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2007年11月30日 (金)

遺言執行者を誰にするか?~誰のために働くのか?~【松井】

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*スタバで経営学の勉強。マインド・マップ利用。


 「月刊大阪弁護士会」という冊子の11月号が届けられました。末尾には「告示」事項がいつも掲載されています。
 その中で11月号では、遺言執行者になることと、相続人の代理人なることの問題点について指摘されていました。


 遺言書の作成の依頼を受けることがもちろんあります。
 この場合の遺言書とは、自筆証書遺言作成の際のアドバイス、原案作成のこともあれば、公正証書遺言のアドバイス、原案作成のこともあります。
 いずれにしても遺言書を作成したとき、どうするのかという点で選択を迫られるのが、遺言執行者の指定です。
 
 遺言を作ろうという方は、自身が亡くなったあと法定相続人の間で紛争が起こるのではないかと容易に想像できるのでこれを防止したいという意図の方もあれば、起こらないかもしれないけど念のため、あるいは単に自分で決めておきたいからという方もおり、いろいろな場合があります。

 難しいのは、容易に紛争が想定できるのでこれを予防したいという方の場合です。
 この場合、遺言を作ろうという方は、特定の相続人Aを別の相続人Bなどから守りたいという意図があることが多いです。
 こういうとき、死後、紛争が表面化したときは、事情を聞いて知っている代理人弁護士にAの代理人になってもらいたいという意向をお持ちのときがあります。実際、Aが誰に依頼するかはAの自由ですが。
 ただ、上記のような意向をお持ちの場合は、「では私は遺言執行者にはなれません」と当然、伝えます。
 遺言執行者になってしまうと、その後、特定の相続人の代理人になることは原則、出来ないからです。なぜなら、遺言執行者は「全相続人の代理人」だから。
 

 この点、先の告示では次のように記載されています。

 

「特定の相続人から依頼を受けた代理人弁護士は、その相続人の利益をはかるべく行動する職務上の義務があるのに対し、一方、遺言執行者は、その権限や地位からして、特定の相続人の立場に偏することなく中立的な立場で職務を遂行すること(共同相続人全員の代理人)が求められており(民法1015条)、両者の立場を同時に兼任することは、明らかに利益相反であり、弁護士職務基本規定28条3号(旧弁護士倫理26条2号)に反する。」

 

 弁護士は代理人となるとき、誰の利益確保のために働くのかということを常に意識しなければなりません。もちろん、依頼者の利益が違法なもの、公序良俗に反するようなものの場合であることが分かっていたら、依頼を断るし、途中で分かったような場合は即刻、辞任します。
 遺言執行者は、決して、遺言作成依頼者の代理人ではないということ。
 遺言を作って、遺言執行者の指定をするとき注意してください。


 以前にも触れた、じゃあ、相続人複数からの依頼を受けるときはどうなのかということですが、これも基本的には利益相反です。ただ、この場合、状況を説明し「同意書」をもらいます。そのうえで、経過、利害の対立が深刻化した場合は、双方の代理人を辞任せざるを得ません。
 この点、上記の告示はどの程度の同意が必要かと言う点についても見解を示しています。
 

「なお、弁護士職務基本規定28条では、依頼者及び他の依頼者が『同意』した場合には3号に掲げる事件は受任を妨げられないと規定しているところ、本件では遺言執行者選任の審判手続において全相続人が対象会員が遺言執行者に就職することについて異議を述べなかった事情があるが、これをもって『依頼者及び他の依頼者が同意した』とは言い得ない。利害相反の責任について責任を解除する『同意』は積極的に確認されたものでなければならない。」

(おわり)
追記 そうそう。別のエントリーでも触れましたが、今後、裁判所も遺言無効確認訴訟が増加するとふんでいます。知っておいて頂きたいのは、作れば安心!というものではないということです。訴訟になっても耐えられる遺言書を作成してください。作るのであれば。中途半端なものを作ると、遺言無効確認訴訟が提起され、かえって紛争が拡大・長期化します。

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