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2008年4月22日 (火)

弁護士の研鑽~チューニング合わせ~【松井】

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 交渉ごと、契約締結、新規事業開始にあたっての法的アドバイスなどを行うにしても、弁護士にまずその分野に関する法的な知識があることが、当然ですが必須です。
 ここでいう専門家としての法的な知識が何を意味するのか。


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 法令に関する解釈、裁判例を知っていること、さらにはあるべき姿とは乖離している実態、慣行などを知っていることなどいろいろです。
 つまりは結局、先に対して的確な予測がいかにできるかと言うこと、結果を予測して目的を達成するのに必要な選択肢、方策を示すことであるのは間違いないかと思います。

 このとき、「先」、「結果」というものが何を意味するのか。
 紛争となり、出るところに出たらどういう判断をされるのか。すなわち、裁判で争われたとき、依頼者の言い分がとおるかどうかの見込みを立てるというのが最大のポイント、法律相談を受けた弁護士に求められる能力、提供できるサービスだと思います。



 ということは、裁判実務を経験していないと、結局、相談業務も実際のところままならないのではないかと私は思います。
 法廷にはめったに行かない弁護士というのも確かにいるようです。

 しかし。
 裁判は、裁判所に行って、裁判官と会話してなんぼだと思います。
 裁判官の感覚にチューニングを合わせる。
 これは楽器と同じ。
 文献の世界ばかりにいて法廷から足が遠のいていると、裁判官のものの見方ということについて、ズレが生じてくるかと思います。
 やはり相談業務は、裁判という現場で訴訟代理人を務めているからこそのものだと思います。

 「弁護士」としての研鑽の場は、裁判所にあると思います。
 頑張りたいと思います。
 日々、裁判官の書いた最高裁判例や研究論文、さらには学者の書いた論文に目をとおし、場合によっては外国の法制度を調べるなどして、日々、研鑽に努め続けたいと思います。
 もっと訴訟に強い弁護士として働きたいと思います。
 
 法学の大家、我妻榮先生の言葉。

 「法律学は、
 『実現すべき理想の攻究』を伴はざる限り盲目であり、
 『法律中心の実有的攻究』を伴はざる限り空虚であり、
 『法律的構成』を伴はざる限り無力である」

 いわゆるサムライ業として、弁護士登録1年目から自身の名前を出して今の仕事をしてきました。
 独立して事務所を構えている今、監督する上司や雇い主はいません。
 ともすれば易きに流れがちな状況ともいえます。

 そんな状況だからこそ、初心を忘れず、悔いなく訴訟代理人活動をしていきたいと思います。
 依頼者の利益にならないことはもちろんですが、そうでなくてもやはり訴訟で「負ける」のはイヤです。
 訴訟代理人としても、結果を見誤った負け判決だけはもらいたくありません。
 自身のチューニングの狂いを見せつけられることになるから。
 訴訟代理人として、依頼者と共に悔しい思いをすることだけは味わいたくありません。 そのためにもっともっともっと努力したいと思います。


 先日、勝つべき事件と考えていた事件で一審判決、100%敗訴の判決書をもらいました。
 裁判官の書いた判決書に対し、つっこみどころは多々あるかと思える判決書ではあったのですが、裁判官に文句を言っても始まりません。
 私が担当裁判官にチューニングをあわせきれられなかったのだと思います。
 
 こんな思いは二度としたくはありません。
 悔しいし、何よりも依頼者に申し訳ない。保護されるべき立場であるにもかかわらず、こんな内容の判決書をもらってしまった。
 今まで、自分のチューニングには比較的自信がありました。判決文の構成が、自分が準備書面で書いた筋と同じ構成だったりすると一人ニカッと笑っていました。負けると思ったときは、損害を最小限にするために負けない和解をアドバイスし、さらには勝つべき事件は勝ってきたという思いでした。
 そうしているうちにどこかでチューニング、練習を怠っていたのかも。

 五感、音感を磨き、音合わせをして、次のステージ(控訴審)に挑みます。

(おわり)

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