2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のコメント

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

flickr


« 「72歳、男性」〜言葉の喚起力〜 | トップページ | 社会の役割分担/取材記者と知事と弁護士と 【松井】 »

2008年6月25日 (水)

言葉の喚起力、その2。あるいは映像の力。

2577103821_df0dafabc2


 事務所の名前は「大阪ふたば法律事務所」といいます。
 大橋と一緒に事務所を立ち上げようと言うとき、事務所名について悩みました。
 私が提案した案。そして、今も出来ればこの名前にと思う名前。
 それは。

 「双龍法律事務所」


 大橋からは即却下されました。
 こわもてっぽい、ラーメン屋さんぽいなど理由は挙げられましたが、
大橋の趣味に合わなかったんだと思います。
 このブログのテンプレートも、「竹と虎」というものをみつけ、嬉々としてそれに代えたことがあったのですが、気づいた大橋にすぐに変更されました。確か、水玉模様だったかなんだかに。

 そうです。
 「大阪ふたば法律事務所」というのも、まずは大橋が「ひらがなで、ふたば法律事務所がいい」と提案し、妥協した私は、「それでもいいけど、ひらがなばかりは嫌だ。そうだ、漢字で『大阪』をつけるならいい。」と提案し、合作で出来上がった名前です。
 「大阪」がついていたら、大阪以外の場所で訴訟をしていても、ああ、この弁護士さんは大阪の弁護士さんねとすぐに分かってもらえます。
 わかってもらえたらからといってどうということもないのですけど。


 今でも時々提案しています。

 「双龍」。
 
 強そうで良いと思うけど。
 なかなか同意をしてもらえません。
 
 ロゴはもちろん、ジャン=ポール=ゴルチエのマークのような龍です。それも昇竜。
 格好いいと思うのですが。


 名は体を表すとはいいますが、訴訟上の書類では、原告が松井淑子さん、被告が株式会社大橋であっても、基本的には、「原告」といい、「被告会社」といった表示をします。
 これでは、裁判官がかかえる多くの原告の一人、多くの被告会社の一人であって、この文字をみただけでは何のイメージも湧いてきません。

 それは、私自身が修習生のとき裁判所修習において多量の訴訟書面を見ながら感じたこと。
 一見無味乾燥な書類の山の中、原告個人の写真が何かの立証趣旨のもと証拠提出されていたり、被告会社の代表者の写真や、会社の様子の写真が出ていたりすると、「おお、この原告はこういう方か。」と以後、イメージが湧きます。
 書類をみて「原告は」と書かれていると、あ、あの顔の方ねとイメージが湧きます。

 そういったものがないと、原告個人あるいは、被告会社代表者の顔をみるのは、尋問期日当日ということになってしまいます。
 あ、この方はこういう方だったんだと法廷の尋問直前になってようやく分かる訳です。

 大したことない、結論には何の影響もないかもしれないけど、抽象的な「原告」あるいは「被告会社」代表者について、顔のある「原告」あるいは「被告会社」代表者であって欲しいと思います。
 言葉の喚起力が違うのではないかと思います。
 具体的に人の顔が浮かべば、「原告は、被告会社代表者に対し、金100万円を手渡した。」と主張しても、裁判官の脳に刻み付けられる深度が違うのではないかと思います。

 なので私は、裁判資料では、なるべく写真を出すように、写真を出せるところはないかと考えるし、依頼者についても、裁判官と顔を合わせてほしくて、裁判の早い段階で一緒に一度は弁論準備でも出頭してもらうようにしています。
 

 最近、ネット上での知り合いに過ぎなかった友人の友人に生であう機会がありました。ネット上の名前はよく見かけていて、あら、○○さんがコメントをしている、と思ってみていたのですが、実際に友人に紹介されて会ったとき、「ああ!この方があの○○さん!」とちょっと感動しました。
 名前と顔が繋がった、リアルな印象をもつにいたった、感覚が結びついたような感じ。

 だからきっと裁判官も、書面だけで「原告は」うんたらかんたら、「被告は」うんたらかんたらといった書面を、字面だけを観るよりも、せめて写真でその「原告」の顔を知り、できれば動いて喋る生身の「原告」「被告」を早くに知ってもらうようにしたほうが、その後、書面を読んでも多少は印象が違うのではないかと、こっそり考えています。
 ま、結論には何の影響もないかもしれないけど。
 イメージを喚起して、こちらに共感してもらわないといけないし。
 理屈と感情。二本立て。
 
 事務所名も、「大阪ふたば法律事務所」で想起されるのは、ひょろひょろっとした双葉なので、ここはやっぱり「双龍法律事務所」にして力強い昇竜をイメージキャラにすればいいのではないかと今もなお思い続けているのですが、いかがでしょうか、大橋さん。
 イメージの力は、凄いよ。イメトレやね。

 
 ほら、例えば冒頭の写真。こんな可愛い靴を履く子どもが、実は殺人人形チャッキーだなんて想像できますか?チャッキー映画は、可愛い子ども人形が恐ろしい形相に変身して人間に襲いかかってくるというギャップが怖かった映画です。観ていないけど。
 そういえば「13日の金曜日」(これはTV放送で観た)もラストシーンが衝撃的だったのは、しんと静まり返った山深い綺麗な湖に静かに浮かぶボートのシーンとその次のシーンの対比があるから、最後、ギョッとして飛び上がる。
 チャッキー映画もジェイソン映画も、見た目とのギャップに騙されるんだけど、ということは見た目が大事ということ。
 「原告」「被告」じゃ、何も頭にイメージできない。見た目、見た目。
(おわり)

 

« 「72歳、男性」〜言葉の喚起力〜 | トップページ | 社会の役割分担/取材記者と知事と弁護士と 【松井】 »

02 松井」カテゴリの記事

07 訴訟活動」カテゴリの記事

10 つれづれ」カテゴリの記事