにメモ。
2
レジュメの一分抜粋
弁護士における課題
1 受け身の姿勢が変わらない
2 社会の要望が見えていない
3 市場を築く気がない
4 実例
相続・事業承継
内部統制
中小企業
租税法率主義と私法重視
タックスロイヤーは、本来、弁護士
タックスプランニングに必要な要素
① 税法・通達に精通・・・・税理士
② 税務実務に精通・・・・・税理士
③ 契約法に精通・・・・・・弁護士
④ 証拠法に精通・・・・・・弁護士日本のタックスプランニングに欠けているのは、③と④
弁護士が加わっていないから。
日本では、弁護士と税理士との協同が必要。
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中小企業、会社経営者の方にとって、身近な相談相手、専門家は、やはり税理士さんになるのだと思います。
うちの実家の商売でもそうです。父や母は、出先の店を閉めるか否か、融資のこと、兄への事業承継(というほどのものでもないですけど)について、誰に相談しているかというと、顧問の税理士さん、会計事務所です。
四日市にも弁護士が増えているはずなのですが、弁護士には相談しません。
さすがに契約トラブルなどについてはたまに私が相談を受けますが。
でも、「弁護士」に相談するのは、事後の話であって、「事前」の事柄について相談するのは、「身近」な税理士さんです。
なぜか。
まさに「身近」というこの一言に尽きると思います。
記帳代行を頼んでいれば、またそうでなくても月に1回は訪問してくれて、話をする機会がある、それが「身近」な税理士さん。
本来、契約法/証拠法の知識と経験が必要な、まさに弁護士マターであっても、税理士さんが「回答」「アドバイス」をくれます。
ただ、以前、税理士さんが顧問先からの質問に次のようにアドバイスしたと堂々と発言しているのを見て、椅子からひっくり返りそうになりました。
Q(経営者) 従業員が、過失か故意か分からないが、現金を紛失し会社に損害を与えた。経営者がとる対応は如何。
A(税理士さん) 損害分を給与から天引きしたらいい。
ええええっっ!!!????
労働法、裁判例をちょっとでも知っていたら、そんなアドバイス、あり得へん!
税法・通達や、税務実務に精通していることと、経営や労働法、会社法、民法、さらには裁判になったときに大事な証拠法に精通しているとうい担保は何もありません。弁護士は、かろうじて司法試験に合格している、研修所で教育を受けている、訴訟代理人をつとめているという担保があるにすぎませんが。
これが実態の一つなんだと思いました。
鳥飼弁護士ではないけど、弁護士、社会のためにもがんばらないと。
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それはさておいても、自分が無知であることを知ること、謙虚さが大事だとこのごろつくづく思います。
謙虚に人に教えを請う姿勢をもって努力していれば、手を差し伸べてくれる人が現れます。
自分が何もかも分かっている、自分が言っていることが常に正しいといった上から目線の言葉を発していれば、間違っていても誰も糺してはくれません。はっきり言って、損です。人生、損する。
「『クレジット』レベルが高ければ、多くの人からアクセスされ、より多くのエネルギーを集めることになる。
結果、あらゆる課題の解決に調達できる材料や使える手段、人生のさまざまな局面での選択の幅が、『クレジット』レベルの低い人より、はるかに豊かになる。
何かのテーマについて考えるプロセスだけをイメージしてみても、『クレジット』レベルの高い人は、より豊かな広がりで助けを求められるから、他人の思考プロセスまでを拝借できる。
それは、自然に、いい考えを導き出すことに繋がるだろう。
もっとも、外見だけを見れば、他人には単に『運のいい人』や『本番に強い人』に見えるだけかもしれないが。
『クレジット』レベルの低い人には、他人が知恵を貸さないから、狭い世界観での乏しい情報による決断になる可能性がある。視野狭窄に陥る危険も。」
(196頁、藤原和博「誰が学校を変えるのか 公教育の未来」2008年9月、ちくま文庫)
ここでいう「クレジット」とは、「信頼と共感」と定義されています。
経営者も、弁護士も、「クレジット」レベルを高める、「信頼と共感」を高めないと、「狭い世界観での乏しい情報による決断」という愚をおかしかねない。
(おわり)
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