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2006年8月23日 (水)

「ハリウッド」~資金調達と回収、利益獲得~【松井】

 一休みに、自分用のメモとして。

 ①「芸術起業論」村上隆(2006.6、幻冬舎)

 ②「ハリウッドで勝て」一瀬隆重(2006.8、新潮新書)

 ③「ハリウッド・ビジネス」ミドリ・モール(H13.11、文春新書)

 などなど。新書が多いけど・・・。


2 
 
 前2作は、日本での芸術と経済・ビジネスのあり方について触れられている点、共通している。

 村上隆「エセ左翼的で現実離れしたファンタジックな芸術論を語り合うだけで死んでいける腐った楽園が、そこにはあります」(29頁)。

 一瀬隆重「『みんなで我慢』的な発想が、ただでさえ縮小傾向にあるマーケットをさらにシュリンクさせていく。それに気づかない日本の映画人と仕事をするのは、私にとってフラストレーション以外の何ものでもありませんでした。」(107頁)。


3 
 
 後2作は、アメリカ、ハリウッドでの映画制作の手法あるいは映画製作上の金融について触れられている点、共通している。

 一瀬
 「現在、ハリウッドで映画ビジネスを動かしている人たちの多くは、弁護士やエージェントなどからの転身組です。コンテツ・ビジネスがますます高度化・複雑化する中で資金調達やファイナンス、マネジメントの専門家達がプロジェクトの決定権を握るケースが多くなってきているわけです。」(161頁)

 「ご存じの通り、日本映画では長い間、豊富な資金力と配給ルートをもつ大手映画会社が著作権や利益配分権を独占してきました。製作委員会方式が主流になった現在も、この構造は基本的には変わっていません。
 私は、これからの日本映画にいちばん必要なのは『クレバーかつ大胆な発想ができる投資プレイヤー』だと考えています。例えば、宣伝費をもっと増やし、洋画なみの物量宣伝をするビジネスプランも試してみたい。そうすれば何より、テレビ局の呪縛から逃れて映画を作ることができます。また、何十億という製作費をかける、ハイリスク・ハイリターンのビジネスプランも試してみたい。」(180頁)。

 「日本におけるファンド・ビジネスは、ちょっと歪んだ形で育ちつつある。もともと『映画ファンド』というのは、企画力や製作力はあっても資金に乏しいインディペンデント・プロデューサーや独立系のプロダクションのためにあるべきです。ところが現実は逆で、ほとんどの映画ファンドが、既存の大手映画会社と金融機関の組み合わせでしか機能していない。それでは(お金もうけのツールとしてはともかく)、日本の映画界にとって本質的なプラス効果は望めません。」(185頁)。


 ミドリ・モール
 「メジャーに映画を供給する独立系製作会社は、どうやって資金調達しているのか。そのひとつに、金融機関から融資を受ける方法がある。」
 「担保となるのは、映画の配給契約である。配給契約とは、映画を配給する人たちが、ネガの提供と引き換えに保証額(ミニマム・ギャランティー)を支払うことを約束する契約のこと。」
 「通常、配給会社は映画が完成すると、ネガの提供と同時に保証額を製作会社に支払う。製作会社は、映画が完成するまで保証額を受け取ることができないのだが、その配給契約を担保に金融機関から資金を融資してもらい、それで製作費を捻出する。金融機関は、映画完成時に、配給会社から直接、保証額を返済してもらうという寸法だ。」
 「このユニークな資金調達方法は、もともとはホロウィッツの独壇場だったが、1992年頃から、映画融資が儲かることに気づいた様々な銀行が、このビジネスに算入し始めた。」(212頁)。


4 雑感

■ 
 信託に関する法律の改正によって、映画製作資金を信託によって集めるということがいっとき新聞で話題とされていました。
 ところが、まぁ、金融機関が手数料分もうかるだけだったというのが現状のようです。さもありなん。

■ 
 一方、アメリカの金融機関は、「映画融資が儲かる」、というか、儲かるシステムを作り上げて独立系の製作会社に融資しているようです。
 持続可能な、皆ハッピーとなる意味のある「儲かる仕組み」を見つける、作り上げると言う点では、日本の金融機関はやはりまだこれからなのかもしれません。「銀行収益革命」川本裕子(2000.2、東洋経済新報社)を思い出しました。副題は、「なぜ日本の銀行は儲からないのか。」。

■ 
 一瀬氏のいうテレビ局の「呪縛」が気になるところ。あぁ、まだ「電波利権」(新潮新書)を読んでいない。
 一方で、「テレビCM崩壊」という邦題の本(2006.8、翔泳社)が出ていたことを思い出す。

 「エンタテイメント契約法」内藤篤(2004.7、商事法務)。「民法テレビ、それも伝統的な地上は放送ビジネス構造は、基本的にはコマーシャルの放送枠の販売であり、つまりは『時間』こそがテレビ局の売っている『商品』である。」(262頁)。「テレビ番組は、それが自社製作であれ外注製作であれ、製作時点でその回収はいわば終わっているし、ほとんど常に、マイナスになることはないのである。」「テレビ局は番組作りに対して金銭的リスクを負っていないのである。」(265頁)。

 ここまで言うと、テレビ製作の人間は、「いや、その売る時間に付加価値を付けられるか否かが、コンテンツの力なんだ」ということで反論できるんでしょうけど。
 ただ、他に比べれば、中身が出来る前に先に売れるので、資金回収は確かに済ませられているといえるかもしれません。その分、リスクが少ないと。

■ 
 映画の金融スキームの構築は、映画を理解している人じゃないと本当のところ、無理なんだろうと思います。日本の金融機関にそのような人材と許容性があるかどうか。人材はあると思うんだけど。
 まぁ、一瀬氏のように、日本を相手にせずに、世界というかアメリカを相手にすれば、アメリカから資金は調達できるんだろう。
 村上氏も同じか。日本に愛想を尽かし、欧米を相手に作品を1億円以上で売るいわばスキームを作り上げた人。
 一瀬氏が強調しているが、「清貧」という言葉に甘んじることなく、皆がハッピーに儲かる、経済的自由を手に入れられる仕組みがないといけないというのが印象深い。まさに、「道楽」と「ビジネス」の違い。
 
 村上ファンドの村上氏の言葉を思い出す。「儲けちゃ駄目なんですか。」。もちろん、儲けるのは悪いことではない。それで幸せになるならいいことだ。ただ、儲け方が不公正な方法だと、それは問題というだけのこと。

■ 
 なぜこんなことに興味があるのかというと、もともとが根っからのテレビっ子で映画好きということに原因があるかと。今でこそ、テレビを見ることはほとんどありませんが。
 一瀬氏の本に出ていた、スパイダーマンの監督で有名なサム=ライミ監督は、その22歳だったか24歳だったかのときの監督デビュー作、「死霊のはらわた」以来のファンでした。中学生のころ(80年代前半)、ホラー映画ブームがあり、四日市で上映されたホラー映画は同じくホラー好きの友人と二人、前売りチケットをコレクションしながら片っ端から見尽くしました。その中でもずっと衝撃的だったのか「死霊のはらわた」でした。名作だと思っていました。

(おわり)

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