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2007年12月

2007年12月29日 (土)

昨日の夜の出来事&「ドキュメント戦争広告代理店」【松井】

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昨日の夜の出来事・・・。  About Last Night というロブ=ロウ主演の青春映画を思い出しました。それはともかくとして、昨夜、事務所の全員で食事をしました。場所は、南森町のイル・チプレッソ。
 事務所自体は昨日で仕事納めでした。
 在学中から事務所で学生アルバイトとして働き、卒業後、そのまま残ってくれた川上さん。もう3年。去年の夏から加わってくれた大和さん。そして弁護士を目指す学生アルバイトの湯川くん。そして大橋と私。総勢5名。

2 
 最小単位の法律事務所は弁護士1名でスタッフ1名か2名という事務所です。大阪ではそんな事務所が何パーセント占めるのか。
 我が事務所も最小単位に近い規模の小ささです。
 2002年9月に開業してもう5年が過ぎました。
 開設当初のスタッフ立川さんや曽根さんのことは今もときどき話題に上がります。開設当初、走り出すと出てくるマネジメントの問題が山積の中、笑いを忘れずに二人には本当によく頑張ってもらいました。問題が起こっても笑い飛ばして乗り切るエネルギーが溢れていたように思います。そんな二人も大阪を離れ、今や子育て真っ最中のようです。

3 
 あれから5年。どんな法律事務所を目指しているのか。
 昨日、皆で食事をしながら言っていたのは、というか、いつも言っていることですが、「気取った事務所」にはならないように。というか、なりようがないということです。
 ドアを開けた瞬間、思わず緊張してしまうようなゴージャスな事務所というのももちろんあります。圧倒されるような優雅さです。
 我が事務所は、そんな方向性を目指してもそもそもそんなキャラクターでもないという弁護士二人です。
 目指すは、親しみを感じてもらえる事務所です。
 クラシック音楽はいつもかかっていますが、ときどきアロマオイルも炊いています。足を踏み入れた方がリラックスできるように。

 6年目の仕事納めの日、事務所の皆で、リラックスして一緒にワインを飲み、美味しいご飯を食べられる時間を共有できました。本当に恵まれたことだと思います。
 感謝。

 年明け2008年、進むべき道は見えています。
 事務所一丸となって、開設当初の「ドラえもんの理念」を実践していきたいと思います。

 「平和アンテナから出る電波は、どんな争いもぴたりと止めるんだ。」

 平和アンテナを手に理想に燃えるドラえもんのポスター(事務所に飾ってあるもの)
 ↓ 
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 法律を道具に、争いのない世界を目指して。平和アンテナのような事務所に。
 ありきたりですが、紛争解決、そして何よりも紛争予防。


 皆さま、よいお年をお迎えください。
 そしてまた来年、どうぞよろしくお願い致します。

(おわり)


追記 
 年末、「ドキュメント 戦争広告代理店 ~情報操作とボスニア紛争」(高木徹、講談社文庫)という本を読みました。いろいろと示唆に富む本です。プロフェッショナルの凄さを実感しました。
 ただ笑えるのは、最後、クライアントであるボスニア・ヘルツェゴビナ共和国と代理店であるルーダー・フィン社との決裂のきっかけは、フィーの支払いを巡ってだったという点です。弁護士代理人としても生々しい話です。
 いずれにしてもルーダー・フィン社のジム=ハーフ氏らは、PR会社としてプロフェッショナルとしてのサービスを提供したのは間違いないかと。
 PRというのは、Public Relations の略であり、著者曰く「きわめてアメリカ的な概念であるため、未だにこれといった日本語の訳語はない。PR企業のビジネスとは、さまざまな手段を用いて人々に訴え、顧客を支持する世論を作り上げることだ。」とあります。
 この「さまざまな手段」という点が、プロのプロたる所以で本領発揮のところなのでしょう。プロ中のプロとそうでない者との手腕の差、落差も描かれたドキュメンタリーの本でした。年末、改めて「プロフェッショナル」というものについて考えました。「プロフェッショナル」。茂木健一郎さん、大好きです。ときどきブログチェックしています。来年も期待。
 ジム=ハーフ氏はその後、自らのPR会社を設立。
  Our Team

2007年12月27日 (木)

事業承継と遺留分・遺留分減殺請求訴訟~皆、模索中~【松井】

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 判例タイムズ2007年10月1日号では、「事業承継と遺留分」として北海道大学の藤原正則教授の文章が掲載されていました。
 2007年6月に公表された「相続関連事業承継法制等検討委員会」の中間報告を受けてのものです。

 結論的には、同報告では現行の遺留分制度に対する法改正に言及されているのに対し、「遺留分を制限する方向には少なからぬ疑念を感じる。」としています。なぜなら、「家族を社会連帯の制度と位置づける法制度全体の重要な一翼を担っているのが、遺留分制度だと考えるからである。」としています。そのうえで、事業承継と相続法制については、「まずは現行法での予防法学上の措置が事業承継という問題に即して検討されるのが、問題解決の順序ではなかろうか。」として、特別受益、遺留分法規、議決権制限種類株式の発行、贈与・遺贈といった制度の利用について詳細に言及されています。信託の活用についても、「事業(会社)承継への信託の活用は従前から説かれており、改正信託法の下での可能性も考慮されるべきであろう。」と指摘しています。



