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2008年9月

2008年9月27日 (土)

鳥飼重和弁護士の講演と「弁護士」【松井】

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 ↑京都 糺の森。

 今や税務訴訟で超有名な東京の鳥飼重和弁護士が講師の日本弁護士連合会主催の研修を受けました。
 お題は、「弁護士に役立つ税務訴訟の知識」。
 しかし内容はというと、鳥飼弁護士もたった2時間で細々とした話をする気は毛頭なかったようで、もっぱら弁護士に発破をかけるような、威勢のいい経験談といった感じでした。
 私はなかなか面白く聞くことができました。
 備忘録代わりにここにメモ。


 レジュメの一分抜粋
 

 弁護士における課題
 1 受け身の姿勢が変わらない
 2 社会の要望が見えていない
 3 市場を築く気がない
 4 実例 
    相続・事業承継
    内部統制
    中小企業


 租税法率主義と私法重視
 
 タックスロイヤーは、本来、弁護士
 タックスプランニングに必要な要素
 ① 税法・通達に精通・・・・税理士
 ② 税務実務に精通・・・・・税理士
 ③ 契約法に精通・・・・・・弁護士
 ④ 証拠法に精通・・・・・・弁護士

 日本のタックスプランニングに欠けているのは、③と④
 弁護士が加わっていないから。
 日本では、弁護士と税理士との協同が必要。

 

 中小企業、会社経営者の方にとって、身近な相談相手、専門家は、やはり税理士さんになるのだと思います。
 うちの実家の商売でもそうです。父や母は、出先の店を閉めるか否か、融資のこと、兄への事業承継(というほどのものでもないですけど)について、誰に相談しているかというと、顧問の税理士さん、会計事務所です。
 四日市にも弁護士が増えているはずなのですが、弁護士には相談しません。
 さすがに契約トラブルなどについてはたまに私が相談を受けますが。
 でも、「弁護士」に相談するのは、事後の話であって、「事前」の事柄について相談するのは、「身近」な税理士さんです。
 
 なぜか。
 まさに「身近」というこの一言に尽きると思います。
 記帳代行を頼んでいれば、またそうでなくても月に1回は訪問してくれて、話をする機会がある、それが「身近」な税理士さん。
 本来、契約法/証拠法の知識と経験が必要な、まさに弁護士マターであっても、税理士さんが「回答」「アドバイス」をくれます。

 ただ、以前、税理士さんが顧問先からの質問に次のようにアドバイスしたと堂々と発言しているのを見て、椅子からひっくり返りそうになりました。

 Q(経営者) 従業員が、過失か故意か分からないが、現金を紛失し会社に損害を与えた。経営者がとる対応は如何。
 A(税理士さん) 損害分を給与から天引きしたらいい。

 ええええっっ!!!????
 労働法、裁判例をちょっとでも知っていたら、そんなアドバイス、あり得へん!
 税法・通達や、税務実務に精通していることと、経営や労働法、会社法、民法、さらには裁判になったときに大事な証拠法に精通しているとうい担保は何もありません。弁護士は、かろうじて司法試験に合格している、研修所で教育を受けている、訴訟代理人をつとめているという担保があるにすぎませんが。
 
 これが実態の一つなんだと思いました。

 鳥飼弁護士ではないけど、弁護士、社会のためにもがんばらないと。


 それはさておいても、自分が無知であることを知ること、謙虚さが大事だとこのごろつくづく思います。
 謙虚に人に教えを請う姿勢をもって努力していれば、手を差し伸べてくれる人が現れます。
 自分が何もかも分かっている、自分が言っていることが常に正しいといった上から目線の言葉を発していれば、間違っていても誰も糺してはくれません。はっきり言って、損です。人生、損する。
 
 

「『クレジット』レベルが高ければ、多くの人からアクセスされ、より多くのエネルギーを集めることになる。
  結果、あらゆる課題の解決に調達できる材料や使える手段、人生のさまざまな局面での選択の幅が、『クレジット』レベルの低い人より、はるかに豊かになる。
  何かのテーマについて考えるプロセスだけをイメージしてみても、『クレジット』レベルの高い人は、より豊かな広がりで助けを求められるから、他人の思考プロセスまでを拝借できる。
  それは、自然に、いい考えを導き出すことに繋がるだろう。
  もっとも、外見だけを見れば、他人には単に『運のいい人』や『本番に強い人』に見えるだけかもしれないが。
  『クレジット』レベルの低い人には、他人が知恵を貸さないから、狭い世界観での乏しい情報による決断になる可能性がある。視野狭窄に陥る危険も。」

