「中小企業に配慮」~外国人研修・実習制度~【松井】
*5/18追記 やっぱり買ってきてくれました!!ありがとう、大橋先生!
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今日は、大橋は日本弁護士連合会関連の仕事で東京出張です。東京出張だと大橋はいつも事務所に「舟和」の芋ようかんをお土産で買ってきてくれます。楽しみです。
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それはさておき。外国人研修・技能実習制度の見直し論が熱を帯びてきました。動きとしては、経済産業省、厚生労働省、入国管理を所轄する法務省、そして長勢法相の私案と三つ巴のような状況のようです。
朝日新聞の記事(5月16日朝刊)の見出しによれば、
「法相、『単純労働者』の容認案」という状況のようです。
厚労省『研修廃止』不当な労働解消
経産省『制度拡充』中小企業に配慮」
お!と思うのが、「中小企業に配慮」です。本音のところなんだろうと思います。研修・技能実習制度は、「日本の高度技能を外国人に教えることが」が目的のはずです。なのになぜ、教える側のはずの企業、しかも中小企業への配慮が必要なのか。
制度の実態は、低賃金の単純労働者を中小企業に供給するという、メリットは中小企業にある、中小企業のための制度だということになります。
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ものごとの解決の方向性は、何事も「三方よし」にあると考えています。
近江商人の商売哲学、「売り手よし、買い手よし、世間良し」。
これになぞらえれば、「中小企業よし、外国人労働者よし、世間よし」になるかと。
まず第一の価値観は、同じ仕事をしても外国人と日本人の給与に差があるという事実はどう考えても不合理であり、不正義だということです。労働基準法の遵守は、絶対だと思います。
それを踏まえて、現実として、中小企業は、日本人相手に求人をかけても、相対的に賃金が低い等の理由から、労働者が集まらない、賃金が高くはない単純労働には人は集まらないという実態があります。
中小企業の人手不足です。
そこでどういう案が合理的なのか。
現在、日本は政策としては外国人の単純労働者の受入れを認めていません。入国管理局はこの方針のもとVISAの審査などをし、取締りを行っています。
この政策の転換です。
「法相、『単純労働者』の容認案」に繋がります。
では、なぜ今まで、外国人の単純労働者を受け入れて来なかったのか。
日本の国益を害するから。
どのような国益なのか。
日本人労働者の仕事を奪う、という点にあったのだと思います。また、事実の裏付けはないんではないかと思うのですが、外国人の増加による治安の悪化なども挙げているのかもしれません。
先日、新たにフランスの大統領となった人は、フランスへの移民に対して厳しい非難を繰り返していたようです。
こういった政策を転換し、思い切って外国人の単純労働者を受け入れる。
外国人もまた、なぜわざわざ日本で働くのか。本国で働くよりは基本的に高賃金を稼げるからという理由がおそらくもっとも多いのかと思います。現状は。
外国人労働者を保護というのであれば、日本では働けないようにするのが一番です。日本にいなければ搾取されることもない。
でも、働きたいから日本に来る。
そこで、実態が労働であるのなら、日本人労働者と同じように法制度上、労働者としての権利を手に入れられるようにするのが外国人にとってもメリットが大きいのではないでしょうか。
どういった職に就くのかは自由です。
自由の状況において、自ら、国内では相対的に低賃金の職に就くというもの自由と選択の結果です。そこにおいて、労働者としての権利を保障されればいいのではないでしょうか。
「研修制度」の仕組みは、「JITCO」という団体が総元締めとしてしきっています。
「中小企業に配慮」という経産省の本音は、「JITCO」の権益確保でしょう。
なぜ朝日新聞はそういったつっこんだところまで報道しないのか。分かっているけど書かない、分かっていないから書けない。どちらかは分かりません。
中小企業の保護っていったって、労働基準法に反した低賃金で「労働させること」は駄目でしょう。やっぱり。不正義。研修生受入企業の全部が全部とはいえませんが、実態は「労働」、しかも搾取といった状況で、「研修」という名でやり過ごしていただけのことなんでしょうから。ずるい、やはり。「偽装請負」とどう違うんだ。実態でなく、名称の問題としてすり替えるところがいやらしい。
(おわり)
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