 事業承継については、私が経験した事例では、まさに頓挫し、相続人間の不信感の増長と商法106条(共有者による権利の行使)の利用の結果、全く会社経営の経験も、能力もないといえる方が代表取締役に就任する結果になったことがありました。事務所に相談に来られたときには、既に商法106条の権利行使者の指定がなされており、これを覆す多数派形成の説得活動も頓挫したというものでした。本来なら、権利行使者の指定をする際に、一相続人からその案内があったとき、それが一体何を意味するのかについて相談に来て欲しかったと残念な思いをしました。

 同族企業における事業承継は、創業者たる被相続人が保有する株式の生前贈与という形で行われることが多いかと思います。
 この点に対する問題点の指摘が次の遺留分減殺請求です。
 「後継者以外の相続人が遺留分減殺請求権を行使すれば、生前贈与、遺言による処分は効力を否定され、後継者への資産の集中は頓挫する。」「後継者への自社株の生前贈与は、後継者の事業の寄与による株価上昇も含んだ形で遺留分減殺請求の対象となる。後継者への自社株の贈与は、10年以上前に行われているのが4割に上るにもかかわらずである。」(前記藤原)とあります。


 遺留分は民法1028条以下に記載されています。
 1031条 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
 1028条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
 1号
 2号

 私自身、過去に何回か、遺留分権利者の方々の代理人となって遺留分減殺請求訴訟を提起したことがあります。
 被相続人の遺言として、一人の者に対し包括遺贈が定められた遺言書が出てきたケースでした。それも公正証書遺言で。
 なので、遺言も作れば安心というものでは決してありません。妙な内容の遺言を作るとかえって紛争を複雑化させるだけになります。
 遺留分減殺請求訴訟は、これまた実はなかなか特殊な類型です。
 まずもって、以前、家裁の裁判官も講演で言っておりましたが、相続事件を扱うのであれば、表計算ソフトのエクセルの利用は今や必須の状況であり、特に、遺留分減殺請求はそうです。計算方法について、エクセルを利用すれば、過程が一目瞭然となります。
 つまりそれだけ、過程の多い算出を行うということです。

 条文、1028条をみると、単に、例えば、直系尊属のみが相続人である場合、被相続人の財産の三分の一、 それ以外の場合、被相続人の財産の二分の一とあるので、単純に、相続発生時の遺産総額の二分の一が遺留分権利者らの遺留分として計算すればいいようにも思えます。 
 が、違います。
 いろいろな計算過程を踏まえて初めて、侵害されている遺留分額がいくらなのか、訴訟で請求できる金額がいくらなのかが算出されます。
 この遺留分減殺請求訴訟については、判例タイムズの2007年12月15日号でも、小論文が掲載されていますのでまた別途、述べたいと思います。


 確かに、一つの方策としては、事業承継者以外の相続人において、事前に納得のうえ、遺留分放棄の手続きをしてもらうことだと思います。
 この手続きは家庭裁判所に対する申立てなのですが、これも過去、数回、代理人として遺留分放棄の申立てを行ったことが私もあります。
 どのケースも、生前贈与あるいは遺贈とのセットで、紛争予防としてなされました。放棄をする推定相続人に対しては、十分な贈与が行われていました。

5 
 ただ、贈与の場合に問題となるのは、結局、税金の問題です。この点、相続時精算課税制度が出来ましたが、これが有効なのは一定の場合であり、有効でないケースも多々あります。
 これに対し、同族企業の株式の評価方法について見直されています。これと、議決権制限種類株式の発行、遺留分放棄の制度をうまくかみ合わせることが出来れば、スムースな事業承継が可能になる余地は増えるかと思います。
 ただ、非後継者の推定相続人が強硬であった場合、被相続人であり経営者がとりうる有効な手段はいかなるものがあるのか。
 相続関連事業承継法制等検討委員会も模索中のようです。
 中間報告では、「事業承継契約のスキームの創設」などが委員会で全体の賛成が得られたということです。
 問題は、いかなるスキームを創設しうるのかということです。
 
 相続紛争によって、事業がボロボロの姿になり、結局、相続人全員が損をする結果は、見るも無惨です。


 ★信託の利用に言及しているという、久保和英「企業法務と相続問題ー中小企業の事業承継を中心として」市民と法43号(2007年)49頁以下というのをチェックせねば。ノーマークだった。

(おわり)

2007年12月26日 (水)

便利もの~マインド・マネージャー~【松井】

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 以前にも書いたように思いますが、新しいもの好きです。
 マインド・マップというトニー=ブザンさんが開発したというノートの取り方?を生かしたPCソフトがあります。その一つがマインド・マネージャー。
 実は、ほかにもブザンさん本家開発の i mind map なるものも使っているのですが、これはもっと自由です。カラフル、曲線が多用されています。使っていて楽しいのは、i mind map です。
 しかし対外的に出すとなると、従前、人の見慣れたものという点ではマインド・マネージャーの方がまだ保守的といえ、アレルギーも少なく、受け入れられやすいかと思います。
 好みなのは i mind mapなのですが、対外的には マインド・マネージャーを使用しています。