  (196頁、藤原和博「誰が学校を変えるのか 公教育の未来」2008年9月、ちくま文庫)
  ここでいう「クレジット」とは、「信頼と共感」と定義されています。

 経営者も、弁護士も、「クレジット」レベルを高める、「信頼と共感」を高めないと、「狭い世界観での乏しい情報による決断」という愚をおかしかねない。

(おわり)

↓ 愛用マグカップとMacBookAir
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2008年9月25日 (木)

尋問手続き【松井】

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 先日、法廷での尋問がありました。
 尋問になると、「ああ、弁護士っぽいな」と我ながら思います。


 尋問準備の際、1年目から気をつけていることは。
 独りよがりにならないようにということです。

 「人生の大事なことは幼稚園の砂場で学んだ」とかなんとかいう本が昔、売れたことがありますが、
私の弁護士仕事の大事なことは、結構多く、修習中に学んだ、というところがあります。
 裁判官について裁判所に6ヵ月、検察官について検察庁に4ヵ月、弁護士について法律事務所に4ヵ月、そして合計8ヵ月間、埼玉県和光市にある司法研修所で毎日、60人のクラスメート、約700人の同期と共に、優秀な裁判官、検察官、弁護士からみっちり研修を受けました。
 この2年間、法曹の先輩方からは多くの率直な意見、教えを受け、制限なくいろいろな情報にアクセスでき、多くのことを見て、聞いて、吸収しました、と自分では思っています。
 裁判所や検察庁で自由に出入りできるなんて、弁護士になった今ではあり得ません。まさに司法修習生ならではのことです。
 当初から弁護士になるつもりだったので、裁判所修習、検察修習では、今だけだと意識的に修習に努めました。


 そんな司法修習中。
 民事裁判にしろ、刑事裁判にしろ、尋問を多く見る機会がありました。というか、毎週、必ず見ていたくらいだと思います。
 そこでは裁判官の立場で、検察官と弁護人、あるいは代理人弁護士同士の尋問を目にします。

 そこで感じたことは。
 独りよがりにならないように、裁判官の関心事は何かということを常に考えよう、
 聞きたいであろうことをなるべく早く訊こう、ということでした。
 また何よりも、準備を万端に、事件に関連する出来事の年月日、登場人物は徹底的に頭に叩き込もうということでした。

 また弁護士になってからも、相手方の弁護士の尋問から学ぶことも多々ありました。

 盗難手形を巡る事件。
 なるほど、そのように突っ込んで突っ込んで、詰めて具体的に訊くことによって証言の曖昧さを浮き彫りにする手法もあるのかと、相手の反対尋問を聞きながら関心したこともあります。
 
 また、反対尋問であっても、供述者の個性に合わせ、にこやかにストレートに質問すれば、意外とストレートに求める回答が返ってくることがあるといったことも経験しました。

 とはいえ、やはり明らかに書証に反する証言、供述であっても、そのように言わざるを得ず、強弁を言い続ける証人、当事者を目の当たりにしたこともあります。

 また、検察官の取調べのテクニックと同じで、秘密?のノウハウもあります。


 尋問になると、弁護士ならではのやりがいを感じます。
 ただ、尋問の一番の問題は、それが功を奏しているのか否か、その事件の担当裁判官に訊く機会が持てず、反省のフィードバックがなかなか出来ないということです。
 客観的にまったく検討はずれの質問を延々としながら、法廷を出た廊下で依頼者には大成功だと得意気に語る弁護士にその独りよがりをただす人はいないわけですから。

(おわり)
 
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2008年9月19日 (金)

弁護士の仕事術(なんちゃって)その1【松井】

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 実は。

 ビジネス・ノウハウ本が大好きです。
 フォトリーディングの講座も、去年、受講してみました。
 マインドマップ、速読、交渉術、書類作成術、こうすれば片付く本、等々。
 学生のころから大量に読んできました。
 最近は弁護士さんもこの手の本をいろいろと出してますよね。たまに読んでいますが、最近の出版ベースではもう追いつきません。

