裁判官と判決~転勤の季節に思う~【松井】
1
3月も終わり。
以前、何度か仕事をさせていただいたことがある会社の担当者の方が転勤で東京に異動ということで、後任の方と一緒にわざわざ事務所まで挨拶に来てくれた。
自身の立場上、やむをえずというのでもなく、本当に親身に従業員の方のことを心配し、気遣って仕事をされていた方だった。
こちらの都合で夜中に携帯電話に電話させていただいたことも何度かあった。
転勤ということを聞いて少し寂しく思った。困難な状況でも穏やかさを失わない姿勢は見習いたいと思っていた。
2
4月。転勤といえば、裁判官や検事も転勤の季節である。
弁護士8年目となっても今更ながらに、いや8年目だからこそ、裁判の怖さがわかり、判決というものはつくづく分からないものだと思うことが増えるようになった。
一番大きかったのは、以前のエントリーでも触れた遺言無効確認の事件の判決だ。
尋問前の和解の際、合議体の担当裁判官からは心証開示をされ、この遺言は無効と判断せざるをえない
といったメッセージが明確に発せられていた。
勝つことはできなくても、負けるわけにはいかないのが裁判と考えている。
依頼者と共に和解の途を模索した。
しかし、どうしても譲れない部分があり、敗訴判決を覚悟で、和解を打ち切った。
判決言い渡し期日までの間。
合議体の部長が交代した。
そして判決言い渡しが延期されること、数回、数ヶ月。
正直なところ、期待が高まった。
そして、判決は、遺言は有効との判決であった。
相手方の弁護士に対しては気の毒にも思わないでもない。和解の際の裁判官からの心証開示によって
勝訴を確信していたはずである。
ところが・・・。
自分が相手方の弁護士の立場でなくって本当に良かったと心の底から思った。
と同時に、改めて「判決」の怖さを思い知った。
(ちなみに控訴審でもひっくり変えることはなく、安堵のため息)
担当する裁判官によって右か左かを左右することがあるのである。
だからこそ、三審制がとられている。
それにしても。怖いったらありゃしない。
これが裁判の実態の一つであると受け入れるしかない。
受け入れて、準備することだけが出来ることである。
ちなみに、各法廷の担当裁判官は最高裁のホームページから調べることが出来ます。
だけど、なかなか探しづらい場所に格納されています。
大阪の民事の法廷については下記のとおり。
4月、どのように変わることやら。
私が今担当している事件の裁判官に変更があるのか否か。
ま、この点は前回の法廷で「転勤されますか?」と当然、確認していますけど。
大阪高裁 民事
http://www.courts.go.jp/osaka-h/saiban/tanto/minji.html
大阪地裁 民事
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tanto/minji_tanto.html
大阪家裁
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tanto/kasai_tanto.html
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