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2007年11月 6日 (火)

遺産分割の即時抗告審と消費者物価指数~相続事件への思い~【松井】

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*おなじく、2003年、チュニジアを旅したときの写真。


 総務省統計局から新しく消費者物価指数が公表されているようです。
  http://www.stat.go.jp/data/cpi/1.htm
 現役裁判官の岡口裁判官が運営する「法曹関係者のためのHPです。」で知りました。
 「遺産分割で,現金などの特別受益があった場合,贈与時の価値から相続開始時の価値に換算する際に使用するものです。」として紹介されています。
 http://okaguchi.at.infoseek.co.jp/top.htm

2 
 遺産分割の際の消費者物価指数の上記紹介の使い方は、弁護士1年目に担当した事件について調査する中で初めて知りました。
 司法試験の受験勉強ではもちろん、当時2年間の修習中でも上記のような事件にあたることがなく、知りませんでした。
 1年目、家庭裁判所で遺産分割審判の決定が出てから、所属する事務所に依頼にこられた相談者がいました。審判手続のときから代理人弁護士はいたのですが審判結果と代理人の訴訟活動に納得しておられなかったようです。私がこの事件の担当になりました。即時抗告の理由書を書くため、この審判書を徹底的に調べました。上記の特別受益の金額算定において消費者物価指数が使われるということがそのとき初めて分かったことの一つでした。
 このときの家庭裁判所の審判書では、特別受益を認めながら、その金額の算出にあたり、数十年前の物価での金額のままであり、消費者物価指数を使っての相続発生時の金額への換算が行われていませんでした。
 ほかにもいろいろとおかしな点のあったいわゆる突っ込みどころ満載の審判書でした。 高等裁判所に即時抗告の理由書を提出したところ、高等裁判所で改めて審問期日が開かれることになりました。そのこと自体が驚きでした。家庭裁判所でも既に審問期日が開かれていたからです。
 いわゆる裁判官が壇上にいる法廷ではなく、ラウンド・テーブルについての尋問でした。
 感触はいいものに思えました。

 が、しかし、その後、審問期日に立ち会った担当裁判官が転勤で交代しました。何ヶ月か結果を待ちました。
 新しい裁判官のもと、結果が出ました。
 家庭裁判所の審判書は、変わりませんでした。

3 
 裁判とはこういうものです、といってしまうと悲しいものがあります。代理人らの力不足だったのかもしれません。あるいは、やはり家庭裁判所での審判書には何の不都合もなかったということなのかもしれません。
 救われたのは、依頼者の方がこの結果に納得してくれたことでした。その後も何かと相談を受け、弁護士として仕事をさせていただいています。
 この事件と、1年目に担当したもう一つの相続事件。これらが私が相続事件にのめり込む、あるいはやりがいを感じる、あるいはムキになるきっかけになったのかなと思っています。
 結果を出すべきと考える事件で結果を出せなかったという屈辱感です。
(おわり)

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