 で。
 どうなのか。


 本を読んで、それを実行したらからどうこうというのは、まあ、多くの方と同様、ほとんどありません。
 ただ、たぶん無意識のところでうまく生きているのではないかといったことはあります。
 その自覚が、自分の中から生まれたものか、それとも読んだ本の焼き写しなのか。どちらが先なのかは分かりませんけど。


 そうした事柄の一つ。

 「寝かせる」「熟成させる」といったものがあります。

 これは、弁護士の友人達との間では、「寝ている間に頭の中の小人たちが働いてくれている」と表していました。
 どう法律構成をしたらいいのか、どう書面を書いたらいいのか、どう尋問期日の準備をしたらいいのか。
 すぐにパッと考えら得れて、ちゃっちゃっと仕事を済ませられることもあれば、なかなか名案が浮かばないこともあります。
 そんなとき、周りの弁護士を捕まえて議論してみたり、質問してみたり、文献をあさってみたりしつつ、考え続けます。ひたすら考えます。
 それでも、自分で納得できる名案が浮かばないとき。

 忘れます。

 これを、「いったん寝かせる」、「小人に考えてもらう」と言っています。
 

 これをするためには、締切に余裕をもって着手することが大事です。
 あまりにもきわきわで着手すると、寝かせる余裕がなくなります。

 寝かせるとどうなるか。

 ふとしたはずみで、納得いく名案が浮かびます。
 書きあぐねていた書面がスラスラーと一気に、2時間程度で書けたりします。
 尋問についても、突破口が見つかったります。
 


 この考えて、考えて、考えて、情報等を仕入れるだけ仕入れたら、寝かせる、といった技法は、思考の熟成といった表現で、ノウハウ本でもよく触れられています。
 これは、実感としてあります。

 脳みその七不思議の一つでしょうか。


(おわり)

追録/

実は。
ブログの趣向をちょっと変えてみようかと模索中です。

なんのため?
茂木健一郎さん風に自分の備忘録、ブリーフィング?も兼ねてみようかと。
営業上、マイナスかもしれないけど。でもこれを好ましく思うような人とでないとその人との仕事もうまくいかない。背伸びせず。でも、背伸びは大事。どっちやねん。
茂木健一郎さん。
そうです。「脳を活かす勉強法」に、最近出た、二匹目のどじょう本、「脳を活かす仕事法」も読みました。
朝、起きたらすぐにMacBookAirの電源を入れて、前日のことを書いてみましょうか。
絶対、できへんわ。無理。

*京都、出町柳の「ふたば」。やはり豆餅が美味しかったです。
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2008年9月18日 (木)

案ずるよりも・・・行動【松井】

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 案ずるよりも産むが易しといった言葉がありますが、思案しているよりも訊いたほうが早い、なんだ、どうってことなかったということが結構あります。



 一昨年の3月に購入した携帯電話機を使っています。
 最近、急激に電池の持ちが悪くなっており、毎日のように充電器につなげておかないと2日ほどでへたってしまいます。
 普段、それほど携帯電話機で話をするということがないので、4、5日に一回程度の充電で十分でした。
 
 これは面倒だ、そろそろ買い替えないといけないかな、でも、わざわざショップに出向く時間がなかなかとれない。
 どうしたもんかと、だまし騙し使うような状態でした。

 先日、裁判所の現地見分というのがあり、その際、かなり早めに現地つき、喫茶店で時間を過ごそうとブラブラと歩いていたら、携帯電話ショップを発見しました。
 今だ!と店に飛び込み、品定めをしていたところ、愛想のいい店員さんが声をかけてきました。
  「2年前の携帯電話機の電池がへたってきたので新しい機種に変えないといけないかと思って。」
  「電池だけを購入する方が割高ですよね。」
 と訊いてみたところ、
  「2年以上お使いですか?それでしたら専門ショップの方で無料で電池交換するサービスをしていますよ!」
 と教えてくれました。
 
 なんて親切!
 言わなければ、私はそのショップで携帯電話機を購入していたかもしれないのに!



