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2008年5月 8日 (木)

株式の帰属~名義借ってやっぱり駄目よねの巻~【松井】

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↑ ホタルイカ、この季節、大好きです。

1 
 こんにちは、弁護士のマツイヨシコです(なんちゃって営業挨拶をしてみました)。
 このGWをどのように過ごしたかというと、左バーの「Mの早起き日記」を見れば明かなとおり、やはりいつもよりも精神的にはのんびりとした感じで過ごしてはいました。ただ、茂木健一郎さんを見習い、いつも頭の中はフル回転を目指すべく、頭の中ではいろいろと考え続けてみました。なんちゃって茂木健一郎です。「プロフェッショナル」、面白いです。「情熱大陸」も好きです。


2 
 さて。5月初めてのエントリーです。
 自分のメモがてら、また一般的にも珍しくはない問題だとは思うので、株式の帰属についての争いに関して書いておきたいと思います。
 参考資料は、ちょっと古いですが、「大阪弁護士会と大阪地方裁判所各部・大阪簡易裁判所との懇談会 報告集 平成18年度版」から、まずは裁判所での取扱方の紹介を。
 

3 


□ 株式の帰属に争いがある典型例は、株主であると主張する原告とこれを争う会社との株主権確認との訴えになるが、そのほかにも、株主総会決議の取消し、無効、不存在といった訴えも、株主であることが原告適格を基礎づけるので、原告適格を争うことで株主の地位が問題になる。同族会社等で親族間の紛争を背景とする係争では、株式の帰属の争いを契機に、株主権確認あるいは総会決議不存在等々の各種訴訟、さらには株主総会の招集許可といった非訟事件も含め複数の事件が提起されることがあるが、こういう事案では、株式の帰属の争いを解決することが紛争の抜本的解決につながる。

□ 裁判所は、株主の帰属が争われる事件にも、通常の民事訴訟事件と同じく、早期に事案の内容と争点を把握するために計画的で充実した審理を進めたいと考えている。エッセンスは『判例タイムズ1107号』に掲載しているが、再度紹介しておく。

 株主の帰属の争いも、争点の見極めが必要。株式の原始取得の部分ー設立あるいは新株発行等の場面で、引受けが名義借か否かがよく問題になるーか、その後の贈与、売買等の承継取得の部分かを明確にした上で、審理の対象となる主要事実を確定させ、その主要事実を推認させる間接事実を明らかにして、書証を整理し立証計画を立てる。
 親族間の紛争を背景とするような事件では、被告側の応訴態度が明らかになる早期の弁論準備手続の段階で、当事者の方から親族関係図・系図(親子、兄弟が分かるもの)、株式の取得経過の推移表、取締役等の役員の変遷の表等を提出してもらい、客観的、外形的事実で争いのある部分があるのか否かを早期に確定し、株券発行会社の場合は株券の有無ー株券発行会社でも株券が発行されていないということがしばしばあるーを明らかにする。
 次に、送付嘱託の活用も含め、基本的な書証ー定款、株主名簿、承継取得の場面で議論になる遺産分割協議書、贈与契約書、株主総会の招集通知、総会議事録、配当関係あるいは納税関係の書類等ーを早期に提出してもらっている。」


 株式の帰属に関して、ここ数年で一番の話題となった事件は、西武鉄道の株式の帰属を巡る一連の紛争だったかと思います。確か、親族間でも株式の帰属をめぐって訴訟になっていたように思います。また会社それ事態は、上場廃止になり、有価証券報告書への虚偽記載によって損失を被ったということで株主が損害賠償請求訴訟も提起していました。この訴訟事態は、結果的に株価下落の損害は発生していないという認定を受け棄却となっていましたが。

 同族会社においては、創業者がしきって株式を発行する場合、親族を株主とすることが珍しくありません。このとき、誰が株主といえるのかという点について、「引受けが名義借か否かがよく問題に」なります。

 この点の「審理の対象となる主要事実」は、何か。
 例えば、会社法209条は、株主となる時期について次のように規定しています。
 

「募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
 一 第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
 二 第百九十九条第一項四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日」

 まず事実として問題となるのは、出資の履行をしたのは誰かということになるかと思います。
 仮に、創業者がお金をだして出資し、でも引受は孫名義であった場合、名義の借用なのか、それとも孫への贈与なのかということで、当該株式が遺産か否か、誰が株主なのかといった形で問題になります。

 税務署による取扱いの一例ですが、この点、孫らのものとして創業者の遺産ではないとして処理していたところ、相続税の申告における税務署の調査において、当時、孫らはまだ小学生であり自ら出資したとは考えられないこと、他の諸般の事情から、創業者が孫らに贈与したとも認定できないとして、遺産であるとの指摘をうけ、修正申告したというケースも聞いたことがあります。

 裁判所における認定も、実際は、まさにケース・バイ・ケースです。
 ただ、上記の裁判所の指摘にあるように、ポイントははっきりしています。
 ちなみに、最判昭和42年11月17日(会社法百選8)は次のように判示しています。
 

「他人の承諾を得てその名義を用いて株式を引受けた場合、株主となるのは名義貸与者ではなく、実質上の引受人である。株式の引受及び払込については、一般の法律行為の場合と同じく、真に契約の当事者として申込みをした者が引受人としての権利義務を有する。」
 これは原始取得の場合ですが、承継取得ならまた違いますし、株券が発行されている場合は株券を所持しているか否かでまた少し事情が異なってきます。



 不動産などでも名義借用が珍しくありません。
 結果論かもしれませんが、欲を出す人が出てきたときにトラブルの素です。名義借用するときは、信頼して、まさかその人と自分との間で、あるいは他の親族等との間でトラブルになることはないと思っているのだとは思いますが、人は変わります。
 名義借りといったことは、何につけてもしないでおくのが一番ではないかと思います。税金の問題が根本にあるんでしょうけど。

 ところで、遺産分割協議の際、後日の税務署からの指摘を考慮し、敢えて遺産分割の対象から名義借用株式とおぼしき株式を除いておくといった取扱いがあり得るということを聞いたことがあります。税理士としてはそう考えることがありうるのでしょうが、弁護士としては税務署がどうくるかということも予想し、反論も準備して、遺産分割協議を完了させておくというがあるべき姿ではないかと思います。敢えて脱漏させて、それだけについてまた遺産分割協議をしたりしないといけない状態をつくるなんて紛争の種を残したものであって紛争の終局的解決にならない。ただ、この場合、税理士さんが意図することについて私の誤解がまだあるのだろうか・・・。
(おわり)

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