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2007年10月17日 (水)

勝つということと、負けないということ【松井】

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 勝つということが常に最善とは必ずしも思わない。例えば、1審訴訟で勝っても、たいてい控訴される。勝つことが紛争の終局的な解決をもたらすとは限らないことのほうが、たぶんきっと多い。
 勝ってそれで終わりなら、勝つにこしたことはない。しかし、それで終わりではないのであるなら。


 勝つことよりも、負けないことの方がもたらされる利益が大きいことの方が多い。
 負けないカタチで紛争を全面的に終わらせることが出来るのなら、たぶんきっとその方が依頼者の利益に適う。
 勝つことにこだわりすぎない。今回勝っても、次は負けるかもしれない。
 それよりも、勝ちはしないけど、負けもしないということの方が安定性が大きい。


 関連事件を知人にお願いした事件で、1審全面勝訴、2審一部敗訴となり、知人は控訴審判決に納得できず、上告受理の申立てをした。私も見せてもらった控訴審の判決書は確かに矛盾だらけで、ひどいと思わざるを得ないような内容だった。負けた側だからそう見えるのかもしれないとも思ったが。
 先日、最高裁判所から電話があったという。来年2月、弁論を開きます、と。覆る可能性が非常に高い。知人は、申立てをしてよかったと安堵のため息をついていた。
 相手方の代理人、本人は、上告が受理されてさぞ驚いていることだろうと思う。
 勝ったと思っても、それでは紛争は終わらない。


 勝ちはしないけど、負けもしない。紛争の終局的な解決。
 和解の交渉テーブルにつき、和解を成立させる。
 代理人、弁護士の最も重要な能力だと思う。
 交渉に一切応じないという態度は、誰でもとれる。
 私が尊敬する代理人は、交渉能力に長けた代理人である。自分もそうありたい。
 もちろん交渉といっても、泣いたり、脅したりといった感情論に訴えるものではない。法律、判例を踏まえたうえで、相手方の利益に配慮しつつ、こちらが負けることのないよう獲得目標を獲得して、関係当事者の意見の合致点を見いだす作業である。
 タフ・ネゴシエーターというのは、どんな要求にもただ単にNOを突き付けるだけの人のことをいうのではない。
 すぐれた交渉人というのは、膠着状態打開のための、紛争解決のためのアイデアを出せるひと、新局面を切り開くことのできる人間のことだ。
 勝ちはしないけど、決して負けない代理人。その方が依頼者にとって勝つことよりも大きな利益をもたらす代理人だと思う。
 
 まあ、もちろん最後は、依頼者がそのすすむべき道を決断されるんだけど。
 前のエントリーのスズケン対小林製薬にしても、仮処分だから、どっちかが勝っても負けても、それで紛争は終わりじゃない。ありうるのは審尋の場での和解協議だろ。これを小林製薬が自己に落ち度はないと「確信しています。」といった態度で突っぱねると、紛争の泥沼化、長期化を引き起こすだけ。もちろんスズケンの言い分が100%言いがかりというのなら話は別だけど。本当のヤカラ相手の時には絶対に妥協しない。でも、そうとはいえないとき、例え自己の言い分が100%正しいと信じても、相手の言い分に耳を傾け、紛争の終局的な解決を目指す。弁護士の能力が問われるときだと思う。
(おわり)

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