 その店員さんは、この近くに専門ショップがあるということまで教えてくれました。
 思いっきり笑顔で、「ありがとうございます!」と言って店を出ました。
 その店員さんには情報提供料を支払いたいくらいだった。
 久々のナイス・サービス!
 
 教えてもらった専門ショップで、無償で電池交換をしてもらいました。
 こんなサービス、あったんだ。テレビのコマーシャルではやっていないよね。電車広告でもないよね。
 知らなかった。

 案ずるよりも、すぐに訊いてみる、行動する、やっぱりコレだと改めて思いました。



 たぶん、何事も同じ。
 ぐずぐず悩んでいる時間があるなら、どこかの店に行って、あるいは知っている人に訊いてみる。相談してみる。
 「まず行動」。

 40歳を過ぎて、NSCでお笑いを一から勉強したというエド・はるみの座右の銘。
 離婚歴の「バツイチ」のことは、「1婚」という、という。「1婚」「2婚」。

 前向き。


5 
 皆さんも、契約、取引、お金のことなどで悩むようなことがあれば、ひとりで頭を抱えていても何も事態はよくならないので、信頼できる友人、知人に相談してみてください。市役所の窓口などでもいいです。大阪弁護士会でもいいです。どこかでつながりが出来て、適切なアドバイザーが現れ、解決に繋がります。
 家にいても、会社にいても、自分が動かない限りは事態は変わりません。放置することでむしろ事態は悪化することの方が多いです。
 予防に努めてください。ぜひ!
 自分の頭だけで考えられること、ある情報量なんて、たかが知れています。
 2年以上使っていたら、電池パックは無料交換なんて情報、私の頭にはありませんでした。さっさとショップに行って訊けばよかったと心底思いました。

*念のため。
 法律事務所・弁護士への相談は無償ではありません。
 無償で相談を訊いてアドバイスをしていたら、それだけで弁護士の一日が終わって、本来なすべき依頼者のための通常業務が出来なくなりますので。

(おわり)

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2008年9月12日 (金)

卒業【松井】

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1 専門職大学院、会計専門職専攻をなんとか1年半で卒業できそうです。
  取得した科目単位。

2 財務会計系 
   国際会計論/杉本徳栄先生
   簿記原理/玉置求己先生(公認会計士)
   簿記基礎/上田耕治先生(公認会計士)
   財務会計基礎/杉本徳栄先生
   財務会計論/山地範明先生
   会計制度論/上田耕治先生(公認会計士)
   英文会計/前原啓二先生(公認会計士)
   企業評価論/井上浩一先生(公認会計士)

  管理会計系
   原価計算基礎/稲澤克祐先生
   予算管理論/小菅正伸先生
   コストマネジメント/窪田祐一先生
   財務分析/井上浩一先生(公認会計士)

  監査系
   会計倫理/西尾宇一郎先生(公認会計士)
   監査論/西尾宇一郎先生(公認会計士)
   監査基準論/野呂貴生先生(公認会計士)
   内部統制論/遠藤尚秀先生(公認会計士)

  経済・経営系
   経営学/加藤雄士先生(税理士)
   財政学/稲澤克祐先生
   経営管理論/加藤雄士先生(税理士)

  企業法系
   法人税法/西尾宇一郎先生(公認会計士)
   金融商品取引法/田中庸介先生(弁護士)
   信託法/杉浦宣彦先生
   所得税法・消費税法/井村登先生(公認会計士)
   租税法実務/宮口定雄先生(税理士)
   租税法詳説/井村登先生(公認会計士)
   地方税実務/麻木邦子先生(税理士)
 
  以上、52単位、26科目
  落とした単位6単位、3科目。それについては敢えて触れず。

3 
 仕事をしながらはキツかったけど、高い学費を払って、貴重な時間を割かなければ、読めなかった本、読まなかった本をたくさん読めたし、聞けなかった話をたくさん聞けたし、入学しなければ会えなかったであろう人と出会えることができました。

 人が成長するには、その環境が大事、環境に身を投じること、お金をかけることが大事だというのを身を以て学びました。
 ロースクールと同様、アカウンティングスクールもまた多くの問題を抱えているのは事実だとは思いますが、長い人生の中で、このような機会を得られたことは非常に良かったと思います。
 行かなければ得られなかったであろうものをたくさん得る事ができました。


