金融商品取引法、「内部統制の理論と実践」~八田進二教授の講演~【松井】
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大阪弁護士会であった八田進二教授による研修に参加しました。
「内部統制の理論と実践 ~試行期間における課題~」と題する講演です。
約2時間、最先端に身を置かれている教授の、現状を憂える生の声を聴いた講演でした。
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JーSOX法なんて存在しない、日本版SOX法なんて存在しない。そもそもアメリカのSOX法とはコンセプトが違うということを力説しておりました。
巷にあふれているこの手の本の半分近くは、間違っている、理解していないといったことも口にされていました。
つい先日も、日本の大監査法人の代表の講演を聴き、理解していないと驚き呆れ、手を挙げて発言し、怒ったことがあるという、つい1週間前のエピソードまで披露してくれました。彼らはアメリカの会計法人のマニュアルを翻訳したものを用意して使っているだけではないかとなかなか辛辣でした。
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印象に残っている点としては、内部統制とは、一大ビジネスチャンスのようになっているが、これをしなければいけないなんてものではないということを強調していたことです。統制の制度はあくまで各社個別のものであって、「One dose NOT fit all」ではないということです。
このソフトを使わないと監査できないなどというのはもってのほかだといった言い方をされていました。
また経営はあくまで経営者に最終的な責任があるんだ、経営者が前面に登場しなければならない、監査人が最終責任を負うといったことはおかしいといったことも力説していました。ついでに言うと、日本の会計基準は国際会計基準に匹敵する、特に金融商品に関する基準は超えているといった発言も。
また今回の内部統制についてはあくまで「会計まわり」の事柄であるのに、会計をわかっていないものが多すぎると嘆いていました。
とにかく、吠えられた、熱い2時間でした。
細かい勉強は自分で出来る。大事なのは幹の部分を間違えないこと、それを久しぶりに考えた2時間でした。
各論は、平成19年2月15日の企業会計審議会からの意見書と、参考資料で配られた金融ファクシミリ新聞4月16日から掲載された金融庁の池田唯一さんの記事を読めば分かるということなのでしょう。
(おわり)
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