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2008年4月 7日 (月)

そうだったのか、「税理士法」【松井】

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1 
 3月、日本弁護士連合会主催の「租税税訴訟の新たな展開」という研修を受けました。 その際、従前、租税に関して、弁護士はその果たすべき役割を果たしてこなかったのではないかという指摘がありました。
 従前、税務のことは税理士がやるべきことで弁護士が担当すべき事柄ではないといった風潮がなかったのかということでした。
 その際、税理士の役割に関して、税理士法1条の指摘がありました。

 税理士法1条には、「税理士の使命」として次のように記されています。
(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

 一方、弁護士法1条はというと。
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。



 つまり、税理士法の規定する税理士の役割・使命としては、決して「納税者の代理人」ではないということです。
 「独立した公正な立場」で、納税者と税務当局との間に入る、調整役的な面が役割と考えられていた面が多分にあったのではないかという指摘でした。

 ところで、課税については、国家権力として抑制の対象たるべきものとされ、憲法でしっかりと定められています。

 憲法84条
 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
 
 租税法律主義です。
 なぜこんなことが憲法で定められているのか。歴史の所産です。


 この点、従前、納税の権利は十分に守られてきたのかということです。
 弁護士が「納税者の代理人」として、租税法律主義に照らし、おかしいことはおかしいとして、交渉あるいは訴訟によって戦ってきたのか否かということです。
 これこそ弁護士の役割・使命ではないかと。
 
 先の研修のタイトルは「租税訴訟の新たな展開」です。まさに「新たな展開」です。
 
 私の中では、入国管理業務についても、法律に則った、予測可能性・平等適用がまだまだ不十分な業界ではないかとの思いがありますが、税法もそうでしょう。
 
 以前、会社法の研究者の方とお話をしていたとき、「ダメ駄目、和解なんてしちゃ。判決もらって白黒つけなきゃ、法律の解釈論が進化しない。」といったことを言われました。
 紛争当事者の代理人としては、判決をもらうよりもよっぽどの事情がない限り、和解の方が当事者の利益に繋がることの方が大きいです。
 しかし、相手が国・行政機関である場合、和解は困難な事が多く、特に、租税訴訟は始めた場合は最高裁までやる覚悟が必要だといわれているように、白黒つけるべき事に対しては、判決をもらって白黒をつける方が利益になるのかもしれません。
 和解でも納得できないのなら、筋を通すべき事に対しては筋をとおす、その事に対して弁護士として役に立てることがあれば、これはまさに弁護士の使命としてやり甲斐を感じることだと思います。

(おわり)

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