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2008年2月26日 (火)

絶対なんてないよ、たぶん 【松井】

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1 SPCの取扱い

 2月26日の日経の一面記事。
 上場企業のうち情報開示された34社について、連結対象からはずれているSPCが保有するとされる資産が10兆6183億円を超えているとのこと。これは連結総資産に対する比率2%。
 ちなみに、34社が関わるSPCは363社とのこと。

 ふーん。日本の会計基準、変わるんだろうね。というか、変えるようにとする日経新聞の意図を感じないでもない。圧力記事か。


2 監査法人

 同19面記事。
 NECが監査法人を変更とのこと。
 新日本監査法人からあずさ監査法人へ。

 新日本が切ったのか、NECが切ったのか。
 いずれにしても、新日本監査法人の気概を感じる。


3 非上場会社と研究開発費

 2月25日の日経夕刊の小さな記事

 「アップリカ支援で合意」
 「アップリカは二〇〇七年七月期に長年の不適切な会計処理を訂正し、数十億円の特別損失を計上して債務超過に転落した。」
 ちなみに、この「不適切な会計処理」とは、2007年12月13日のニッケイネットによれば、「同社は決算処理で研究開発費などの計上に絡み、保有する特許を過大に評価していたという。これを厳格に見直したことで07年7月期に大幅な最終赤字を計上した。」とのこと。
 
 ふーん。
 やはり「研究開発費」。
 
 ちなみに、「米大手日用品メーカーのニューウェル・ラバーメイド社(ジョージア州アトランタ)」が「経営を支援することで同社と基本合意した」とのこと。

 アップリカ葛西はやがて上場するのでは。


4 まとめ
 
 会計基準、財務諸表は、当たり前なんだろうけど絶対真実を反映しているとは限らないということを肝に銘じる必要あり。
 ただ、統計と同じでまったく使い物にならないものではない。意味のあるもの。

 統計については、
 「すなわち統計は、データの中から『ふつう』と『ふつうじゃない』を区別し、発見するツールとして有効に機能します。」(26頁、飯田泰之「考える技術としての統計」NHKブックス、2007年)と表現されているのをみて、なるほどと思った。
 統計も、会計基準・財務諸表も絶対の真実を現していることを保証するものではない。
 そしてなんと言っても、法律もまた然りではないかと思う。法律に則って結論が出される裁判についても、一審判決と二審判決の結果が異なることがある。それだけ、曖昧さがあるということ。絶対ではないということ。

 相談者や依頼者の方から、「勝ちますか?負けますか?」「勝つ確立は何パーセントですか?」と尋ねられることがある。

 端的な回答は「分かりません」である。
 私が結論を出すのであれば回答できる。何パーセントですと言える。
 しかし、判断するのは、私とは別の頭をもった第三者、裁判官である。他人の頭で何がどのように考えられてどういう結論が出るのかということについて訊かれた場合、推測・推論、統計的なことしかいえない。何%ですなんて言えるわけがない。
 根拠は何ですか?となる。

 その根拠は、訴訟代理人弁護士がその頭を必死で判決を書く裁判官の頭、思考過程を想像し、それに合わせる(合わせたつもりになる)ことでしかありえない。
 絶対ではない、法律も。曖昧、ブラックボックスが存在する。
 だから「絶対勝ちます」とも「絶対負けます」とも言わない。裁判に「絶対」なんて有り得ないから。
 ただ、「おそらく勝てない」「おそらく負ける」と考えるケースはあるので、そういったケースについてはその旨を理由とともに率直に伝え、原告側のときは受任はお断りし、被告側のときは和解によって、「勝ちはしないけど、負けもしない」という結論を導くのがベターであることを説明します。
 

 武富士の元会長の息子の贈与税課税の取消訴訟、香港が住所地か否かという点で一審判決と二審判決が異なった。
 グレーゾーンにいたことによるリスクだろう。最高裁の判決、どっちに転がってもおかしくはないと思う。
 ただ、どうあるべきかというと・・・。「諸般の事情を考慮して」結論が出るのだろう。
(おわり)

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