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2007年2月17日 (土)

「勝って兜の緒を締めよ」~民事控訴審~【松井】

20070217memo

 「日本弁護士連合会 特別研修会 民事控訴審の審理について ~控訴審の審理と戦略的活用を考える~」という研修を受ける。
 1部の講演の講演者は、以前、大阪高等裁判所におり、現在は司法研修所の教官をされている方、2部のパネルディスカッションには現在、東京高等裁判所に配属の裁判官も参加ということでかなり期待して研修を受けました。
 なかなか興味深かったです。なので、メモ代わりにアップを。

 ちなみに、当日の実際のメモは、現在、レッシグ教授のいるスタンフォード大学のロースクールで研究中の塩澤一洋教授が作成されたマンダラート・メモ用紙・超整理手帖対応版をA3に拡大コピーしたものを使用してみました(写真)。流行?の「マインドマップ×マンダラート」といった感じで面白かったです(こういう「道具類」が実は大好きです)。読み返してもよく分かります、自分だけですが・・・。


 研修は、控訴審というものについて体系だてて進められてかなり網羅的でした。そのような中、個人的に一番印象深かったのは

「勝って兜の緒を締めよ」
という裁判官の言葉でした。

 実感としては分かっていたのですが現在の控訴審の運用の実態を数字で把握すると、おおよそ次のとおりだそうです。
 ■ 一審判決から控訴される割合     約20%
 ■ 控訴審における判決の取消し、変更  約25%
 ■ 控訴審の審理期間          約6か月
 ■ 期日第1回期日で結審         50%

 ちなみに高等裁判所は日本に8つしかありません(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)。

 この数字をどう捉えるか。
 注目は、一審で勝訴しても、高等裁判所の判決で覆される確率が25%ということです。
 このことを捉えて、裁判官は、被控訴人側であっても、つまり一審で勝訴判決を受けているとしても、控訴人の控訴理由書に対する反論書において、当たり前だけど手を抜かないようにということを言ったのです。
 「勝って兜の緒を締めよ」


3 
 
 述べられたのは、自分を勝たせてくれた一審判決書であっても、反論書において、一審判決の言うとおりであるといったような反論書は意味がないといったことでした。
 勝たせてくれた一審判決書であっても、その理由付け、つまり事実認定、法律論について、批判的に検討した書面を提出する方がよい、不備はないか、補強すべき点はないのかといった観点からということでした。
 
 確かにその通りです。ただ、一審で勝つとついつい気がゆるみ、勝たせてくれた一審判決書についても、よく出来ているなぁなどと変に肯定的になってしまったりするのもまた事実です。
 改めて気を付けようと思いました。
 


 
 また、この指摘も当たり前のことですが、主張は早めに裁判官に伝えるようにということです。裁判所は、当事者がどの点に不満をもっているのか、何を主張しようとするのかを早めに知りたいと思っていますということでした。
 つまり、控訴理由書やその反論書は、控訴審第1回期日よりとにかく早めに出すにこしたことはないということです。控訴理由書についてはちなみに控訴から50日以内にという定めが民訴法に定められています。ただ、裁判官の実感としては、期限が守られているのは事件数のうち半分くらいといった感想ということでした(びっくり!)。
 裁判所は、第1回期日の1週間くらい前には、当該事件について、主任裁判官が記録を精査していることを前提に3人で合議を行い、だいたいの事件の結論、心証を形成するといいます。当然、この時点で当事者の控訴審での主張が出ていなければ、控訴の意味がないに等しい状況となります。



 研修では、講義、パネルディスカッションが終わった後、会場にいた他の裁判官3名の方がそれぞれの意見を述べられました。これらがまた興味深かった。今日のパネルディスカッションでも言われていましたが、一審の裁判官と異なり、1回結審が多い高裁においてはなかなか裁判官の顔がよく見えないなか、高等裁判所の裁判官がどういった心意気で仕事をしているのか、また代理人としてどういったことに気を付けるべきかといったことを改めて確認できました。
 すばらしい研修でした。
 
 あと、備忘録的に。
 当たり前のことを当たり前に。
 訴訟物、要件事実、間接事実、証拠と事実の結びつき、事実の評価、位置づけ。読みやすい書面、理解される書面。それは量ではない。目次が要らないくらいの頁数。時系列での事実の把握。事実認定と法律判断の峻別。判例は、本件事案との異動に触れる。事実のあてはめが重要。
(おわり)
 
 
 

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