2 
 どんな風に役立つかというと、例えば、今回試しに、管財事件で必須の「破産管財手続きの運用と書式」(新日本法規)のうち、租税等の請求権のところをマインド・マネージャーでまとめてみました。あくまで概要だけだし、独断と偏見に基づき作成されています。
 イメージ的にはこんな風になります。
  ↓
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なかなか理解しにくい体系、各項目の位置づけも、これである程度、一目瞭然になります。階層が目で見て分かるから。

 便利。

(おわり)

2007年12月25日 (火)

不正を防止する仕組み~内部統制制度の有用性~【松井】

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1 
 内部統制が監査の対象になるということで、監査報酬バブルが起こっているといういわれかたをしたりしますが、仕事量に応じた報酬を請求するのは当たり前のことでは?!と思ったりします。何も監査法人が無理からに仕事量を増やしたわけでもないし。
 ただ、八田先生曰く、「コンサルティング会社やIT業界など外部の専門機関に内部統制の構築を丸投げするといった『経営者不在の内部統制』の動きもある。これらはいずれも、本来の趣旨を理解しておらず、第三者評価には耐えられないものだ。」(07年12月7日日経)ということですが。コンサルに金を払っても、無駄じゃないの?!といことを暗に言いたいのか・・・。



 内部統制。小さくみれば、例えばうちの事務所のようなところでも、小口現金の出し入れにつき、管理者と現金の利用者を分けるといった仕組みを作ることを指すでしょう。これが同じ人物だと、現金なだけに横領しようと思えば簡単に出来てしまう、そこで仕組みを作って、管理者のチェックが入るようにするといった簡単なことです。
 この仕組みを作る責任は、もちろん経営者である弁護士の責任です。
 この仕組みを大きくしたものが、内部統制かと。

 といことで、「はて?どうなっていたんだろう?」と思ったのが、「全国小売酒販組合中央会」の年金共済制度です。


3 
 日本弁護士連合会では、「日弁連 消費者問題ニュース」というA4、10枚程度のニュースが発刊されています。
 そこで、2007年3月号を何気なく見たところ、「事件情報」ということで、「全国小売酒販組合年金被害対策東京・大阪弁護団」のニュースが目にとまりました。
 
 中身はというと。
 「全国小売酒販組合中央会が、私的年金制度として運用していた年金共済制度が破綻して、年金加入者が、年金の受給はもちろんのこと、掛金相当額の大半の返還も受けられなくなったという事案」です。
 弁護団は、2007年1月15日、東京地裁・大阪地裁に、損害賠償請求訴訟として提訴しているということです。
 
 「元事務局長の独断にょって、クレディ・スイスとの間で信託契約が締結され、チャンセリー債への一括投資が行われました。」ということです。
 ここに掛け金のほとんどの総額約145億円が注ぎ込まれたところ、投資に失敗し、資金の大半が失われたとういことです。
 年金を老後の収入と考え、掛け金を支払っていた方々の苦悩を思うと何ともやるせない気持ちになります。

 「本件の問題点は」「安定した運用でいどむべき年金事業において、リスクの高い仕組み債であるチャンセリー債への勧誘・誘導が行われた結果、リスク分析も行わないままに、年金資産のほとんどを一括投資した点です。」とあります。
 「年金資金の運用方法等について具体的な決定権限を持っていた中央会の理事会等では、本件投資について必要な検討を行っておらず、事実上、事務局長の独断によって」投資が決定されたということです。
 「その際、クレディ・スイスは、中央会に対して、本件投資について行うべき適切な説明・助言を行いませんでした。」とあります。



 専門業者として、顧客に説明すべき事柄を説明すべきは当然としても、一体、中央会の仕組み、まさに内部統制はどうなっていたのかという疑問です。
 おそらく、145億円もの資金の使途を決定する権限について、何らの抑制の仕組みもなかったものと思われます。あっても、まったく機能していなかった。
 その責任を全て、クレディ・スイスが負うべきなのか。正直なところ、この点は疑問ですし、裁判所もそれなりの考慮をするかとは思います。
 不正を抑止する仕組みとしての内部統制制度は、何も上場企業だけに有用なものではありません。
 その発想それ自体は、ネーミングはどうあれ、うちの事務所のような小さな個人事務所から、年金共済といった組合でももちろん有用です。
 「仕組み」に対して、疎かであったことのリスクは誰が負担することになるのか。その共同体の構成員に結果が降りかかってくるのです。
 自分が属する組織、お金を託している組織に対し、今一度、「仕組み」が出来ているのかどうか、考えてみてはどうでしょうか。
 ことが起こってからでは、遅すぎます。

 ところで。何の本で読んだかすっかり忘れていますが、アメリカなどでは年金資産の運用についてはそもそも組合などにおいて投資のプロをスタッフとして擁しているとか。勧誘しても、甘い話しにはちょっとやそっとでは乗ってこない慎重な姿勢が徹底していたという業者側からの体験談を読んだことがあります。日本の年金は結構、団体任せで各団体によって違うんでしょうね。
 あ。弁護士会の年金はどうなっているんだろう。
(おわり)

2007年12月20日 (木)

