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2008年1月26日 (土)

鍛えられる~消費者問題~【松井】

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 平成11年、大阪弁護士会に登録した当初から、いろいろある委員会の中でも消費者保護委員会に所属しています。
 その年、モニター商法のさきがけのいわゆるダンシング事件が発生し、弁護団に加入しました。ちなみに、全面解決に至るまでに5年ほどを要しました。
 消費者保護委員会では、消費者センターの相談員の方々との情報交換、勉強会などを定期的に開催しています。またセンターの方で開催される事例研究会などにも参加させていただいています。
 私もこの2年ほど、定期的に参加させていただいています。


2 
 相談員の方々は、相談の最前線にいます。相談者の方との話しはもちろん、企業、あるいは信販会社、クレジット会社の担当者とのやりとりを幅広く行っています。
 そこでの生の知識、具体的な使える知識、技術は、弁護士を上回るものがあります。
 いつも大変、勉強させてもらっています。
 皆さんが、相談に来られる方を何とか助けたいとの情熱をもって相談業務に取り組んでおられます。

 そのようななか相談員の方から、弁護士として相談を受けるのですが、法的な結論としては、どうしようも出来ない、裁判になっても勝訴するのは困難であるとこたえざるを得ないケースもあります。
 現行法ではどうしようもできません、業者の法的責任追及は困難です、と。


3 
 ダンシング事件のとき、弁護団で協議していて問題となったのが、クレジット会社・信販会社の加盟店管理責任です。

 ダンシングという布団販売店が、ある時期をさかいに爆発的に売上げを伸ばしていくのです、信販会社との信販利用件数が急増する、その「異常」事態において、原因を確認すれば明らかになったことが、「モニター商法」でした。信販を組んで40万円の布団を購入すると月々の信販会社への支払いは、信販手数料を入れても1万円前後。一方で、布団を買ってモニターとして、レポートを出せば、1万円の支払いを上回るモニター料が手に入る、その差額がお小遣いになるというふれこみでした。
 じゃあ、買った人はみな小遣いに心惹かれたのかというと、意外にもそうとばかりはいえず、むしろ知人に強く勧められ断りきれず、「損はしない」ということでやむを得ず契約したのだという方が結構いました。
 これが実情だと思います。ところが裁判になると、相手方からは欲に目が眩んだとか評されるわけです。

 ダンシング社には信販会社から立替金がまとまって入金されますが、モニター料を支払う必要があります。会員が増えれば増えるほど、支払いも巨額となり、破綻必至商法、蛸が自分の足を食べるような商法でした。
 そしてダンシング社は倒産し、モニター料は支払われず、残ったのは信販会社に対する債務だけでした。

 このような状況において、信販会社は何の責任も問われないのか。
 もちろんいわゆる騙す、悪徳商法を行う企業が一番悪いに決まっています。そこで他に登場する人物が、消費者と信販・クレジット会社です。
 消費者は、信販・クレジットの利用によるメリットを受けているのではないか。
 信販・クレジット会社は、加盟店契約による手数料収入というメリットを受けているのではないか。
 悪徳業者の登場によるリスクについて、消費者が負担すべきなのか、信販・クレジット会社が負担すべきなのか、公平なリスク負担はどうあるべきなのか、という問題にいきつくのだと思います。
 
 

 最近、クレジット・カードを利用した悪徳業者が目に付くとのことです。携帯電話、PCでは、クレジット・カード番号を入力すれば、ものの購入が可能です。
 例えば、利用限度額というものが確かにありますが、例えば10万円が限度であっても、小口の1万円程度の買い物を多数、重ねれば、決済までのタイムラグによって10万円を超える買い物が可能となり、業者に利用されるがままに総額数十万円の買い物をする結果になるとか。
 
 消費者の側においても、防御は重要です。20歳未満の未成年なら、親の同意がなければ取消しは基本的には可能ですが、大人の場合、一度契約したものについてはそう簡単に取消、無効、解除等は認められにくいの通常です。
 「金額」については自分がいった、トータルでいくらの買い物をしているのか、それくらいは把握するようにしてください。
 自分がいったいいくらの負債を負っているのか。
 信販契約、クレジットを利用されている方については、払えなくなってから相談に来られ、そこでトータルの金額を訊いても答えられない方が多いです。
 
 一方で、業者。
 加盟店と消費者の二者間の契約で、たとえ業者が偽物を売っている、詐欺的な商売をしていたとしても、当社は一切関係ございません、と言い切れるのか。

 今年の夏の消費者夏期研修のテーマは、クレジット・カードを巡る諸問題です。
 先日、相談員の方々から海外の事情はどうなのかと問われました。
 すみません、不勉強で。

 現行法を学ぶのはもちろんですが、現行法を超えた法制度論を研究し、構築する能力が必要です。
 そうした努力が、最高裁判決を変更させたりすることに結びつきます。
 法律では、それはダメ、これはダメという回答しか出来ないような業務はしたくない、創造的な仕事を行う余地がある仕事です。弁護士は。
 ただ、あまり創造的になりすぎて現行法からかけ離れ過ぎると裁判所や、相手方弁護士から相手にされなくなるだけですが・・・。
 

5 
 ところで。事務所のホームページを初めて改訂しました(http://www.osaka-futaba.com/)。
 載せてある写真は素人っぽくて、自分でもどうかとは思うのですが、いかにもという綺麗なページも柄ではなく。
 これくらいがいいのかなということで。
 
 法律に振り回されるのではなく、法律をどう使うのかという発想を生かしていきたいと思います。
 そういう点でも、消費者センターの相談員の方々からの相談、勉強会では鍛えられます。いつもありがとうございます_(_^_)_。
(おわり)
 

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