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2008年7月 7日 (月)

戦う契約書〜結局、紛争拡大?〜【松井】

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 7月5日付けの日経新聞で。
 「加盟店の商品仕入れ代」「セブンイレブンに報告義務」との見出し発見。
 最高裁HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36582&hanreiKbn=01


 セブンイレブンとそのフランチャイズ契約のオーナーとの関係と言えばこの裁判例を思い出します。
 http://osaka-futaba.cocolog-nifty.com/futaba/2007/06/post_786a.html
 やはり高裁判決を最高裁が覆し、差戻したものです。ただ、この差戻審では確か、オーナーが負けたと記憶。錯誤があったとはされなかったと記憶しています。

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 で、今回。
 またしても、セブンイレブンとフランチャイズ契約のオーナーとの訴訟で、高裁判決を最高裁が覆し、差戻す。
 いったいこんな訴訟がいくつ係属しているんだろうと疑問に思う。
 オーナー側からの要請、要求に対しては、セブンイレブンは基本的に徹底抗戦しているんだろうか?という疑問も出てくる。
 で、最高裁まで争い、最高裁で負けて、事実審理のために高裁に差戻される。
 最高裁でオーナー側の言い分にも一理ありといった判断がされている以上、そもそもオーナー側の要求も全く理不尽ではなかったということだろう。結果論かもしれないけど。
 最高裁、差戻し審と争い続けるまえに、どこかで歩み寄りの余地はないのだろうかと思う。
 解釈論等を巡って最高裁まで徹底抗戦して、挙げ句の果てという例を思い浮かべるのは、やはりNOVA。
 どこかで折り合えれば、破産の憂き目も避けられたかもしれないと思う。
 

 今回の最高裁の判断。
 「コンビニエンスストアのフランチャイズチェーンの運営者は加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払い内容に着いて加盟店に報告すべき
義務を負うとされた事例」として最高裁HPでは紹介されています。
 判断手法としては。
 契約関係の分析→準委任契約(民法656条、645条)
 「本件基本契約の合理的解釈」「本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を免れないものと解するのが相当である。」
  ↓
 必要性&許容性
 必要性/「商品の仕入れは、加盟店の経営の根幹をなすもの」「加盟店経営者は、被上告人とは独立の事業者であって、自らが支払い義務を負う仕入先に対する代金の支払いを被上告人に委託している」「仕入代金の支払についてその具体的な異様を知りたいと考えるのは当然のことというべきである。」
 許容性/「加盟店経営者に報告することに大きな困難があるとも考えられない。」「通常の準委任と比較して被上告人にとって不利益であり、被上告人の加盟店経営者に対する一方的な援助のようにも見えるが」オープンアカウンにより決済されることによある結果
 →オープンアカウントによる決済方法/被上告人にも数々のメリットがある。


 立場の強弱で、ブラックボックスをつくっることは、そこで契約当事者に不信感をもたらすだけ。
 こっそり儲けようと言うビジネスモデルは成り立たないということだろう。
 最高裁からの警鐘だろう。
 説明義務を果たしてなんぼ。
 公正、透明。
 
 「当然の要求」か否かを慮り、可能な限りそれに応える努力。企業の姿勢。
 もちろん「不当な要求」に応じる必要はないけど。
 何が「当然」で何が「不当」なのか。ここの選別に力を入れ、「当然」に対しては、可能なかぎり応えるというところに企業としての資金、エネルギーを注いだ方が、最高裁まで争って、差戻審なんて年月、弁護士費用と企業イメージの悪化を回避できるんではないだろうか。
 
 株主代表訴訟をおそれてなんでもかんでも裁判所の判断に委ねるということだろうか?それもまた情けない話。きちんと検討して、理屈が立てばokなだけ。
 検討もせず、自己の判断を放棄して裁判所にその判断を委ねること、それで無駄な弁護士費用に年月、企業イメージの悪化をもたらすこと、それもまた注意義務を怠り会社に損害を与えたものとして、株主代表訴訟に値するのではないだろうか。
 だって、自ら決断しないということだから。

(おわり)

なんでもかんでも戦えばいいというわけでは当然なく。戦わないのが一番いいに決まってる。いかに戦わずして勝負を決するかに力を入れた方が効率的。
     
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