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2006年10月23日 (月)

Chain World 【松井】


 大阪市の中之島にある国立国際美術館で、「エッセンシャル・ペインティング展」が開催されていました。
 開催を案内する新聞記事で目にしたマルレーネ・デュマスという人の「ヘレーナの肖像」に惹かれ、同展に足を運びました。
 ところが、美術館では「小川信治展ー干渉する世界ー」というものも開催され、ついでに見たつもりが、結局、帰るときにもっとも印象に残っていたのは、この小川信治の映像作品「Chain World]でした。

 遠景の様々な風景から、徐々に一つの対象物に近づいていく、そしてもうこれ以上接近できないといったところから、また映像の「眼」は徐々に遠景になっていく、その繰り返しによって、パリのエッフェル塔からヨーロッパの片田舎ののどかな緑の風景、教会前の広場に集まる人々と次々と切れ目なく映像が展開していく。
 まさに Chain World 。

 がらがらに空いた美術館で一人、ベンチに座ってこの映像をただただ眺めていました。

2 
 22日の日経新聞の朝刊の最終頁で、伊集院静が文章を載せていました。
 「『ようこそ』気品ある響き。」
 なんのことかと思えば、伊集院静が旅した際、アウシュビッツのミュージアムを訪れ、その際、同ミュージアムで唯一の外国人公式ガイドである日本人の中谷剛さんが、伊集院静を迎えたときのことばでした。
 「ようこそ」
 この日本人公式ガイドの方のことはもう以前から実は知っていました。
 というのも、友人が以前、一人、どうしてもアウシュビッツを見ておきたいということで一人旅に出るとき、彼女が日本から事前に連絡をとりガイドをしてもらったというのがこの中谷さんだったからです。彼女から、この中谷さんのことはいろいろと聞いていました。
 その後まもなくしてこの中谷さんが本を出した、あとがきには友人の彼女の名前も出ているというので、買ってみました。

 アウシュヴィッツ博物館案内
 中谷 剛 (著)
 
 買ったけど、例のごとくまだ読んでいませんでした。

 会ったこともない人なのに、友人の知人であるというだけで、伊集院静が触れているというだけで、なぜか懐かしく、全く知らない人のような感じがしない。
 Chain Worldではないけれど、つながっている感じ。

 「私たちは中谷さんと当時、収容所に列車で連れてこられた人々が歩かされた道をともに歩き出した。足下に野の花が咲いていた。収容宿舎、ガス室、遺体処理室、人々の身体から剥ぎ取るように没収された夥しい数の衣類、靴、メガネ、そして子どもたちの玩具・・・、そこに戦争とは何かを無言で教えてくれる真実の力があった。」
 伊集院静はこう書いていました。


 そういえば、Europe WatchのTIさんのブログで、「War Children」というイギリスの教科書が紹介されていました。

 高村薫は、子どもの命も老人の命も同じ命であって子どもを殺したら死刑という考えに対してそれでいいのかという疑問を投げかけていたように思うけど、戦争であれ、虐待であれ、まさに何の罪もない子どもが命を落とすことについては、よりいっそう胸が締め付けられる思いがします。何とか出来なかったのか、と。

 ただ確かに、子どもであれ、大人であれ、他人に命を奪われたり、自由を奪われるということについて、何も感じない人はいないでしょう。怒り、悲しみ、やるせなさ。
 政治が政治たるゆえんはここにあるんじゃないだろうかと思います。つまり、多くの人間が暮らす社会において、安全に自由に暮らすことが出来ること、そのための憲法であり、法律であり、議員であり、公務員。
 このために要する必要経費として税金を払っている。

 核兵器での武装や憲法改正よりも、外交交渉力をまず勉強して欲しいです、日本の議員。最低限の安全である戦争回避、そのために最大限の力を振り絞って欲しい。
 Chain World の怖さを実感できないんだろうか、戦い=殺し合いをしたらいいという人は。

(おわり)

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