「文化庁のミス確定」~文化庁は立法者じゃないもんね、確かに~【松井】

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 19日の日経朝刊。
 「『シェーン』著作権消滅 
  53年映画 文化庁のミス確定」
 という見出しです。


2 
 「文化庁のミス」って、なんて揶揄した表現なんだと驚きましたが、実際の最高裁の判決を読んでみて、納得。

 上告人らの主張、「本件改正法の成立に当たり、昭和28年に公表された映画の著作物の保護期間の延長を意図する立法者意思が存したことは明らかであるとして、この立法者意思に沿った解釈をすべきである」という主張に対しての最高裁判所の答え。

 「法案の提出準備作業を担った文化庁の担当者において、映画の著作物の保護期間が延長される対象にしょうわ28年に公表された作品が含まれるものと想定していたというにすぎないのであるから、これをもって上告人らの主張するような立法者意思が明白であるとすることはできない。」

 それはそうだ。「文化庁の担当者」は所詮、「文化庁の担当者」であって、「立法者」ではない以上、「立法者意思で」とはいえない。
 立法者意思はどういったかたちで認められるかというと、本件では、「立法者意思が、国会審議や付帯決議等によって明らかにされたということはできず」として、明白な立法者意思は認められないとされています。
 
 これじゃあ、確かに、「文化庁のミス」、確定との見出しがつくはと納得。きついね、最高裁。



 この文化庁のミスはいつの出来事かというと、なんとほんの数年前の平成15年6月12日に成立した著作権法の改正について。
 
 経過措置規定の文言の解釈をめぐって争われた今回の訴訟。

 改正法付則2条
 「改正後の著作権法・・・第54条第1項の規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による」と規定されていました。
 この「この法律の施行の際現に」がいつを現すのか。
 そりゃ、通常、「この法律の施行の日において」と解するでしょう。
 この点を、「当該法律の施行の直前の状態を指すものと解すべき」というのはやはりかなり強引。
 文言を起案した担当者や、チェックの方々は気づかなかったんだろうか・・・。
 文化庁・・・。

 日経の記事では次のように書かれています。
 「パラマウント社側は、『改正法が施行された0四年一月一日午前零時と、著作権が満了する前年十二月三十一日午後十二時は同時刻で、著作権は存続する』との文化庁著作権課の見解に基づき、権利主張していた。」
 
 最高裁判決でたまに見かけるパターン。
 法解釈について、行政庁の見解に依拠し、負けるパターン。特定商取引法に関するNOVA判決もそうだよ・・・。行政庁が、法的にオッケーだといっても、完全には信用できない。裁判所がどういいうかを考えないと・・・。



 ロビー活動の結果、映画の著作権の保護期間の延長のため、法改正となったんだろうけど、さすがにこのミスについて国賠は難しいだろう。うがった見方をすれば、もしかしたら改正に反対する職員がわざと???そんなわけ、ないか。

 「シェーン」。50年間も保護されたんだから、映画としていくら莫大な費用が注ぎ込まれているとはいえ、もう十分、もとはとれて十分ではないのか。70年も保護する必要、あるのか。

(おわり)

2007年12月19日 (水)

ベトナム株~何を根拠に信頼するのか~【松井】

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 16日の日経の記事で見かける。
 「ベトナム株売買 取り次ぎ開始」

 来年1月から、個人投資家向けにベトナム株の売買の取り次ぎを国内の証券会社が始めるとのこと。
 「ホーチミン取引所に上場する129銘柄すえてを対象にする。」と。


 うーん。いったいどんな「個人投資家」が買うんだろう。
 何を基準に「買い」と「売り」を決められるのか。
 株価の根拠を合理的に判断出来るんだろうか、一般投資家として。

 疑問
 ・ベトナムの企業会計の会計基準はどうなってるの?
 ・ベトナムの企業の財務諸表の監査手続きはどうなってるの?
 ・市場の公正性はどうやって確保、監視されてるの?

 こんな基本的なことが分からないままでは、怖くて、「買い」も「売り」も決められない。
 
 ベトナムの上記の事情を知ってる「個人投資家」なんて日本にどれほどいるのだろう。 

 むしろ、日本にいるのは、「ベトナム株? 中国株みたいに、イケイケでどんな企業も株価は上がるんじゃないのか?」という根拠のない期待をもって「買い」に行く個人投資家じゃないんだろうか・・・。
 それ目当てだろうか・・・。

 心配。

(おわり)

2007年12月18日 (火)

「遺産申告漏れ4076億円」~△形の選択~【松井】

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 18日の日経朝刊の記事。「遺産申告漏れ4076億円」とのこと。
2006年事務年度(今年6月まで)の相続税の税務調査で見つかった遺産の申告漏れの金額だそうです。
 調査対象は1万4061件。うち約85%で申告漏れが見つかったと。
 さらに、海外資産関連の調査は、364件で実施し、292件で、148億円の申告漏れが見つかったとか。



 聞くところでは、国税の職員の方も留学されたりして語学はもちろん海外の事情通になるべく職員の育成に力を入れているようだし、海外に出しておけばOKなんて状況ではない。
 「申告漏れ」ということなので違法な脱税とは異なり、見解の相違などによるのでしょうが、すごい金額です。4000億円。


