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2006年9月26日 (火)

マンション建替え~利害関係者は誰?~【松井】


 「耐震強度偽装事件と法律問題ー民事上の問題を中心として」鎌野邦樹千葉大学法科大学院教授の論説を読みました(NBL 2006.4.1。15頁)。

 うち「国の提示した支援策」という項目において、今回、被害に遭った分譲マンションの住人に対する公的支援策について述べられていたことが、私としては興味深かったので触れておきます。



 11棟のマンション住人に対しては次のような公的支援が行われるようです。
 
 

国と地方自治体との費用の負担の下に、地方公共団体(実際の事業はこれから委託を受けて都市再生機構が実施。ただ、現実には民間業者の活用を予定しているマンションもあるということである)が、当該マンションの区分所有者の建替え決議を前提として、土地を買い取り、これを除去した後に、マンションを再建する案が示されている。

 これに対して、筆者は次のように異なる方向性があることを示唆しています。この点を非常に興味深く読みました。

 

なお、区分所有関係の最終段階を「解消」(特別多数決による一括売却等)ではなく「建替え」としているわが国の区分所有法制においては今回の支援措置が当然こととして選択されたと思われ、また、そのこと自体は是認されよう。ただ、今後は、区分所有関係の最終段階として「建替え」だけでよいのかといった立法全体のあり方とともに、政策面における公的支援策のあり方として、住居(費)の手当て等のほか、「建物の解体・除去」または「土地の買取り」までに限るのではなく、果たして「建替え」まで必要なのかといった点についての検討が必要となろう。


 この指摘を受けて思い出すのが、阪神・淡路大震災の際に倒壊した分譲マンションにおける建替えを巡る紛争、さらにはこれを契機として出来たマンションの建替えの円滑化等に関する法律です。
 確かに、建替えが即、是といえるのか否か。他の途、「解消」という途も選択肢として用意されるべきではないか。以前から頭の片隅に疑問としてあった点でした。
 先日、建替えを巡る紛争でマンション住人が訴えられているという話を知人からちょうど聞いたところであったこともあるかもしれません。
 一当事者側からの話ではあったのですが、実際、自分が暮らしてきたマンションに関して裁判まで起こされるということの一住人の精神的負担を考えたら、あぁ、そんな時代なんだなぁと思ったことを覚えています。
 マンション建替え問題は、今後、老朽化マンションが増えてくることは明らかなので、当然、建替えに関する紛争も頻発してくるものと予想されます。
 この問題に絡む利害関係人は住民だけではない、~要は、何がどうなると誰が得をして、誰が損をするのかといったこと~ということをよく考える必要があるのではないかと個人的に思っています。
(おわり)

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