 ただ、本当は、もっと多くの時間を勉強にさければよかったのにという悔いはないわけではありません。悔いというか、まわりのレベルを下げちゃったなという申し訳なさです。
 その学習環境のレベルを下げたことは、もっと真剣に公認会計士試験の受験勉強をしていたかたには非常に申し訳ない思いでいっぱいです。
 やはり自分がより高いところに身を置こうと思ったら、高い環境に身をおくということが非常に大事です。
 これは司法試験受験生のときに実感したこと。まわりに合格者がたくさんいれば、どの程度で合格できるか、どの程度でどうなのかということが分かり、捕獲の範疇が見極めやすくなり、その効果として、目標とする結果と現状との距離が分かり、結果を得やすくなります。
 まわりに合格者がいない環境では、合格レベルが分からない。やみくもなことをしてしまい努力が成果となって現れない。
 この点、公認会計士試験の受験生の方には申し訳なかったと思います。


 ただ、私自身は、23歳の飛び級進学の優秀な学生さんや、20代の受験生の学生さん、さらには30代、40代の、企業の会社員の方、会社経営者の方、あるいは公務員の方々、さらには60代の全く人格者の税理士さんなど、受験生としてではなく、人として優れた多くの方々と知り合える機会を得たことは幸せでした。親しくさせていただく教授もおり、大阪弁護士会での講演依頼をさせていただいた先生もいます。
 
 途中、不満もなかったわけではない1年半でしたが、こうして振り返ると、感謝の気持ちでいっぱいです。
 これを次に生かさないと意味がない、そんな思いです。
 この1年半は、本当にあくまできっかけ。
 ここからさらに自らに必要な勉強をし続けてさらに遠くへ行けるかどうか、これからが勝負だと思っています。
 がんばろ。
 自分が充電しつつ、還元。
 Mastery for Service!

6 
 先日、司法研修所の卒業10周年の集会が熱海でありました。10年ぶりの研修所の同窓生。皆、研修所を巣だって、もう10年!

 修習中に学んだことで、しっかりと記憶している教えなどがいくつかあります。
 その中の一つ、検察教官の言葉。

 「すぐ喜ぶな、すぐ落ち込むな。」

 熱海の席で、今は弁護士になられた検察教官にお会いし、思い出しました。
 油断するな、一喜一憂するな、常に先を見据えろということだと思うのですが、卒業といっても特に浮かれ喜ぶこともなく、次を見据えたいと思います。


 昨日、新司法試験の最終合格発表がありました。
 合格された方にも、残念ながら今回は不合格だった方にも、この言葉を。
 

 「すぐ喜ぶな、すぐ落ち込むな。」


(おわり) 

東京の新マルビルにある茶店でのかき氷。
 ↓
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2008年9月 5日 (金)

交渉のコストマネジメント【松井】

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 先日、大阪府立大学の窪田先生のコストマネジメントの講義、約20時間を受ける機会がありました。
 講義一辺倒のものではなく、受講者の中で5、6名でチームを組み、予めケースを与えられ、そのケースをもとにしてチームで討論、発表をするというパターンで7回ほどの討議、発表が繰り返されました。
 レポートの提出もあり、なかなかハードな講義だったのですが、もっぱら製造業におけるものといわれてた「コストマネジメント」について、一応一通りどんなもんかというところは把握できたのではないかと思います。
 そして、先日、仕事で交渉を経たあと、事務所に戻る前に淀屋橋のホリーズカフェでダッチソフト・オーレを食べながら、ふと考えました。
 交渉のコストマネジメント。


 コストマネジメントとは、コストダウンよりも広い概念です。目的は、利益業績の改善、そのための手段としてのコストマネジメント。
 その中でも、原始的な標準原価計算といわれるものから、原価改善、戦略的コストマネジメントとして、源流段階からコントロールしようという原価企画、設備企画、そしてさらには間接費や営業費についてもマネジメントしようという動き、ABCの効用と限界とったものから、品質コストに環境コスト。