 にしても、思うのは、税金のことはやはり相続税なら相続税に詳しい税理士さんにきちんと相談すべきだということです。
 税理士さんといっても、実は、皆が皆相続税に詳しいわけではありません。税理士さんの中でも相続税なんてまったく実務を扱ったことがないというかたも結構いらっしゃいます。
 そこで、経験のある税理士さんに相談するということが重要です。

 いわゆる素人考えで節税や税法上の優遇制度などを利用しても、制度全体が見えていなかったり、新たな制度の最新情報がなかったりしたため、結局、損をしているという方をときどき見かけます。
 プロフェッショナルへのお金を惜しみ、結局、損をするというパターンです。
 安物買いの銭失いとでもいうのでしょうか。

 税金のことについて迷ったら、ぜひその道の税理士さんにフィーをきちんと払って相談して欲しいと思います。そのときも、単に紹介されたからというのではなく、きちんとその方がその道の経験者かどうかを見極めることが必要です。
 ただ、税理士さんはあくまで税理士さんです。税務のプロであって、遺産分割協議、民法の条文、裁判例については残念ながら、代理人にはなれない以上、経験はないといわざるをえません。
 プロを使い分けるようにされたらいいと思います。

 そうそう。先日、トライアングルの話しを聞きました。
 なるほど!と思う、真実かも。

   三角形を書きます。

    △

   1辺には、    FAST
   1辺には、    GOOD
   そして1辺には、CHEEP

   三つ、同時に存在することはあり得ないという話しです。
   FASTとGOODを優先すれば、CHEEPはなりたたない、すなわち、コストが高くなる。
   GOODとCHEEP、良くて安くとなれば、FASTはなりたたない、すなわち、遅くなる。
   CHEEPとFASTを優先すれば、GOODはなりたたない、安くて早くて、悪いもの・・・。

   どれを選ぶのか。選択は自分の責任になります。

(おわり)

2007年12月15日 (土)

民事訴訟における事実認定~筆跡鑑定について~【松井】

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 法曹会という出版社から、よく司法研修所の本が出版されます。司法研修所の本といえば、教官をしている裁判官たちがようは筆者ですので要注目の書籍が多いです。

 ということで、11月、「民事訴訟における事実認定」という本が出版されました。

2 
 第1章 事実認定の基礎
 第2章 各種証拠方法の証拠力
 第3章 契約類型による事例分析

 うち、第2章、第4節、鑑定というところで、第2 鑑定の対象とし、3 経験則を具体的な事実に適用して得られる事実判断としての鑑定のうち⑷として、筆跡鑑定について触れられていました。

 刑事事件での裁判例がほとんどのようですが、それらを分析した結果として次のように結論づけられています。
 
 202頁以下
「判例の立場は、具体的な鑑定の中身について、慎重な検討を加え、個別的に証拠価値を評価していくというものといえよう。そもそも筆跡鑑定事態、筆跡の恒常性・希少性についての限界があるといわざるをえないから、その信用性の判断をする際には、以下の各点に留意し慎重にすることが肝要である。」

 以下、アからキまで7つのポイントが示されています。


 裁判における筆跡鑑定の証拠価値について興味のある方は、必読かと思います。
 目次だけ読んでいても興味津々です。
 「全体像の把握」として、「「鳥の目」と「虫の目」の使い分け」と小見出しがついています。
 また、「事実認定の精度を向上させるための留意点」等々。
 早速、読まねば!

4 
 なお、筆跡鑑定については、「アンケート調査の結果によると、筆跡鑑定の信用性については懐疑的な見解が多かった。」とあります。アンケート調査までしたりしているんですね。

 日経ビジネス・オンラインでは、

日本の裁判官がおかしい
、として元銀行員で小説家の黒木亮さんが書かれていますが、裁判官によるこういった研究成果の発表物を目にし、読むと、日常の業務を行いながらよくこれだけ研究しているなとそのエネルギーに驚くことがよくあります。
 尋問中、居眠りする裁判官もいれば、そうでない裁判官もいるということなんでしょう。
 
 裁判。訴訟手続。訴訟代理人。
 嫌い、好き、好き、嫌い、嫌い、好き。
 勝てば官軍ですかね、やはり。
 監査のない社会、公認会計士のいない社会がよい社会という言い方があるようですが、裁判のない社会、裁判官も弁護士もいない社会がよい社会なんでしょうね。究極は。
(おわり)

2007年12月14日 (金)

じんわりと、喜びを噛みしめる~弁護士冥利~【松井】

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1 
 弁護士1年目のときから関わり担当させていただいている相続に関する一連の紛争の一つについて、先日、高裁判決をもらいました。
 一審は全面勝訴、そして相手方が控訴。勝つだろうと思いつつ、でも裁判は最後まで分からないとの実感があり、不安な気持ちでいました。
 控訴棄却。勝ちました。最高裁でひっくりかえることはまずないかと。


 依頼者の方には判決書きをFAXし、すぐに電話で連絡を入れました。
 「おめでとうございます。」
 この言葉を依頼者の方に言える喜びをじんわりと噛みしめました。
 いろいろなことが起こっているこの一連の紛争。
 ようやく一つ、階段を上り、最終的な解決に近づいたという実感を得られました。
 この判決が確定しても、終わりではありません。あくまで一歩。
 でも大事な一歩。
 

