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2007年11月22日 (木)

仁義なき自由との戦い。子会社株式って、やっぱりリスキー?

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 11月21日の日経夕刊、「目からウロコの投資塾」(編集委員 前田昌孝)を見ると、見出しが「子会社投資のリスク」となっていた。
 上場子会社の株式を親会社が買い戻して上場廃止になるケースについて、「上場→上場廃止」の期間があまりに短期間のケースがあり、この点、疑問を呈しています。
 米投資ファンド、ペリー・キャピタルのアジア地域投資責任者、アルプ・アーシル氏の言葉を紹介しています。
 「上場子会社の少数株主の利益を守る仕組みが不十分な日本の現状は問題が多く、早急に改める必要がある。」
 そして最後、次のように締めくくっています。
 「上場子会社の経営陣は親会社から派遣されるケースが多いですし、重要な意思決定にも関与できないとなると、少数株主が持つ子会社株は無議決権株と言ってもいいくらいです。」


 記事を読んでいて、やはりスズケン対小林製薬の紛争を思い出しました。
 コバショウは上場会社ではありませんでしたが、子会社の株式を取得することの問題点・リスクが浮き彫りになっている事案だと思います。
 まさに「少数株主が持つ子会社株は無議決権株」といえます。

 親会社の小林製薬がその持つ株式を全部、他の会社に譲渡すると意思決定したら、少数株主に過ぎないスズケンはなすすべもないのか否か。資本提携契約の際の内容如何という面はあるにしても。
 ただ、これは上場企業が上場廃止になるというデメリットとはまた異なる意味合いがあるものではあります。

 株式はそもそもが譲渡自由であり、投下資本を回収する必要性があるときに譲渡によって回収するというのはある意味、企業にとっては当然の判断とも言えます。
 なので、大株主と少数株主の間で、株式の譲渡をめぐって利害調整の必要性はそもそもないという見方もあるかとは思います。数の論理で、そもそも少数派なんだから仕方ないじゃん、少数派のためになぜ多数派の利害が犠牲にされないといけないのか。
 ただ、親会社との間で、少数派株主になるにあたり、資本提携の契約をしている場合にまでそのように言えるのかどうかだと思います。

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 さらに進んで、この子会社が上場会社だったとしたら、親会社に少数株主が振り回されるというのは確かに、看過しがたい利害衝突があるかと思います。究極が、上場廃止となれば少数株主の不利益は投下資本の回収可能性の低下として明かです。
 しかし今の法制度では、こんな状況に関してすら、「上場子会社の少数株主の利益を守る仕組みが不十分」です。「不十分」というか、原則論、形式論を貫いていて、上場企業であっても非上場企業と同様に考えていて、多数決の論理だけで処理している、「少数株主」の利益を守る必要があるという発想がまだないのではないかと思います。
 
 小林製薬の行動が、まさにそれ。少数株主の意見なんて完全無視です。その少数株主は、自身が資本提携して、子会社に事業を譲渡させ、その見返りに20%の「少数」の株式を発行した相手だというのに・・・。
 仁義なき自由。

(おわり)

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