 交渉ごと、訴訟活動でも同じではないだろうか。
 紛争解決に行き着くまでの「コスト」をいかにマネジメントするか。
 初期の段階がやはり非常に重要だと言うことです。初期段階でのコントロールが行き届かないと、紛争は必要以上にとんでもなく肥大化して、解決までの「コスト」がかかってしまう。「コスト」というよりも、むしろ多大なる「ロス」が発生してしまう。
 これをいかに回避するのか。
 源流段階の管理にポイントがある、と実感しています。

 これもまた私がよく依頼者の方に言う言葉として次のような言葉があります。
 「肉を切らせて骨を断ちましょう」
 「なんですか、それ?」と言われた事もありますが、要は、「損して得取れ」ということです。

 感情的には腹のたつ相手方です。
 心情としては、相手方を利するような事はいっさい、したくありません。
 が、それで自分が特に損をするわけでもなく、損をしたとしても回復不可能な損害ではなく、相手を利する事で、相手の「感情」「心情」がほどけ、他の事柄でこちらに協力的になるという状況にあるのなら、相手を利する行動をとるほうが、結局は、自分が大得を得るといことです。

 例えば。資料を欲しいという相手に対して、コピー代として1枚20円を請求したばかりに、相手方の感情を害し、そこで事が進んだ事柄も進まなくなる、そんなとき、相手方の要求に喜んでと応じて、手間、時間、費用がかかるけど、快くにっこりわらってコピーした資料を手渡してあげる、そのことによって相手方もこちらに「ありがとう」と言わざるを得ない状況となり、そこに友好な関係が生まれて、事が好転する、ということもあります。

 こちらがニッコリと微笑めば、相手方の敵愾心、戦闘意欲がどうなるか。
 カーネギーの成功法則だったかなんだかの本でも書かれていました。
 にっこりと微笑む赤ちゃんと目が合ったら、笑わない人はいない。
 
4 
 ただ実際には、多くの方が感情に左右され、「コストマネジメント」的発想からすれば、まったく逆の余計な「コスト」「ロス」を発生させる言動をとりがちです。
 相手方と接触する目的は何なのか?そのための手段は何なのか?ということをよく見極める必要があります。

 感情に任せて、売り言葉に買い言葉で言葉を投げつけたり、振る舞ったりする。
 わざと相手方をカッとさせるようなことを言う。
 そのときは気分がいいかもしれません。
 でもそのことによって紛争解決に至るための「コスト」「ロス」が余計に発生するのです。

 この発想は、何も二枚舌を使えということを言っているのはもちろんありません。
 不必要に相手の感情を害することはない、不必要に相手に損害を与ええることはないということです。

 裏を返せば、根本的には、因果応報という考えがあるのかもしれません。
 昨日の敵は今日の味方。
 依頼者のため、必要以上に敵を作る必要はありません。
 たとえ依頼者の方は感情が抑えられないとしても、代理人たる弁護士は「代理人」たるがゆえに相手方と、依頼者とはまた違う距離を形成できるのです。この点を代理人活動に生かさない理由はありません。
 WIN-WIN の交渉術と言われるもの同じ事だと思います。
 自分が渡った橋を叩き割るような交渉はするな、と表現されていた交渉術の本もありました。


 刑事事件の法廷弁護に関する本ですが。
 「弁護のゴールデンルール」(キース・エヴァンス著、2000年、現代人文社)という本があります。

 法廷で検察側の証人に対する弁護人からの反対尋問での締めくくりについてこう書かれています。

 「そして、すべてが終わったら、この魔法の言葉を忘れるな。

  『この証人に対して裁判長からさらにご質問はおありでしょうか。スミスさん、法廷にお越し下さった事を感謝いたします。裁判長、証人を退廷させてもよろしいですか?』」


 嫌われ者の弁護士こそ、良き隣人たれ、ということだと思います。
 それが依頼者の利益につながる、弁護士のコストマネジメント。

 時々、書面でも、振る舞いでも、「むかつく!」という相手方代理人弁護士がいるような、いないような、ブツブツブツ。
 そんなときは相手にいったいどんな「コスト」が発生するのか。誰も知らない。

(おわり)

お!ココログにこんな機能が!
お描きモード。
スマイル!私の机の前にはこんなシールが。
「Laugh & Laugh !」

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2008年9月 3日 (水)