 事務所を出たあと帰路の電車の中で、窓の外の景色を眺めながら、あぁ本当に良かったなと実感しました。
 勝ったことそのものよりも、依頼者の方と一緒に喜べること、それを実感できることにじんわりとした喜びを噛みしめ、幸せだと思いました。

 客観的には「勝訴」の判決あるいは和解であっても、依頼者の方が納得していないことがあります。
 例えば、青色発光ダイオードの高裁和解。
 何億円という和解を勝ち取り、何億円あるいは何千万円という報酬をもらったとしても、依頼者の方が納得しておられず、「あれは敗訴だ。日本の司法に絶望した。」と言ったようなことをコメントされていたら、代理人としては何ともやるせない気分になるのではないかと想像します。

 それに対して、たとえ「100万円支払え」という判決であっても、勝訴判決であり、こちらの言い分が認められたという、私も弁護団に加えていただいていた兵庫県などを相手としていた阪神淡路大震災の被災者自立支援金訴訟の一審、高裁判決のように、勝ち取ったという喜びを依頼者やその支援者の方々と喜び合える訴訟もあります。
 報酬は雲泥の差ですが、代理人としてはおそらく、後者の方が幸せを感じるのではないだろうか。

 違いは何かというと、いかなる結果であろうと、依頼者の方とその結果について共有できるかどうかなんだろうなとぼんやりと考えていました。共に戦ったという連帯感の違いでしょうか。

4 
 あるテレビ局のディレクターが言っていました。私の仕事はお客さんの顔が見えない、視聴者の顔が見えない、見えるのは視聴率という数字だけだ、その点、弁護士は依頼者の方と関係を切り結ぶことになり、嬉しいことも、イヤなこともあるだろうけど、羨ましい面があると。
 
 一つ事件が終わったとき、依頼者、担当者の方とお互い笑顔で別れられるとき、この仕事をしていて良かったなとじんわりと感じます。


 ただまぁ、もちろん良いことばかりではなく、方針の違いが生じ、埋めきれず、信頼関係が構築できない、あるいは壊れる場合も残念ながらあります。
 そのようなときは、依頼を受けていた場合、辞任せざるを得ません。
 私も実際、途中で辞任させていただいたことがあります。お互い、時間と労力を費やした分、不幸な結果です。
 このようなことを極力回避するために、事件の受任を最初からお断りさせていただくことももちろんあります。

 弁護士の仕事に対し、正当な費用を支払うという意思をどうももたれていないと思われる方は論外ですが、自分の「代理人」ではなく、自分の「お使い」のように弁護士を思われているような方についても、依頼を受けるとこじれることが目に見えているのでお断りしています。「弁護士を雇う」という言い方もありますが、委任契約関係なので決して、「雇われている」わけではありません。雇用関係だと、指揮従属関係ですが、職業専門家として弁護士は依頼者から独立した立場にあります。
 弁護士を自分の言いなりにしたいだけであるなら、弁護士に依頼する必要はありません。
 訴訟、法律、紛争に関する専門知識と経験をもとに、依頼者の方に対して、専門家として、適切と考える助言を行い、代理人活動を行うのが弁護士です。依頼者の言いなりに動くのが弁護士ではありません。この点をご理解いただけない方については、お断りせざるを得ないのです。貴方の意向にあう別の弁護士をお捜し下さいとしか言えません。


 依頼者と代理人弁護士において、良い関係を築き、結果を勝ち取り、喜びを分かち合う。
 今回の判決は、長年関わっている案件であるだけに、久しぶりに大きな喜びを感じると共に、あぁ、この仕事はいい仕事だなあと幸せを感じました。
 
 仕事はどんな仕事でもそうなんだろうけど、周りの人が喜んでくれるというのが多分一番嬉しいのではないかと思います。
 自分は役に立っているということを実感できるから。
 笑顔で「ありがとうございました」と言われるのが一番の報酬。喜んでもらえて良かった、と思います。
 まぁ本当に一番いいのは、訴訟にならないこと、交渉で解決することだと私は考えています。裁判なんてするものじゃない、と。


 蛇足ですが。思い出したのは、昔、合気道の昇段試験を受けたときのこと。身長152センチの私の相手に、師範は、身長190センチはあるイギリス人を指名しました。「嫌がらせ?」と思いつつ、やらねばなりません。
 相手をこちらに合わさせるよう必死に動きました。規定の技の披露が一通り終わり、礼をして、皆が見守る列に下がると、別の外国人の方がニコニコと満面の笑みで近寄ってきて声を掛けてきました。「グッジョブ!」
 自分の昇段試験なんだけど、喜んでもらえたようで良かったと、良いことをしたような気分になり、妙に嬉しくなったことを思い出します。
 「グッジョブ」を積み重ねられるよう、がんばらねば。

 昇段試験を受けたときは確かまだ23歳。プライベートも仕事もあれからいろいろとありました。今36歳で、こうして何とか無事に働いていられるのも、たくさんの人々に出会い、支えられてきたお陰。
 皆さま、ありがとうございます。
 
 うーん。・・・久しぶりに殊勝な気持ちになりました。

(おわり)

