専門性について その2 【松井】
前記事においてもちょっと触れたように、離婚事件というのは弁護士であれば誰でもできそうな分野といった位置づけがされがちです。
しかし、実は、違います。
写真は、司法修習同期の一澤昌子弁護士(大阪)が昨年出版した本です。
テーマはまさに、離婚。しかも「熟年離婚」です。
出版時に一冊贈呈をうけ、早速読みました。
私自身も確かに、弁護士1年目のときから離婚事件を担当させていただいたりしており、一応の知識、技術は知っているつもりでした(現在は離婚事件については新規受任いたしておりません。)。
しかし、この一澤弁護士の本を読み、「一澤さんはいつもここまでしていたのか!!」と愕然としました。
(もちろん、事務所パートナーの大橋も離婚事件の「経験値」は高く、端で見ていて、粘り強くよくやるな!!といつも驚いています。)
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弁護士にしてみればおそらく一件何気ない事件、離婚事件においてすら、弁護士の経験値(単なる経験数ではなく、どこまで徹底して調査し、やり込んでいるかということです。)に差がでるのです。
こういった事実は実は利用する側にはあまり分かりません。
以前、依頼者の方と雑談していたときにこういう話になり、そのとき依頼者の方が仰ったのは、「他の弁護士さんのことがあまり分からないから、一度頼んだ弁護士との仕事のやり方についてはこういうものなんだと思ってしまうんです。なのでその弁護士の仕事のやり方がどうということは分かりません。」ということでした。
企業であれば、確かに依頼する件数、相談案件も多いので、弁護士を比べてみることはできるかもしれません。
しかし、離婚や相続といった問題は、人生でそう何度もある問題ではありません。
だから、他の弁護士ならどうか、依頼した弁護士のやり方が最善なのかどうか、比べようがない、分からないということでした。
ただ、これからの時代は、個人の方であっても、最初に依頼する弁護士を選別する、つまり相談者・依頼者が弁護士を比較検討する時代は訪れると思います。また、そうでないといけないと思います。
そのためには弁護士の方も自らの情報を公開していくことが求められざるを得ないと思います。
病院のあり方が変わっていったように、法律事務所のあり方も変わっていきます。
(おわり)
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