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2007年4月

2007年4月20日 (金)

遺産の評価~会計学の役割とその適用範囲~【松井】

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1 
 相続の事件では、遺産となる財産の評価をどう算定するかが問題となることがよくあります。
 例えば、建物、土地の不動産の評価をどうするか。
 どうするか、というのはどのような方法で評価するかということです。


2 
 一物三価という言葉があったように思いますが、一つの不動産でも3つの評価の仕方があります。
 ただ相続では、基本はそのときそのときの時価評価が原則です。「時価」を算定するときに各種評価方法、評価額が参考にはなります。

 また算定時期も大切な要素です。遺産分割で大事なのは、①相続発生時の評価、そして②遺産分割成立時の評価となります。
 もめる事件ですとこの①と②の間が10年ということも珍しくはありません。
 ①相続時3億円の評価がついていた土地が、バブル崩壊期をはさんで、②遺産分割成立時には1億円くらいになっていたということもあります。
 早くに遺産分割協議を成立させるなり、売却予定だったら取り合えず合意して売却して現金化しておくなどしておけば、皆が損せずに済んだのにというケースです。



 そして建物の場合は、市役所が固定資産税を課税する際に算出する「固定資産税評価額」というものが結構、参考にされます。
 でも、基本は「時価」のはずです。

 こういった話で、去年、担当裁判官の発言に思わず、えぇぇ!?とその発言に驚きながらも、そのときその場では自分の違和感をうまく表せないことがあり、口惜しい思いをしたことがありました。

 登記されていない構築物の時価、評価法を巡って議論となった際、裁判官はこういいました。
 「平成3年の築ですよね。建設費用が数千万円でも 減価償却期間、減価償却費用を考慮したら、価値はゼロでしょう」

 えぇぇぇ???
 その物件は毎月100万円近い利益を生み出しつづけている立体駐車場です。
 裁判官の言葉を借りれば、時価ゼロ円ということになります。



 訴訟・調停・審判といった裁判所において、評価が問題となったとき、分かったような用語の使用例として、「減価償却」という言葉が使われることは珍しくありません。

 ただ、上記の時価ゼロ円という結論は、おかしいということは直感的に分かります。だって、時価ゼロ円ということは、1円でも買い手がつかないとうことです。
 一方で、購入額・投資額と賃料での利回りを計算したら、3000万円の値はつく物件です。いわゆる収益還元法です。
 遺産の「時価」の算出方法としては、減価償却なんて発想はそもそもおかしいはずです。売りに出して、いくらで買い手がつくかというのがまさに「時価」のはずです。
 この物件、2000万円で買えるなら私が買ってます。

 裁判官の発言のどこがおかしいのか。
 「減価償却」という会計用語の適用場面を間違っているということになるんだと思います。
 会計は、企業の利益獲得の状況、資産状況を正確に現すというのが役割です。
 そこにおいて、資産と費用の計上のあり方として、取得した資産について、費用収益の関係を考慮して、資産を「減価償却」として費用に落としていくものです。
 そして今、国際会計上、問題とされているようですが、資産評価方法として、取得原価を基準としてこれを出発点として費用に落としているにすぎません。
 
 しかし相続、遺産分割において問題となっている「資産」は会計上の「資産」ではありません。
 相続人らの遺産分割の対象たる財産をどう評価するかの問題です。
 この「資産」は時価評価が原則です。

 こういった適用場面において、取得原価をベースにした減価償却という発想を取り入れて、遺産たる「資産」を評価しようとすること自体に無理があるのだと思います。

 

 と、最近つらつらと考えていたのですが、どうでしょう。
 ちょこっとかじり始めた財務会計の本を読み、話を聞いていて思ったことです。

 会計学の発想というのは、弁護士実務でいろいろと使えることは多いと思っているのですが、中途半端に使うと火傷するよということかと。

(おわり) 
*会計学の理解、間違っていたらご指摘ください_(_^_)_
*写真は、ビルの窓に映るあんパンマン。

2007年4月 6日 (金)

「無効」~特定商取引法~【松井】

1 
 19年4月3日、最高裁判所の判断が明示されました。
 NOVAという英会話学校が定める、途中解約の場合の清算規定の合法性に対してです。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070403112951.pdf

 結果は、「無効」。


「上告人は、本件使用済ポイントの対価額について、本件清算規定に従って算定すべきであると主張する。しかし、本件清算規定に従って算定される使用済みポイントの対価額は、契約時単価によって算定される使用済みポイントの対価額よりも常に高額となる。本件料金規定は、契約締結時において、将来提供される各役務について一律の対価額を定めているのであるから、それとは別に、解除があった場合にのみ適用される高額の対価額を定める本件清算規定は、実質的には、損害賠償額の予定又は違約金の定めとして機能するもので、上記各規定の趣旨に反して受講者による自由な解除権の行使を誓約するものといわざるをえない。
 そうすると、本件清算規定は、役務提供事業者が役務受領者に対して法49条2項1号に定める法廷限度額を超える額の金銭の支払いを求めるものとして無効というべきであり、本件解除の際の提供済役務対価相当額は、契約時単価によって算定された本件使用済みポイントの対価額とみとめるのが相当である。」

 特定商取引法という法律の49条1項、途中解約権の保障、同条2項1号、解約清算金について法定限度額を定めた規定、これらの趣旨について、最高裁はこう示しました。 

「特定継続的役務提供契約は、契約期間が長期にわたることが少なくない上、契約に基づいて提供される役務の内容が客観的明確性を有するものではなく、役務の受領による効果も確実とはいえないことなどにかんがみ、役務受領者が不足の不利益を被ることがないように、役務受領者は、自由に契約を将来に向かって解除することが出来ることとし、この自由な解除権の行使を保障するために、契約が解除された場合、役務提供事業者は役務受領者に対して法定限度額しか請求できないことにしたものと解される。」
 全く素直な条文解釈だと思います。

 なのに、なぜ、NOVAは途中解約の場合の清算方法について数々の訴訟を提起されながら、強行に自身の清算規定の正当性を主張し続けたのか。
 消費者が絶対に正しいものとは当然、思わないけど、多くの法律家が妥当性を考えればその結論はほぼ明かという条項について、なぜ、すぐに問題を収束させる方向で行動を変えないのか。
 硬直性に陥った企業の強弁に対する最高裁の判断。
 「あなたの言っていることは通らないよ。」

 間違うことは仕方ない。
 自分で判断し、是正していく力が企業を、人を強くする。
 

(おわり)

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