2007年12月13日 (木)

株式会社と相続と株式~事業承継対策は必須~【松井】

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 商法ははっ。会社法106条、共有者による権利の行使に関する条文があります。
 
 106条 株式か二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。



 株主とは、株式を有するものであり、株式の基本的内容は105条に定めてあります。 
 ①剰余金の配当を受ける権利
 ②残余財産の分配を受ける権利
 ③株主総会における議決権

 株式は、一株、100株と数えられますが、例えば、被相続人が、自身が設立し代表取締役となっていた株式会社の全株式1000株を有していた場合、死亡すると株式はどうなるのか。
 遺言書はなくて、法定相続人は子ども3名。
 1000株が法定相続分3分の1宛で即、子らに相続されるのでしょうか。
 そうではない、と考えられています。
 例えば、1000万円の貸金債権であれば、相続により当然に3分の1宛、相続されます。
 では、株式はどのように相続されるのか。
 遺産分割協議が成立するまでは、1000株が法定相続人3人に「共有」される状態となります。
 
 このとき、「株式が二以上の者の共有に属するとき」(106条)となります。
 そして同条によれば、株主総会での議決権行使、あるいは配当請求などについては、「権利を行使する者一人を定め」、株式会社にその者の氏名又は名称を通知しろ、しなければ「当該株式についての権利を行使することができない」とされています。



 共同相続人が準共有株主の地位を有することになります。でもこのままでは株主としての権利行使を会社に対して出来ない。では、どうやって「権利を行使する者」を定めるのか。
 この点、最高裁判決は、持分の価格に従いその過半数をもって決することができるとしています(最判平9.1.28)。
 多数決です。

 なので、相続人である子3名の間で紛争が起きた場合、2名対1名になってしまったときは、2名の意向によって「権利を行使する者」が決められてしまいます。
 そして、その1名が、少数派の1名の意思に反して、総会での議決権の行使をすることも可能と解されています。

 最高裁判決は、被選定者は、自己の判断に基づき議決権を行使できるとしています(最判昭53年4月14日)。



 結果、遺産に株式が存在した場合、しかもその株式が親族企業の会社の株であった場合、会社の経営権をめぐる紛争として、問題点が顕在化します。
 どういうことかというと、子3名A・B・Cが相続した場合、AとB 対 Cで利害が対立すると、AとBで株式の持ち分の過半数を超えることから、権利指定者をAに選定し、議決権の行使によって多数派を構成し、Cの意思に反して、Bを取締役に選任するといったことも可能です。
     

    会社      株式1 甲 相続⇒ 準共有:A,B,C

             株式2 D
             株式3 D
             株式4 E

 その趣旨は、会社にしてみれば、株主は多数存在するという大前提の中、株主の一人甲が死亡し、相続によってA,B,Cという3人が登場したからといって、A.B.Cを当然に、一人の株主同様に扱うということは実務上、困難であるという、会社側の事務上の都合でもって、権利行使者の指定という条文が置かれたのだろうと考えられます。
 株主に対する通知等を定めた126条3項も同じ趣旨だと思います。
 対会社との関係では、A,B,Cの方で、誰か代表者を定めて、通知してね、ということだと考えられます。会社としては、その通知を受けない限り、基本的に株主として対応しなくてよい、と。

 一般論からすれば、しごくまっとうな利益衡量かなと思います。
 ただ、この会社というのが、ワンマン社長の父親が代表取締役として実権を握っていた親族会社だったときにでも、上記のように扱っていいのか否か。

 極端な話しとして、甲がただ一人、全株式を保有していた場合はどうなるのか。

 遺産分割協議が成立しない紛争状況において、AとBの意思だけで、会社の意思決定を支配することが可能になります。
 
 また、AとBとの関係においても、相続事件でありがちな話しではありますが、当初は利害が一致して、結託して、権利行使者をAと選任していたのですが、株主の権利行使において、AがBの意向を無視して、やりたい放題となった場合、どうしたらいいのでしょうか。
 この点、Bは、Cと手を結んで、新たに多数派を形成して、持分の過半数でもってAを「解任」することが出来ると解されています。
 しかし、一旦対立したBとCが手を組めるのかという事実上の障害が十分、考えられます。
 となると、あとは選任されてしまえばAの天下、といった状況になり得ます。



 これは、現実にもよくある深刻な問題状況です。
 Aが経営の才能、知識、経験を備えた者であれば、会社経営が相続紛争によって傾くという心配はないかもしれません。
 しかしながら、このAが全く無能な者でありながら、経営に意欲を示してしまった場合、会社は、相続紛争をしている間に「破産」ということも十分ありえます。
 代表者個人の会社といえるような状況であった場合、会社が負債を抱えていると、代表者個人も会社の債務につき連帯保証債務を負っていることがほとんどです。
 
 相続争いをしている間に、会社が倒産、結局、分ける財産もなくなってしまう、ということが十分、あり得ます。
 
 経営者の方は、気を付けて下さい。事業承継の対策は必須です。元気でまだ大丈夫と思っているうちに対策を立てて実行するのが一番です。

 上記のような問題については、大野正道教授が2001年の時点で「企業承継法入門」(信山社)という著書で、整理し、解釈論についてでも提案されています。
 なお、最高裁判例でも、「共同相続人の有する株式が発行済み株式の全部に相当」するような場合、あるいは「発行済株式総数の過半数を占めている」場合については、異なる取扱いを認めたりはしています。