I'm your lawyer 〜利害相反だよ〜 【松井】

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タクシー乗る機会が多く、足腰を鍛えなきゃと先日、7階の法廷まで階段で上がりました。息は切れるは足はもたつくわで、傍聴席の一番前の列を横移動しようとしたら、足がもつれて、派手にこけました。

 8月、無期限の活動休止状態になったサザンオールスターズの桑田さんの言葉。
 「 I’m your singer」
 この言葉について触れられていた新聞のコラムを目にした。

 そして考えた。
 弁護士も同じ。

 私が時々悦に入りながら口にする言葉があります。
 「申し訳ありませんが、私は近藤さんの弁護士であって、田中さんの弁護士ではないということです。」
 


 どういうことか?
 弁護士の今のこの私はいったい誰の利益のために存在するのか、ということです。
 
 近藤さんの依頼を受けていたら、近藤さんの弁護士です。
 田中さんの利益になるようなこと、それが近藤さんの利益に反するようなことであればなおさら、そういったことが分かっていたとしても不用意に教えたり、伝えたり、アドバイスすることはできません。

 どういったときにこの言葉を口にするのか?
 田中さんが本人で交渉、訴訟等をしていて、弁護士に依頼していないときです。

 「近藤さんの弁護士」ではなく、一般的な「弁護士」に対するものとして、弁護士からアドバイスを求めるものとして、取るべき対応、問題点などについて訊かれることがあります。
 相手方のご本人から。

 そのとき、「申し訳ありませんが、私は近藤さんの弁護士であって、田中さんの弁護士ではありません。」
 「なので、あなたからの質問に対して、弁護士としてお答えすることは出来ません。」
 とこたえざるをえない。

 ここで私が「弁護士」として答え、アドバイスしてしまうと、それをもとに田中さんが行動をとったとき、田中さんの行動に対して全く責任が持てません。
 ここでアドバイスすることはかえって無責任なことになり、田中さんに余計な損害が生じる事になるやにしれません。
 また、そもそも相手方です。相手方を利することは場合によっては依頼者を害することにもなりかねません。そうであれば、なおさらアドバイスなんてできません。

 そこでお伝えするのは、
 「田中さんの利益だけを考えてアドバイスしてくれる、他の弁護士さんに相談してみてください。」
 「お知り合いに弁護士がいない、紹介してくれる人もいないということであれば、大阪弁護士会で、30分5250円で有料ですが、法律相談が開催されていますし、弁護士会の方で弁護士紹介業務も行っています。また市役所等にいけば、おそらく定期的に、弁護士の無料法律相談が開催されています。これは時間が30分や25分と限られてはいますが。」
 といったことです。


 桑田さんの言葉。
 「I ‘m your singer」
 含蓄のある言葉です。
 ファンのためのサザンオールスターズ。
 ちなみに、実は、サザンオールスターズ自体はそれほど好きな訳ではありません、もちろん嫌いでもありませんが。
 幼稚園のとき、「渚のシンドバット」*ピンクレディーでした。愛読者の方からご指摘が。訂正。「勝手にシンドバット」でデビューしたことは強烈に記憶しています。当時、「シンドバッドの冒険」というアニメが放映されており、私は勝手に「僕の名前はシンドバッド」という歌をつくり口ずさんでいたところ、そっくり!とそのとき子ども心に思ったメロディーがテレビから流れてきました。それが「渚のシンドバット」。
 「パクられた!」と被害妄想に陥っていました。


 弁護士の場合、ま、利害相反の問題なんですけどね。双方代理禁止の規定が民法にもあります。この規定がもしもなかったら!?
 誰も弁護士なんて信用しないし、依頼もしない!!
 記者の取材源秘匿と同じ。喋ったことをよそであいつが言ったとペラペラ取材した人にやられたら、誰も取材になんて応じなくなる、そうなるとどうなるか。情報が流通しなくなる。情報が流通しないとどうなるか。
 それは、歴史が証明してくれている。表現の自由、報道の自由。
 歴史に学ばないと。
 憲法に学ばないと。
 
 
 先日、古本屋で、イギリスのウィンストン=チャーチルの「第二次世界大戦」のセットが2000円で売られているのを発見しました。即買いです。前から読みたいと思っていた本です。チャーチルの本。
 「叶えられた祈り」ですね。トルーマン=カポーティ。
 祈っていれば、叶えられる??
 
(おわり)


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