 ただ、やはり株式会社の世界は、資本多数決の世界であり、少数派は辛いよ、ほんと。 
 相続人の皆さん、相続人の一人から、「権利行使者の選定をしようよ!」と提案されたときは、よくよく注意してくださいね!油断しちゃダメですよ。

(おわり)

2007年12月 5日 (水)

リスクのない貸し出し、なんてあっていいの?【松井】

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 11月30日付けの朝日新聞の「私の視点」という欄で、「銀行員(中小企業担当)」という倉本清さんの意見が掲載されていました。
 表題は、「信用保証制度 責任共有制度の見直しを」とあります。
 ひっかかったのは、責任共有制度によって「金融機関は貸し出し当初から、20%の信用リスクを抱えることになる。」として問題提起している、その問題設定のあり方でした。

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 この「リスクを抱える」ことによって、金融機関は「新制度のもとでは、20%の信用リスクのために債務者区分の判定をせざるを得ない。」そして、「結果として、決算内容が芳しくない企業には資金が行き渡らなくなる。」とし、不都合として次のように締めくくっています。
 「責任共有制度の導入は、中小企業、特に零細企業に対するカネの流れを止めてしまうおそれが大きい。自分のところは大丈夫と考えている企業にも連鎖倒産の危機が迫る。早期の見直しを求めたい。」


 貸し付ける側の金融機関が、20%の信用リスクを負う場合、いったいなぜ、カネの流れを止めることになるのか。
 ひっかかった原因は、それじゃまるで金融機関は、保証協会の100%保証の制度のもと、自ら貸し出しのリスクを考え、判断することを放棄して、いわば保証協会におんぶに抱っこで貸し付けていただけじゃないのか!?という疑問が浮かんだことにあります。
 貸し付ける側が、単純に、企業の決算内容だけ、数字だけを見て、形式的に「債務者区分の判定」を行うことが当然の前提にされているように読めます。
 しかし、根本的な問題は、貸し付ける側の金融機関が、自らリスクを背負って、つまりそれは「分析」「判断」を適切に行い、貸し付けるということがされていなかったということにあるのではないか。
 
 賛否両論があるようですが、当時マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務されていた、現早稲田大学教授の川本裕子さんの「銀行収益革命」(2000年、東洋経済新報社)という本を読んだことがあります。
 その本で書かれていたことを思い出しました。

 引っ張り出してちょっと読み返してみました。
 「日本でもヨーロッパでもリスクに見合った値付けをいち早く行った銀行が最終的には利益をあげていることになる。」(81頁)。
 データ、データ分析の適否について判断する能力時間は私にはありませんが、今回の「責任共有制度の見直しを」という掲載記事は、保証協会の100%保証の制度保証によって、金融機関が「リスクに見合った値付け」を放棄することを意味しているように思えてなりません。

 20%の信用リスクを負担する⇒だから、決算内容のよくない中小企業におカネが行かない、という点に実は、論理の飛躍があるのではないかと思います。
 決算の数字を見るだけじゃなくて、きちんとリスク分析を行い、貸し付けるべきところにはそれ相応の利息を付して貸し付ければいいのではないでしょうか。
 その努力を放棄、あるいは収益の機会を自ら放棄しているように思えます。

 まあ、金融をよく知らない、分かっていない素人の素朴な疑問かもしれませんが。
 記事を読んでいて、なんとまぁ、消極的な!と思いました。
 
 また、上記の記事のよく分からなかった点は、「責任共有制度」と90年代の総量規制、バブル崩壊、失われた10年を同じ類のものと論じている点です。飛躍しすぎでは・・・。


 信用保証協会による100%保証、それを基にした安易な貸付、そして保証協会の保証を得るために連帯保証人になった経営者の親族。借り入れた企業の破産により、連帯保証債務に苦しむ親族の方を見たことが疑問に繋がっているのかもしれません。連帯保証人になられていた方は、企業の事業とはまったく関係のない、ごく普通の会社勤務の方でした。その方が、親族の企業の倒産のため、ある日突然、保証人として数千万円の債務の負担が現実化してしまうのです。まぁ、だったら連帯保証人を拒否すればよかったのではないかという疑問もありますが、連帯保証人をつけないと保証、貸付けを受けられないやり方がされており、親族なので拒みにくいという心情があることを完全無視することも、問題の本質が隠れてしまうかと思います。
 貸し付けるべきところには貸し付ける、そうでないところにはたとえ保証協会の100%保証があっても貸し付けない。メリハリがあってしかるべきかと思います。それが、考えるということでは。
 ただ、信用保証協会は連帯保証人をとることはやめたとか。合理的でいいことだと思います。

そうそう。川本裕子さんの「銀行収益革命」の副題は、「なぜ日本の銀行は儲からないのか」です。
信用保証協会の100%保証がないとカネを貸せないというようでは、そりゃ、儲からないよねと思います。この本は2000年に出版されていますが、今は2007年。こんなものなんだろうと一人納得。

(おわり)

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